流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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念能力覚えるのは、早ければ早いほどいい。
ハンター試験で死んだ天才達がどれだけいたことか。


2.オシゴト×ト×デアイ

 

 

 [解体屋ジョネス・ファクトリー]はジョネスの所有する倉庫であり、内部に機械を修理する仕事場、トレーニングジム(建物に入り切らず外で雨晒しになっている器具も多いが)、更に居住スペースに書庫と、まさに彼が必要とする物を全て揃えた彼のための城である。

 

 長老達からの依頼にも度々使用されており、半ばガラクタ置き場と化した修理待ち品の山は物や人を隠すのに最適だし、仕事場は多少汚れても良いので、それこそ死体の処理から料理まで何でもござれである。

 

 そんな工場の中で、ジョネスは二つ名通り"解体"にいそしんでいた。

 

 まだ昼過ぎだと言うのに陰惨な空気が漂う工場内で、ブチッと耳障りな音が響くと、椅子に縛られた男は本日何度目かの絶叫を上げた。

 

 ジョネスはちぎり取った太ももの肉を軽く手の中で弄びながら、哀れな男に向かって平静と何ら変わらぬ声で問い掛ける。

 

「いい加減話せ……こっちも暇じゃない。この流星街で何を探っていた? これ以上お前の質量が減る前に吐いた方が身のためだ」

 

 ジョネスの名誉のために言っておくと、別に拷問は彼の趣味じゃなくあくまで仕事である。だが彼は思った以上に出口の見えない陰気な仕事に、早くも安請け合いしたことを後悔し始めていた。

 

 サヘルタ合衆国諜報部所属ウィリアム・スチュワート。ヨークシンのマフィア経由で判明した情報はこれだけ。

 

 長老会は体に直接聞いた方が早いとオレに依頼を寄越した訳だが、別にその手の専門家じゃないので、痛め付けて質問してを繰り返すだけのテクニックもクソも無い方法しか出来なかった。

 

 それにしても他人に対してこんなにも残酷な仕打ちを平気で行えるようになるとは。一度死んだ上に、流星街で10年以上も生まれ育ち倫理観は希薄になるばかりだ。流星街の"仕事"で感覚が麻痺して、外の世界の本を読んで最低限を取り戻して、というのをここしばらく繰り返している気がする。

 

 目の前の仕事へのやる気が萎え始めたその時、不意に後ろから声が掛けられた。

 

「OK!! OK!! ジョネスくん!! それだけ痛め付けてくれたら十分だ。後はボクの"力"に任せてちょうだい!!」

 

 ジョネスは驚愕して瞬時に振り返り臨戦態勢を取った。無理もない、声を掛けられるまで彼は、その男の気配に全く気付くことが出来なかったのだから。

 

(馬鹿なっ!? 気配が()()()()などということがあり得るのか⁉︎ 更に今はこの目で直接見ているというのに、存在自体が希薄。まるで空気と一体化しているようだ……)

 

 一時も気が抜けないこの街での生活により、常人離れした察知能力を誇る彼の警戒網を容易く突破したガスマスク姿の男は、臨戦態勢を取るジョネスを何の脅威とも思っていない様子で続ける。

 

「おめでとう、ジョネスくん。"力"を見る機会を与えられるということは()()()()()ということだ。長老会は忠実で有能な君のことをいたく気に入っていたよ。何より生まれが流星街だということに、ことさら高い評価が下された。ウチの街でも案外有能な人は外様だったりするしね」

 

「"力"? "認められた"? 何の話だ。まずお前は何者だ」

 

 不機嫌さを隠さないジョネスの様子に、ガスマスク姿の男は愉快そうに一笑すると、その大袈裟なマスクを外しながら聞き慣れない単語を口にした。

 

「ああ、自己紹介が遅れたね。ボクの名はマルロー。

 

 

 次期長老候補であり、念能力者だよ。

 

 

 まずは仕事を済ませようか」

 

 

 

半死半生の覗き魔(ダイイング・ハッキング)

 

 マルローは椅子に縛られた男の頭に手を翳したかと思うと、懐から取り出したメモ帳にすばやく何事かを書き込み始めた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ジョネスはマルローの口から語られる全く新しい世界の話に、目から鱗の思いだった。開いた口が塞がらないとはこのことか。長老会からの信頼が貯まったとか、ジョネスへ"洗礼"を行うことが全会一致で可決とか上役の内部事情はどうでもいい。いや、そちらも大分重要な話なのだが、その後に語られたことのあまりに衝撃的な内容に、脳のリソースが追い付かなかったのだ。

 

 "念能力"と呼ばれる"オーラ"を扱う超能力の存在。

 

 ハンター達や一級の犯罪者達は、皆この特別な力の使い手であるという事実。

 

 まるで信じられないような話だが、ついさっき行われた不可思議な現象を思い返すと、そういった特別な力が無いと説明出来ないことが目の前で発生したことを理解できた。

 

 何よりジョネスは己を恥じた。というのも彼は生まれ付きの人間離れした身体能力に、長年のトレーニングが合わさった自らの強さに対して、既に()()()()()()()()()()()()のだ。

 

(強さを求め、知識を求める。"向上心"を得た時こそが今世におけるオレの転機、オレが真に人間となった瞬間だったはずだ。実際にはまだスタートラインにすら立っていなかったというのに、心のどこかで満足していた……。何たる体たらく!!)

 

 彼は焦りからか救いを求めるように、これから自分の念の師匠となるというマルローに問い掛けた。

 

「……念能力はどれくらいの人間が使えるものなんだ? 流星街の外では念は一般的で、使える奴は山程いるなんて言わねえよな?」

 

「まさか!! 念は基本的に秘匿される技術、ハンターは別としても、この街の外でも中でも使える人はそうそういないよ。何より危険だからね、この力の情報が公になってしまったら、それこそ年柄年中そこら中の国家や個人間で終わらない紛争状態となってしまう」

 

「オレが今から学び始めるのは遅い方か? 念能力者は皆ガキの頃から修練を積み重ねているものなのか?」

 

「特別な家系か、若くしてハンターになったとかじゃ無い限り、子供の頃から修行しているってのはないと思うよ。ジョネスは確か今15歳でしょ? なら十分早い方だよ」

 

「……すまん、流石に愚問だったな。他人がどうとかは関係ねえ、教えてくれたことに感謝する。これからよろしく頼む……、頼み、ます師匠……」

 

「あっはっは、敬語なんて別にいいよ。こちらこそよろしく。ぶっちゃけ君と念無しで殴り合ったら僕の方が挽き肉にされるの確実だし、君が強いってのも全然間違ってないよ」

 

(……惑わされるな、まずは認めろ。自分の弱さを、先を行く念能力者達を恐れていることを。そして何てことはない、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ジョネスは決意を新たに未知なる世界へ足を踏み入れた。

 

 




ハンハンとかワートリみたいな、制限付きルール付きなバトルに、滅茶苦茶可能性を感じる。
能力が何でもありで、発動条件が触るだけとか良くないと思うよ。
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