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今回はナニカのルールと満を辞してお家突入です。
メンチの膝の上に乗せられたキルアは、ゾルディック家に向かうトラックの車内で、妹が持つ不思議な力について自慢げに概要を語った。当の本人は、エルマの膝の上に乗せられてキャッキャと楽しそうに話し込んでいる。ちなみにトラックは5人で乗る車ではない。
「何でも願いを聞いてくれるって、そりゃ本当に
ジョネスはにわかには信じ難いといった様子で、確認するようにキルアに問い掛けた。キルアが言うにはアルカのおねだりを3回聞いたら、代わりに彼女は願いを何でも叶えてくれるという。
「空を飛ぶみたいに高い高いもやってくれるし、チョコロボくんも出してくれるし、あっという間にお花を摘んで花束も作れるんだ。一番凄かったのは死んじゃいそうな小鳥を一瞬で治しちゃった時と、敷地の端っこで遊んでたのに一瞬で家の前まで移動した時かな?」
子供らしい些細なお願いの内容にジョネスは「フン、何が何でもだ」と鼻白んだが、すぐ後にぶち込まれた超自然的な治療能力と超高度な移動能力を聞くと、眉間にシワを寄せて真剣に悩み出した。
(直接触れずに高い高いができる? 変化系で見えない腕でも出してんのか? お菓子を具現化? 花を集めるのは操作系か? 極め付けに超高度な強化系と放出系? その歳で? 訳が分からんな)
そしてジョネスは一番大事な部分に触れる。
「んで4回断ったら死ぬと?」
「うん、ちゃんとアルカにお願いして、断っちゃったらどうなるのか教えてもらったよ」
「ふざけんなよ……」
「何よそれ……。何でもできるって滅茶苦茶じゃない……」
ジョネスは色んな感情がない混ぜになったイラつきを隠そうともせず、メンチはお前が言うなって感じだが、願いを何でも叶えるという破格の能力に驚愕していた。
[4つ目の求めは断らない方がいい 死神はあなたと裁縫箱を永遠の眠りに誘うのだから]
ジョネスはネオンの占いの4つ目の詩を思い出す。"永遠の眠り"とかいう死を暗示する内容が書かれてたから、その部分だけははっきりと覚えていた。
まさかこんなぶっ飛んだことを意味しているとは思わなかったから、アルカのおねだりを3回目までは無視したのだが、4回目で嫌な予感がして求めに応じたのだ。結果から言えば大正解だったという訳だ。
そしてもう一つ引っ掛かる物を感じた。
アルカのおねだりに失敗すると、ジョネスだけじゃなくて"裁縫箱"も死ぬようだ。
「キルア、覚えてたらアルカに確認した内容をそのまま話してくれ」
「確か……。"4回聞かないと、仲良しと死ぬ。お願い大きいと、いっぱいの仲良しと死ぬ"って言ってたよ?」
「……オレとマチか……」
「……私とパパかもね……」
遊び疲れて寝てしまったアルカの背中を撫でながら、話を聞いていたエルマも青い顔をしてそう言った。
エルマの3つ目の占いは[4つ目の求めは断らない方がいい 死神はあなたと達磨を永遠の眠りに誘うのだから]である。天使による自動筆記にも髪がないやつ扱いされているゼンジの顔と達磨が同時に頭に浮かんで、思わず吹き出しかけたが、笑ってる場合じゃないと気を取り直して、ジョネスは今の所判明している情報を整理する。
占いとキルアの言う事を照らし合わせると、ジョネスは一番親しい裁縫箱と仲良死するし、エルマは達磨と仲良死する。そして叶えた願いが大きければ大きいほど、代価として次に失敗したときの犠牲者は増えるという解釈ができた。いっぱい死ぬというのは親しい者順だろうか?
「キルア、とりあえずメンチの飯食べた後でシルバに相談するぞ」
「えぇっ、私の料理が先なの!? 優先順位おかしいって!!」
「えぇ〜!! オレとアルカだけの秘密だよ!!」
「まずは飯食って落ち着こうぜ。幸いおねだりは難易度が低いし、今のターゲットはオレだ。時間はある」
まだ判然としないが、おねだりの難易度が一定だとはとても考えられない。
ブー垂れるキルアに向かってジョネスは、責任ある大人として真剣な表情で語り掛けた。
「このままだと全員死ぬぞ? お前も、お前の家族も」
あとオレも、とは敢えて言葉にしなかった。こいつがクソジジイの命を真剣に考えているとは思えない。いつか心臓抜き取ってやろうとか考えていそうだ。
キルアはいつも楽しく遊んでくれる、アホで優しくて大好きなジョネスおじさん(変化系に好かれる男)から出た真剣な言葉に、冷や汗を流してシルバへの報告を了承した。
ジョネスはフロントガラスに向き直り、キルアには見えないようにニヤリと笑った。
(最高に面白そうだ)
何とも無責任な大人である。
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執事達に挨拶して受付と荷物のチェックを終えた後、そのままトラックを走らせる。少しして遂にゾルディック家の本邸が見えて来た。
屋敷の前でソワソワと行ったり来たり動き回る白髪の大男が見える。トラックが到着した事に気付くと、ジョネスにだけ分かるくらい一瞬嬉しそうな顔を見せてから、すぐにいつものキリッとしたポーカーフェイスに戻った。
(お前の娘のせいで死にかけたんだぞ!! こっちの気苦労も知らねえで……!! あの野郎……!!)
