今回はフェイタン戦と、集結する旅団と、おまけにクロロの悪巧みです。
「頑張れ〜!! ししょー!!」
「"師匠"って言葉の軽さがアニマルフォレスト並だな」
モニターに映るフェイタンに対してエルマが元気よく応援の言葉を掛ける。ジョネスが笑いながら指摘した。
大き過ぎず小さ過ぎない薄暗い路地に、色とりどりのネオンサインが光る看板が特徴的なステージだ。
ブルース市郊外に建設された第4特殊リング[市街地]である。
カキン帝国西部の突き出た地形の先端に位置する"蟹港租界"をモデルに作られている。今はV5とか呼ばれている清く正しき先進諸国が、列強と呼ばれていた時代に、麻薬とか戦争とかでカキン帝国とイチャついて快く割譲して貰った地域だ。現代になるまで国際的な共同租界だった。
返還された今でも昔の名残か"租界"と呼ぶ人が多いし、今でも特別行政区としてカキン帝国とは別の政体を維持している。
「マチ姉、フェイタンは勝てると思う?」
流星街から来たスタッフに仕事を任せて、厨房を抜け出して来たメンチが、いつの間にか仲良くなっていた隣に座るマチ姉さんに問い掛けた。
ちなみにメンチは師匠とすら呼んでいない。彼女に戦闘の手ほどきをしていたフェイタンは兄貴って感じで師匠感が薄いのだ。
余談だがギドとフィンクスは親友。カストロとフィンクスは悪友。
サラサはみんなの永遠の妹なので、結局本当の意味で師匠という称号を獲得したのはリールベルトからフランクリンの間だけである。
マチは本当はエルマのようにジョネスに甘えまくりたかったが(というかその為に来た)、姉としてキリッとした表情で腕を組みながら鋭い目つきでモニターを見つめて言った。
「勝てるかは分からない、けど負けはしないよ」
「どういう事?」
「フェイタンの"発"は、自分が受けたダメージに応じて色々な強力な能力を行使する【
「……姉さん、マナー違反よ?」
「……」
どこかの誰かさんのように簡単に他人の能力をバラしてしまったバラし屋の娘のマチは、メンチにごもっともな事を指摘されて顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
せっかくお姉ちゃんぶっていたのに締まらないものである。
「よう、ジョネス!! 良い身分だな!! 女連れか?」
突然後ろから掛けられた声に気配を察知していたジョネスは、頭を上げて後ろを仰いで言った。
「久しぶりだな、ノブナガ。女連れなら良かったんだがなあ。あいにくの子供連れだ」
「ぎゃっはっは!! 違えねえ!!」
ジョネスと親しげに会話した男、ノブナガはエルマの隣の席にどかっと腰を下ろした。座る時に刀が凄く邪魔そうだった。
「隣もらうぜ嬢ちゃん」
「私はエルマ!! ジョネスとは将来を誓い合った間柄なの!!」
「そうか。オレはノブナガだ」
「姉さん抑えて抑えて。子供の言うことよ?」
ノブナガがエルマの爆弾発言に特に疑問も呈さず短く答えた。マチが暴れ出そうとしているがメンチが懸命に抑えている。
「ノブナガは私とジョネスのこと認めてくれるの?」
「ジョネスのおっさんがちびっ子引っ掛けて来るのなんて日常茶飯事だからな。いちいちツッコんでたらキリがねえ」
「おい」
非常に社会的に誤解を招きそうなノブナガの言に、ジョネスが釘を刺すように言った。怒ったジョネスが立ち上がってノブナガに抗議する。
「お前やっぱり立ち入り禁止な。そこ座るな」
「ハア? 何でだよ。こちとら書類仕事ばっかで疲れてんだよ」
「ウボォー達に押し付けて早々に逃げ出して来てんじゃねえか。ほら立った立った!!」
「立つ理由がねえな」
