流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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戦闘シーンほんまに頑張ったやで。
マジむずい。

あと、最初に16話しかないって言ってましたが、16話を大幅に加筆・修正しました。その話が予想以上に綺麗に、第一部完って感じに書けたので、新しい話が書けるまで時間がかかると思いますが、それなりに満足して頂けるかと思います。



13.チマミレ×ナ×テアワセ

 

 

(親父が"纏"を見ただけでその力量を認めただけはある。質、量、共に凄まじいオーラだ……!!)

 

 ジョネスの発する濃厚な"暴力"の気配にシルバは瞠目する。彼はゼノの長年の経験から来る審美眼に信頼を置いていたが、暗殺術を極めた己には届かないだろうと、ジョネスの実力をどこか心の底で軽んじてしまっていた。

 

 これは到底()()では済まない。シルバはジョネスに対する警戒を最大限に引き上げると、牽制のため、惜しげもなく凄まじい練度の暗殺術を行使せんとした。

 

 

 

[肢曲]

 

 

 

 暗殺者の足運びである暗歩の応用技であり、歩行速度に緩急をつけることで、あたかも自身が分裂したかのように敵に錯覚を起こさせる高等技術である。

 

 しかし一歩目を踏み出した瞬間、その起こりを捉えられ、既に目の前にジョネスが迫っていた。シルバ程の達人に後の先を取る。ジョネスが獣並の超人的な感性を持つからこそ為せた技である。

 

(素晴らしい!! オレの技を初手で潰して来るとは!!)

 

 内心で感嘆するシルバに対して、ジョネスは一切間を置くことなく初手を取ったアドバンテージを活かして攻撃を加える。

 

 2人の間で火花が散るかのように激しい攻防が繰り広げられる。シルバはあくまで冷静に、"技術"でもってジョネスの荒々しい攻撃を捌く。強力なオーラが込められたジョネスの指が幾度も空を切った。しかし、シルバが受けるのではなく躱すか捌いているということは、ジョネスの指による攻撃が命中すると、シルバですらダメージを免れないという事実の裏返しでもあった。

 

 ジョネスの【狼男(ルナルナ)】は彼の肉食獣の如き戦闘スタイルと、自己の最強の部位に対する強い拘りから、無意識の内に発現した強化系能力である。彼の人間離れした肉体の中で特に異常な力を持つ"指"と"顎"に纏うオーラを増幅させている。

 

 これによりジョネスの掴み、引っ掻き、貫手、噛み付き、その類の攻撃は全て、"凝"による攻撃と遜色ない威力となっている。

 普通の"凝"や"硬"とは違って、ガードが薄くなることはない上、それらを使用したら更に威力が上乗せされる。

 

 シルバは戦闘が始まったとき、その危険度を瞬時に見抜いていた。更にはその理不尽な火力に加えてジョネスの扱う我流の体術も問題だった。

 

(彼の動きに"武"や"技術"といった要素は全く感じ取れない……。だが、何故こうもやりにくい……)

 

 "こう来るはずだ"という想定から常に斜め上を外れて来るし、"こんなことはしないだろう"を平気でする。予想以上に速いかと思えば、遅い場合もある。なまじシルバの戦闘に対する熟練度が高いがために、却ってジョネスのセオリーを無視した行動が読み取れないのだ。

 

 そのためシルバはジョネスの攻撃に幾度もカウンターを合わせているものの、決定打には程遠いダメージしか与えられていなかった。

 

(下手なナイフより鋭いオレの手刀をほとんど意に介さんか。呆れるほど頑強な肉体だ、恐らく強化系だな)

 

 シルバの感じていた違和感は、やがて致命的なズレとなって刹那の均衡にヒビが入る。ジョネスが奥の手の一つを解禁したのがその嚆矢となった。

 

 ジョネスの動きが突然緩やかになったかと思えば、指に集めたオーラがノーモーションで散弾のように放出される。高速の念弾は"指先"から飛ばされたため、【狼男(ルナルナ)】による補正を受けており、強化系のジョネスが使う放出系攻撃としては破格の威力を持っていた。

 

 ゆっくりとした動作から放たれる高速の念弾という攻撃の緩急に加えて、如何にも肉弾戦に自信がありげだったジョネスが飛び道具を使用したことが意外で、シルバの反応が僅かに遅れる。

 

 シルバは瞬時に躱すことを諦めて、急所を右腕でカバーしながらオーラでガードしたが、そのせいで視界が狭まった所に、ジョネスの狙いすました貫手が腹部を抉らんとする。

 

