未来(あす)への扉   作:飛鳥 螢

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―町外れのスタンド―(8)

 テレビの実況(ライブ)中継を見たレオンとルナが、すぐさま町外れのスタンドに駆け付けた時には、既にバトルは終わっていた。

「く、くそっ……、でかいサンドさえゲットできていれば……」

「ふっ、ボクとバトルしようだなんて、百万年早いんだよ」

 サンダースをボールに戻した青いロングコートを着た少年が、悔しげに呻きながら傷だらけの体を起こそうとするライダーの若者を嘲笑っていた。

「大丈夫ですか?」

 女性キャスターの脇をすり抜け、ルナが起き上がろうとするライダーの若者に手を貸す。

「あ、ああ、大丈夫だ。まさか、あんな卑怯なテを使って来るとはな……」

 あの小僧は相棒達の出す技を利用して、上手くトレーナーの自分にサンダースの攻撃が当たる様に仕向けてバトルしていたのだ。

 その所為でライダーの若者は指示を出すのに迷いが生じ、マッスグマ達に的確な指示が出せないままボコボコにされて負けたのである。

「こんなヤツだったとは……って、なんでこいつが二人もいるんだよ!?」

 体を起こし、頭を振って少女に応えたライダーの若者は、少女の後ろに自分を負かした小僧と同じ姿形をした少年がいるのを見つけ、目を(みは)って頓狂な声を上げる。

 それは、そこで実況中継をしていたテレビ局の女性キャスターとカメラマンも同様だった。

『現場から新人キャスターのミツキがお送りしています。

 なんとっ、衝撃の事実ですっ! バトルが終わったと思ったら、もう一人同じ姿をした怪しい少年が現れましたっ! 

 これから、どうなってしまうのでしょうっ。 更に現場からミツキがお送りしていきたいと思いますっ!』

 と、新たに現れた少年を見て、驚いた女性キャスターが早口で実況を中継する。

 スタンドの中でも、少女を連れたアッシュブロンドの少年の出現に驚きはしたものの、違和感しかなかった最初の少年が、何時もの少年でなかった事にホッとした。

 

 自分と同じ姿をした少年の出現に、バトルを終えた青いロングコートの少年は軽く目を(みは)ったが、すぐにニンマリと笑みを浮かべる。

「ふっふっふっ。どうだい、なかなかよく似ているだろう」

「………」

 自分の偽者と対峙したレオンは、それには答えず相手を冷ややかに見据えた。

 何処の誰か知らないが、本当によく似ている。まるで鏡に映した自分を見ているようだ。

「まさかここに来るとは思わなかったよ」

 偽者の少年は、予定外だと言わんばかりに軽く肩を竦めた。

「まあ、いいか。キミはボクで、ボクはキミだ。今ここでキミを負かせば、ボクがキミになる。さあ、ボクとバトルだっ!」

 意味深な科白(セリフ)を吐き、レオンの偽者は問答無用にポケモンを繰り出す。

 一匹は体長一メートル半程の「ツメの化石」を再生したことで発見された、ポケモンの祖先の一種と言われているポケモンだ。平べったい体の周りに羽根のような物が生え、鋭い爪を持っている岩と虫タイプを兼ね備えたアノプスの進化形であるアーマルドである。

 進化した事で発達した後ろ足によって立ち上がる事が出来るようになり、進化前より広範囲な攻撃が可能となった。

 そして、もう一匹は先程出したサンダースだ。

 それを見て、レオンが自分のポケモンを出そうと腰のベルトに手を回した矢先、いきなりベルトに取り付けられているボールの中から、二つの閃光が(ほとばし)った。

 出てきたのはサンダースと同じ、イーブイの進化形であるエスパータイプのエーフィと悪タイプのブラッキーである。誤ってレオンがボールの開閉ボタンを押したのではなく、勝手に出て来てしまったのだ。

