日常シーンも難しいですね。
マルロー:具現化系能力者
具現化した拷問人形を媒介として複数の能力を扱う。
【
6本の腕を持つ人形と拷問器具を具現化する。
【
具現化系能力。一定以上のダメージを与えた相手の記憶を読み取る。
【?】
具現化系、操作系の複合能力。
マルローの攻撃によって戦いの火蓋が切られた。
【
暗殺者、"
その瞬間、躱したはずの鋏が空中で突如軌道を変え、傷猿の足を的確に狙ってその切っ先を向けた。
これを読んでいた傷猿は、即座に体勢を変えて足を狙っていた鋏をギリギリで回避する。
(なかなかの"隠"。だがそっちのかわい子ちゃんから鋏に糸が伸びてたの、オレはちゃんと"凝"で見てたぜ?)
不敵な笑みを浮かべてマチとマルローに迫る傷猿。だが、彼は途中で何かに弾かれたように体勢を崩し、数歩先で盛大にずっこけた。
「全部の糸が同じレベルの"隠"だと思ったかい? あんたの想像の中の敵は随分親切なんだね」
マチの念糸は太さも色もある程度融通が利く、それに加え今回は使用する糸ごとに"隠"の精度に差をつけていた。これによりマチは鋏に括り付けた糸はわざと見え易く、通路に張った糸は本気で気配を殺すという、メリハリの効いた巧みな仕掛けを作り出すことに成功していた。
策は功を奏し、傷猿の認識には致命的な齟齬が生まれた。
「それじゃ、一発目」
つまずいて倒れ込んだ傷猿の顔面にマチの蹴りが突き刺さる。ジョネスに仕込まれた彼女の重い蹴りは、傷猿をスタートラインまで吹き飛ばした。
そこに間髪入れずマルローに具現化されたメスや太い針を6本同時に投げ込む。戦いの始まりと同じ構図だったが、蹴りによるダメージが抜け切っていない傷猿は投擲された武器を避けきることが出来ず、何本かの武器が彼の体に突き刺さる。
「今だ!! 畳み掛けるよ、マチ!!」
【
突き刺した武器を媒介としてマルローの能力が発動する。この能力は具現化した
純粋な操作系能力者がよく使う強制型の能力ではないが、一瞬のミスも油断も許されない戦闘中に決められてしまうと、それだけで命取りとなる。いわば強引に
傷猿は武器が突き刺さった右足、左肩、腹部の違和感に気付く。
(右足が硬直して動かせない!? 左肩は動かせるがでたらめな方向に動きやがる!! 腹はオーラが薄くなってる上に"凝"ができない!!)
マチとマルローはこの隙を見逃さず、接近して攻撃を加える。これに対し防戦一方かに思われた傷猿だったが、瞬時にまだ動かせる部位を判別すると、まず口中に忍ばせていた含み針をマルローに向かって飛ばす。
不意を突かれたマルローは、機械人形を盾にして辛うじて針を防ぐも、攻撃が一瞬だけ緩まる。
その隙に、長い袖に隠していた糸付きの釣り針をマチに向かって振るった。釣り針には性質を変化させたオーラが纏わりついている。
【
オーラを毒物に変化させる能力である。決まれば相手を片方、一時的に行動不能にすることができる。
だが強力なオーラが込められたその切っ先は、確かに何かに当たった感触はあったものの、その肌を切り裂くことは出来ずに、マチの柔肌の寸前であえなく止まってしまった。
針は戦闘が始まる前にマチが纏っていた、念布の鎧に遮られたのである。マチは針が引っかかったままの念布を強く引っ張り、傷猿の体勢を崩すと、マルローの【
元々オーラが薄くなっていた上に、"凝"を封じられた傷猿の腹に対してマチの拳の攻防力が完全に上回り、傷猿は血反吐を吐いてその場に膝を突く。
そのまま息つく暇もなく、彼の体に何かが突き刺さる痛みが走った。
傷猿が顔を上げると、そこには6本腕の機械人形がそれぞれの腕に具現化した武器で自らを突き刺している姿が見えた。
「ジャミング継続だ。マチ、とどめは君がやりな」
「……ッ!!」
マチは初めての殺しに一瞬躊躇を見せたものの、出発前にジョネスと交わした言葉を強く思い出して、すぐさま強靭な糸で傷猿の首を力の限り締め上げた。
脳への血流と呼吸を遮断された"暗殺者"の顔は、ものの数秒で青白く変色し、全身の穴という穴から体液を垂れ流して、やがてその一個の生命活動を完全に停止させた。
柔らかい肉の感触が糸からはっきりと手に伝わり、うるさい程の動悸がいつまでも止まらなかった。
