奴隷商人の成り上がり!   作:Reppu

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公開してないのになんでこんなに読まれてるの?




この世界の創造神は多分ドラゴンを探求したり最後のファンタジーを遊び倒した存在なのだろう。そんなどうでもいい事を考えつつ、俺はメニューウインドウへ手を伸ばし、はいを選択する。その瞬間僅かにクロエと俺が発光し、同時に力が流れ込んでくるのを感じた。

 

「んぅ…!?こ、これは?」

 

「おめでとう、たった今アンタは俺の奴隷に登録された。約束通りあのシュラクトは返すよ」

 

クロエにそう伝えながら、俺は今後のことを考える。駄目元での提案だったが、どうやら対象者の承諾があれば奴隷に出来るらしい。まあ公的な制度として売り買いできるのに比べたら難易度は跳ね上がるが、それでも不可能では無い事が解っただけでも大きな前進だ。

 

「調子はどうだ?何か体に違和感や痛みは?」

 

言いながら俺はクロエの姿を見て変化が無いかを確認する。奴隷の印なんかが目立つ場所にあれば、要らない勘ぐりをされる恐れがあるからだ。少し前屈みになっている彼女の周囲を回って見るがそれらしいものは見当たらない。もしかしたら服の下にはあるかもしれないが、普段隠れる場所なら問題ないだろう。

 

「少し、力が抜けたような」

 

「ああ、それは俺の奴隷になったせいだな。奴隷商人のジョブ特性だ」

 

「っ!能力の徴収か。成る程な」

 

「まあ一人だけだと微妙どころかマイナス面の方が強いけどな」

 

何せ戦闘職から能力を一割引いてそれを非戦闘職に割り振るのだ、数値上では差引ゼロでも実際の戦闘力は確実に落ちる。本来この能力で戦おうと思うなら大量の非戦闘員の奴隷を確保するのが望ましい。そんな事を考えているとクロエが落ち着かない様子でこちらを見ている事に気が付いた。どしたん?

 

「そ、そのだな。私はそう言う事に疎くて、その、出来ればお手柔らかに頼みたいというか…」

 

最後は消え入りそうな声でそんな事を口にするクロエ、ほほーん?

 

「脱力感以外は特に問題なさそうか?」

 

「ああ、大丈夫だ。そっちもまだ違和感があるが、直に慣れると思う」

 

「なら早速やるとしようか」

 

「えぅ!?」

 

俺がそう告げるとクロエは顔を真っ赤にしてそう悲鳴を上げた。思ったより此奴愉快な生き物だな?

 

「取り敢えずソウゲツを使える様にして、その後はギルドでクラン登録。良さげな討伐依頼でもあればいいんだが。…どうした?」

 

「え、いや、その!何でも無い!何でも無い!!」

 

奴隷の仕事と言われて最初にそっちが出てくる辺り、クロエは割とムッツリのようだ。美人侍娘が実はエロイとか最高じゃねえか!

 

「なんだ?これから末永くヨロシクするんだ。気になることや変な隠し事はなしで頼む」

 

「その…ど、奴隷と言うから…てっきり夜伽かと…」

 

へー、ふーん、ほーん?

 

「ご希望ならそっちでも吝かじゃないが?」

 

そう言ってやるとクロエは激しく顔を横に振って拒絶する。はっはっは、面白い奴だ。

 

「なら是非戦闘で役に立ってくれ。取り敢えずシュラクトはどうする?」

 

「修復は難しいのか?」

 

「出来ないわけじゃないらしいが、金が掛かる。あの装甲ブルーメタルだろ?」

 

そんなクロエの質問に俺は素直に答える。すると彼女は少し考える仕草になり口を開いた。

 

「コックピット周辺だけ修復して貰えれば当面は大丈夫だ。装甲も主要部のみに絞ってブルースチールならソウゲツも我慢できると思う」

 

我慢か。アンティーク級のシュラクトには意志が宿ると聞いたことがあるが、どうやら彼女のソウゲツもそうらしい。大当たりじゃねぇか。

 

「決まりだな」

 

そう返すと工房の軒先で椅子に座ってソウゲツを眺めていた親方にクロエの希望を告げてトレーラーに乗り込む、すると慌てて助手席に乗り込んだクロエが若干不安そうに尋ねて来た。

 

「どうしたんだ、もしかして直らないのか?」

 

どうやら壊れたら直ぐ修理出来ると思っているらしい。さては此奴思ったよりもポンコツだな?