 対峙する彫像のように微動だにしないサンダースに、二匹は呼び掛けるように声を上げる。

 しかしサンダースは何の反応も示さない。

 それを見てブラッキーとエーフィは、レオンに振り返って物悲しそうに鳴いた。

「やっぱりそうなのか……」

 二匹の様子に、レオンが沈痛な面持(おもも)ちになる。

「なんだが知らないけど、掛かって来ないのなら、ボクから行くよ」

 と、相手の返事を待たずに偽レオンは指示を出す。

「アーマルドはエーフィに『連続切り』 サンダースはブラッキーに『ミサイル針』だ」

 どちらもレオンの相棒達が最も苦手とする虫タイプ技だ。しかも、元々この二匹を出すつもりがなかっただけに、レオンの方には向こうに有効な技は一つもない。

「戻れっ、エーフィ、ブラッキー」

 二匹を呼び戻すと共に、レオンは別のボールを投げた。

 ボールから(まばゆ)い光が迸り、新たなポケモンが姿を現わす。

 手足が短く、ずんぐりとした水色の体の水と地面タイプを兼ね備えたヌオーと、真ん丸な青い体の飛行と草タイプを併せ持つワタッコである。

 現れた二匹の体に、アーマルドが鋭いカマを縦横無尽に切りつけ、サンダースが全身の細い毛を逆立てて発射した針が次々と突き刺さる。

 効果抜群でなくとも、これはかなり痛い。

 出た途端の攻撃に、ヌオーはお気に入りのアイテムを口から吐き出して、慌てて長い舌を伸ばして引き戻し、レオンの頭に跳び乗る間もなく攻撃を受けたワタッコも、悲鳴を上げてくるりと中空で一回転してヌオーの頭の上に降り立った。

「ワタッコはサンダースに『眠り粉』 ヌオーはアーマルドに『アイアンテール』だ」

「な、何だってっ!?」

 レオンの指示に偽者の少年は仰天した。

 アーマルドは併せ持つ岩と虫タイプがそれぞれのタイプの弱点を補い、有効技の少ないポケモンだった。

 とはいえ、全く効果抜群の技がないわけではない。その数少ない効果のあるタイプ技の一つが『アイアンテール』などの鋼タイプ技だった。しかも、これはヌオーがレベルアップで覚える技ではなかった。

 そんな技をヌオーが覚えていると思わなった偽レオンは、意表を()かれたのだ。

「躱せっ、アーマルドっ! そしてワタッコに『原子の力』だ。サンダースはヌオーに『電光石火』」

 慌てて指示を飛ばしたが、遅かった。

 さっきの不意を衝かれた攻撃に「先制のツメ」を落としかけたヌオーは、宝物をしまい込んだ口を一文字に引き結び、ギンっと睨み付けたアーマルドにブンっと鋼色に変色したぶっとい尻尾を振り回して怒りの一撃をみまう。

 怒りとバトル山での特訓の成果を遺憾なく発揮した効果抜群の技をモロに喰らい、アーマルドは吹っ飛んだ。

 同時にワタッコがヌオーの頭の上から飛ばした眠りを誘う粉の中に、電光の速さで跳び込んだサンダースは抗する間もなく眠りに落ちる。

「技マシンでそんな技を覚えさせておくとは、意外にやるな」

 動揺を誤魔化すように余裕のある口ぶりでそう言うと、偽レオンはひっくり返って動かなくなったアーマルドをボールに戻しながら、思い出したように付け加えた。

「そうそう、ボクは確かバトルした相手のダークポケモンをスナッチしてるんだっけ。キミもそうなのかい?」

 そうわざとらしく訊いて言葉を継ぐ。

「でも、それには眠らせるだけじゃ、ちょっとスナッチは無理だな。ある程度体力を削って弱らせてからでないと」

「………」

 レオンは応えず、微かに眉を(ひそ)める。

「判ってるって顔だな。じゃあ、これはどうだい? 

