【Buriedbones Continue】未来の屍体   作:猫乃湯和

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閃き

【臨時休業のお知らせ】

設備故障につき、カフェ・メデューサはしばらく休業させていただきます。

修繕について情報が入り次第、順次お知らせします。

店主

 

***

 

 15時。ウィンタース家の裏庭、安いガーデンテーブルにて。

「お姉さんっ、聞いてっ!」

とクオレの愚痴が始まり、昨晩の襲撃について激しく語り始めた。本来なら適当に聞き流すのだが、経緯があの芝見屋敷から始まったため真面目に聞くしかなかった。やっぱり芝見屋敷に何かがあるのだ。

「警察には通報した?」

「うん」

「じゃあ、大丈夫ね。後は警察が動くわ」

「今すぐにでも取っ捕まえてほしいな。何なら俺が捕まえるのに」

「それには及ばないわ」

と言いかけた。クオレの言葉と収集してあった情報が脳内で集まり、閃いた。

 

 ダン・レイクの失踪理由は芝見屋敷にある!

 

 「クオレ、ちょっと付き合って」

「どこか行くの?」

「道の駅かえでだに。アスディーグ、運転させたげる」

「おおっ」

クオレは指を鳴らして小躍りした。

 

 その高級スポーツカーは案の定、道の駅の駐車場で人々の視線を奪っていった。写真を撮ろうとする若者もいたが、

「後で撮って」

とビビアンは『倉庫』にエンジンがまだ熱い愛車を放り込む。

 車内で事情を聞いたクオレはその間に最新のエクスポーザーを立ち上げる。夕方になれば公開されるバージョンだ。

「日付は『4月26日21時半~22時半』、タイプは設定せずに調べて」

「解った」

ビビアンが指示をし、クオレはカメラ越しに周囲を見渡す。

 ビビアンは展望台へと進み、風景を見下ろす。遠くはうっすらと霞み、港までは見えない。しかし芝見屋敷は十分に見える。

「クオレ、この辺りを」

言い終わらないうちにクオレが声を上げた。

「お姉さん、ここ。履歴があるよ」

とビビアンが立っている場所を示した。クオレのカメラ画像には、

 

『4月26日21時38分』

『瞬間移動:次元跳躍式』

『4月26日21時39分』

『その他:邪眼 ウジャト式』

『瞬間移動:次元跳躍式』

 

と表示されている。

「あいつの呪文と同じか照合する」

胡座をかいたクオレは過去の記録データ一覧を呼び出し、呪文と残された魔紋から自動照合を始める。

「やっぱり読み込みに時間がかかるな」

「スマホじゃしょうがないわ。でも、スマホでエクスポーザーを使えるようにしたってだけでも充分偉いわよ。簡易調査なら充分の精度だから」

「お姉さんが色々教えてくれたお陰だよ。そら、ビンゴ」

検索結果は昨晩クオレを襲った『奴』と、ダン・レイクが失踪した日時と場所にいた『奴』は一致している。

「他、何か怪しいものはなくて?」

「待ってて」

クオレはカメラ越しに駐車場を、展望台の下の階段を見渡した。

「ここにもあるね」

自然公園に続く階段の踊場にもウジャトの邪眼が残り、クオレはそこを示した。

「沢山あるね。他にも誰かが光弾の魔法を使ってる。抵抗したのかな?」

 ビビアンはその踊場から違和感を感じ取った。白っぽい石が散らばり、それらは湿った土の踊場には不自然なものだ。

「クオレ、その白い石ってウジャトの邪眼がかかってなくて?」

ビビアンも踊場へ降りる。

「かかってるよ」

「白っぽい石、全部?」

「そう言えば全部だね」

「石化したのは何時?」

「21時42分」

「上出来。ここで散らばっているのはその犠牲者かもしれない」

クオレが息を飲んだ。

「一体何のために?」

「邪悪な計画を見られたから、その口封じ」

「なるほど」

「石を集めて修復する」

「アシストは?」

「要らない。修復には卵の術を使うわ。クオレ、動画を撮って。証拠として警察に提出するわ」

「合点」

ビビアンが渡したスマホを受け取ったクオレは三脚にスマホを取り付ける。

 ビビアンは飾りのない杖を倉庫から出し、両手で軽く握る。

(卵は分裂するもの。しかし元はひとつであるもの)

想像は暗誦となり、石はビビアンの足元に集まってきた。

(ひとつであった時は21時42分)

集まった石は組み上げられていく。逆再生のように。

「人、エルフだ」

クオレが驚愕したとおり、組み上がったエルフの石像は何かから身を守ろうとしている。その出で立ちには見覚えがある。

「やっぱりダン・レイクだわ。連続失踪事件の失踪者よ」

「じゃあ俺も失踪するところだったの?俺の人生、既にサベージモードなのに」

Buriedbones2を遊ぶ諸氏ならクオレの言葉の理解は可能だが、どちらかと言えばクオレの人生は『挑戦者』だ。

 ビビアンは笑ってから本題に移った。

「さて、困ったわ。修復はできても石化の治療術は心得てないの。かなり難しい術だから」

「俺、術者を探してくるよ」

「そうして」

クオレは駐車場に戻り、

「誰か!石化解呪できる人はいませんか?」

と叫んで回る。

 

***

 

【速報】連続失踪事件の失踪者、発見される

4月26日の21時半過ぎに失踪したダン・レイクさんが見つかりました。

道の駅かえでだにで芝見屋敷を見ていたところ、何者かに石化され、粉砕されました。

粉砕された所を近所の人々が発見し、石化の治療を受けたダンさんは病院に搬送されましたが健康であるとのことです。

他の失踪者も同様の事件に巻き込まれた可能性があるため、山手署は引き続き警戒を呼び掛けています。

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