ジョネスは第一級の関係者のくせに事態を何も把握していない友人に少しイラっと来たが、よく考えたらあいつは何も悪くない事に気付いて、親しげに声を掛けた。悪いのはこんなド級の厄ネタを実の親にも隠していたクソガキである。
「シルバ!! 久しぶりだな!! 料理人も連れて来たし、コレクションも持って来た!! 今夜はパーティーだぜ!!」
「おう、何でキルアとアルカを誘拐しているのかは置いておこう。監視カメラに映ってる完全に伸びたミケの事も置いておこう。相変わらずの馬鹿野郎が」
明らかにいつもとテンションが違う父の姿にキルアは目を丸くした。
「まさかずっと外で待ってたのか?」
「そんな訳ないだろう。たまたまだ」
たまたま1時間くらい家の前にいる奴がどこにいるのか。キキョウとイルミは何度も連れ戻そうとしたし、ゼノは呆れて「放っとけ」と一言だけ言うと自分の部屋に戻って茶を飲んでいる。マハは基本ノータッチである。
ジョネスは全員をトラックから降ろすと連れて来た人間を紹介する。
「こいつは今オレが雇ってるアマチュアハンターのメンチだ。今日の料理を担当してくれるぜ」
「よろしくお願いします〜!!」
メンチは猫を被ってニコニコと礼儀正しく自己紹介した(変化系は嘘つき)。一方で本心ではジョネスの撒き散らす暴力的な雰囲気とは違う、シルバの一点に殺気が集中したような剣呑なオーラに気圧されて竦み上がっていた。
「女連れとはいい身分だな? マチの嬢ちゃんも苦労する訳だ」
「茶化すんじゃねえよ、こいつはそんなんじゃねえって。料理の腕については気にならないのか?」
「お前がわざわざ連れて来たんなら、それ以上聞く事はない」
"あなたを信頼していますよ"と言外に言われて、ジョネスは照れるように頭をかいた。そしてそれを隠すようにエルマの肩に手を置く。
「こっちはヴェンディッティ組のゼンジの娘でエルマっていう。将来の顧客だぜ? ほら、礼儀正しくしろよシルバ」
「これはこれは何とも可愛いらしいマフィアだな。エルマ様、どうかゾルディック家を末永くご利用よろしくお願いします」
シルバが冗談めかして大仰な仕草でエルマに頭を下げる。エルマはアハハッと笑ってしゃがみ込むと、頭を下げるシルバと下から目を合わせた。メンチは冷や汗を流している。エルマはクソ度胸というか微妙に頭がおかしいのかも知れない。
「エルマだよ!! よろしくね!! 私の学校の理科の先生がムカつくの!! 殺して!!」
「いいぞ、5億ジェニーだ」
「え〜!! 高いよ、サービスして!!」
「嬢ちゃんが大人になったら、最初の依頼でな」
シルバはそう言ってポンポンとエルマの頭を撫でると、エルマは今の物騒な会話をすぐ忘れてしまったかのように、太陽のようにニッコリと笑った。
ジョネスはその微笑ましい光景を見て一つ笑うと、しゃがみ込んで隣にいたもう2人の子供と肩を組みながら言った。
「こっちはキルアとアルカだ、道中で拾った。侵入者かもしれん。殺しとくか?」
「そうしたらオレがお前を殺すぞ?」
「そうしたら流星街の軍隊がゾルディック家に攻め込んで来るな」
「ままならんものだな」
「復讐の連鎖は止まらねえってばよ」
冗談の連鎖も止まらなかった。
ジョネス、本当の親友とはそういう人だぞ。早く副会長と犬を解放してやれ。
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夕食の為にメンチを厨房に向かわせたジョネスは、擦り寄って来るエルマを定期的に振り払いながらゾルディック家の面々に挨拶回りをしていた。シルバとキルアはメンチを案内する為に一緒に付いて行った。アルカは母親の膝で寝ている。
ちなみにエルマは初対面の人がいる時に、特にベタベタくっ付いて来る。大勢の人に見せ付けて既成事実を作ろうとしているのだ。エルマは頭がいいのかも知れない。ただし裁縫箱の前では気を付けよう。
「ジョネス、久しぶり。キルに変な事教えてないだろうね? 殺すよ」
「フン、お前にオレが殺せんのかよ? できもしない事を言うもんじゃねえぞ。それに本当に殺す奴は殺すなんて言わねえ。殺すって言った時には既に行動は完了しているはずだ」
