一昨日辺りから色々と伸び方がヤバくて遂に日間2位にまでなってしまいました。皆様本当にありがとうございます。現在作者すっげービビり散らかしてます()
なのですが、1話の前書きで注意した通り、私アマデスはアマデスとしてのスタイルでしか物語を書く事が出来ません。故にコモド様の様な軽快なノリと全力でエロコメに振った思いっきりの良い作風には絶対に仕上げられないんです。
評価してくださるのは本当の本当に嬉しいのですが、あまりコモド様の作品の影を追い過ぎるとその内がっかりするというか、思った展開じゃない事に落胆されてしまうかと思いますので、今の内に改めて注意させて貰いました。
長々と逃げ道作り書き連ねてすいません()。今後とも当作品をよろしくお願い致します。感想、評価、何時までも待ってるぜ!
「
4限目が終了し、待望の昼休みの時間となった。初日からIS関連の授業の連発を受けて中々にグロッキーになっていた一夏だが、漸く
「もー頭使い過ぎてほんと疲れたぜ……確り昼食わねーと午後持たねーなこりゃ」
「あはは、じゃ、急がないとね。此処の食堂のご飯、凄く美味しいって評判だから早く行かないとたぶん席取られちゃうよ」
「え、そうなのか?」
「うん、パンフレットに自慢の食堂って書いてあったから。色んな国から生徒が集まって来る環境でそう豪語するって事は、期待してもいいんじゃない?」
「おー成る程なー。それ聞いたら
そう言って気持ち早歩きで廊下に向かって行く一夏の背を追おうと僕も席を立った。
「あっ! あの、
すると、そう声を掛けて来たのは谷本さんで。
───答えは無論、イエスである。
「勿論。一緒に行きましょう」
「! ぁ、ありがとう! ───やったっ」
「あ、なら私も一緒に行く行くー!」
「癒子だけ抜け駆けとか許さないかんねー」
「そーだそーだ私等も連れてけー!」
「って事で~朔晦く~ん、私達もお昼一緒していいかなー?」
そしてそんな谷本さんの動きを
うん、この娘の事はうっすらと覚えてる。ヒロインではなかった筈だが、矢鱈とネット内で人気が有って独自の
んでもって勿論返事はOK。折角の登校初日の昼食だ、出来るだけ大勢で楽しく交遊を深めたい。そんな僕の返答に四人娘は笑顔で喜んでくれた。特に布仏さんはやったーと言いながら腕を振り回して余っている服の袖をパタパタさせているのが可愛かった。
このあざとさっ……やはり出来るっ!
「───なあ箒。箒も飯一緒に行こうぜ」
そしてそんな僕の対応と女子達の反応を見て何を思ったか、一夏が廊下から戻って来て
「……私はいい」
が、箒さんの反応は
「えーいいじゃん。久し振りに一緒に飯食いたいし。涼、皆もいいだろ?」
「うん、勿論」
「私等もかまわんよー」
「うんうん」
「一緒に行こうよ篠ノ之さん」
一夏の呼び掛けに僕が答えると他の皆も直ぐ様同調してくれた。あったけえなぁ…ほんまええ娘等やで…。
「………いや、いい。私は一人で食べる」
───だが、それでも箒さんは頷いてくれなかった。
ふむ…? 随分
でもまあ、うん。
「そんな事言わずにさ、ほら」
「だから私はっ──」
「篠ノ之さん」
「ひゃわっ!?」
尚も渋る様子を見せる箒さんに近付いて、僕はすっと箒さんの手を取った。
前の世界だったら、こんな風に男がいきなり女性に触れる等無論
「折角ですから、行きましょう一緒に」
「ひ、ぁ──~~~やめっ、離せっ!!」
「ぇ、わ」
えちょ、力強───。
ガダンッッ!
