流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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はい何ともう3話目が書けちゃいました。
明日の朝投稿しても良いけど、我慢できないからもう投稿しちゃう。

今回はお店の準備と、珍しく大人なジョネスと、弟の悲劇と、おまけにジョネスと絡みが少なかった彼とのお話です。

あと細かい修正をします。改めて見るとサブタイトルが分かり辛いので、各話ごとに番号を振って、ついでにいつだったか指摘された、!!表記を!!表記に改訂して行きます。




36.テンポ×ト×インボウ

 

 

 

 天空闘技場のふもと。この街の一等地中の一等地に立っているクラブハウスのような大きな建物に、流星街の念能力者達が続々と集まって来て、新しく開店する予定のジョネスとメンチの店の突貫工事を行っていた。

 

 だが実情は半分は工事で半分は仲間内でのどんちゃん騒ぎといった様子で、工事は遅々として進まなかった。

 

 しかし、初めから女の子なメンチが現場監督に就任すると、彼女の的確な指示で内装がどんどん完成していく。メンチはあのおっさんの知り合いに初めから期待するんじゃなかったと後悔の言葉を漏らした。

 

「フィンクス!! その机はあっちに置いて!!」

 

「あぁっ!? "レインボーセブンスシージ"だとこういう感じだろうが!! 銃撃戦の時どうすんだ!?」

 

「私の店で何する想定してんのよ!!」

 

 フィンクスが「チッ!! 馬鹿みてえな格好してる癖に」と悪態を吐いたが、メンチに鬼の形相で睨まれて冷や汗を流すと、口笛を吹いて誤魔化しながら机を指示された場所に持って行った。

 

「ヒソカ!! そのモニターはあっち!! あぁっ!? そっちじゃないって!! クロロに付いて行くのをやめなさい!!」

 

「体が勝手に動いちゃうんだよ♡ そもそも何でボクまで手伝わなきゃいけないのさ♤」

 

 サイズ的に一人では持てなさそうな巨大なモニターを、手のひらに貼り付けるという不思議な持ち方で何とか持ったヒソカは、明かりに引き寄せられる蛾のように近くを通りがかったクロロに吸い寄せられる。

 

 顔を引き攣らせて逃げて行くクロロを見て「残念♡」と呟いたヒソカは、メンチに対して馬鹿みたいな行動とは裏腹にごもっともな文句を言った。

 

「このお店が完成しないと、こいつらと試合が出来ないわよ? うわぁ!! いきなり落ち着いて素早くなるな!?」

 

 真面目な表情をして誰よりも仕事に真剣になったヒソカは、メンチが驚くくらいの爆速で物を運び始めた。

 

「フェイタン!! ステージに椅子置いてどうすんの!?」

 

「もちろんショーの為ね」

 

「不穏な事を言うな!! その拘束具は何なのよ!?」

 

 フェイタンが肘掛けとベルトが付いた私物の椅子を、店の中で一番目立つモニターの前に置こうとする。しかし、「フィンクスとジョネスより馬鹿ね」とメンチに呆れながら言われると、ガーンと大きなショックを受けた表情をして、そのまま椅子に崩れ落ちて頭を抱えて塞ぎ込んでしまった。

 

 この馬鹿が同じ変化系のメンチの師匠役だという事に、まだ彼女は気付いていない。

 

「メンチちゃん、こんな感じでいいかな?」

 

 知り合いが見たら「珍しくガスマスクしてねえんだな」と呟いたであろう、消防士のようなオレンジ色の外套にすっぽりと身を包んだ男は、任されていた天井のモニターを全て取り付け終わるとメンチにそう尋ねた。メンチは客席全体の事を考え尽くしたその完璧なモニター配置を見ると、目を輝かせて親指を立てて絶賛した。

 

「カサイさん!! クソ有能!! 流石所帯持ちは違うわね!!」

 

「いやいや、気にしないで。次はモニターの配線繋いどくよ」

 

「紳士的だし素敵♡ あなたに妻子がいなかったら告ってたかも……」

 

 仕事が出来ない奴らとの振り幅が凄過ぎたせいで、メンチは普通に作業しているだけのカサイに何故かキュンキュンときめいてしまった。クロロはそれを見て笑いながら冗談めかして言った。

 

「気を付けなよメンチ。カサイさん能力使うと人格変わるよ?」

 

「何言ってんのよクロロ。こんな素敵なお兄様がそんなおかしな奴な訳……」

 

 クロロの発言を疑うメンチに対して、カサイ本人から肯定の言葉が飛び出す。

 