 

「状態を確認して見積もりを出して貰うんだよ。直して貰いましたが修理費を払えませんじゃ困るだろ?」

 

「そ、そうか。うん、そうだよな」

 

「ワーカーで食っていこうって言うなら多少は庶民の流儀も覚えとけよ。じゃなきゃ余計なトラブルを招くぞ」

 

まあ既に俺とパーティーを組むというとんでもねえ厄介事を引き当てているわけだが、それは敢えて口にしない。大人は汚いのだ。

 

「…うん」

 

耳を伏せて俯くクロエに小さく溜息を吐きつつ、今後の事を伝えることにする。あまり落ち込まれても面倒だからな。

 

「取り敢えずこの後はギルドに行ってパーティーの登録だ、その後なんだが」

 

「なんだろうか」

 

「住む場所なんかは大丈夫なんだよな?」

 

正直ここまでの問答で、俺は彼女の生活能力については全く信用出来ないと思っている。なので最悪を想定しての発言だったのだが。

 

「と、当面は、大丈夫だ」

 

うわぁ。声に出さずとも表情から察したらしい、彼女は慌てて弁明を口にする。

 

「いや、前金で一月は宿を確保してあるんだ!流石にその間に仕事をすれば問題ないだろう!?」

 

そらそうだけどさぁ。

 

「それ、ちゃんと貯蓄も出来るのか?ソウゲツをちゃんと直すには相当必要だぞ?」

 

「ぐっ…」

 

「まあパーティーを組むんだし多少融通はするけどさ、俺だって生活があるからそう多くは出来ないぜ?」

 

ついでに自分を買い戻すって発想も無いようだ。主人としては有り難い事だが、仲間としてみればヤバすぎる。ちょっとイスルギさーん、お宅の娘さん要介護すぎますよー?

 

「と、討伐依頼は報酬が高いだろう?」

 

まあそりゃそうだが。

 

「あのな、報酬が高いのは危険度も高いんだぞ?事前情報だって怪しい場合があるってのは、あんなことになれば解るだろ?」

 

未確認の魔物に遭遇なんて正に宝くじにでも当たる位の確率だろうが、それ以下なら割とある話だ。なんせ最初に連絡を入れてくるのは専門知識なんて持ってない一般人だし、ワーカーに来るような仕事の多くは国の調査が入っていない場合が殆どだ。初心者が受ける依頼は国から公布された物にしろと言われるのはこの辺りが原因だったりする。

 

「まあその辺りは追々覚えていこう」

 

「が、がんばる」

 

そんな情けない会話をしている内にギルドの駐車場に到着したので、俺達はトレーラーから降りて受け付けへ歩いて行く。幸いにして知っている人間に会うことも無く受け付けに辿り着いた俺達は、俺が贔屓にしているおっさんギルド員に向かって声を掛けた。

 

「すみません、パーティーの申請をしたいのですが」

 

ワーカーがパーティ-を組むのは実に一般的な行動だ。ソロで活動するよりも受けられる依頼が増えるし、圧倒的に生存率が高まるからだ。なのでソロの奴はよっぽど実力を認められている奴か、俺みたいな訳ありだけである。そして俺がそんな奴だと知っているおっさんは一瞬目を見開いた後、俺の後ろに立っている人物を見て更に動揺しながらも書類を差し出してきた。まあそうなるよね。

 

「有り難うございます」

 

笑顔で書類を受け取り早速記入し始める。まあそうは言っても既に俺達はギルドに登録済みだからそれ程書くべき項目は無い。それぞれの名前とパーティー名を記入して職員の前でサインをすれば終わりだ。ただ細かな規約があるのでそちらにはちゃんと目を通しておく。特に報酬関係はしっかり読んでおかないと大ハズレな依頼を知らずに受けてしまうことがあるから注意する。

 

「…大丈夫そうかな?」

 

「ああ、私も問題ない」

 

「ちょっと、何をしているのかしら?」

 

額を突き合せてそう確認し、いざ書類を提出しようとした正にその瞬間、後ろから不機嫌な声が響いた。思わず振り返るとそこには声音通りの表情でこちらを睨んでいるエルザ女史が居た。しかも腕を組んで仁王立ちである。え、なんぞ?隣でクロエも同じ様に困惑した顔だ。うむ、どうやら彼女の知人と言うわけでもないらしい。まあ同じギルドに登録していると言う意味では同僚であると言えなくも無いが、その方向でも関係はすれ違ったら会釈をする程度である。つまり顔は知ってる他人だな。

 

「聞こえなかった?何をしているのかと聞いているのだけど」

 

そう言いながら彼女はこちらに近付いてくると、俺の手に握られた書類を見て益々顔を顰める。そして美人が絶対出してはいけないような低い声音で俺に向かってこう言った。

 

「気のせいかしら、今貴方達がパーティー申請をしている様に見えるわね?」

 

俺、何かやっちゃいました?




書き溜められたら公開にシマス。
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