───不味いと思った瞬間には時既に遅く。
異性からの急な接触に驚いたのだろう、箒さんが思わずと云った感じで僕の手を振り払おうと腕を振り回し、その急な力強さと勢いに引っ張られてバランスを崩した僕は、思いっきり机にぶつかりながら床に倒れ込んだ。
──不味い。不味いぞーこれは。
「ちょ──朔晦君大丈夫!!?」
「怪我してない!?」
「篠ノ之さん! やり過ぎだよ!」
アカンアカンアカン。当事者の僕からしたら今のは完全に事故、と云うか
だが傍目にはそうには見えなかったのだろう。しつこく絡んだ一夏に助勢した僕を箒さんが乱暴に投げ飛ばした。なまじ結構大きな音を立ててしまったのも相まって、そういう風に見えてしまった筈だ。
やってしまったぞーこれは。今の音のせいで教室内のほぼ全員が此方に視線を向けているのもヤバイ。このままでは僕のせいで、箒さんは入学早々村八分だ。
「あ…や…ちが……」
「おい箒っ、何やってんだよっ」
遂には一夏まで箒さんに厳しい目を向けて叱責する。
───想い人である幼馴染みにそんな目を向けられた箒さんの表情を見た瞬間、僕は反射的に立ち上がっていた。
「あ、涼。大丈夫──」
「ごめんなさい篠ノ之さん。初対面の方の手にいきなり触れて、あまつさえ引っ張ろうとするなんて失礼にも程がありました。おまけに足を滑らせて勝手に転ぶなんて、ほんとどうしようもないですね僕」
そう言って苦笑しながら僕は制服を手で払った。本当に軽い感じで。何事も問題は無かったと、態度で示す。
「いや、涼、お前──」
「僕が、勝手に、転んじゃったんです。そうですよね、見てましたよね皆さん」
此処まであからさまに含みを持たせれば、ちゃんと伝わるだろう。僕の意図を
「あははっ、意外とドジっ子なんだね朔晦君は」
「もう高校生なんだから、落ち着いて行動しなきゃ駄目だよ?」
「ほんとだよ……怪我、ほんとに大丈夫なんだよね?」
「はい、全然平気ですよ谷本さん」
「ほんと? ほんとにほんと?」
「ほんとのほんとです」
「あっははー、ゆこりんってば心配性ー」
「ゆこりん!?」
「はは……ほら、箒。涼はこう言ってるけど、一応、謝っておいた方が良いんじゃないか」
「あ…う…」
一夏にそう促された箒さんは実にバツの悪そうな表情で俯いていたが、やがて覚悟を決めた顔付きで此方を向いてくれた。
「さ、朔晦……その、急に腕を振って、悪かった。申し訳無い……許して、くれるか?」
「はい、許します。僕も改めて、急に引っ張って行こうとしてごめんなさい。許していただけますか」
「あ、ああ……いや、そもそも、やっぱり今のは私が──」
「ありがとうございます! それじゃあ、仲直りの印に一緒にお昼食べましょうか!」
そう言って僕は再び箒さんの手を取った。今度は両手で、引っ張るのではなく飽くまで軽く包み込む様に触れる。それに対し箒さんも再度ぎょっとした反応を見せたが、今度は手を振り払う様な事は無かった。
「な、ぁ──ちょ、おい! 結局触ってるじゃないか!」
「だって、離したら逃げちゃいますよね?」
「そ、そんな、事、は……」
「一夏」
「あいよ」
僕の呼び掛けの意味を十全に理解してくれた一夏が箒さんのもう片方の手を取った。それに箒さんは
こうして一夏と僕に両サイドから拘束されると云う、まさかの両手に花スタイルで箒さんは食堂まで連行される運びとなった。
谷本さん達はそんな箒さんを羨ましがる様な、それでいて同情している様な、でもやっぱり何処か優しさを滲ませるという複雑な表情を浮かべて僕等の後ろをついてきてくれた。
───僕は食事は大勢で食べる方が好き派だが、一人で落ち着いて、マイペースに料理を楽しみたい、無論そういう派閥の人だって居るだろう。食事は自由で救われてなきゃいけないって誰かさんも言ってたし。
だから一人で昼を食べたいと言う箒さんを無理矢理連れて行こうとするのは、本来ならいけない行為なのかもしれない。
でも僕はこうすべきだと思った。
箒さんが浮かべていた表情は、本気で此方を邪険にする類いのものじゃない。本当は友人と、好きな人と、誰かと一緒に食事をしたいけど、そういう気持ちを上手く表に出せない、別段珍しくもない
だからきっとこれでいい。時には強引なコミュニケーションが最適解な事もある。
お節介上等。
尚、学園で二人しか居ない男子を両サイドに侍らせて廊下を練り歩く方がよっぽどヘイトを買うんじゃね? って事に食堂へ着く直前で気付きました。
