ポケモンマスター?違います、彼女探しの旅です 作:600族
朝は苦手だ。
体がだるく目が開かない。
だが起きねばよっさんに飛び蹴りをぶち込まれるため起きなければいけない。しんどい。
鏡の前でブイを頭に乗せて歯を磨く朝の時間。
よっさん?ああ、テレビの前に椅子を置き場所を陣取り。朝のコーヒーブレイクを楽しんでるよ。……ほんとにポケモン?
まあ今日はナギさんとお空デートだ。
彼女なんぞ要らん、旅なんかに出とうないとは言っていたがやはり可愛い女の子とのお出かけは男として少しばかり心が弾む。これでも年頃ぞ?
そんなわけでいつもよりは爽やかな朝だ。
朝ごはんを食べてお出かけに備えなきゃ。
うがいをし、よっさんの元へ。
「よっさん、朝飯食うから皿を……出しとる」
「ヨギ」
早いね、行動。
流石よっさん。流石ヨーギラス。さすよぎ。
パンを焼き、飲み物はミルク。あとは適当にサラダでも。
朝だからね。軽くでいいのよ軽くで。
バターもジャムも塗らない。素材の味をそのままで。
よっさんとブイにはポケモンフードを……出すと手抜きと怒られてしまうから(よっさん)自分と同じメニューを出してあげる。
朝食を終えればリュックから着替えを取り出す。
ワイシャツと黒のスラックス、そしてネクタイ。シンプルイズザベスト。替えも効くし、ラフすぎず固すぎずの格好。
前世は学校の制服なんてと思ってたが、こういうのが何も考えないで着れるから助かるのを最近になって実感した。
袖を通し、腕をまくる。
さて、本日も気合い入れていきますか。
さて、時間は少し飛んで現在。
「うっはー、高すぎ…!」
「ふふふ、落ちないようにちゃんと捕まっててくださいね」
チルタリスの背に2人乗り。
ナギさんの体を後ろから抱きしめるように空の旅を謳歌していた。
……それにしてもナギさんの体が柔らかい。女の子特有の不思議ないい香りも風に乗って鼻をくすぐる。
もはや眼下の景色よりもナギさんの方に意識が向いて仕方がない。
くそ!変態みたいじゃないか!(変態)
でもしょうがないね。思春期男の子だもん。
「あちらに山がありますよね?あれがえんとつ山で麓にはフエンタウンという温泉で有名な街があるんですよ」
「はえー温泉かあ」
それは気になる。
これでも無類の温泉好き。絶対に行こう。
「あっちの方に行くとキンセツシティがあります。ホウエン地方の中ではいちばん発展している街ですね」
「なるほど」
空からだと分かりやすいな。
俺もやっぱり空飛べるポケモンを一体くらい手持ちに入れようかな。
まあシンオウに行けば一体空飛べるポケモンがいるが……元気してるかなあいつ。まああの性格だ。元気にしてるだろ。
「あ、すいません。電話が…」
「あ、どうぞどうぞ」
そういうとナギさんは耳に手を当てなにやら通話を始めた。
「はい……はい……わかりました。すぐに向かいます」
「……?何かありました?」
「ジムの方にチャレンジャーが尋ねてきたようです。すみませんがこのまま直行してもいいでしょうか?」
「お構いなく。仕事ですもんね」
「すみません、ありがとうございます」
困ったように笑うナギさん。
お空デートが中断されるのは悲しいがしょうがなし。
せっかくだし見学させてもらおう。
「それではヒワマキジムへレッツゴー」
「ふふ、ええ行きましょうか」
「──えー、それではチャレンジャーとジムリーダーナギさんのポケモン勝負を始めます。審判は俺ことグレイが努めます。どうぞよろしく」
……なんか審判をやることになった。どして?
なんか、審判役の人が体調不良らしい。そこでちょうど居た俺に頼んできたナギさん。
『困りましたね……あ、グレイさんお願いできません?』
『……へ?』
美人さんのお願いを断れる訳もなく……まあ、レッドとグリーンの勝負の審判してたしいけるでしょう。
ブイとよっさんは観客席でやいのやいのと応援団してる。元気ね。
「それでは双方ポケモンを」
その合図でナギさんはエアームドを、チャレンジャーはバクオングを繰り出した。
タイプ相性はイーブン……いや、ノーマルタイプははがねにダメージ入れづらかったっけか?てなると若干チャレンジャーが不利ってところか。
そもそもエアームドってなかなかに強いポケモンよな?
ほのおのキバかカミナリのキバ辺りをバクオングが覚えてるならチャンスはあるって所かな?……さてどうなるか。
「……よし、双方準備の方は?」
「………」
「………」
あらヤダ真剣な眼差し。
準備万端ってところか。
「では………始めェいッ!」
「──……グラエナ、戦闘不能。チャレンジャー、控えのポケモンは?」
「うっ……もう、いません……」
「続行不可能。よって勝者、ジムリーダーナギさん」
「……ありがとうございました」
ふむ、白熱したいいバトルだった。
チャレンジャーのポケモン、バクオング。
終始、エアームドに追い詰められていた試合展開だったが、気合と根性のほのおのキバの連発で半ば強引に相打ちの形でエアームドを落とした。
だが、ナギさんの二匹目のポケモン、チルタリス。これが別格に強かった。
スピードも技のキレもまさに一級品。
もはや反撃の余地なくボコボコのボコでチャレンジャーのポケモンを二匹たて続けに倒した。ナギさんちゅよしゅぎてワロエナイ。
「また、リベンジに来ます…!」
「ええ、待っていますね」
そう言って立ち去るチャレンジャー。
これからポケモン達と特訓に励むのだろうか。
頑張れ若人よ。そうして人は強くなり大人になるのだ。
「審判ありがとうございました。お疲れ様です」
「ああ、いや、ナギさんの方もおつかれさんです」
バトルで熱くなった体に流れる汗を拭きながら声をかけてきたナギさん。
なんだろう、汗を流す女性ってどことなく色っぽい。
……変態かな?(変態)
「それにしても審判が様になっていましたね?ご経験が?」
「あー、年下のトレーナーたちの審判してたんですよ地元で。それのおかげじゃないですかね?」
「なるほど、そうでしたか」
そう言ってベンチに座るナギさん。
「疲れましたね」
「まあそうでしょうね」
「……どうでしょう?この後ご一緒に食事でも?」
「え?」
……食事のお誘い?まじで?
……やりました。
「いやもう、どこにでもお供します」
「では私の行きつけに」
「行きましょう…!」
微笑むナギさんに力強く答える。
………俺この街で生きていこうかな…?
彼女は別にいらないとは言ってるけどだからと言って女の子にドキドキしないわけじゃないです。思春期男子ですから。