お前がモブなわけ無いだろ! いい加減にしろ!   作:うどんそば

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一日って、経つの早いね(諦め)

 ……うん。一日って経つの早いね。

 

 とりあえず手伝えそうなことは本当になかったから、初日は細々したサポートをして、二日目はアビドスにいつつも仕事をした。こうやって呼ばれたら行くっていうのを徹底してるけど、もちろんどんどん仕事は溜まっていくしね。

 

 ちなみに、先生がシャーレの『先生』……つまり、シャーレのトップであるのはなんとなくわかってくれると思うけど、実は私はシャーレの次長でもある。だから、先生を手伝えるわけだね。たまに他の学園の子達が手伝いに来てくれることもあるけど、実際決済やらができるのは私と先生だけ。

 

 書類には紙じゃないといけないものと、ネットワークがあれば済むものとがある。紙のやつは流石にできないけど、ネットでできるのはここでもできるわけで、先生の持ってるタブレットと、私のスマホに送られてくる資料を見ながら、これだけでもってことで。

 

 ……これ、してなかったら帰ったときに地獄なんだよね。どうしてもできない状況――まあ結構あるんだけど、そういうときには帰って私と先生でロマンのかけらもないらんでぶー。普通にやだからできるときにできる分ね。

 

 これだけ忙しくても、もともとシャーレは一人で運用される予定だったらしい。おかしいよ。

 

 仕事は二人いるし、紙のは無いし、そんなに時間はかからなかった。半日くらい? 流石にそんなにかかってないか。

 ご飯はみんなが練習で作った出し物のメニューを分けてくれたから大丈夫だったし、私と先生は暇になった。

 

 暇になったら考えるのはやっぱり明日のこと。明日私達はアビドスの手伝いでイベントを精一杯楽しむことになってるんだけど……心配ごとが一つ。この前あったエデン条約編の一件が尾を引いていないか、それに、多くの学園が集まるんだから、なにかトラブルが起きるんじゃないかということ。

 

“まあ、何かあったら対応すればいいよ”

 

「そうだねえ。お祭りみたいなものなんだし、そうやすやすと暴れまわる子たちもいないでしょ。最悪居ても、正義実現委員会の子たちもいるし、どうせレイサもスズミちゃんも来てるだろうし」

 

 大体トリニティにトラブル関連で呼ばれたら、その場で正義実現委員会の子か自警団の子と会う。お陰で、結構仲が良いと自負してるし、私からも信頼してる。

 

「とりあえずは、私達は楽しむことだけ考えよっか」

 

“そうだね。お願いは全力で楽しんでってことだったしね”

 

「先生は気になってるの、ある?」

 

“うーん、百鬼夜行の将棋部が出るみたいだから、将棋の出し物かな”

 

「あー、将棋ね。先生、好きだもんねえ」

 

 先生は指揮能力が高い。だからもしかしたら……って、気になって将棋を持ってきて一緒に指してみたんだよね。そしたら案の定強いのなんのって。私もそこそこ強いほうだと思ってたけど、先生には全く歯が立たなかったよ。

 

「……指す?」

 

“暇だし、二戦やろっか”

 

 先生は持ち歩いているコンパクト将棋セットを出して、駒を並べた。久しぶりにこれでやるからやたら小さく感じる。

 

 少し長くなったから結果だけ記しておくと、一戦目は先手私がゴキゲン中飛車、後手先生二枚銀で私のボロ負け。二戦目も先手私で石田流を組んだんだけど、後手先生に棒金で崩されて負けたよ……。

 

 よくわからない人はどっちもボロ負けしたって覚えてて! あ、やっぱ覚えなくていいよ。何回か勝ったこともあるから、私が勝った時だけ覚えてて!!

 

「うん。それにしても、先生は相変わらず将棋が強いねえ」

 

“まあね。でもアマネも強いでしょ? 将棋部の子達に勝てるらしいね”

 

「まあそりゃあそうだけど……先生に勝てなきゃ悔しい!」

 

“そっか。じゃあいつでも挑戦してきてね。待ってるよ”

 

 先生は余裕のある笑みを浮かべる。むきー!

 

「あ、そういえば先生はなんで将棋の出し物が気になってたの?」

 

 別に、将棋の出し物をここでやらなくても、将棋部に行けばいつでも指せるし、私も指せる。よくシャーレに来るユウカちゃんもルールは知ってるし、ヒナちゃんも嗜んでたはず。ティーパーティーのみんなはチェス派だけど、セイアちゃんは将棋も強い。人を統べる子達はやっぱり嗜んでる子が多いんだよね。

 

“えっとね……これなんだけど”

 

 先生が見せてくれたのは案内のチラシ。将棋部のブースでは、早指しトーナメントをやるらしい。将棋部を含めたメンバーでトーナメントの頂点に立ったら……

 

「景品、打刀かあ」

 

“うん。かっこよくない?”

 

「かっこいい!」

 

 これはやるしか無いでしょ!

 

 ちなみに刀関連は百鬼夜行の特産品と言ってもいい。まあみんな銃もってるし、飾り物みたいな扱いだけど。それでも、謎のこだわりを見せる子たちによって圧倒的切れ味を保っている。案外実用性もあるんだよね。この前銃身を切って相手を無力化することもできるみたいだし。

 

 ……ん?

 

「先生、このチラシ……」

 

“どうかした?”

 

 私は裏面の、すべての屋台の予定が書かれたところを指差した。

 

「これって……給食部だよね?……パンちゃんは出てこないよね?」

 

“多分……大丈夫じゃないかな。フウカもいるみたいだし”

 

「じゃあこっちってエンジニア部の出し物じゃない? サイエンスショー! って書いてあるけど大丈夫かな?」

 

“……流石にトリニティで騒ぎは起こさないんじゃないかな”

 

「こっちは? 百夜堂出張店。……この前、美食研の皆が気になってたみたいだけど」

 

“……百夜堂は爆破されるようなものは売らないよ”

 

「百夜堂は、ね」

 

“……”

 

 すごく心配になってきた……。明日、ちゃんと平和に始まり、平和に終われるのかな……?

 

 そんなことを思いながら、今は何もすることができないし、先生と一緒に早めに寝て、朝。

 

 ……うん。やっぱり一日って経つの早いね。

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