流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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6時に投稿するつもりでしたが間に合わなかったよ(一敗)。
12時に投稿するつもりでしたが間に合わなかったよ(二敗)。

最初から17時に投稿するつもりでした(開き直り)。

前半は相変わらずおっさん達とイチャイチャ。この4人のコント書いてるのが楽し過ぎて終わらないんだが?

後半は……。
どうせこの作者の事だ、後半もおっさんとのイチャイチャなんだろ?

今回はジョネスがこの世で最もクズな行動を度々行います。閲覧注意。



21.マージャン×ト×ムスメチャン

 

 

 

 十老頭からの直接の指令を早々に終えた4人のおっさんは、ヴェンディッティ組の経営するカジノにて、麻雀卓を囲みながら雑談に興じていた。当然だが金を賭けている。羨ましい。

 

「ゼンジ、何でお前の()を仕事に参加させねえんだ? お前より才能あるじゃん。もっと色々経験させろよ、"鉄は熱い内に打て"だぜ? 

 

 えっ、それ通るの!?」

 

「……ジョネス、お前本当に流星街マインドだよな。まだ12歳の子供だぜ? 未熟なガキを仕事に参加させるかよ……。

 

 ポン! それちょうだい。

 

 ジョネス、卓の下で点棒削るなボケ。バレバレなんだよ」

 

 ジョネスが心底不思議そうに聞くと、ゼンジが苦虫を噛み潰した様な顔で答える。そんなゼンジを梟と蚯蚓が茶化す。

 

 部下が組長に対してそんな舐めた口利いて良いのか疑問だろうが、ゼンジと梟と蚯蚓はマフィア的な意味で義理の兄弟関係にある。ゼンジがリーダーに向いているから組長を務めているが、立場は実は対等だ。仕事の時は弁えているだけである。

 

「ジョネス、騙されるなよ。こいつ普段はお嬢にデレデレだぜ。可愛い娘に危険な真似させられるか!!ってね。

 

 ジョネス、2牌ぶっこ抜くなボケ。バレバレなんだよ」

 

「お嬢の卒業式んときはやばかったな。ただでさえ組員総出で黒塗りセダンで乗り付けたもんだから、親御さん達が騒然としてたってのに、号泣しながら"大きくなったなあ"ってお嬢に抱き付いて離れなくなって……、式の進行だいぶズレてたぞ? お嬢が良い子だから許して貰えてんだよ。嫌われてないのが奇跡だな。

 

 ジョネス、ポケットに入れたもん出せボケ。バレバレなんだよ」

 

 ゼンジの私生活を暴露した梟に便乗して、蚯蚓がゼンジの黒歴史を追加で暴露した。スリーピースの高級スーツに身を包んだ蚯蚓は、右手に嵌めた黒い革手袋でコッポラ帽をクイっと上げて冷笑する。

 

 実に様になっている。彼はお洒落さんだ。普段からパン1だと思ってた奴は表に出ろ。ただし寝る時はパン1である。

 

 ちなみにジョネスはいつもの汚ねえシャツにジーンズ姿で、梟はアロハにジャージである。ゼンジの知り合いだからドレスコードに引っ掛からなかっただけで、高級感の漂うカジノに全く合ってなかった。

 

「……まあ、なんだ。嫁が死んでから塞ぎ込んでたあの子がニコニコ笑ってくれる様になったのが嬉しくてよお。ジョネスがアホなお陰だぜ。あの子はかわいいし、頭も良いし、念とケンカの才能まである。こないだなんてなあ……。

 

 ジョネス、それ喰い替えじゃねえかボケ」

 

 自慢の娘の事を思って遠い目をし始めたゼンジを見て、これ長くなるなと察したジョネスが本題を切り出す。

 

「んで、十老頭(ジジイども)が求めてる品ってのは?」

 

 その一言でハッと正気に戻ったゼンジは懐からメモ帳を取り出して目的のページを開くと、その一覧に目を通しながら語り出した。

 

「他の9個はオレの組なら何とか手に入りそうなんだけどよ。一個、いや()()厄介そうなのが紛れてやがる。

 

 "アピロラルワナク"って知ってるか?」

 

