え?クラス転移で俺だけスキル無し?役立たずは置いていく?いや、俺、異世界召喚二度目で強い魔法たくさん使えるから普通に無双するよ?   作:taki210

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第九話

 

1時間程度で召喚された全ての生徒のスキル鑑定は終了した。

 

恵美のスキル鑑定後、水晶を有馬裕也や黒崎麗子並みに光らせた生徒はたった一人だけ。

 

それはクラスでは『根暗』『陰キャラ』と揶揄されていた男子生徒、西川幸雄のみだった。

 

西川が水晶玉に手を翳すと、玉は一際強い光を放ち、カテリーナは幸雄を大絶賛した。

 

「これは今までにない逸材です…!もしかしたらあなたが世界を救う逸材になるのかもしれませんね…!」

 

ニコニコとしたカテリーナにそう言われ、幸雄は満更でもない感じだった。

 

この世界に来てから、幸雄にいつものおどおどとした態度は全くなく、むしろ堂々として、周囲を見下げるような態度さえ見せていた。

 

スキル鑑定後、幸雄が恵美の近くを通った際には、「ようやく僕のターンが来た…!この異世界で…僕は無双チーレムするんだ…」という意味不明な言葉が聞こえてきた。

 

そんなこんなでスキル鑑定は終わり、カテリーナは生徒たちが勇者になるための次のステップに進むと言い出した。

 

「ただ、スキルを使えるだけでは皆さんは勇者になれません。世界を救う勇者になるには、多くの困難を乗り越える必要があるのです…というわけで」

 

カテリーナは恵美たちに試練を課した。

 

それは、ここから何十キロも離れた場所にある王都に生徒たちだけでたどり着けというものだった。

 

この森から王都までたどり着くには、たくさんの街や森を抜ける必要があり、その道中様々な困難が待ち受けているという。

 

そんな困難を乗り越え、王都にたどり着けてこそ真の勇者の素質があるものだとカテリーナは言った。

 

「というわけで私は王都で待っているので、一ヶ月以内に来てくださいね。来なかった場合は、全員殺処分します。それでは」

 

そういうと、カテリーナは突然恵美たちの前から姿を消した。

 

おそらく魔法的な何かで姿を隠したのだろうと、恵美は理解した。

 

後に残された生徒たちはしばらく呆然としていた。

 

「みんな!ちょっといいかな…!」

 

不意に爽やかな声が上がった。

 

高ランクスキル持ちのイケメン、有馬裕也が生徒たちの前に出た。

 

「いきなりこんなことになって混乱していると思う。俺も正直、かなり戸惑ってる。でも、今はみんなで団結する時だと思うんだ。皆で団結して、知恵を出し合えば…俺は必ず日本に帰る方法も見つかると思ってる…!」

 

裕也のそんな言葉に、俯いていた生徒たちが顔を上げて裕也の方を見る。

 

「今こそ俺たちの団結力を発揮する時だと思う。半年間苦楽を共にした俺たちならきっとできる…!一緒に頑張っていこう!!」

 

そう言って裕也が拳を突き上げた。

 

「うわ…」

 

恵美としては正直痛々しくて見ていられなかったが、しかし、クラスメイトたちは違うようだった。

 

「そうだそうだ…!」

 

「裕也のいうとおりだ…!」

 

「俺たちならできる…!」

 

「みんなで頑張ろう…!」

 

まるで裕也に希望を見出すかのような表情を向けて、次々に追従し、拳を突き上げる。

 

「え…?」

 

恵美はどこか違和感を覚えていた。

 

「ありがとうみんな…!ここでちょっと提案があるんだけどいいかな?俺たちは団結しなきゃならない。そして団結に必要なものといえばリーダーだ!だから、今からリーダーを決めようと思うんだけど、誰がいいと思う?」

 

明らかに自分と言って欲しそうな雰囲気で裕也がクラスに問いかけた。

 

すると次々に「裕也!」「裕也がいい!」

「裕也しかいない」という声がクラスから上がる。

 

「ありがとうみんな…!今のところ俺がリーダーをやった方がいいっていう声が多いけど他にリーダーやりたい人はいるかな…?」

 

そう言って裕也はぐるりと生徒たちを見渡す。

誰も手をあげるものはいない。

 

その様子を見て満足そうに頷いた裕也は、

「じゃあ、俺がリーダーってことでいいかな?」と確認を取る。

 

「ああ、もちろんだ!」

 

「裕也頼んだぞ…!」

 

「裕也にならついていける…!」

 

生徒たちからそんな声が上がる。

 

裕也が笑顔で手をあげてそれに応えた。

 

「ありがとう!じゃあ、俺がリーダーってことで決定!みんな!みんなのために精一杯頑張るよ!!」

 

「「「うおおおおおお!!!」」」

 

歓声が上がった。

 

「えぇ…」

 

恵美は遠巻きに見ていて、なんだこれはと思っていた。

 

確かに裕也はクラス内において人気が高かったが、それでもここまで熱狂的ではなかったはずだ。

 

何かがおかしい。

 

恵美は先ほどから感じていた違和感がほぼ確信に変わった。

 

おそらく今現在、何らかの力が働いている。

 

そしてそれはおそらく…裕也のスキルである可能性が高い。 

 

「よし、じゃあ、みんな!リーダーの俺から最初の指示だ…!王都を目指す前に、可哀想な委員長の墓を作ってあげよう…!こんな状況でも俺は人間としての尊厳やモラルは保たれるべきだと思うんだ…!」

 

「そうだ!」

 

「その通り!」

 

「さすが裕也くん!優しい…!」

 

クラスメイトたちから次々賞賛の声が上がる。

 

そうして生徒たちは、カテリーナに殺された本田愛梨の墓を掘るのだった。

 

 

 

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