「……確かに……」
さらさらの長髪に能面のような顔が特徴的な青年、長男のイルミはジョネスに頭を撫でられながら気にした様子もなく、彼から掛けられた言葉について考え込んでいた。
(こいつ本当に真面目だな。流石ゾルディック家の跡継ぎだ。変な所でこいつが殉職しなけりゃこの家の将来は安泰だろう)
ジョネスが的外れ、とも言えない事を考えていると、イルミがジョネスにくっ付いているエルマを見て、突然の爆弾発言をかました。
「君、良いオーラしてるね。その歳にしてはなかなか出来そうだ。オレと結婚しない?」
「ファッ!?」
エルマが野獣のような驚きの声を上げた。
いつもジョネスに対して言っているような事が、突然自分に返ってきた。いつもはジョネスに対して恥ずかしげもなくそういう発言をしている癖に、自分が言われる想定はしていなかったようだ。
イルミの爆弾発言はエルマの心の許容範囲を一瞬でオーバーしてしまった。エルマが口に手を当て、茹で蛸のように真っ赤になって、完全に固まる。
「ゾルディック家の男としてご多分に漏れず、オレも結婚相手に困ってるんだよね。本当はオレくらいの歳になると、もう許嫁がいた方が良いんだけど。どう、オレと結婚しない?」
「……い、いきなし……。しょんな事言われても……」
イルミは溺愛するキルアの嫁探しとなると引くほど真剣になるだろうが、自分の嫁となると正直誰でもよかった。将来のゾルディック家の為に子供は多い方がいいのは分かるが、容姿とか性格とかはどうでもよかった。
そこに現れたのが、突然家に転がり込んで来た少し年下の優秀そうな少女だ。暗殺者一族なのだ、嫁も強いに越した事はない。多少強引でもこれを逃す手はなかった。
エルマは救いを求めるようにジョネスの方を見て、ジョネスと視線が合った。「この女はオレのお姫様だ。世界を敵に回そうが絶対に渡さねえ!!」とか、ジョネスが絶対言いそうにない事を言ってくれる事を期待したが、期待は敢えなく裏切られた。
「おっ、悪くないんじゃねえか? イルミは仕事ができる奴だし、愛する人には(過剰で歪んだ)愛を一生懸命に注いでくれるぞ? 見た目も悪くないだろ。キキョウ譲りの整った(整い過ぎた)顔立ちにサラサラロングでお金持ちでマッチョな貴公子だぜ?
そこまでのコネがあったらゼンジは十老頭確定だな」
エルマは今度は怒りで顔を真っ赤にして、ジョネスの脚を蹴り飛ばした。
イルミの告白は丁重に断った。無表情な彼にしては、ジョネスでもはっきりと分かるくらい残念そうにしていた。
帰り際にイルミが早速ジョネスに言われた事を実行しようと、ジョネスの背中に針を刺そうとしたが、全く刃が立たず針が根本から折れた。
イルミは仕返しにくらったジョネスのゲンコツ一発で地に伏した。
仲良いなこの兄弟。
エルマは怒ってメンチのもとへ愚痴を言いに走り去って行った。
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ジョネスはシルバの妻である流星街出身のキキョウの部屋(シルバの寝室でもある)を訪れると、持って来たアルバムを広げて、気難しい彼女とも特に問題なく談笑に興じていた。
アルカは夕食の時間まで余裕があるので一旦ベッドに寝かせている。
「ほら、これが第2工場で仕事してる時のシズク。作業服着ろって言ってんのに一向に着やがらねえ、まったく、破傷風になっても知らねえぞ?」
「まあ!! もう立派にお仕事をしているのね。素晴らしいわ……!!」
ジョネスが見せた写真には、掃除機を片手に一回り年上の従業員達に指示を出しているシズクという少女が写っていた。短い黒髪に大きな目をしたキキョウに良く似た雰囲気の少女だ。
写真の後ろの方には、罰ゲームで汚物を処理させられて茶色くなった作業服を着たしかめっ面のクロロと、それを見て爆笑するシャルナークとフランクリンが写っていたが、見苦しかったのでスルーされた。
「こっちがバーベキューやった時の写真。隣にいるのは友達の女連中だな。左からシーラ、パクノダ、サラサ、そんでシズクを挟んでマチだ」