 ゼンジがメモを見ている間に彼の捨て牌に手を伸ばそうとした所を、梟と蚯蚓に腕を掴まれて止められているジョネスが答える。

 

「ミンボ共和国にあるゾマホ密林の固有種で、絶滅危惧種の淡水魚だな。10年前なら観賞用として普通に流通してたらしいが、もう流通してねえ。元々個体数が多くなかったんだろう。今は立派なレッドリストの一員だ」

 

 ジョネスが記憶にある知識をすらすらと答える。この男は馬鹿ではなかったようだ。

 

「ジョネスにはそいつを捕って来て欲しい。もちろん生け捕りでな。な? 厄介そうだろ?」

 

「オイオイオイオイ、売ってくれないものを捕りに行けって言ってんのか? それって「違法」って事だろ?」

 

「ああ、捕って来てくれ。諸々の手配はこっちがやる。お前は実行してくれるだけでいい」

 

「ナアナアナアナア、実行するだけって……。 オレはゴミ山の怪人をやっと卒業して、これから健全なハンターになろうって人間だぜ…。

 

 ただでさえ既に社会的に少し名が売れてんだ。

 

 しかも! アピロラルワナクはゾマホ密林のレンジャー達が必死の保護活動を行っているにも関わらず、個体数は常に減少傾向にあると聞いている。

 

 活動しているレンジャーたちの日々の苦労は想像できねえ!!」

 

 

 

 

 

「『密漁』をしてくれ。報酬は弾むぜ?」

 

 

 

 

 

「だから気に入った」

 

 

 

 

 

「ベネ(良し)。そう言うと思ってたぜ」

 

 ジョネスはクズで馬鹿だったようだ。

 

 

 

 

 

 その後、怪人ジョネスの無法の荒業が炸裂し続け、勝負が成立しなかったので、賭けていた金を回収した3人がジョネスを一発ずつぶん殴ると、そのまま麻雀大会はお開きとなった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 ミンボ共和国の奥地を一台の車が走る。

 

 2、3人は誘拐できそうなキャバオーバー型のワンボックスカーだ。改造して荷台に大きな水槽を隠している。運転しているのは走った方が速い男だ。

 

 ジョネスは道無き道を車を運転しながら、後ろに乗っている密航者が背後に忍び寄って来るのを感じた。見事な"絶"だったが、彼の持っているどこかの被保護者並の超人的な勘が反応したのと、あと、良い匂いがしたので密航者の存在はバレバレだった。

 

(鉄は熱い内に打て……か……。やっぱりオレって良い奴だよな?)

 

 これから密漁をする奴が心の中で自画自賛をしていると、密航者が彼を驚かせようと腕を巻き付けて、背後からいきなりシートごとジョネスに抱き付いて来た。

 

 

 

 

 

「ジョ〜ネス!! 大好き!! 結婚しよ〜!!」

 

 

 

 

 

 ハキハキとした声で発された、シチュエーションに合ってないぶっ飛んだ第一声に対して、ジョネスが言葉を返す。

 

 

 

 

 

「ナシだって言ってんだろ、歳の差考えろ。()()()

 

 

 

 

 

 ジョネスは自分からくっ付いて離れようとしない少女の腕を片手で掴むと、強引に振り解いて助手席に引きずり出す。

 

 「きゃっ」と短い悲鳴を上げてシートに落下した少女を横目で睨み付ける。少女は懲りずにジョネスの腕をぺたぺた触りながら、エヘヘっと笑い声を漏らして、まるで太陽のような元気いっぱいの笑顔を浮かべていた。

 

 さらさらの黒い髪を軽く耳に掛かる程度のショートカットにした快活そうな少女は、ゼンジの娘で名を"エルマ"という。彼の亡き妻に似たのだろう、彼とは似ても似つかないパッチリとした大きな目の美少女だ。ジョネス曰く「マチと良い勝負だな……」との事である。

 

 ジョネスの教え通りちゃんと鍛えているようだ。引き締まった体が覗く、何とも肌の色が眩しいヘソ出しのスポーツウェアに身を包んだ少女は、着崩したカラフルな上着を羽織り直してから、ジョネスの腕に抱き付く。