「ここから先は敬虔で善良なる変化系以外立ち入り禁止だ。
「あんたも駄目じゃねえか……」
相変わらずのジョネスのボケ具合に呆れたように溢すノブナガに対して、メンチがある事に気付いて食って掛かった。
「あぁっ!? あんた私の店に刀持ち込むんじゃないわよ!! 入り口に預けるロッカーあったでしょ!!」
「細けえこと言うなよ。誰だよテメェ? 馬鹿みてえな格好してんな」
「こいつはメンチだ。馬鹿みてえな格好してるが、この店を任せてる料理人だ」
ジョネスが擁護になってない補足をした。
「あんたらねえ……!!」
「メンチ、抑えて抑えて」
懐から包丁を取り出そうとして、見事に自分の発言のブーメランが突き刺さっているメンチをマチが懸命に抑えた。
「あっ、そうだ(唐突)」
ジョネスが用事を思い出して席の下にしまっていたケースを取り出した。
「ノブナガ、この刀貸してやるよ。お前は一生独身で下っ端戦闘員だから丁度良いだろ?」
「うおっ!? すげえ良い刀だな!! だが後半のオレに対する侮辱は許してねえからな」
「怒るなよノッブ。銘はムラマサだ。ほれ、受け取れ」
「誰がノッブだ。ありがとうな、ジョネス」
そんなジョネスの頭が「スパーン」と良い音を立てて思いっきりしばかれた。
「あんたも刀持ち込んでたんかい!!」
メンチの鋭いツッコミに場内から拍手が巻き起こった。
会場から注目されていた事に気付いた一同は、急に恥ずかしくなって大人しく座り直した。
ジョネスゲーム:第5試合。
[ヒソカ=モロウvsフェイタン=ポートオ]
ステージ:第4特殊リング[市街地]
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ヒソカは入り組んだ路地を走り回りながら、あまり得意ではないが無いよりはマシな7m程度の"円"を展開して、フェイタンを捜索すると同時に奇襲を警戒していた。
「情緒溢れるオリエンタルな建物に色とりどりのネオンサイン♢ 何だか観光気分だね♡」
軽口を叩きながらもヒソカは警戒を怠らず、やがて雑多な看板が所狭しと並ぶ大通りに差し掛かった。
その瞬間、"円"で数本の飛来する物体を感知したヒソカは即座に"円"を解いて戦闘態勢をとった。
音もなく飛来する棒手裏剣を指の間に挟んでキャッチする。
ヒソカに当たらなかった棒手裏剣が「ギンッ」と背後の路上に突き刺さる音がした。
すかさず手裏剣が飛んで来た看板の上に目をやると、一瞬だけ黒い影が見えた。しかし黒い影は看板から看板へ高速で移動して、すぐに姿が掻き消えて、ヒソカでもその姿を捉え切る事はできなかった。
ヒソカの背後から物音がした。瞬時に察知したヒソカが音のした方へ振り返る。
そこには地面から抜けた棒手裏剣が転がっているだけだった。
「糸で抜いただけね。間抜け」
ヒソカの背後から片言のダウナーな声が聞こえた。
ヒソカは瞬時に看板につけておいた緊急脱出用のゴムを縮ませようとする。しかし逃走に最適な位置のガムが既に切り払われており、やむなくゴムで包んだ手のひらで初撃を受け止めた。
手のひらを貫通して深々と刺さったナイフを見ると、その向こうにニヤリと悪辣な笑みを浮かべるフェイタンの姿が見えた。
「カチッ」という音と共にフェイタンが何かを操作すると、ナイフの刀身が高速で飛び出した。
ヒソカは手を貫通して飛んで来た刀身を、頭の動きでギリギリで回避するも、こめかみに浅くない傷が付いた。
「スペツナズナイフよ。知らなかたか?」
とりあえずダメージを与えた事に満足したフェイタンがその場から離れようとする。
