流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

3 / 69
念能力の修行編。
絶対楽しいよね。


3.ネン×ト×マルロー

 

 

 念についての一通りの説明を終えたマルローとジョネスは、1秒でも早く修行を始めたいというジョネスの熱意もあって、すぐさまオーラを扱うに当たっての最初のステップへと突入した。

 

「じゃあ早速始めるけど、さっき説明した通りまずは全身の精孔を開かなくちゃいけないんだよね。流星街の外だと瞑想とかでゆっくり開くことの方が多いみたいなんだけど、この街では原則無理矢理開くことになってるんだ」

 

「はあ? 何だそりゃ。オーラが切れるまでに"纏"って技術を覚えなきゃ、そのまま干からびて下手すりゃ死ぬって話だったよな?」

 

「それで合ってるよ。まあ初歩中の初歩である"纏"も出来ない言っちゃ悪いが才能の無い奴に、貴重な念能力者が付きっきりで教えるのはリソースの無駄遣いっていうことらしいよ。弱肉強食のこの街らしいイカれた伝統だよね。どうする? やめとく?」

 

「……ここまで来て引けるかよ。マルロー、頼む」

 

「了解!! じゃあ派手に開けちゃうね〜」

 

 マルローはジョネスの胸の前に手をかざし、手慣れた様子でごく微弱なオーラを浴びせる。

 

 

 

 その瞬間、ジョネスから溢れ出た()()()()()()()()()()に明確な死のイメージを幻視し、咄嗟にその場から飛び退いた。

 

 

 

(馬鹿な!? 彼は念に関して全くの素人のはずだ。それが何だ⁉︎ この濃密なオーラは‼︎ そして何よりこの色、これじゃまるで()()()……!!)

 

 

 

 マルローの心中が驚愕で満たされる中、周囲に吹き荒れていたおぞましいオーラがピタッと止んだ。

 

 目を閉じて集中していた常識外れの男は、ゆっくりと目を開いてマルローを見る。

 

「これで良いのか? "纏"。ところで何でそんな遠くにいる……」

 

「あ、ああ。成功だ。思った数倍早かったね。少し驚いてしまったよ……」

 

 

 

 マルローは目の前にいる人間が、得体の知れない別の何かに思えてならなかった。流星街の怪人、誰が呼んだか解体屋(バラシや)ジョネス。彼の魂は何処から来た?

 

※別の世界からです。

 

 

 

 ものの数秒程度で"纏"を成功させたジョネス。その禍々し過ぎるオーラの質を除けば、心源流の師範代がこぞってスカウトするだろう才能を見せた彼は、いつも通りのサイボーグのような無表情とは裏腹に、内心でホッと胸を撫で下ろしていた。

 

(まったくの初めてだったもんで、才能無かったらどうしようかと思ったが、案外行けるもんだな)

 

 というのも彼は今まで流星街で生きて来た経験の中で、似たようなことを実践したことがあった。現在のように全身から吹き出たオーラを自在にという程ではないものの、垂れ流しにしていたオーラを無意識にコントロールしていたということだろう。

 

「"纏"か……、こいつの感覚はアレに似てるな。チンピラどもが刃物で襲いかかって来たときに、全身に気合を入れて筋肉で弾く感覚だ」

 

「えぇ……、どんな体してるのキミ……。普通は力まずもっと自然体でオーラが体の周りを揺らいでいる感覚って教えられるんだけどね。まあオーラをコントロールする感覚は確かに人それぞれなところはある。何がどうあれ出来てるなら大丈夫か」

 

「次は確か"絶"だったか? オーラを完全に絶って気配を消す技術」

 

「"絶"はこの街の人なら得意な人が多いね、誰も彼も警戒心MAXの野生動物みたいなものだし。やってみても良いけど"纏"を疎かにしないようにね。"纏"から"絶"、"絶"から"纏"。その間に少しでもオーラが垂れ流しになる時間があってはならない」

 

「承知した」

 

 ジョネスはそう言うと、いつだかの長老から受けた暗殺の依頼を思い出す。ゴミ山の中に隠れてじっとターゲットが通りかかるのを待っていたあのとき、あの野郎が時間にルーズだったせいで数時間もの間、ゴミにまみれて最悪の待ちぼうけをくらう羽目になったのだ。

 

 自分がゴミの一部になったかの如きあの感覚……。ジョネスを覆っていたオーラはたっぷり時間をかけて徐々に小さくなったかと思うと、やがて彼の気配ごとその存在を消失させた。

 

「……ゴミだ。オレはゴミだ……」

 

「……何故か急に卑屈になってるとこ悪いんだけど、それで成功だよ。本当に筋が良いね、ボクは楽できて良いんだけど、ちょっと嫉妬しちゃうな」

 

「……? まあ良いか、そのまま見ててくれ。ゴミになったオレがあの野郎が前を通りかかった瞬間に、バクッ!!」

 

 ジョネスはまたもや独特の感覚ではあったが"絶"から"纏"への瞬間的な移行を成功させた。マルローはあんぐりと口を開けて驚きをあらわにした。

 

「凄いね!! "纏"から"絶"は少し時間がかかったけど、こっちは完璧だ」

 

「……オレは鮫だ。海に帰りたい……」

 

「それいつまで続くの!?」

 

 こいつはかなりの変人具合だ。マルローは斜め上の才能を見せるジョネスの相手にちょっと疲れて来ていたが、念に関して変ではあるが難物では無い彼に文句の言いようがなく、数ヶ月単位を覚悟していたこの仕事が思ったより早く終わりそうだと呆れたように溜息を吐いた。

 

 




念能力の発って、絶対、自由自在に作れる訳じゃ無いと思うんだよね。
本人の能力とか気質とか拘りとか関わってくるはず。
特質系は特に、生まれ付き決まってる物だと解釈してます。
二次にありがちだけど、特質系だから何でも自由に能力作れるってのは、間違ってると思うなぁ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。