 

 こいつ将来性あるな。今の時点でBカップって所か。だがマフィアの娘が軽々しくそういう事をするな、犠牲者が増えて行くだけだぞ。

 

 そんな事を考えながらジョネスは平静な声で問い掛ける。

 

「何でここにいる?」

 

「ジョネスと一緒にいたかったから!!」

 

「……これから、オレは違法な仕事をやるぞ?」

 

「いいよ〜。一緒にやろ?」

 

「ハア……。どうしてそうオレに拘るんだ? お前の親父と同じくらいロクな大人じゃねえってのに。教育に悪いなあ……」

 

「あはは!! ジョネスはパパよりクズでかっこいいよ!! 私が組長になったら、絶対ジョネスをお婿さんにするからね?」

 

 ジョネスは天を仰いだ。何でこのバカ娘はこうなっちまったのか?

 

 赤子の頃から撫でてやったり、肩車をしてやったり、プレゼントをやったり、遊園地とか流星街とかに連れてって遊んでやったり、手を繋いで歩いている時に絡んで来たチンピラ共をぶちのめしたり、念と戦い方を教えてやったりしただけだぞ?

 

 

 

 

 

 この子は将来、悪い男に引っ掛からないか心配だ。

 

 

 

 

 

 オレとゼンジで見張っててやらねえとな。

 

 ジョネスは己の腕に頬擦りをし始めたエルマを見て、真剣な声色で言った。

 

「エルマ、大事な話がある」

 

「えっ!!」

 

 真面目な顔をしたジョネスと視線が合ったエルマは、顔を茹でダコのように真っ赤にしながら、さっと助手席の端っこまで身を引いた。もしかして、と口に手を当てる。

 

 ややあってジョネスが口を開いた。

 

 

 

 

 

「肌出し過ぎだ。熱病に罹りてえのか? バカ女」

 

 

 

 

 

 ゾマホ密林は感染症を媒介する蚊やダニの宝庫である。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 ジョネスが車内でエルマを着替えさせている頃。

 

 流星街の外れで、地下の調査を終えて地面からズボッと顔を出したパン1の男が、廃車をベンチ代わりにしてそわそわと足を動かしている、せっかちな大男に向かって呼び掛けた。

 

「ウボォー!! この辺りは硬い岩盤が深くて良さそうだ!! 超破壊拳(ビッグバンインパクト)5発分くらいで掘り切れるぞ!! 行けるか!?」

 

「おう!! 待ち侘びたぜ蚯蚓!! 任せろ!! あと10発くらいは行けるぜ!!」

 

「流石だな!! オレが離れたら頼む!!」

 

 地下から地上に出た男。"蚯蚓"が足早にその場を離れるのを確認すると、気合を入れ直した大男。"ウボォーギン"は"硬"を纏った拳を、地面に向かって思いっきり叩き付ける。

 

 蚯蚓の見立て通り、5発分くらいでこれ以上掘り進めるのは採算が合わない岩盤に辿り着いた。

 

「「イェーイ!!」」

 

 新しい埋め立て地を完成させた2人の男は、ご機嫌にハイタッチして喜びを分かち合った。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 天高くそびえ立つ巨大な鉱山用の2台の重機を見て"梟"は唖然とした。

 

「おいおい、流星街にはこんなもんまで捨てられてんのかよ。流石に呆れるぜ……」

 

「足回り以外は修理出来たんですが、移動がどうしようも無くて……。シズクのデメちゃんは容量無限のはずなのに、一定以上の大きさの物は吸えないって言うし……。梟さんなら行けそうですか?」

 

 梟の呆れたような声に対して、クロロは心底困った風な面持ちで梟に尋ねた。これを使えればゴミ山処理の効率が段違いに上がるはずなのだが、足回りが完全に壊れていて自走出来ないので、今のところは夢でしかない。

 

「……多分、端っこから徐々に包んでいけば……。でも気が遠くなる作業だな……」

 

「1台やって貰ったらもう1台はオレがしますよ?」

 

「……そのまま能力借りパクしねえだろうな?」

 