 ダークポケモンにされたポケモンは、確かに攻撃力は格段に高くなっているけど、他は普通のポケモンと変わりないって事。つまり、強いからって体力もある訳じゃないんだ」

「何が言いたいのよ、一体っ」

 訳の分からない持って回った言い方に、ルナが苛立って声を上げる。

 その声に、意外そうな表情をしてレオンの偽者は少女を見返した。

「あれ、これだけ親切に詳しく言ったのに、分からないのかい?」

「要するに、ヌオーとワタッコ(こいつら)の攻撃を一撃でも受ければ、サンダースはもたないって事だろう」

 折角バトル山で修行して皆を強化してきたというのに、それが仇になるとは。

「そんな……」

 ルナは顔色を変えレオンを見た。

 弱らせる事ができなければ、スナッチは格段に難しくなる。

「流石はボク、よく分かってるじゃないか」

 レオンの言葉に、偽者は満足そうに笑みを深める。

 感心してみせる自分とそっくりな少年を、レオンはぎゅっと拳を握り締めて()め付けた。

 こいつがこんな話をし出したのは、別に親切心からではない。こちらの攻撃を封じる為だ。

「おっと、もう一匹ださないと。まだバトルは終わってないんだ」

 と、偽レオンは次のポケモンを繰り出した。

 体長一メートル程の全身が炎を思わせるような赤味を帯びたオレンジ色で、頭の上の一房とふさふさとした尻尾、それに襟巻のように首回りを取り巻く毛の部分だけが少し黄色がかった色をしている。

 イーブイに進化を促す「炎の石」を与えて炎タイプに進化させたブースターである。

 それを見た途端、目を見開いたルナは驚きの声を上げた。

「レオン、そのブースターもダークポケモンだわ」

「っ!?」

 馬鹿なっ、シャドーの幹部でも一匹しか持っていなかったのに、二匹もだとっ!?

 しかも、よりにもよってブースターだとは……

 レオンは愕然と、対峙する二匹のイーブイの進化形のダークポケモン達を見た。

「そうさ、ボクであるキミは、スナッチしてダークポケモンをたくさん持ってるんだろ? 

 だったら、ボクがそれを何匹も持っていても不思議じゃない筈だ」

 ニヤリと小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、レオンの偽者はブースターに指示を出した。

「ブースター、ワタッコに『火の粉』だ」

「ワタッコ、躱してブースターに『眠り粉』」

 ハッと我に返ったレオンも、すぐさま指示を出す。

 ヌオーの頭の上でまったりしていたワタッコが、素早い動きでそこから飛び降りながら、両手の綿毛を擦り合わせてブースターに粉を撒き散らす。

 それを浴びたブースターは、火の粉を吐き出した姿勢のまま眠りに落ちる。

 とばっちりでワタッコが躱した火の粉を浴びたヌオーは、ちょっと痛そうに顔を歪めたが、口の中から出したお気に入りのアイテムを見てほんわりとなった。

 レオンは二匹を眠らせると、すかさずヌオーを引っ込め、代わりにムウマを呼び出す。

 それから、ふんわりと中空を漂い、自由気ままに辺りを見て回るムウマに指示を出し、眠っているサンダースとブースターに『あやしい光』を浴びせた。

 

『現場から新人キャスターのミツキがお送りしています。

 なんとっ、後から現れた少年が、ポケモンの祖先の一種と言われているアーマルドの、体を覆う硬い甲羅をものともせずにヌオーの一撃で倒した後、先にいた少年がブースターを出す前に「スナッチ」とか「ダークポケモン」とか何やら言っていましたが、それを聞いて後から現れた少年は、サンダースとブースターに攻撃を仕掛けなくなりましたっ!』

 バトル全体の様子が見渡せる場所に立って、女性キャスターが仕事熱心に実況を伝え続ける。

『「ダークポケモン」の方は人を襲うポケモン——サンダースの事を言っているのでしょうが、「スナッチ」とは何の事でしょう。もしかして以前アジトが壊滅したスナッチ団と何か関わりがあるのでしょうか?

