え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第四十一話

 

「ん…?」

 

「え…?」

 

唐突に響いた声に、裕也と麗子は同時にそちらを見た。

 

「は…?」

 

「お…?」

 

「なんで…?」

 

他のクラスメイトたちも声の主を確認して怪訝そうな声を漏らしている。

 

一方で…裕也の拳を止めた声の主……西川幸雄は堂々たる歩みで後方から裕也と麗子の元へと歩いてくる。

 

「殴るなんて、許し難いね。黒崎さんは僕の大事な大事なメインヒロインなんだよ。この世界で僕と結ばれる運命の人さ。君如きが触れていい人じゃないんだよ?」

 

「「「…」」」

 

裕也や麗子含め、その場にいた幸雄以外の生徒全員が戸惑っていた。

 

幸雄の口にする言葉の意味が全くもってわからない……それ以前に、彼がここまで堂々とした態度をとっていることが信じられなかったのだ。

 

西川幸雄は……いわゆる陰キャラという位置付けで、日本にいた頃、クラス内では常にオドオドしていた。

 

人と目を合わせず、いつもしたばかり向いて、異性と話す時は極度に緊張して挙動不審な動きを見せていた。

 

友人はおらず、いつも一人で行動しており、クラスメイトたちからは『陰キャ』『根暗』『オタク』などと言って馬鹿にされていた生徒だった。

 

そんな幸雄が、現在、こんなにも堂々たる口調で話しているのが彼らにとってはありえない光景だったのだ。

 

ただ、中でも麗子だけは…二日前に一度、同じような状態の幸雄と会話していたために周囲の人間ほどの驚きはなかった。

 

「あの時はたまたまおかしくなったのかと思ったけど……どうやらこれが彼の本性のようね…」

 

麗子は誰にも気付かれないようにボソッと呟いた。

 

「ふひぃ…」

 

「…っ」

 

が、直後、幸雄にねっとりと舐めるような視線を感じ、寒気を感じて目を逸らした。

 

幸雄が麗子に向けた視線は、麗子からしてみれば、裕也が麗子に向けるそれと何ら変わりはなかった。

 

どいつもこいつも、男はクズばかりだ。

 

麗子はさっさとこの場から逃げ出したい気分だった。

 

しかし、不幸なことに、もうほとんど体力が限界なため、麗子は成り行きに身を任せるより他になかった。

 

「何かな?西川くん」

 

こちらに歩いてくる幸雄に対して、裕也が問いかける。

 

「今取り込み中だから、後にしてほしんだけど」

 

裕也は未だ幸雄が自らのカリスマのスキルの支配下にあると考えていた。

 

だから命令すれば、素直に従ってくれるだろうとそう考えていた。

 

だが、裕也のあては外れた。

 

幸雄はなおも堂々とした歩みで、彼に近づいていった。

 

「な…っ!?」

 

裕也が驚きの表情を浮かべる。

 

「偉そうに僕に命令しないでくれるかな?条件付き支配程度の雑魚スキル持ちの分際でさ」

 

「…っ」

 

幸雄の態度を見て、裕也は自分の中で嫌な予感が当たったことを知る。

 

やはり幸雄は自らのスキル、カリスマの支配下には置けていなかったのだ。

 

「あははっ…その顔…!それが見たかったんだ…!そのために、ここまで引っ張ったんだよ…?クラス一の人気者、有馬裕也。君のその表情が見たいがためにさ。あははっ」

 

幸雄が裕也の驚愕の表情を見て、可笑しそうに笑う。

 

「…っ」

 

どうする?

 

裕也は幸雄がカリスマで支配できていないことを完全に思い知り、頭の中で必死に対策を考える。

 

未だ自らの支配下にあるクラスメイトを使って力づくで支配するか…?

 

しかし、操られていなかったということは、こいつはスキルを虚偽申告していた可能性が高い。

 

スキルがどういう能力かわかるまでは、ひとまず温厚に接していた方が…

 

「おいおい、西川。急にどうしたんだよ?」

 

「お前、そんなキャラだったか?」

 

裕也が必死に幸雄の対応を考えている中、未だ事態の異常さに気付いていないクラスメイトたちは態度の急変した幸雄をせせら笑う。

 

「お前、何でそんな偉そうなんだ?」

 

「お前、スクールカースト最下位だよな?」

 

「おい、陰キャラ。異世界きたからって調子乗ってんのか?ここでもお前は陰キャラの底辺のままだよ?」

 

「こいつ、なんか変な妄想してんじゃね?異世界きたから自分の力が覚醒して、好き勝手できる…!みたいな。漫画でそういうの読んだことあるぜ」

 

「うわー、きもー。まさに陰キャラの思考って感じ〜」

 

「きゃははっ。まじキモすぎるんですけど〜」

 

未だ幸雄を自分たちよりも下の人間だと思っているクラスメイトたちは、日本でそうしていたように、好き勝手に幸雄に罵声を浴びせる。

 

それに対して、幸雄は愉快そうにクスクス笑う。

 

「あはは。滑稽だね。未だ自分たちが上位者だと思っている無知で惨めな弱者の勘違いはさ」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

クラスメイトたちが驚きに目を見開く。

 

そして次の瞬間には、幸雄に対して抗議の声を口々にあげる。

 

「何なの西川。調子乗りすぎ!」

 

「陰キャラてめぇ、あんまり調子乗ってるとしばくぞ?」

 

「今はみんなで協力する時だろうが!!てめーも仲間に入れてやってるんだから、感謝しろ!!」

 

スクールカースト底辺が、上位者である彼らに逆らってきたことで、クラスメイトたちは怒り、中には西川に殴りかかろうとするものもいた。

 

そんな中、西川が不意に口にした。

 

「うるさいな。とりあえず全員そこに跪け」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

次の瞬間、そこにいた西川以外の人間全員が地面に膝をついたのだった。

 

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