……うん、ごめんね箒さん。まあ一時両手に花を味わえた分で幸福の差し引きはゼロって事にしといて。
∵∵∵
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
その後、周りから滅茶苦茶注目されながらも、食堂で皆で昼食に舌鼓を打ち、また午後から授業に励み、休み時間中にクラスの皆と雑談に興じ、トイレからの帰り、廊下でばったり会った四十院さんと今度の休日に将棋で対局する約束をしたりと。
色々あったIS学園での初日も、HRを終えた事で漸く放課後まで辿り着いたのだった。
とは言え、僕と一夏はまだ気を抜く事は出来ないが。
「んーーーーょうやく終わったかー。初日からこれじゃ先が思いやられるな」
「まあ、大丈夫でしょ。人間、良くも悪くも適応する生き物だから。暫くすればこの生活も慣れてくるよ」
「そりゃそーだろーけどさー。その慣れる迄の暫くが憂鬱な訳じゃん? 少なくとも俺はそう」
「そこは諦めて我慢するしかないね。喉元過ぎればって
「ほえー、やっぱり大人だなー涼は……ま、そうだな。何時までも愚痴っててもしょうがないし。───よしっ、寮に行こうぜ涼。二人で一部屋って話だし、どうせ俺達同室だろ?」
「ねえ一夏、今のって駄洒落?」
「…いや、俺も口に出してから気付いたわ」
「なんだ、今の自然な感じ上手いなって思ったのに」
「別に俺、駄洒落好きって訳じゃねーから!」
「なはは。まあどうでもいいけどさ一夏、僕と一夏はまだ寮には行けないよ」
「え、何でだよ? もう荷物は寮に送ってある筈だぞ」
「いや、僕達これから補習受けなきゃじゃん」
「───あ゛っ」
僕の指摘を受けた一夏はひっっくい唸り声を絞り出すとその場に膝から崩れ落ちた。
大袈裟だなー。って云うかそんないいリアクション取る割には洒落が好きじゃないんだ。原作では結構親父ギャグ口にしてた様な気がするけど。
「いや、織斑、朔晦。今日は寮に直帰して構わんぞ。流石に1日目から補習というのは気が滅入るだろう。確り体調と心構えを整えてから受けなさい。付け加えるなら私達の準備もまだ終わっていないしな」
だが
───ふむ、しかし、そうか。となると今がチャンスだな。
「よっっし涼!! そうと決まれば早速寮に向かおうぜ!」
復活した一夏が元気溌剌と云った調子で僕を促して来たが、僕はそれに否を返した。
「いや、ごめん一夏。僕これから行かなきゃいけない所があるから。先に寮の部屋に行ってて」
「え? 何か用事でもあるのか?」
「うん。放課後に補習を受ける事になったから暫くは行けないかなって思ったけど、今日がフリーになったなら今日中に行っちゃおうかなと思って」
「ふーん? よく分かんないけど、何処に行くんだ?」
「1年4組」
∵∵∵
という事で現在僕は一夏と別れ、廊下を歩いて1年4組の教室に向かっている。相も変わらず凄まじい質量の視線を感じるが、幸い話し掛けて来る人は居なかった。やっぱり性質が男子高校生のそれだからちょっとシャイなんだろうか。
さて、僕の行き先を聞いて、僕の用事と云うか目的を察した読者の方は多いと思う。
そう、ズバリ、専用機の件で
『代表候補生なんかの機体より男の子の専用機が優先に決まってんでしょっ!!!』
───そんな、とても日本有数のIS開発企業のトップの発言とは思えない鶴の一声によって、僕の専用機は急ピッチで開発され、簪さんの専用機は後回しにされてしまったのだった。
事の始まりは某週刊誌の取材を受けていた時の事。ISスーツを着用してのグラビア……今思うと何で僕は
兎にも角にもだ。グラビア撮影を終えて、じゃあ次は実際にISを着用している所を撮ろうとなった時、偶々同じスタジオで別口の取材を受けていた倉持技研の所長さんが僕に気付き乱入。「どうせなら量産機より専用機の方が映えるでしょ」「そんなんどう用立てんねん」「ウチで造ってやんよ」「は? アンタんとこ今候補生の専用機製作中じゃないッスかヤダー」───という感じの会話の応酬の末に飛び出したのが上記の発言なのだ。
いやーほんと、あんときゃ倉持所長さんの正気を疑ったね。つーか絶対正気じゃねーよあんなもん。やっぱ篠ノ之博士を初め、科学者ってのは皆大なり小なり変態なんやなって。
つー訳で急遽始まった倉持のエンジニアの方々総出による地獄の七徹作業の末に完成した専用機を身に付けて撮影に臨んだ僕でした。