 ——あっ、先にワタッコの『眠り粉』で眠らせていたサンダースが目を覚ましました。ですが、起きる前にムウマによって浴びせられた『あやしい光』によって混乱しています』

 

 混乱するサンダースの傍らで、程なくブースターも目を覚ましたが、やはり混乱していてわけが分らなくなっていた。

 それに構わず、偽レオンは二匹に指示を出す。

「サンダース、ムウマに『電気ショック』 ブースター、ワタッコに『火の粉』だ」

 混乱していても、指示した技が出せないわけじゃない。だが、混乱した二匹は、その指示に相手ではなく自分自身を攻撃してしまう。

 そして二匹の混乱が解けると、すぐさまレオンは『あやしい光』で二匹を混乱に陥れる。

 こうしてレオンは混乱させる事で、二匹に自分で自分の体力を削らせ、スナッチのチャンスを窺った。

 先にダークポケモンにされなくとも攻撃の基本能力が高いブースターが、何度目か自分自身を攻撃してガクリと前足の膝を落とした。

「ワタッコ、ブースターに『眠り粉』だ」

 すかさず指示を出し、ヌオーが居なくなった事でレオンの頭に乗ったワタッコが、(すみ)やかにそれに応える。

 ブースターが眠りに落ちると同時に、レオンは手にしたスナッチボールを投げ付けた。

 ボールから(まばゆ)い光が(ほとばし)り、ブースターの体を絡め取る。

 砂地に落ちたスナッチボールは、ゆらゆらと左右に揺れた。

 その近くでは、混乱でわけが分らなくなったサンダースが、苦しみ紛れにまたも自分自身を攻撃してフラフラになる。

 それを見逃さず、レオンはワタッコに指示を出し、サンダースが眠った処でスナッチボールを投げる。

 サンダースを収めたボールは、先に入ったブースターのボールと共にその場で暫く左右に揺れていたが、やがて仲良くゆっくりと止まった。

「お、おい、マジかよ……」

 間近でそれを見ていたライダーの若者が呆然と呟く。

 スナッチの話は聞いていたが、ずっと眉唾物だと思っていただけに、これは衝撃的だった。

 

『何と言う事でしょうっ! 本来トレーナー持ちのポケモンは決してゲットできない筈なのに、後から現れた少年は、対戦相手の少年のポケモンをゲットしてしまいました。それも二匹もですっ!!

 これは一体どういう事なのでしょうっ!? このバトルが終わり次第、このミツキがあの少年にインタビューしたいと思います』

 女性キャスターは大きく目を見開いて興奮気味に早口でまくし立てる。

 そんな(うるさ)い外野など眼中にないレオンが、二匹をスナッチしたボールを拾うのを見ながら、偽者は悔しげに吐き捨てた。

「くっ、こいつらがこんなに混乱に弱いとはっ」

 空になった二匹のボールを投げ捨て、次に出すポケモンのボールを手に取って投げる。

 現れたのは、電気タイプのライボルトと、水と飛行タイプを併せ持ったギャラドスだ。

 前者はラクライの進化形で体長が一メートル半にまで大きくなり、緑色から青に変わった体の前足首と後ろ足の付け根、そして顔を兜の様に覆う黄色い毛が生えている。

 一方後者は世界で一番弱くて情けないと言われている水タイプのコイキングが進化して、体長が七メートル近くにもなった水色の長い体を中空でくねらせていた。

 進化前と打って変わって非常に凶暴な性格になり、その破壊力は凶悪で、凄まじい形相となった顔で一睨みされると思わず怯んでしまう。

 現にギャラドスの特性である「威嚇」によって、怯んだムウマとワタッコの攻撃力はダウンさせられてしまった。もっとも、攻撃より特殊攻撃に特化している二匹には大したダメージにはならなかったが。

「ギャラドスはワタッコに『氷のキバ』 ライボルトはムウマに『かみつく』だ」

「ワタッコ、ライボルトに『眠り粉』 ムウマはギャラドスに『十万ボルト』だ」

 ライボルトが雷光の如き素早さでワタッコの飛ばす眠りの粉を躱し、ムウマに肉薄する。

 ライボルトが跳び上がって鋭い牙を突き立てる刹那、すいっと急上昇してそれに空を噛ませたムウマは、クルリと体を一回転して頭上に作り出したプラズマの塊を、ワタッコに向かってやって来るギャラドスに投げ付ける。

 が、それはギャラドスには向かわずに、地上のライボルトの頭にそそり立つ体毛の先に吸収されてしまった。

 ライボルトは電気タイプのポケモン特有の「静電気」以外に「避雷針」という、電気タイプの技を自分に引き寄せる特性を持っている。雷の多い地方では避雷針代わりに重宝されているポケモンなのだ。