「ああ、それ本当だよ。第2の人格は放火魔で、第3の人格はテコンドーの達人だ」

 

「テコンドー!? 脈絡なさすぎでしょ!?」

 

 なお第3の人格は滅多に出て来ない。

 

 

 

 

 

 何やかんやあったが、こうして天空闘技場の試合が観戦できるスポーツレストラン「イン・ユーテロ」が完成した。

 

 凄く何かを育みそうな名前だが、その真意を知る者はまだ数が限られている。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 天空闘技場の応接室にて、ジョネスは闘技場の責任者と交渉を行っていた。目的は放映権の買い付けと、優秀な選手達を斡旋する事を交換条件としたゆすりである。

 

「お久しぶりです、ジョネスさん。放映権の買い付けはちゃんとお金を払って下さるのならいつでも大歓迎ですが、賭博と運営に一枚噛ませろってのは流石に……」

 

「おいおい、オレがいた時の過去の盛り上がりを忘れたのかよ? 人の親切は大人しく受けとけって、それに最近マンネリ気味らしいじゃねえか。150階から200階くらいの選手も見所がありそうなら育てて、どんどん200階に送り込んでやるよ。最終目標は200階以上のクラスの大規模放映とギャンブル完全解禁だな」

 

 ジョネスはダメ押しと言わんばかりに、保有する全体の9%の株式を資料と一緒に提示する。主要株主一歩手前の株式保有率を誇る一流の念能力者が、その上で興行を大々的に手伝ってやろうと言っているのだ。

 

「この株はオレに対する人質になるだろ? これで一連托生だ。途中で放っぽりだしたりはしねえよ」

 

 ジョネスはそれを聞いても尚、「う〜ん」と唸って首を縦に振ろうとしない責任者を見て溜め息を吐いた。かなり心が揺れ動いているようだが、後一押しが足りていない。仕方がないので隠していた手札を更に切る。

 

 

 

 

 

「分かった。ちょっと耳を貸せ。お前"協専ハンター"って知ってるか? それと"百足"についてだ。お前にだけ一足先に教えてやるよ」

 

 

 

 

 

 数え切れないほどの優秀な選手を安定的に出場させる事が出来るそのプランの詳細を聞いて、責任者の男はついに折れて、満足そうな笑顔でジョネスの手を取った。

 

 

 

 

 

 ジョネスが蛇蝎の如く嫌う念能力界の既得権益者。

 

 "心源流"を全力で殴り付ける準備が着々と整って行った。

 

 親友の副会長お得意の強制二択の準備も着々と整って行った。

 

 拠点となるのはここ、天空闘技場だ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 天空闘技場に到着したフランクリンとその肩に乗るエルマの二人は、当初の予定通り闘技場でのスカウトの任についている流星街の仲間、サラサと合流した。

 

「初めまして!! エルマです!! ジョネスの未来の妻です!!」

 

「ごめんやしておくれやしておくれやっしゃー。エルマちゃんやね、はい覚えたで」

 

「ようサラサ、サクラも一緒だったか」

 

 フランクリンは思いがけず出会ったサクラを見て目を丸くした後、エルマの微笑ましい発言に笑みを浮かべた。純粋な子供が慕っている大人に意味も分からず告白するなんて良くある事だ。

 

 サクラのよく分からんギャグはみんなでずっこけてやらないと拗ねるのだが、今はエルマを肩に乗せているので断念した。誰もずっこけてくれなくて拗ねたサクラは、「え〜ん」と棒読みで言いながら隣にいる男に泣き付いていた。

 

 フランクリンはとりあえず用件を済ませてしまおうと端的にサラサに尋ねる。

 

「スカウトの調子はどうだ?」

 

「フランクリン!! 何人か見つけたよ!! ギドって人とリールベルトって人とサダソって人。あとはカストロって人が結構出来そうなんだけど、まだ了承して貰えてないの……」

 

「カストロって奴はオレらの手の者を使って一回ボコってやりゃ良い。そうすりゃ自動的に転がり込んで来るさ」

 

 フランクリンは顎に手を当ててニヤリと笑いながらそう言った。そしてサクラの隣にいる無表情な青年に目を向ける。サクラがその視線に気付いて青年を紹介した。

 

「このお兄さんは"イルミ=ゾルディック"くんや。ジョネスの知り合いやって」

 

「"ゾルディック"か……流石に出来そうな雰囲気だな……。オレは"フランクリン"って者だ。そんでこの子はエルマ」

 

「うん、知ってる。その子と一緒にここまで来たし」

 

「えっ」

 

「そうだよ〜!! イルミしばらくぶり〜!!」

 

