お前がモブなわけ無いだろ! いい加減にしろ! 作:うどんそば
やっほー! 私はシャーレに所属のモブ! まあ、モブもモブ、モブFくらいだけど。まあ、他の学園無しで、シャーレだけに所属してるのは私だけだから、そういう言い方すれば唯一無二かも? でも、他の所属の子達が目立ちすぎて、全然目立たないのは確かだよ。
そもそも、先生はなんであんなに各校のトップの子とか、こっちでも聞いたことあるような子達もたくさんシャーレに所属させられるんだろう……不思議でたまらないところだよね。まあ、なんとなく接してたらカリスマとか感じるし、そういうことなのかな?
でも、そういう各校のトップみたいな子達も、強すぎて名を轟かせている子たちも、私みたいな下手したら路傍の石みたいな存在にも声をかけてくれたり遊びに誘ってくれる。先生だってそう。忙しい中、わざわざ私のために時間を作ってくれたときは嬉しかったなあ。
まあそういうわけで、今日も楽しい充実したモブライフを送っているわけだけど、シャーレは楽しいことがたくさんある。まずひとつ目は授業!
私はシャーレ所属で、他の学園には所属してない話はついさっきしたけど、地位は学生で、もちろん学業もしっかりしないといけない。じゃあ授業はどうなるのかだ。
基本、多くの学園ではBDというものや、教科書を使って勉強をしていくわけだけど、もちろんシャーレに専用BDや教科書は存在しない。だから、誰かに教わりながら勉強をしていくことになるわけだけど……私に教えてくれる先生は、文字通り『先生』なのだ!
“アマネ、集中して!”
「わ、ごめん!」
声をかけかられて、ぱっと意識を戻す。はい、なんと今はその授業中でしたー!
“じゃ、集中ついでにこの問題をとこうか。はい、いいかな?”
「んっと、アの選択肢が正解、だよね」
“うん。正解。やっぱりアマネはこういうの得意だよね”
「まあ、そりゃあね。私これでも勉強は得意ですからっ!」
そう、今の授業は国語。先生も私も、シャーレに仕事があるからそう長い間授業ができない。だから、私は単位制になっている。だって、皆と同じみたいに一日中勉強なんてしてたら、仕事は三割終わるかどうかだもん。
だから、私は少しだけ地頭がいいのを活かして、三十分から一時間の間で一日分の授業を終わらせている。あと、特に得意なのはほぼしてない。テストで合格さえすれば単位取れるしね。
”さ、今日はこれでおしまい。じゃあ、ご飯に作ろっか”
「やった! ちなみに、今日はどっちが作る?」
“うーん、どっちでもいいけど……今日はアマネのが食べたいかな”
「じゃ、私が作るね」
仕事が終わって、勉強が終わったらもうご飯時になる。どうせ私は居住区に済んでるから家は近いけど、せっかくだからってことで、先生と一緒にご飯を食べるのが日課。
その時々によって先生が作ったり、私が作ったりするけど、今日は私みたい。
シャーレオフィスから直結の小さなキッチン。私が来るまでは、本当に小さな冷蔵庫の中に、飲み物が入ってるくらいだったみたい。でも、私が来てからは、先生が少し大きな冷蔵庫を買ってくれたから食材もたっぷりはいる様になった。
さてさて、冷蔵庫はーっと、おりょ? 結構いいお肉がたくさん……。
「先生ー! このお肉なにー?」
“ああ、それはこの前農業学園の子たちに貰ったんだ。結構いいお肉みたいだよ”
「やっぱりいいお肉だよねえ……そうだっ! 今日は外でお肉食べない?」
“バーベキューみたいな?”
「そそ。何人か誘ってしよーよ!」
こんなにいいお肉なんだから、焼き立てで皆と食べたほうが美味しいに決まってるよ!
“わかった。そうしようか。誰を誘う?”
「まあ、このビル降りるまでに誰かしらとすれ違うし、その子達みんなを誘っちゃおうよ」
“まあ、そうだね。じゃあ、早速行こうか”
「じゃあ私お肉持っていくね!『保存』」
私が言うと、肉はあっという間にそのままの状態で保存されるようになった。手で触れても、冷たいまま。
「よーし、いこー!」
“相変わらず、便利だね、それ”
「魔法のこと? まあたしかにねえ。水筒とかもいらないし。『水』……先生、はい水。喉乾いてたでしょ?」
“ありがとう”
コップの中に水を注ぐイメージを持ちながら水を呼び出すと、そのとおりに水があらわれる。これのお陰で、おもーい水筒はいらないし、いつでもどこでも手とか体とかを洗えるから便利。
先生が水を飲み干して、コップを置いた。そしたら私が電気を消して、ドアを開ける。扉の外には、外出中。用があるなら電話を! というのをかけておいて……そこに、早速一人あらわれた。
「あれ、先生たち。今日はこれからどこかにお出かけですか?」
“うん。外で焼き肉するんだ。ユウカも来る?”