 苦手な攻撃を喰らわずに済んだギャラドスは、長い体をうねらせてそのままワタッコに突進する。

 決まったと思った相棒の一撃が意外な方法で防がれ、ワタッコは逃げようと慌ててレオンの頭から跳び降り、レオンもそこから跳び退(すさ)るが遅かった。

 中空で青く丸い体をがっちりと(くわ)え込んだギャラドスが、レオンの脇をすり抜けて再び上空に戻る。

 体に氷の粒を纏った牙を突き立てられたワタッコが、声にならない悲鳴を上げた。

「ワタッコっ」

 思わずレオンは手を伸ばしたが、空に浮かぶギャラドスには届かない。

 ギャラドスが首を振り、上空から牙に刺さったワタッコをゴミのように振り落とす。

 咄嗟に走って両手を広げ、レオンは砂地に叩き付けられる前にその体を受け止めた。

 だが、綿毛のあちこちに氷を貼り付かせたワタッコは、既に力尽きていた。

「ご苦労だったな、ワタッコ」

 (ねぎら)いの言葉を掛けてボールに戻すと、レオンは再びヌオーを呼び出した。

「ヌオー『地震』だ。あのライボルトは『どろぼう』できるくらい速い。おまえの宝物を自分の力で守り抜け」

「え? ボクのライボルトはそんな技持ってないけど」

 レオンのいきなりな発言に、偽者は何の事が分からずきょとんとなったが、ヌオーには効果抜群だった。

 ギンっと小さな目でライボルトを睨み付けると、口を一文字に引き結び突如特大の地震をぶちかます。

 飛行タイプと「浮遊」の特性を持つギャラドスとムウマには効果は無いが、電気タイプのライボルトには効果絶大の威力だった。

 

『あわわわっ、す、凄い揺れです。これが本当にポケモンが起こしたものなのでしょうかっ。激しい上に何度もしつこく執念すら感じさせる揺れです』

 転びそうになり、新人の女性キャスターは慌てて近くにあった錆びた柵にしがみついた。

 両足を踏ん張って揺れに堪えるカメラマンが、しっかりと手ブレを押さえてバトルの様子をカメラに収める。なかなかのプロ根性である。

 機関車のスタンドの中でも、常連客と共に窓から見ていた厳つい顔のマスターが、慌ててカウンターの中に戻り、ガタガタ揺れる食器棚を押さえた。

『揺れる地面から突き上げるような攻撃を何度も喰らい、ライボルトは堪え切れずとうとう倒れてしまったァ。

 そこへ、避雷針の相棒を失った上空のギャラドスの体に、今度こそ十万ボルトの電撃が刺し貫くぅ~っ!

 いえっ、躱しましたっ! ギャラドス、間一髪体を捻って十万ボルトの直撃を免れましたっ!

 ですが、完全に避けられずに僅かに電撃を浴びたのか、ギャラドスは体を(よじ)らせて苦悶の表情を浮かべますっ!

 最初にいた少年が指示を出す間もない、今までの鬱憤を晴らすかのような後から来た少年の怒涛の攻撃に、追い詰められる相手方の少年。

 さあ、白熱したバトルになってきたぁっ!!』

 と、目の前に繰り広げられるバトルに興奮したまま、新人女性キャスターのミツキは声高にまくし立てる。バトル観戦好きなのか、口調がニュースのリポートというより、ポケモンバトルの実況中継のノリになってきている。

 カメラマンが慌てて興奮する新人キャスターに、片手で落ち着けとジェスチャーする。

 それを見たミツキは我に返り、すまなそうに先輩カメラマンに視線で謝罪した。

 そんなテレビ局の者達を余所に、町外れのスタンド内の常連客とマスターは食い入る様に、固唾を呑んでアッシュブロンドの少年達のバトルの行方を見守った。

 




 何時もと違い、今回はリポートしてくれるキャスターがいるので実況中継して貰ったら、なんか妙にハイテンションに……
 まあ、少しでも現場(バトル)の雰囲気が伝わればいいか。
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