 梟が笑いながら冗談めかして言った。その言葉にクロロは目を見開いて言い返す。

 

「しませんよ!! 心外だな……。心配ならマチの能力で"契約"しときますか?」

 

「疑ってるようで悪いが頼む」

 

「はいはい……。マチ〜!! オレと梟さんを"結んで"!!」

 

 少し遠くで外から仕入れた商品を確認していた美少女が、名前を呼ばれた事に気付いて、小走りで駆け寄って来る。

 

「梟さん、久しぶりだね。ジョネスどうしてた?」

 

「馬鹿やってた。まあオレも人の事言えねえが……。あいつハンター試験の受験期限過ぎてて応募できなかったらしいぜ? 帰って来るのは1年後くらいじゃねえか?」

 

 実際には、その後、ハンター協会の副会長を風俗に連れて行くのと引き換えにライセンスをおねだりする大馬鹿交渉を行っているが、梟が聞かされているのはそこまでである。

 

「ハア……だよね……。……ほら、2人とも指切りして"誓って"?」

 

 ずっとこの街にいる彼女ですらハンター試験の開催日くらい把握している。元保護者のアホ具合に溜息を吐いたマチは、気を取り直して両手の小指の先を合わせて間に一本の"赤い糸"を生み出した。

 

 クロロと梟は小指を絡めて、"条件"を口に出す。

 

「オレは梟さんの念能力、

不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)】を借りた後、3日以内に必ず返却する事を約束する。嘘吐いたら針千本飲みます」

 

「オレはクロロに能力を貸した後、クロロから能力を返して貰えなかったら針千本飲む。……マジで頼むぞ?」

 

 マチが小指の間に生み出した"糸"を2人の指に結び付ける。これにて"約束"は成立した。もし破ったらこの世の物とは思えない死体が二つ出来上がる。

 

 

 

 

 

死川心中(アノヒト)

 

 

 

 

 

 彼女の大事な男を縛る為の能力である。

 

 

 

 

 




はいオリキャラ出しちゃいました。
マルローが読者様に違和感なく受け入れられてるだけで、びっくりしてんのに……。

ジョネス、ゼンジ、梟、蚯蚓とか華がなさすぎて発作が出て来たので出しちゃいました。
作者が喜ぶ性癖をこれでもかとぶち込んだエルマちゃんです。オリキャラは諸刃の剣だ。これから大変だぞ。
ここからハンター試験パーティーを揃えて行くね。

あとエルマは変化系です。というかエルマも変化系です(変化系に好かれる男)。

あーあ、ジョネスもう逃げられないね。

マチ:変化系能力者(強化系寄り)
念糸(ネンシ)
オーラを糸状に変化させる能力。糸の強度は長さと反比例し、1メートル以内ならば1トン位の重量を吊れる程の強度となり、逆に木綿糸程度まで強度を弱めれば、地球を一周するほどの長さを紡ぐことも可能。ただし念糸が手元から離れると強度は極端に落ちる。
追跡や拘束、縫合治療、絞殺など、様々な用途に利用でき、応用の幅は広い。
死川心中(アノヒト)
両手の小指の間に特別な赤い糸を生み出し、その糸で指切りをした2人の人間を結び付ける事で、いつでも自由に破れる"約束"を結ばせる。
ただし、破ったらその2人はこの世に比類なき惨たらしい方法で死ぬ。

マチは約束を破ったら普通に絞死する能力のつもりだったが、何故かとんでもない死に方をする能力になってしまった。

おまけ
マチ「ねえジョネス。指切りしよ?」
ジョネス「何だ? ほれ」
マチ「ジョネスは2年以内にはこの街に帰って来てくれるよね?」
ジョネス「何だ? 多分帰って来るぞ」
マチ「この糸綺麗でしょ?」
ジョネス「おお!! 綺麗だな!! 図鑑で見た世界七大美色に勝るとも劣らない!! 念能力は凄えなあ」
マチ「こうやって巻くと指輪みたいだね。はい、契約成立」
ジョネス「契約?」
マチ「2年以内に帰って来ないと
 死 ぬ か ら」
ジョネス「ファッ!?」


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