流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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16話くらいまで書いてエタッちゃった小説です。
供養のため一応投下しておきます。

短い間だけど楽しんでね!!

追記:皆様から多くの反応を頂きまして、少しやる気が回復して来ました。どれだけ時間がかかるか分かりませんが、続きを書くつもりでいます。


流星街の解体屋
1.ゴミヤマ×ノ×カイジン


 

 

 何の因果かこの世界に生まれ落ちて早10年。しがない機械工だった"前世"の記憶は薄れて行くばかりだ。

 

 確かに覚えている最後の記憶は、スパークプラグの不具合による思い掛けない放電、飛び散る火花と燃え上がる世界、衝撃と炎に包まれる今世に比べて貧弱過ぎたかつての己の体。

 

 オレは一度、死んだのだ。

 

 死んだ、はずだった。

 

 次に目が覚めたときにはオレは困惑した。思うように体が動かせず、声を出そうにも言葉にもならない鳴き声を発するばかり。

 無理もない、オレの魂は見知らぬ世界の、見知らぬ赤子の中に()()していたのだから。

 

 それにしても輪廻転生ってのは聞いたことがあるが、文明レベルも世界地図も動物も植物も違う、全く別の世界に生まれるってのはどういう訳なんだか……。

 

 神のみぞ知るってところだろう。

 

 

 

 

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 "流星街"と呼ばれる場所がある。

 

 そこは"この世の何を捨てても許される"と語られる、1500年以上の歴史を持つ廃棄物の処分場だ。

 

 その特異な性質からどこの国にも属さない政治的な空白地域となっており、公的には無人のゴミ山とされているが、実際には推定800万人以上の住人が生活しているとされる。

 

 誰もが知っていて、誰もが知らない振りをする。そんな街の片隅にある建物とも言えないボロ屋で一人佇む男がいた。

 

 人種のるつぼとも言われる流星街でもことさら特殊な存在。異界からの転生者。

 

 その男の今世での名を"ジョネス"と言った。

 

 姓はもう分からない。それを知るかもしれなかった人間はたった今、己の手で殺めたところだったから。

 

 ジョネスは目の前に散乱するこの世界における()()だった肉塊の前で、返り血に塗れたその両手を、何かを確かめるようにぐっと何度か握った。

 

 手に残る肉を握り潰したときの不快な感覚。それとは裏腹のこの世界に生まれてからの呪縛を解いた解放感。相反するリアルな感情は、一度死んだ事から希薄となっていた生への実感を、彼の中へ否応なく思い起こさせた。

 

(オレは今まで何をしていた、オレはこんなにも強いじゃないか!! こんなクズの言いなりにならず、初めからこうすれば良かったのだ!!)

 

 実の子である己を召使いのように、あるいは奴隷のように扱った父親を紙屑のように引き裂いた事に罪悪感は全く湧かなかった。

 

 それどころか齢9歳にして素手でそれを成し遂げた規格外のパワーは、うだつの上がらなかった前世と違い、自分が特別な存在であるという得も言われぬ優越感をもたらした。

 

 死人のように生きてきた9年間が嘘だったかのように、今後の展望に光が差したような気がした。

 

(誰にも憚ることなく、この力を思う存分に振るい、好きに生きてみるのも悪くないかも知れない。オレの2度目の生は誰よりも自由なものとしよう)

 

 何の運命の悪戯か、後にザバン市史上最悪の大量殺人鬼と呼ばれる男、原作最大級のかませ犬、解体屋(バラシや)ジョネスの運命は中の人の影響で大きく道を外れて、明後日の方向へ猛進して行くこととなった。

 

 転生者ジョネスの運命や如何に。

 

 

 

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 新たな人生に正面から向き合う覚悟を決めたジョネスは、まずは己の体を極限まで鍛え上げることと、この世界についての知識を向上させることを目標とした。

 

(とりあえず何の地位も権力も持たないゴミ山のガキのままじゃ、明日食うものも手に入らねえ。まずは環境を整える必要があるな)

 

 生まれ付き常人離れした身体能力を誇る彼は、流星街を牛耳る長老の一人に己の能力を売り込み、上役直属の便利屋のようなことを始めた。

 

 ゴミ集めの労働者達の取りまとめや、上役達の用心棒、街の秩序を乱す輩の始末など長老からの依頼は多岐に渡ったが、それぞれで異なる能力を求められるので、仕事の中で学んだことは多かった。まあ、半分以上が物騒な知識で占められているのだが。

 

 依頼を次々と達成し長老達からの覚えもめでたくなった頃には、街の中でも名が売れて、異例の若さでとある地区の顔役の一人に抜擢される。

 

 まだ少年とも言える年齢の彼の抜擢に反対意見は多かった。しかし相手は子供だと侮り彼を排除しようとしたチンピラ達が、ヒトの原型をとどめていないバラバラの死体となって発見されたことから、徐々に長老会の決定に対する反発は下火となっていった。

 

 やがて街の住人達はこの生まれ付いての怪人を解体屋(バラシや)ジョネスと呼び恐れるようになった。

 

 更に前世で機械工だった知識を活かして、廃棄された機械を修理して転売する流星街の住人の鑑のような仕事を副業として行った。

 

(昔の仕事なんてもはや遠い記憶となりつつあったが、体で覚えてるもんはそうそう忘れるものじゃ無えな)

 

 自らが纏め役として担当する地区の一角に放置されていた倉庫のような建物を軽く手直しし、そこを[解体屋ジョネス・ファクトリー]という壊すのか作るのか良く分からない名前を付けて、住居兼仕事の拠点として活動するようになった。

 

 日銭や物品引き換え券を安定して手に入れられる確かな立場を築いた彼は、仕事と並行して行っていた常軌を逸したトレーニングと、貪欲なまでの知識の拡充を本格化させた。

 

 ウェイトトレーニングと称して己の背丈を超える産業機械を持ち上げたり、戦闘訓練と称して流星街の一画を不法(法があるのかは怪しいが)に占拠していたマフィアもどきを単身で壊滅させたりした。

 

 知識に関してはこの街に教育機関がある訳も無いので、本や新聞から独学で学んだ。何なら前世とは違う文字を学ぶところから始めなくてはならなかったが、この街のほとんどの人間がちり紙としか扱っていないそれら書籍を熱心に収集した。

 

 この世の終わりのような暮らしを続ける流星街の住人達にとって、"向上心"という彼らがどこかに置き忘れて来てしまった感情を指針として行動するジョネスの姿は、もはや奇行とも言えるものだったが、周囲の人間にとって日常茶飯事であり、わざわざあの恐ろしい怪人に真意を問うことは無かった。

 

 何せ彼は()()()真似さえしなければ、顔役として弱い立場の者の話もよく聞いてくれるし、仕事の提供も生活環境の改善にも大きな理解を示してくれる。普通に接していれば地区の纏め役としてはかなりマトモな部類の人間であり、どこに地雷が潜んでいるか分からない強者に()()()()()ようなことがあってはならないのだ。

 

 流星街にまで浸透している世界共通の処世術であった。

 

 

 




エタッた理由。
原作の連載再開が嬉し過ぎて書き始める。

旅団過去編で書いてた内容と差異が出始める。

あっという間に休載してやる気が無くなる。

ジョネスさんて才能あるんじゃね?ってずっと思ってました。
流星街出身というのは捏造設定です。
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