そう、実は僕、既に専用機持ちなのです。因みに待機形態は首輪である。何でや。
いや、そりゃ確かに
もひとつ付け加えると、人類最強の身内というボディガードが居る為、護身という意味ではそこまで切羽詰まらせて開発急がなくても良いだろうと、
と云う訳で、その辺諸々全部引っ
ぶっちゃけこれ僕が悪いって話でもないし、僕が謝って何かが変わるって訳でもないが、それでも原因の一端であるのは確かなのだ。
『何か悪い事が起きた時は、特定の誰かが100%悪い訳じゃない。それに関わった全ての人、一人一人に少しずつ責任があるんだ。だから自分は関係無いと言い訳して逃げる様な人間には成るんじゃないぞ』
───前世の父の言葉である。この教えを胸に僕は簪さんへ謝罪に行く。原作イベントの前倒しだとか、そもそもこれ一夏がその内
なんて、ちょっと恥ずかしいモノローグ垂れ流している間に4組の教室の前へ着いた。少し深呼吸してからノックして扉を開ける。既に放課後だが、全体の半分くらいの人数がまだクラス内には残っていた。その人等全員の視線が此方に突き刺さるが、ビビらぬ様に気合いを入れて用件を告げた。
「失礼致します。1年1組の朔晦涼と申します。更識簪さんに用件があって参りました。此方のクラスにいらっしゃいますか?」
「えっ、朔晦君!?」
「朔晦涼君だ…!」
「更識さん?」
「何で更識さんに…」
がやがやっと、少し騒がしくなるのも束の間、教室内に居た女子達はやがて示し合わせたかの様に一人の少女へ視線を向ける。
ああ、居た。窓際の前から2列目、何処か憂鬱そうに頬杖を突いて外を見ていた、水色の髪とそれに乗っかった二つのデバイス、そしてハイテクな眼鏡が特徴的な少女。間違いない、更識簪さんだ。
突然自らを名指しした来訪者に簪さんは一瞬眼鏡の奥の瞳を丸くし──そして隠し切れていない不快感で眉間に皺を寄せた。
ありゃりゃ、思った以上に嫌われてしまっているぞこれ。
暫く待っても誰からも何のレスポンスも無い為、仕方無く勝手に入室する。擦れ違った生徒さん達に会釈をしながら机の合間を通り簪さんの前に辿り着いた。
「初めまして、更識簪さん。朔晦涼です」
「………何の、用」
これまた少し間を空けて簪さんが簡潔に用件を尋ねて来た。その声色には嫌悪感だけでなく、少しばかりの怯えも混ざっている様に感じられて。
僕は努めて柔らかい発声で用件を告げた。
「更識さんの専用機の件で──」
ガタンッ
──専用機と云うワードを発した瞬間、簪さんは勢いよく席から立ち上がっていた。
机に両手を突き、俯く姿からは噴火寸前の火山の如く煮え
「………此処では、それ…話したくないから。場所、変えよう」
「分かりました」
何かが溢れ出さない様に懸命に堪えながら紡がれた提案を、僕は一も二も無く了承した。
∵∵∵
少し移動して誰も居ない空き教室。そこにて僕と簪さんは向かい合っていた。
物音一つ無い、人の気配もまるでしない静かな空間。そんな凪いだ場所で発せられる人の悪感情と云うのは独特の緊張感を周りに強いる。僕は喉が引き攣らない様に集中した。
「それで、専用機が、何?」
気持ち先程より強くなった語調で簪さんがそう問い掛ける。周りの目が無くなった事で僕への
好都合だ。腹を割って話すならこれくらいが調度良い。
「専用機の件について、謝罪に来たんです。更識さん、倉持技研にて開発中だった貴女の専用機が、急遽始まった僕と一夏の専用機製作のせいで開発中止になったと聞きました。IS操縦者に取って貴重極まる、専用機を用いた訓練時間、それを奪ってしまった事。何より、
此処まで言い切って、深く頭を下げた。
すると、今の今まで随分と刺々しかった簪さんの雰囲気が幾分和らいだ様な気がした。でも飽くまで幾分だけ、たぶんまだ悪感情の方が強い。
「……………別に、いいよ。貴方が悪い訳じゃないし。倉持の所長さんが変人だって事もよく知ってるし」
少し長い間を空けて簪さんはそう言ってくれた。
でも、言ってくれただけだ。
理屈は解っているが心はまるで納得していないのが見え見えで。
「用件がそれだけなら、私もう行くから」
「──いえ、待って下さい」
だから、それだけ言ってそそくさと教室から出て行こうとする簪さんを、僕は咄嗟に呼び止めてしまった。
「……何?」
「……償いを、させてくれませんか」
少し考えて出した僕の言葉に簪さんは怪訝そうに眉を
「…貴方に
「理解は出来ても、感情的に納得は出来ていないのでしょう?」