その時、持っていたナイフの柄とヒソカの手がくっついて離れない事に気がついた。フェイタンはナイフを放棄しようとするも、彼の手とナイフの柄も既にくっついていてなかなか剥がせなかった。
「お返しだよ♡」
二人の片方の手がガムで結ばれたまま、ヒソカがフェイタンに向かってオーラを込めたトランプを振るう。
フェイタンは咄嗟に、袖に仕込んで置いた短刀を片手だけで器用に取り出して、それに応戦した。
超至近距離の二人の間で激しい攻防戦が繰り広げられ、間にはいくつもの閃光が走った。
二人の斬り合いは互角だった。お互いの体に浅くない傷が増えて行く。
わざと短刀に意識を向けさせていたフェイタンが、不意にヒソカに向かって蹴りを放った。ヒソカがこちらも脚でその蹴りを防御する。
蹴りを受けたヒソカの脚に激しい痛みが走った。
ヒソカは瞬時にフェイタンと自分を結んでいた片手のガムを伸ばして距離をとる。
「複雑な傷だな♤ カミソリか♧」
「服にいぱい仕込んでおいたね。ジョネスのヒゲでも剃れる奴よ」
モニターで見ていたジョネスとノブナガが、髭剃りに失敗して唇を切った時の事を思い出して、顔を青ざめさせていた。
ヒソカは連続で受けたダメージに動揺、する事はなかった。
「返すよ♡」
「!?」
ヒソカがそう言って指先をクイッと動かした瞬間、フェイタンの体にどこかから飛んで来た棒手裏剣が突き刺さった。
「良い威力だね♤ こっそりくっつけさせて貰ったよ♢」
「……」
フェイタンは額に青筋を浮かべて、背中に差していた仕込み傘を取り出した。
フェイタンの本身だ。
それをよく知っている弟子の二人の少女がゴクッと唾を飲み込んだ。
何となく唇を触っていたノブナガとジョネスが笑った。
「良いねえ、斬り合いだ」
「本番だな」
フェイタンが自分に張り付いていたガムを瞬時に切り離した。そのままヒソカに高速で接近して切り掛かる。
ヒソカは獰猛な笑みを浮かべてそれを迎え撃つ。そこから始まったのは戦闘技術と攻防力移動が複雑に絡み合った激しい攻防戦だった。
フェイタンが隙をついてヒソカの腕を切り付けたかと思うと、次の瞬間にはフェイタンの脚が切り裂かれている。
高速で背後に回ったフェイタンがヒソカの喉を突き刺そうとすると、ヒソカがくっつけておいたゴムを縮めて、フェイタンの体勢を崩し、ギリギリでクロスカウンターを入れる。
ヒソカがトランプを投げたかと思うと、フェイタンが冷静にそれを切り払い、棒手裏剣を投げ返す。
手裏剣の後を追うように接近したフェイタンが、ヒソカがそれに対応している間に斬撃を放つ。
トランプで鍔迫り合って何とかそれを防いだヒソカに向けて、斬撃と同時に巧みに放たれたフェイタンの袖から飛び出した糸付きの釣り針が、ヒソカの眼球を狙う。
ヒソカは首を振って釣り針を躱すも、頬に浅い引っ掻き傷が付いた。
接近した状態でフェイタンの傘が突然開かれて、ヒソカの視界を奪う。傘を突き破って刃がヒソカの心臓に向けて突き出された。
ヒソカは鍔迫り合いの時にガムとしてくっつけてから、看板に飛ばしておいたゴムを縮めて、刃の目標を明後日の方向に逸らした。
それどころか傘ごとフェイタンの腕を力強く蹴り上げて、仕込み傘は看板に張り付いたゴムに引っ張られて上空に飛んで行った。
一時的に武器を失ったフェイタンに対して、ここぞとばかりにヒソカがラッシュを仕掛ける。フェイタンは何とか対応するも大きなダメージを受けて、体中がボロボロになって行った。
しかし不意にフェイタンが口から「プッ」と含み針を飛ばして、攻撃に集中していたヒソカの左目を潰す。
フェイタンは思わぬダメージに怯んだヒソカから高速で離脱して一旦距離を取った。
