全員が了承した処で、再び決闘広場はバトルの熱気に包まれた。
レオンは挑まれた順に、ゴロツキ達と次々にバトルをしていった。
相手が出して来たポケモンのタイプを瞬時に見極めて指示を出し、ブラッキーとエーフィの隙の無い見事なコンビネーションで、技を相手の急所に決めていく。
普通のポケモンは情け容赦なく完膚なきまでに叩き潰し、黒いオーラのポケモンは的確に体力を削りスナッチしていった。
そして、バトルが終わると黒いオーラのポケモンはパソコンに転送せず、回復させて決闘広場に出して置く。
一匹、また一匹と数を増やし、まるで優勝トロフィーの様に立ち並ぶそれらを見ると、レオンの鬼畜な戦いぶりに腰が引けながらも、欲の皮が突っ張ったゴロツキ達にバトルを止める者はいなかった。
ポケモンはバトルが終わる度に回復しているが、トレーナーであるアッシュブロンドの小僧は、休む間もなく一人で自分達の相手をしているのだ。いくら強いと言っても、連戦すれば疲れるし、集中力も途切れがちになる。そうなれば、何時か必ずポカをやらかす。自分達はその時を待って、一気に勝負を決めればいいだけの話だ。——と。
そして、その時が自分のバトルの番である事を願いながら、ゴロツキ達は余所者の少年とバトルをし続けた。
一人また一人、連戦での疲れも見せず、一切の手加減無しのバトルを
また一人、レオンの前にゴロツキがガクリと膝を落として
その姿に顔色を無くした深緑のワークキャップを被ったゴロツキが、そろりと周囲の輪から
——あいつが
運が良ければあの凄いポケモンが手に入るかもと思っていたが、皆手も足も出ずにやられていく。期待していた連戦の疲れからくる判断ミスすらない。あんな奴とバトルなど、とてもじゃないがやっていられない。
負けてあり金の殆どを巻き上げられる前に、とっととこの場から逃げるに限る。
バトルに熱中する他の奴等を
そこに置物のように佇むポケモン達がいた。
虚ろな目を向けられ、ワークキャップのゴロツキは思わずゾクリとなった。
確かに凄いポケモンなのだが、生気が全く感じられず、何処となく薄気味悪いのだ。
「静かにしてろよ」
こいつらが騒ぐとは思えないが、つい言ってしまう。
それに反応したのか、不意にヨルノズクがバサリと羽根を広げた。
ビクっとゴロツキが立ち止まる。
ヨルノズクは男の目の前に羽根を広げたまま、また動かなくなった。
「お、おどかすなよ」
ホッと息をつくが、これではこいつが邪魔で通れない。
ヨルノズクの左右も、さっきスナッチされたヌオーとマグマックが道を塞いでいる。
仕方なく反対の出口に向かおうと、ゴロツキは身を返してギクリと足を止めた。
そこに、広場の中央でバトルしている筈の青いロングコートの少年がいた。
何時の間にか、バトルが終わっている。
「もういいぞ、ヨルノズク」
その声にヨルノズクはすっと羽根を降ろし、深緑のワークキャップを被ったゴロツキに虚ろな目を向ける。
その両脇にいるヌオーとマグマックもだ。
生気のない目に見詰められ、ワークキャップの男はゾッとした。
思わず救いを求めるように周りを見たが、そこにいたゴロツキ達は、ただじっと男の出方を窺っているだけだ。
「何処に行く?」
レオンは冷ややかな声で訊いた。
「おまえとのバトルはまだだった筈だ」
「い、いや、オレはその……もう、あのポケモンは要らないかなって」
冷や汗ダラダラにワークキャップのゴロツキが言い繕う。
「だから今日はもう家に戻って——」
と、言い掛けたゴロツキの言葉を、レオンはバッサリと切り捨てた。
「残念だが、一度俺にバトルを申し込んだ以上、途中キャンセルは無しだ」
「そ、そんな……」
「ストリートバトルは、目が合えばそれがバトル開始の合図になる。そうだろ?」
言いながら、絶望的な
「さあ、バトルしようぜ」
ニヤリと
ゲームなどの仕様では手持ちポケモンは六匹以上になると、自動的にゲットしたポケモンはパソコンに転送されますが、ここではゲットしたダークポケモンのモンスターボールは、レオンが自分でパソコンに転送します。
ただし、手元にあってもゲットしたばかりのダークポケモンは弱っているので、すぐにバトルに出す事はありません。
今回はブラッキーとエーフィの二匹ですが、レオンが一回のバトルで使用するポケモンは最初に持っていた六匹だけです。