白魔女様のお世話係   作:モコモコモッコ

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 今更ですが、これから判明するであろう公式の設定と大きく異なることもあると思います。現時点でも違う部分も多いと思います。後から全然違うじゃん!みたいなことになるかもしれません。それでもこのお話に登場するディアベルゼは、お世話係くんと出会ったことで変われた、ということにしてください。

それでは、今回もよろしくお願いします。


白魔女様と罪宝、それとお世話係

 白魔女様ことディアベルゼのお世話係をしている俺だが、実はそれほど大袈裟なことをしているわけでは無い。主に拠点にしている場所、大抵はどこかの宿だったり一時的に借りている家だったりの掃除をはじめとして、食事の用意、生活品の補充くらいなのだ。それ以外にも暇を持て余した白魔女様の相手をしたり、ペットのモコモッコのお世話をしたり…などで何も知識が無かったとしてもすぐに出来るようになる程度のことをしている。これは拾われた当時からの契約のようなもので、今も続いている。まぁ…その縛りが無くても結局はこうなっていたと俺は思う。

 

 正直に言うと、ベルゼの役に立てるのが嬉しいのだ。既に数年は一緒に行動しているが厄介ごとに巻き込まれるのは一度や二度ではない。当然旅の途中では何度も襲われた。その間、俺という足手纏いをディアベルゼは当然のように守ってくれた。きっと何か打算や目的があったのだとは思う。この世界は綺麗ごとだけで生きていけるような場所ではない。それでも、旅を通じてディアベルゼのことを知り、傍に居たいと思うようになった。だから俺は、ベルゼの為に色んなことを覚えたし、頑張れた。彼女…ディアベルゼと今の関係に至るまでのことはまた今度にしよう。

 

 白魔女様のお世話をしていく中で、最近ベルゼがよくお願いしてくるのが爪の手入れだ。ベルゼの片腕は罪宝と一体化している。それゆえに1人で手入れをするのが大変らしい。もちろん1人でも出来るのだが…面倒なものは面倒、とのことだった。元々美容に興味があった訳ではないので一からベルゼに教えてもらい、今では完璧にこなせている…はず…

 

 まずは爪の形を整える。往復はせずに一定方向にやすりをかけて、その後ぬるま湯につける。ベルゼはお手入れしている途中、大体今日はこんなことがあって疲れたとか、次の依頼はどうだとか、愚痴を話すことが多い。だけれど時々急に無言になってこちらをジッと見つめてくるときがある。どうかしたのか、と聞いても何も言わずにただ微笑むだけで何も喋らない。機嫌がいいだけなのか、はたまた別の思惑があるのか、何かミスをしているとかじゃなければよいのだが…

 

 

「…シン?どうしたのボケーっとして?」

「しゃんとしなさいな、今は私の相手をしている最中なんだから」

 

 

「あ…ごめん、少し考え事をしてた」

「続き、やるね、痛かったりしたら教えて」

 

 

 まさに今、その爪の手入れをしている最中なのだ。ぬるま湯につかっているベルゼの手をとり、甘皮を処理していく。綿棒のようなものを使い、螺旋を描くようにやさしく押し上げる。やりすぎると怪我の原因にもなるらしい、こちらに来る前の曖昧な知識だと専用の道具だったりも使うらしいが、こっちにはそういう道具は無いようだ。その後は表面を整え、オイルで保湿して終了だ。罪宝と同化している方も何とか頑張って終わらせた。

 

 

「ふふ、貴方も中々上達してきたわね」

 

 

ベルゼは満足そうに手入れした爪を眺める。どうやら今回もうまく出来たようだ。

 

 

「さ、次は手のマッサージお願いね」

 

 

「はいはい、かしこまりましたよっと…」

「でも…気に入ったのか?最近よく頼んでくるからさ」

 

 

「それはもちろん、自分でしなくていいなら毎日欠かさずやった方がいいに決まってるじゃない」

 

 

 何当たり前のことを言ってるの?と言わんばかりに教えてくれる。継続は力なりというか…そりゃ手入れはこまめにやった方がいいのだろうけど、でも理由はそれだけじゃない気もしている。ベルゼは教えてくれないだろうけどね。考え事は置いておいて、さっさと続きをしよう。マッサージを所望しているディアベルゼの手をとり、ゆっくりとほぐしていく。じっくりと労わるように、丁寧に。

 

 

「んっ…そう…いいわね…」

 

 

 ベルゼの手に触ると分かるのだが、柔らかくてスベスベ…じゃなかった。ベルゼの手は傷一つ無い手という訳ではないことが分かる。俺の知らないところで、見えないところで努力を重ねているのかな…。完璧な姿を常に見せ、泥臭い姿は見せたくないというベルゼらしいプライドだろう。俺はその姿勢を美しいと思うし、尊敬もしている。そんな彼女が俺にだけ違う姿を見せているというのは俺にある種の優越感を抱かせてくれる。

 

 罪宝と同化してしている右手もきっと、同化する前は左手と同じように努力の跡が見れただろうな…少しだけ残念だ。しかし、この世界の住民を惹きつけ、あるいは恐れを抱かせる罪宝とは何だろう。不思議な力を持っているナニカというのは分かるのだが、形は罪宝によって違うし…実に多種多様だ。危険な故に封印されているようなやつもあるらしい。もし俺も見つけることができたら…いや、やめておこう。身の丈に合わない力というのはいつか必ず自分を破滅させると相場が決まっている。力を求めた結果、ベルゼのお世話ができなくなってしまうかもしれない。

 

 

「…ベルゼのお世話ができなくなるのは…いやだなぁ…」

「……はぁ?」

「さっきから何か考え事をしてると思ったら…シン、貴方何変なこと言ってるの?」

 

 

 色んなことを考えながらベルゼの手をしばらくムニムニしていると、思わず声が出てしまっていたようだ。

 

 

「いや…俺もベルゼみたいに戦えたらもっと役に立てるかなって」

 

 

「・・・」

 

 

 俺の言葉を聞くと一瞬だけ、ほんの一瞬だけ間をおいて、しかしすぐにいつも通りの不敵な笑みを浮かべて言葉を重ねる。

 

 

「貴方が私と同じレベルになろうなんて、随分な高望みをしているようね?」

「でも残念…貴方にそういう才能は全くないわ、潔く諦めるた方が身のためよ」

 

 

「そうだよな、これ以上欲深くなると痛い目に合いそうだ」

 

 

「そう、それに貴方は私の世話という大役を担っているのだからそれで充分よ」

「それとも…何か不満が?」

 

 

 ほんのりとベルゼが笑顔のまま威圧してくる。だからそれ怖いんだって…

 

 

「ございませんよ、お嬢様」

 

 

「そうよね?」

「まぁ…貴方の努力を否定してる訳じゃないわよ?」

「貴方なりにできることをしてるのはまぁ…褒めてあげる」

 

 

 言葉に棘はあるが彼女なりに励ましてくれているのだろう。

 

 

「しなくてもいい心配で頭を悩ませる必要なんてないわ、貴方はできることをして私のお世話をしていればいいの」

「それより…手が止まってるわよ、さっさとマッサージを再開しなさいな」

 

 

 言いたいことを言って満足したのか、続きを催促し始めた。結局その日は、彼女が満足するまで1時間ほど手をムニムニしていた。

 

 




次回は黒魔女様がでるはずです。
ゆっくりとお待ちください。

ちなみに、オリ主くんの細かい話はあまり出すつもりはありません。もし必要になったら出すと思います。
ディアベルゼ視点のお話書くかは今のところ悩んでます。

評価、感想お待ちしています。
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