 元気よく再会を喜ぶエルマと軽く手を振り返すイルミを見て、フランクリンは首を傾げて悩むような仕草で言った。

 

「関係性がややこしいな……」

 

「とりあえず全員ジョネスの知り合いって事で良いんじゃない?」

 

「それもそうだな」

 

 大雑把なフランクリンはサラサの簡潔な言葉に同意する。そして次にベッドの上でうつ伏せになって、「ヒックヒック」と何やらしゃくり上げている太った少年に目を向けた。

 

「あいつは? スカウトした奴か? 才能なさそうだが……」

 

「ほんまやで、あれじゃただの豚や豚」

 

「不肖の弟です。物凄く迷惑かけると思うけど鍛えてやってよ」

 

「あの子は友達になった"ミルキ=ゾルディック"だよ」

 

 

 

 

 フランクリンとエルマは眉をひそめて同時に首を傾げると、心底不思議そうな声色で言った。

 

「"ゾルディック"? あれが? あれで?」

 

「えぇっ!? シルバと違って全然かっこよくな〜い!! キルアとアルカと違って全然かわいくな〜い!!」

 

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁん!!」

 

 

 

 

 

 流石に可哀想に感じたサクラが落ち着かせようとして、号泣するミルキの背中を優しく撫で始めた。

 

「何してんの?」と、全く意味が分からないといった様子でそう言った鬼畜な兄は、サクラに「弟やろ?」と諌められて一緒にミルキを撫でるように促された。

 

 その間、ずっとイルミは頭の上にクエスチョンマークを浮かべていたが、とりあえずサクラの言う事は世間一般の常識のようなので、大人しく言う事を聞いて、ミルキが泣き止むまでサクラの真似をして優しく背中を撫で続けた。

 

 無言で弟の背中を撫でるイルミを見て、サクラがニコッと満開の笑顔を浮かべて満足そうにイルミに笑いかけた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「シャル、ホームページの出来はどうだ?」

 

「やあジョネス、もうほとんど完成だよ。こんな感じ」

 

「おおっ!! 流石だなあ!!」

 

「頭撫でないでよ……えへへ」

 

「後は宣伝用の動画撮影して貼り付けたら終了か。今の所、フランクリンとカサイは"発"を公開するのに同意してくれてる。損な役回りだが、2人ともバレてもあんまり影響ねえからなあ」

 

「あの2人かあ……。確かに知ってたらどうにかなるってものでも無いね。ウボォーとノブナガは既に2人で喧嘩してる動画を送って来たよ。あの2人も知られても問題ない2人だね」

 

「それにしてもこの厨二なデザインは何だ? お前の趣味じゃねえだろ」

 

「じゃあジョネスに問題!! これ誰の趣味だと思う?」

 

「クロロ」

 

「即答じゃん……。当たってるけど」

 

「あいつスーツ着るだけでそこらのイケメン余裕で蹴散らすスペックなのに、無駄に変な服着たがるよな。何だあの首元のふわふわ? 逆さ十字て……。何歳(いつ)までやってんだよ」

 

「テッカテカのオールバックにして来た時は笑ったねえ」

 

「あれは死ぬかと思った。真面目な表情される程キツかった。ブフッ!! 駄目だ、思い出させんなよ……。くくくく……!!」

 

「ふふふっ、あははははははは!! 駄目だ、忘れるようにしてたのに!! ジョネスのせいだよ!?」

 

「くくくっ、ぎゃははははははは!! お前のせいだって!! 言い出しっぺはお前だろ!?」

 

「叩かないでよお!! あっはっはっはっは!! ひい〜!!」

 

「そっちこそ叩くなって!! ぎゃっはっはっはっは!! 死ぬ〜!!」

 

 

 

 

 

 シャルナークとジョネスは、頭脳労働者と現場労働者なので絡みが少ないが、凄く仲が良いようだ。

 

 

 

 

 




現場監督メンチ。現場監督に対する風評被害が凄い。
流星街組のみんなの趣味が垣間見えますね。
カサイさんは妻子持ちの火災さんでジョネスの友達です。
インユーテロ大好き。

ジョネスのダーティーな交渉。子供達がはしゃいでる裏で色々と手を回してる大人達ってかっこよくない? 副会長はやっぱり親友。
ダーティーディーズダンダートエクスペンシブ。

頑張れミルキ♡ 負けるなミルキ♡
大丈夫かイルミ……。

シャルナークは馬鹿な事しないので、ジョネスとの絡みが少ない事に気付きました。でも仲悪い訳じゃないよって話です。クロロは天然かも知れない。
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