こっちが本当の4話目です。
原作だけだと強化系の強みってのが、イマイチ分からない。
念能力者としての練度とか、生まれ付きの化け物とかが、強化系有利な局面で、そいつらを圧倒してしまう場面が多い。
という訳で念能力について、個人的に解釈させて貰ってます。
念の修行を始めてから1週間。念能力の基礎となる部分の習得は遂に最後の段階に入っていた。
「それじゃあ始めるぞ。"練"!!」
掛け声と共にジョネスの体からオーラが迸る。それを見たマルローはパチパチと拍手をして苦笑しながらジョネスに語り掛けた。
「……それだけ出来たら十分だね。"纏" "絶" "練"ついでに"凝"まで1週間かからずやって退けるとは、本当に脱帽だよ。にしても相変わらず何なのそのオーラの色と量は? キミはあんまり人前で"練"をしない方が良いかもね、逮捕されちゃうよ」
「1回死んだからな」
ジョネスはニヤリと笑い、冗談めかしてそう答えた。マルローは完全に冗談だと思って笑い飛ばしたあと、ジョネスに最後のステップを提案する。
「最後にキミの系統を調べなきゃね!! 心源流の丸パクリ、水見式くんの登場だ!!」
マルローはジャ〜ン!! といつの間にか用意したコップと水を取り出してジョネスの前に置いた。なお流星街に生きた植物はあまり無いので、水面には薄いプラスチックの破片を浮かべている。
ジョネスは待ってましたとばかりにコップを両手で覆うと、すぐさま気合を入れて"練"を行う。すると水が噴水のように溢れ出し、水面のプラスチック片を何処かに跳ね飛ばしてしまった。
「キミは強化系だね。いやあ、当たって欲しくない予感が当たっちゃったなあ。これ現時点でボク勝てるかな……」
「強化系……。聞いた限りだと単純過ぎて強そうに思えないのだが……」
ジョネスが強化系に待っているイメージはレベルを上げて物理で殴るだけ……。ところが必殺技とか特殊能力とかを使ってみたいのが男のサガである。
「まさか!? こと戦闘に関して言えば強化系はズルだよ!!」
「そうなのか? 例えば、どんな風に?」
マルローはコホンと一つ咳払いして講義をするようにジョネスの問いに答える。
「まず単純な肉体強化が"発"としてのメモリ消費無しで使える。厳密に言えば他の系統の能力者でも、オーラを纏った部分は纏ったオーラ量に応じて強化されているんだけど、強化系はその強化率が100%なんだ」
「……? やっぱり他の系統の能力者でも体を強化できるんだから、強化系は損してないか? 強化率100%ってのがミソなのだろうが……」
「あはは、分かりづらいよね。これが強化系を中心とした六性図って物なんだけど、隣り合った変化系と放出系で80%。操作系と具現化系に至っては60%しか強化出来ないんだ」
マルローは地面にサッと六角形の図を描き説明する。
「例えばキミの潜在オーラ量が100として、互角の変化系能力者と戦ったとしよう。君は顕在オーラとして10を拳に込めて殴った。さて相手はいくつのオーラでガードすれば良いでしょう?」
「そりゃ10で殴ったんだから10……。いや待てよ、オレは強化系だから10込めたら威力10だが、相手は変化系だから10込めても8の防御力しか出ないのか。……潜在オーラっていう燃料は同じ量なんだから、こりゃ相手はジリ貧だな」
「そういうこと、殴り合いならまず勝てちゃうんだ。その上、単純な肉体強化が標準機能として備わっている分、メモリに余裕があるよね。空いたメモリに条件次第で更に何かを強化する"発"や、放出系や変化系の"発"を備えることができる。よっぽどこだわりが無い限り操作や具現化がメインとなる"発"は止めといた方が良いけどね」
「肉体強化って"発"が初期装備されてる分、他の系統の能力者と比べて能力が一つ多いような物か、そりゃズルだな」
「よっぽど自分の方が格上か、ハメ技みたいな能力を使わないと強化系にはなかなか勝てないからねえ、あともう一つ朗報だ」
「?」
マルローは締めくくりに指を立てて言った。
「ジョネスには強化系、
この化け物め。
マルローはそう呟くのを寸前で止まり、内心で冷や汗をかく。彼の噂はずっと知っていた。異常と言うのも生ぬるい筋肉密度を備えた生まれ付きの怪人。それがよりにもよって強化系だと? 余りにも
いったい彼の指が自分の首にかからない保証が何処にあるというのか?
この後5年が経ち、ジョネス20歳。
その間にもジョネスの身体能力は成長を続け、何より念能力者としての才能が開花した。自身に合った"発"を開発し、流星街でも有数の強者として長老達にも一目置かれる存在となって行く。
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ジョネスに地区の顔役と工場長という仕事ができてから、長老達も気を遣ってか、彼に対する依頼の頻度は以前より随分と少なくなった。実際は強力な念能力者となった彼をパシリ扱いするのが恐ろしくなっただけなのかもしれないが、ジョネスにとってはトレーニングと読書に当てられる時間が増え、願ったり叶ったりの状況なのだが。
しかしそんな順風満帆な生活を楽しめたのは少しの間だけだった。
目下の悩みは最近拾った居候兼従業員の教育と、工場に無断で侵入した挙句にジョネスの蔵書を勝手に読み漁る変人を追い出すこと。そして素手で鋼鉄の一部をちぎり取る怪人に何が面白いのかちょっかいをかけ続ける命知らず共をボコして泣かすことである。
頭痛の種となっているそんな奴らが、全員年端も行かない子供だというのだから全くこの街は救えない。
そんなことをぼんやりと考えながら、大型自動車のスクラップを5台積み重ねたギャグみたいな重りを担いでスクワットしていると、件の居候がこちらに来る気配を感じた。
「
「おう、足りない部品あったか?」
「……それはアタシじゃ分からないよ、後はボスが見て」
「そうかい」
ジョネスはそう言うと、持ち上げていた自動車を元の位置へ放り投げる。大きな音を立てて落下したそれを尻目にコキコキと何度か首を鳴らすと、ちょうど年の離れた妹のようなその居候へ目を向ける。
「なんだ変な物でも見たような顔して、給料減らすぞ居候」
「アンタと比べたら、世の中の変な物は全部正常だね」
無造作に投げ捨てられた大型自動車を呆れた顔で見つめながら、居候と呼ばれた少女、マチは撫然とした面持ちでそう吐き捨てた。
個人的な解釈としてはこうなんですが、顕在オーラ量とか関係ないくらいの潜在オーラの化け物とか、戦闘技術の化け物とかが大暴れしてる原作なので、一番当たりのハズの強化系が煽りをくらってると思います。
変化系は何でもできるマンだし、操作系は即死技。
具現化系とか何でもありだし、放出系はドリブルが上手い。
「強化系の理不尽さ」ってのを表現したくて書き始めました。