「ユウカちゃんタイミング良かったねえ、結構いいお肉みたいだよ?」
お肉をユウカちゃんに見せると、流石に見た目でわかったのか、「ほんとにすごいやつじゃない!」と目を輝かせた。かーわい。
「わ、私もいいんですか?」
“もちろん。誘ったのはこっちだしね。ただ、もうちょっとメンバーは増えるかもしれないからそこだけね”
「大丈夫ですよ。誰かを誘う予定だったんです?」
「降りるまでに会った子たちでやろっかなって」
「ああ……そういえば結構いろんな生徒達と会うものね。アマネの提案?」
「うん。楽しそうだなって」
早速三人で下に向けて進み始める。とりあえず、居住区では誰にも会わないだろうなあ。今は私と先生しか住んでないし、先生も一応家があるはずだし。ま、帰ってるとこ見たのは片手で数えられるくらいだけど。
談話室あたりに差し掛かると、また一人に会う。
「あれ? 先生達?」
「あ、ナツ! 一緒に焼き肉する?」
「手に持っているの……結構いいお肉? まあ、たまにはスイーツ以外もね。……先生、私もいい?」
“もちろん。ユウカもいいかな?”
「もちろん」
談話室を抜けてしばらくすると、また一人の子と会う。
「先生? この時間にその人数でいるのは珍しい」
“うん。外で焼き肉するんだ。ヒナも来る?”
「……いいの?」
「ヒナちゃんも来てよ! そっちのほうが楽しいって!」
「ゲヘナの風紀委員長? こういうときくらいにしか交流もないし、これもロマンだよね」
「多ければ多いほど楽しくはなるでしょうし、行きましょう?」
「……ありがとう」
みんなで誘ったらようやく、ヒナちゃんは着いてきてくれた。……あ、嬉しそうな顔。
そうこうしたらもう出口。ソラちゃんが大丈夫そうなら誘おうかとも思ったけどまだ勤務中みたいだった。……あれ? ソラちゃんが勤務中じゃないときなんてあったっけ?……これ以上考えるのはよそう。
ともかく! 無事に先生、私、ユウカちゃん、ナツ、ヒナちゃんの五人が集まったわけで、これで焼き肉ができる!……にしても、今日は珍しく人数が少ないなあ。下手したら、十人くらい集まりそうな気がしてたけど、どうしてだろ?
まあ、そんなことを気にしても仕方ないし、早速準備を始めちゃおう!
私が何回かしたから、外の倉庫の中に道具は入っている。それを引っ張り出して準備する。みんな手伝ってくれるからすぐに終わる。食器は面倒だから紙皿でいいや。
全員に配ったらさあ着火。
「火よつけー『着火』」
「便利ねえ、それ。その詠唱? みたいなのって意味あるの?」
うおっ突然核心つく話。
「実はないんだよねえ。でも癖みたいな? あと、言ったほうが何が起きるかわかりやすいから、もし何かあっても周囲の人が予測しやすいでしょ?」
「なにかないようにしなさいよ……」
「ま、いいでしょ?」
私達がそんな会話をしていると、ヒナちゃんが立ち上がった。
「……ちょっと待って。遠くからなにかの音がする」
「へ?」
何もきこえないけどなあ。
「……んー、これはスケバン達かな?」
「あ! 先生! こちらにスケバンが向かってきているそうです! なんでこういうときに!」
……わーお、なんて間が悪い。シャーレの近くはこうやって時折スケバンたちが襲撃してくる事があるけど、よりにもよって今日か……。
「先生、私の後ろにいて」
“え?”
「危ないから。みんなもちょっと身を守ってて」
あ、私にも聞こえてきた。うるさいなあ。
よし! じゃあやろう!
「『爆発』『炎』『つむじ風』っ!」
道の先に、数十人のスケバンが飛び込んでくる。そこを包むのは銃弾の雨じゃない。風に乗って迫る猛火と大きな爆発。
風が大きく吹いて、髪を揺らした。……うん。髪切ってから、風が気持ちいいくらいに収まるようになったかな。昔は髪が長かったから、バサバサ動くし重いし大変だったんだよね。
「先生! 大丈夫?」
後ろを振り向くと、信頼100%の顔をした先生が、のんきにニコニコしていた。
あ、お肉も大丈夫そう。良かったー、ちゃんとこれで焼き肉できるよね!
「あなた、呑気ね」
ヒナちゃんが言う。
「そう? まあ、何かあったらヒナちゃんたちがどうかしてくれるかなって。じゃあ、食べよ! もうお肉焼けそうだよ!」
最悪のことがあっても、私はどうせモブだしね。
人気あれば続きます。