「お友達まで沢山できて……!! あの人への愛の為とは言え、全てを捨てて飛び出して来てしまったから、ずっと心配だったの……良かったわ……」
地道なゴミ処理の結果、新しく完成した第3緑地の青々とした風景の中で、バーベキューパーティーに興じる少女達が満面の笑みでカメラに笑顔を向けている写真に、キキョウは感激しておいおいと泣き出してしまった。
写真の後ろの方には、額に血管を浮かび上がらせて拳を握るジョネスと、そのそばで倒れているウボォーギンとフィンクスとノブナガが写っていたが、見苦しかったのでスルーされた。
「こっちはちょっと古いな……。オレがあげたメガネを掛けてみて、初めての視界に驚いてる時の写真だ」
「何てかわいいの……」
写真の後ろの方には、サングラスを掛けてカッコよくポーズを決めるフェイタンが写っていたが、全然似合っていなかったのでスルーされた。
キキョウはその後もジョネスに説明されながら親戚の少女の写真を眺めて、その度に面白いくらい大げさなリアクションを返した。
おもしれー女……。
「流星街はどんどん変わって行ってるぜ? 今年中には5年かけて育てた念能力者の軍隊を使った新しい事業を始めるつもりだし、長老会とサヘルタの交渉は大詰めだ。それにオレがこれからハンター協会にもコネを作りに行く所だ。
あとは不発弾の処理って名目でこっそり集めて、ニューク1発、VX弾2発、租唖菌2発分、薔薇4発を確保している。長老会の500人分の
凄まじく不穏な言葉が聞こえたが、キキョウは感激して手を口に当てて号泣していたので、細かい部分までは聞き流してしまった。
「こっちはシズクの8歳の誕生日の時の写真だ」
そこには兄貴分や姉貴分達に揉みくちゃにされながら、大きなケーキの前で満面の笑みを浮かべている少女の姿が写っていた。
写真の後ろの方には、エプロンと三角巾をつけたクリーム塗れの調理器具を両手に持ったジョネスが写っていた。
キキョウはスルーせずにそれを指差しながらジョネスを見て笑った。
ジョネスは「フンッ」と言って、顔を赤くしながら腕を組んでそっぽを向いてしまった。
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「あれ、ミルキいねえの? 今天空闘技場? よっしゃ、いっちょ揉んでやるか……。デブは人権ねえからな……。切れ長のイケメンになる素質があるのにしょうがねえ奴だぜ……」
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カキン風の赤色を基調とした豪華絢爛な部屋で、お茶を飲みながらテレビで"水曜日のダウントーン"を見ている老人に、背後からジョネスが大声で話し掛けた。
「よう!! 来たぜ!!」
「どわぁっ!! 熱っち!!」
"絶"で完全に気配を断ったジョネスにいきなり背後から話し掛けられて、驚いて思わず湯呑みから熱いお茶を溢してしまった老人は、恨みがましくジョネスを睨み付けた。
「性懲りもなく来よったか、ワシの息子に近付く悪い虫が……」
「邪魔してるぜ、ゼノ。ちょっと話そうぜ」
ジョネスはそう言いながら妖しげなオーラが漏れるケースを机の上で開いた。そして中にあった[妖刀ムラマサ]をゼノに手渡して雑談に興じる。
「良い刀だろ? 3億した。
キキョウから良く分からん事を聞いたんだが、ゾルディック家の後継者はどうなるんだ? オレはてっきりイルミだと思ってたんだが……」
何もかも唐突で直球過ぎるジョネスの質問に、ゼノは少しだけ抜いたムラマサの刃紋を見て「ほぉっ」と感嘆しながら答えた。
「職人が一本一本鍛え上げるジャポンの刀にはオーラが籠もる事が多いが……これは別格じゃの。もはや呪いの域か……何ともお主が好きそうな品じゃな。
ゾルディック家は長子相続ではない。一番殺しの才能がある奴が家を継ぐ。それが今代はキルアという事じゃ」
「キルアは割と感性がまとも過ぎる感じだぜ。妹ができて庇護欲からか、なおさらそれが加速している。向いてねえんじゃねえか?