ヒソカはフェイタンの体にくっつけたゴムを縮めて、距離を近づけようとしたが、咄嗟にフェイタンのオーラから嫌な予感を感じて、何とか様子見の為にその場に留まった。
フェイタンはふらふらと足取りもおぼつかない中、俯いて地面を見つめながら何やら聞いた事がない言語で、ブツブツと呪詛を吐いていた。
シックスセンスで感じ取った不穏な空気に冷や汗を流すヒソカとは裏腹に、モニターを見ていたエルマとサダソとカサイは目を輝かせた。
ジョネスとノブナガはお互いの髪の毛を触って何やら喧嘩していたが、フェイタンがキレた時の声を聞いてすぐさまモニターに視線を戻した。
マチが映像越しの禍々しいオーラに当てられて、震え上がるメンチの頭を撫でて落ち着かせている。
「
ヒソカは緊急脱出寸前のダメージを受けているはずなのに、なおも膨れ上がるオーラを見て、数多の戦闘経験の中から瞬時に判断した。
(カウンター型の能力だ♧ 発動させる前に決める♤)
ヒソカが急接近して隙だらけなフェイタンの体に攻撃を加える。フェイタンは更にズタボロになりながらも、血だらけで満面の笑みを浮かべていた。
ヒソカがトドメの一撃として強力なオーラを込めたトランプで、フェイタンの体を袈裟斬りにする。
「
ヒソカのトランプが半ばまで振るわれて、フェイタンの体に深々と突き刺さる。しかし、フェイタンの心臓に達する直前で何かに遮られた。
気付いた時にはフェイタンは分厚いコートのような鎧に覆われて、ヒソカの攻撃をその鎧でギリギリで食い止めていた。
【
ヒソカはその防御力と、トドメを刺し切れなかった事を瞬時に悟ると、乱雑に設置された看板にゴムを張り付けながら、全力で逃走を開始した。
高まり続けるオーラが頂点に達し、フェイタンがマスクの下に隠された笑みを深めると、空に向かって巨大な火球へと変化したオーラを発射した。
「新機能が間に合って良かったな」
戦いの行方を悟ったジョネスが安堵するように呟いた。
「
【
巨大な火球から放たれた灼熱が市街地を激しく無差別に焼却し、ステージを完全崩壊させた。
程なくして、燃え盛る市街地の中心で高笑いを上げていたフェイタンが突然緊急脱出した。
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エ「あれ!? ししょーが緊急脱出したよ?」
ジ「出血多量だな。ヒソカの勝ちだ」
メ「火球が消えてないんだけど……」
ノ「あのピエロどうなるんだ?」
ジ「ひとしきり焼かれ続けて、一定以上のダメージが溜まったら緊急脱出する。上手い事、遮蔽物とゴムを使って防いでるみたいだし、あと20秒くらいか?」
マ「勝った方も緊急脱出できるようになったんだね」
メ「あっ、ヒソカの防御燃え尽きた」
ノ「焼かれて悶え苦しんでるな」
ジ「大丈夫だって、死ぬ寸前で脱出できるから」
エ「何か公開処刑みたい!! 無意味な時間だね!!」
メ「会場大ウケなんだけど……。悪趣味ね……」
ノ「フィンクスが爆笑してやがるな」
ジ「クロロが一番笑ってる」
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最終日が近付くにつれ、店内は更に大盛り上がりを見せていた。
「フェイタン、そう落ち込むなって。アレは引き分けだろ?」
フィンクスが不機嫌に頬杖をつくフェイタンを宥める為にお酌をする。全然嬉しくなかった。一息に飲み干したフェイタンのグラスに向かって新たに酒が注がれる。
「勝負に引き分けて、試合には負けたな」
ジョネスがお酌をしながらそう言った。全然嬉しくなかった。どっちかと言うと負け寄りだという非情な判定を下したジョネスを、フェイタンがギロリと睨み付けた。