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冷たい風が吹き荒ぶビルの外壁にて、一つの影がヤモリのように上へ上へと移動していた。
何を隠そう、正規の移動手段を封じられたせいで、僅かな取っ掛かりを頼りにビルの外壁を気合いでよじ登っているジョネスである。
その背中に、頭をスキンヘッドに丸めた小太りの男が絶叫しながらしがみ付いていた。
「ぎゃあああぁぁぁ!! ジョネス!! 死ぬって!! これ死ぬって!!」
「……ガタガタ騒ぐな。無理言って付いて来たのはそっちだろうが」
「こんな事態になっても、真っ先に
「予想出来たことだろうに……。そんな
「でもよお……!! 上にいる敵は念使いなんだろう? これくらいの備えはあって然るべきだと思わねえか?」
「対念能力者に銃火器がどこまで通用するか見ものではある。だから同行を許したが、戦力的にはオレの身一つで十分だったと思うぞ?」
「そう思ってたなら先に言えよ!! 重すぎて腕がちぎれそうなんだが!?」
「……そろそろ着くぞ。どうやらオレの仲間達が既に終わらせていたようだ」
「おいジョネス!! 何する気だ⁉︎ なぜ腕を振りかぶってる!?」
大きな音を立ててビルの窓ガラスが粉々に砕け散る。
腰が抜けて立てなくなったゼンジを尻目に、ジョネスは躊躇いなくビルの内部に歩を進め、やがて床に倒れ伏した見るも無惨な縊死体と、その傍らで俯いて座り込む一人の少女の姿を視界に捉えた。
近くにいたマルローと目が合う。彼は困ったような表情でお手上げだといったジェスチャーを行い、何も言わずに一つ頷いてジョネスを少女の下へ促す。
ジョネスは少女の頭に手を置いて慣れない手つきで不器用に撫でると、彼女と同じ目線までかがみ込んで落ち着いた声で語り掛けた。
「よくやった、マチ。頑張ったな」
少女は傍らの男の胸元に抱き着いて、たまらず落涙した。
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※おまけ:その頃、流星街では
工場の床下から発見されたジョネスの秘蔵ビデオ、[巨乳美人秘書との秘密のオシゴト♡ 〜真面目でクールなあの子が社長の激しい腰使いの前に汗だく痙攣○○〜]を持って、ビデオデッキを所有するシャルナークの隠れ家に辿り着いたエロガキ旅団は、早速ジョネスの性癖を暴いてやろうと、満を辞してデッキに[巨乳美人秘書との秘密のオシゴト♡ 〜真面目でクールなあの子が社長の激しい腰使いの前に汗だく痙攣○○〜]を挿入する。
「楽しみだぜ。ジョネスのおっさん、どんな趣味を隠してやがるってんだ?」
「ああ、ジョネスも普通の人間だったんだな」
「マチへの口止めを条件にゆすってやろうぜ。ジョイステ欲しかったんだよ」
「そうね、内容はどうでもいいね。……どうでもいいね……」
「そうだな……、別にこんなもの見たくはないけどな……。どうでもいいけどな」
あくまでジョネスの弱みを握るためである。別の目的など断じてない。
読み込みが開始され、一同の興奮が頂点に達する。そしてついに[巨乳美人秘書との秘密のオシゴト♡ 〜真面目でクールなあの子が社長の激しい腰使いの前に汗だく痙攣○○〜]の再生が始まる。
[巨乳美人秘書との秘密のオシゴト♡ 〜真面目でクールなあの子が社長の激しい腰使いの前に汗だく痙攣○○〜]の再生が始まる!!!!
「私はキャプテン・マッスル
この映像を見てる君は選ばれし者
5000万ジェニーを掴むチャンスを与えられた強き者
単刀直入に言おう ジャポンにいるある青年をぶちのめしてほしい」
中身はビデオの発見を見越したジョネスの卑劣な罠であった。ジョネスがゴミ山から拾った中で、最も意味不明だった謎の映像に、一同は下半身の血流が急速に不活性化していくのを確かに感じた。
次話、ジョネスの真の目的は!?
(続かない)
黒の章? 呪いのビデオ? スナッフビデオ?
正解は「キャプテン・マッスルからのメッセージ」でした!!
こんなことも見抜けないお前達には失望したよ。
……皆様が真剣に考察して下さってるのに、想像しうる中で一番下の物を書いていた作者の罪悪感がやばい。でも我慢できなかった。
あとは主人公をうまく書けてるか不安です。みんなはジョネスのこと好き? 行動が矛盾してたりしないですか?
評価、感想よろしくお願いします。