それにイルミの立場はどうなるんだよ。歴代当主と遜色ない才能はあるし、性格も殺し屋向きだってのに、いきなり後から生まれた弟に当主の座を掻っ攫われるって……ありゃあ歪むぜ?」
ジョネスはキキョウの部屋から出る時に、ゾルディック家の跡継ぎがキルアになったという旨を聞いていた。ジョネスとしてはこの決定は兄弟で一番才能があるが、同時に殺し屋に向いていなさそうな弟の彼と、殺し屋しかできなさそうな兄のイルミの、どちらも幸せにならないような予感がしていた。
「……ワシもその辺は危惧しておるが、もうゾルディック家の当主はシルバじゃ。ワシにはどうする事もできん。
シルバは才能だけを見て、本当の意味で息子の事など見てはおらん。なまじ自分が才能も性格も完璧だったから、そうではない人間の事を考える事ができんのじゃろう……。あいつは暗殺者に向き過ぎてせっかく自由になれたはずの家出も長続きせんかった男じゃ。故にワシにはどうする事もできん……。
乱れ刃か……。刻一刻と変化するオーラも加わってワシでも刃紋を捉えきれん……。極端に危険であり、極端に美しい刀じゃな」
「だからよ、アンタから何か言ってやれって。"あなたは愚かな事をしていますよ"ってな。どんな人間関係でもそういうの大事だと思うぜ? オレは最近故郷を離れてから痛感してるよ。
その刀、使えると思うか?」
箪笥からきめの細かい布を取り出したゼノは、刀を抜いて刃の部分を布ごしに手で支えながら切先まで入念に鑑賞する。
「お前に当主を任せる。と一度言った以上、下手な口出しはシルバにとってもワシ自身にとっても最大級の侮辱となる。まあ、ワシも長く生きておるからな。普通の家庭なら口出しした方が良い場面なのは当然分かっているが、ウチが普通じゃないのはお主もよく理解しているじゃろう?
相当な業前でないと、この刀の方が持ち主を認めてくれんぞ。刀が持ち主を選び、相応しくなければ使い手を容赦なく食い殺す。まさしく諸刃の剣。妖刀とはよく言ったものじゃのう……」
その言葉を聞いて、伝説の暗殺者一族が色んな意味で行き詰まっていると感じたジョネスは、ため息を吐いてゼノに同情するように会話の最後となる言葉を発した。
「ままならねえなあ……」
「……それが人生じゃ。
むしろお主はワシらとは違って、既に一代にしてままならん街だった故郷を救わんとしておる。ワシがお主を部屋からも家からも追いださんのは、お主を尊敬しておるからじゃ。息子との縁を否定せんのも、お主はシルバにいい影響を与えていると感じておるからじゃ。
……熱を持たない闇人形には金以上の、金以外の価値がある殺しはできんよ……」
ゼノは刀を見納めてジョネスに返却すると、腕を組んで天井を仰いで目を閉じて、それ以上何も言わなくなってしまった。
ジョネスも同様だった。
ナニカのルールはややこしくてなかなか書き切れない。原作を読んで下さい。
おねだりに失敗したら最も「親しい人」と死ぬ。あっ(察し)。
シルバは原作にはないくらい楽しそうですね。昔隣にいた親友とジョネスを重ね合わせているのでしょう。
キキョウとシズクが親戚とかいう捏造設定。
髪の色とか目の大きさから言って可能性あると思う。
そして流星街の軍備チラ見せ。国際承認に向けて抑止力が必要だね。
後継者はイルミでいいだろ!! あんないらない子みたいな扱いの立場は、心が歪むに決まってるよ。普通に可哀想だよ。
【
放出系、強化系、変化系の複合能力。
流星街の長老会に所属する強力な意思を持った500人の念能力者による
250人の太陽組が儀式を行い生み出す太陽(プラス)の刻印に、250人の月組が儀式を行い生み出す月(マイナス)の刻印を、物や生物に重ねて押すことで、大長老が任意のタイミングで爆発させる事ができる超威力のオーラ爆弾となる。
放出系の技術によって持ち運ばれた、または自分自身で歩くオーラ爆弾を爆発させると500人分の強い思いが込もった非常に強力な爆風と熱に変化したオーラが、500人分の強い思いで爆発力が強化され、爆心地から1キロメートル以内の建物と生き物をほとんど全て焼き尽くし崩壊させる。
1キロメートルを超える地域でも、爆発の余波によってその場にいる人間の精孔を無差別に無理矢理開き、更に離れた地域でも撒き散らされたオーラがウイルスのような性質に変化し、生物から生物に連鎖感染すると、1週間後に劇毒化して保菌者を戸籍も人権もないゴミのような異形に変えて死に至らしめる。
流星街に廃棄物の如く降り積もった、1500年分の悲しみと憎しみと悪意が込もった人類史上最大の念能力の一つである。