「…っ」
案の定だ。僕の指摘に簪さんは思いっきり顔を強張らせた。尚も言葉を重ね続ける。
「まだ今日一日授業を受けただけですが、それでも解りました。ISという分野全般の難解さを。そして、そのISに関わる部門の一つで確かな地位を獲た──代表候補生にまで登り詰めた貴女の努力を想うと、本当に尊敬の念が絶えません」
「…っ、やめて」
「そんな貴女を、ただ男だからってだけで、ポッと出の僕が妨害するなんて、誰がどう見ても理不尽に思う筈です。当人なら尚の事」
「もう、いいから…っ!」
「だから、貴女の心をそのままにはしておけないんです。その場
言葉はそこで遮られた。他ならぬ簪さんによって。
両肩を掴まれて、思いっきり壁に押し付けられた。僕より細身で身長が低いのに、随分力が強い。男女間での体格差はそのままなのに
「うざったいのよさっきから!!!」
なんて、何処か呑気な思考をしていた僕を現実に引き戻したのは、やっぱり簪さんだった。
「償いがしたい? 折り合いを付けて欲しい? 此方の心情も分かってない癖に何を一方的にベラベラと!!」
ギリッと、僕の肩を掴む指に更に力が入った。
「また歩き出して欲しいって何? 歩くどころか、走って来たよこれ迄ずっと! 優秀な姉と常に比較され続けて、何時も何時も後ろ指差されて陰口叩かれてそれでも休まずに頑張り続けて遂に掴めそうだった私の…私だけの……! なのに何でこうなる訳!? 何で、何で私ばっかり!! ……なんで」
血を吐く様な、思いの丈の放出。やがてそこに僅かな
「あんた、あんたなんか……あんたみたいな顔が良いだけの男にっ……そんなのにまで、馬鹿にされて……なのに、まだ頑張らなきゃいけないの? ───貴方に、他人の貴方にそこまで、指図されたくない」
今にも崩れて壊れ落ちてしまいそうなぐちゃぐちゃの顔で、簪さんは途切れ途切れにそう言葉を紡いだ。
壁に押し付けられているのは僕なのに、追い詰められている方は簪さんという矛盾。
ある意味、望んだ展開ではあった。人間、我慢は大事だが発散も又大事だ。何事もバランスである。そして今の簪さんは酷くそれが崩れている、我慢を強いられていると思った。だからまぁ、
ええねん、どーせ人生2周目だし。憎まれ役くらいは安いもんよ。
「じゃあ、このまま泣き寝入りでいいんですか?」
という訳でもーちょい煽ってやる事にする。もっと、もっと吐き出せ。まだまだ叫び足りない筈だろう若人よ。
「折角掴みかけたのに、あと一歩を踏み出さずにその場で腐ったまま終わるなんてダサいにも程があります」
「
「他人だから、言うんです。客観的な正論を。勝手に一人で追い詰められた気になってる人に、何でこういう考え方をしないんだって」
「正論程ムカつく言葉も無いでしょ…っ!」
簪さんの目付きが鋭くなっていく。また怒気の割合が多くなって来ているのだ。
取り敢えず力技で話を強制終了される前に言いたい事を言ってしまう。
「どんなに辛くても、積み重ねて来たものを人はそう簡単に捨てられないし、捨てちゃいけません。だってそれは自分の人生そのものですから。積み重ねた時間、生きて来た証なんですから」
「っ」
「一旦立ち止まって、その場に
そこまで言い切り、取り敢えず一旦、口を閉じた。
疲れたら兎に角休め、元気になってからまた頑張れ。これも前世の父の教えである。
ありゃ、ミスったかこれ? もーちょい当たり散らしてもらうつもりだったのだが……焦って説教したのが駄目だったかもしれない。
中途半端に溜め込んだままだとまた直ぐ心は悪い方へ転がっていってしまうものだ。これでは少しばかり足りない、さてどうする──。
「ねえ。貴方、償いをするって言ったよね」
──と悩んでいたら簪さんが俯いたまま話し掛けて来た。直ぐ様返事をする。
「はい。貴女の心を軽くする、その一助になればと」
「…私を尊敬していて、尊敬してるから、また頑張って欲しいんだよね…?」
───簪さんの声が少し震えている? 何かをやらかそうとしている人間の前兆だぞこの感じ。何だろう、ちょっと不味い予感がする。
「はい。専用機を与えられる程の高みへ至った貴女に、僕は確かな敬意を持っています」
「……そう、だったら───!」
うおっ、と。
突然簪さんに
「……そのまま跪いて、私の足…舐めてみてよ」
えーー………………そういう展開?
ムハハハハッ! 油断したなぁ! アマデスとはこういう物書きだ!!