 シルバは咄嗟に、空いた左手でジョネスの突きを叩き落とす。その際、僅かに左手の攻防力が負けて浅い傷が付いた。この程度はダメージの内にも入らないが、ペースを相手に渡している状況は面白くない。

 

 シルバが一旦距離を取って態勢を立て直そうとしたその時、ジョネスに足を踏み付けられて一瞬だけその場に固定される。ジョネスは即座にシルバのガードによる死角から彼の右腕を掴むと、そのまま前腕に噛み付いた。

 

 前腕に牙が食い込みシルバが痛みを感じると同時に、ジョネスはその場で飛び上がってドリルのように空中で回転した。

 

 ワニは噛み付いた獲物を食いちぎるために[デスロール]と呼ばれる回転運動を行うが、ジョネスが一瞬の内に行った動作はまさにそれに酷似していた。

 

 シルバの前腕の一部が噛みちぎられ、激しい出血をもたらす。

 

「先にクリーンヒットさせたのはジョネスだね……‼︎」

 

「あの人、本当に人間なの……」

 

「いや、アレは……」

 

 マチが保護者の活躍に嬉しげな声を漏らす。マルローは相変わらずの野生的過ぎる戦い方に呆れたように呟いた。しかし、ゼノは厳しい面持ちで言葉を濁らせる。

 

 足の拘束が解け、シルバとジョネスの距離が離れる。

 

 その瞬間、ジョネスが激しく吐血した。

 

「がはっ、げほっ、げほっ!!」

 

「すまんな、手加減してやれなかった」

 

 シルバはジョネスが空中で回転し、無防備になった、本来なら隙とも言えない一瞬を捉えて、右腕が抉り取られるのを気にも留めず、ジョネスの腹部に強烈な蹴りを喰らわせていたのだ。

 

 ジョネスの内臓は激しくシェイクされ、深刻なダメージとなって彼の体を蝕んだ。

 

 とは言えシルバも当然ノーダメージでは無い。シルバは髪の毛を一本引き抜き右肘を強く縛って、応急処置として最低限の止血を行った。

 

("凝"でのガードが完全に破られるとは……。それに噛まれた方はともかく、握られた部分まで骨にヒビが入っている。これは油断したな、後で親父にどやされるぜ)

 

 シルバがこの後訪れるであろう家族からの詰問の時間を思い浮かべて憂鬱な気持ちになっていると、呼吸を整えたジョネスが口元の血を拭いながら笑って言った。

 

「あそこにいるマチは器用でな、大抵のケガなら完璧に縫ってくれる」

 

 常にポーカーフェイスを心掛けているシルバも、珍しく小さな笑みを零して答える。

 

「ほう、奇遇だな。これからここに来る飛行船に乗っているウチの医療班も、それはそれは優秀でな」

 

「ほう、それはそれは」

 

「何とも、おあつらえ向きだ」

 

 2人の意志が一致したことを確認すると、ジョネスは更なる奥の手を解禁した。

 

 ジョネスは両手を自分の両肩に置くと、クロスを描くように腰に向かって自刃する。

 

 大量の血が噴き出すも、不思議なことに血は地面に滴ることなく、霧状に変化してジョネスの周りを漂った。更に先の戦闘で戦場に撒き散らされた2人の血も霧となってジョネスの体の周りに集まる。

 

 やがて深紅の霧がジョネスの纏うオーラに溶け込むと、ただでさえ強大だったジョネスのオーラが更に増幅した。

 

 赤黒いオーラを揺らがせながらジョネスは語る。

 

「オレは"発"を隠し過ぎるのは野暮だと思うんだよ。それがただの"手合わせ"であっても、この世で一番楽しいのは自分(テメエ)の能力を出し合うこの瞬間だろう? 一欠片も"損"したくないからオレは見せるぜ」

 

 

 

 

 

流血鬼(ブラッディシプリン)

 

 

 

 

 

「さあ、あんたの究極を見せてくれ」

 

 

 

 




ヒャッハー!! 純粋強化系"発"ガン積みだあっ!!
フロム式切腹!!

あと、ジョネスは能力を隠すなとか言ってるくせに、こっそりもう一つ能力を使っています。描写はしていませんが……。悪い奴だぜ。

強化変化放出で3種類の能力にしようかと思っていたが、それは邪念だと感じた。ジャンケンが好きな人ならいいかもね。

シルバさん、まだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?
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