ジョネスはそれを気にした様子もなく、ワインの注ぎ口のガラスをボリッと齧り取ると、そのまま一口ラッパ飲みしてから言った。
「プハアッ!! まあジョネスゲームは明日のクロロの試合でとりあえず最後だ。あとは自由に闘技場使って遊んでくれ」
「おう!! お前ら、やってるか!?」
テーブルで宴会をしていたジョネスとフェイタンとフィンクスに野太い声が掛けられた。声の主人に目を向けると、サングラスに黒い革ジャンを着たジョネスより頭ひとつ分背の高い大男が、豪快な笑顔を浮かべていた。
大男は店にいた流星街の男女問わずに大人気で、ぺたぺたと体を触られている。それを気にした様子もなくずんずんとテーブルに歩みを進めて来た。
ジョネスが茶化して言った。
「"お前"だあ? 随分と偉くなったもんだな、大団長さんよ」
「そう言うなよジョネス、昔からの付き合いじゃねえか。それに分かってんだろ? オレはしょせん名誉職で実際の団長はクロロだし、実務もあっちだ」
「その割には真面目に書類仕事終わらせてくれたそうじゃねえか? ウボォーさんよ」
名前を呼ばれた男、ウボォーさんことウボォーギンは照れ臭そうに頬を掻いて誤魔化した。この男はアホな振る舞いが好きなだけで、実際は真面目だし、頭も悪くない。デスクワークでもやる時はやる男だ。
「ノブナガなんて早々に抜け出して来たのに、お前真面目だよなあ」
「インテリゴリラね」
フィンクスとフェイタンまでからかい始めたのを見て、これは勝てないと悟ったウボォーギンは何も反論せず、ジョネスの隣に腰掛けた。
ジョネスとしては正直狭かったので、どっかに行って欲しかったが、気を取り直してウボォーギンに尋ねた。
「パクとシーラとシズクは?」
「女だけで固まってどっか行っちまった。おかげでオレは一人置いてけぼりだ。薄情な野郎共だぜ」
「野郎じゃないがな……。脱走兵ノブナガなら上の個室にいるぞ。後でシメてやれ」
「おう、当たり前だ」
ウボォーギンはそう言って、机の上に並べてあった料理を誰の許可も取らずに食べ始めた。「おっ、ウメ!」と言って次々に料理を腹に入れてから、メガジョッキのビールを注文する。
ふとウボォーギンがモニターに目を向けた。
「今日も何か試合やんのか? クロロのは明日だろ?」
「オレの弟子の試合だな。前座だ」
「"ジョネスの弟子"て範囲広過ぎね」
フェイタンのごもっともなツッコミに、ジョネスは「それもそうだ」と言ってから詳細を説明した。
「最初に知り合いの娘のエルマって子と、ここで拾ったカストロって奴の試合」
「エルマは私の弟子ね」
「カストロはオレの弟子だな」
「元々は二人ともオレの弟子だ」
ややこしい関係性にウボォーギンが「?」を浮かべたが、ジョネスは構わず話を続ける。
「次に今雇ってる料理人でこの店の店長のメンチと、ギドって奴の試合」
「メンチも私の弟子ね」
「ギドもオレの弟子だ」
「元々はギドもオレの弟子だ。メンチはビジネスパートナーだな」
料理人が戦ったり、誰が誰の弟子だとかややこしい関係性にウボォーギンは再び「?」を浮かべた。
「その次にサダソとリールベルトって奴らの、何とも華がない試合がある」
「サダソも私の弟子よ。なかなか見込みあるね」
「かましてやれや!! リールベルトォ!!」
「二人共元々はオレの弟子だ」
師匠が瞬時に反応した。どこからかフランクリンの大声が聞こえて来た。師弟関係はもはや意味不明だった。
ウボォーギンは理解するのを諦めてモニターに目を戻した。
するとジョネスは真剣な表情になって最後に一言だけ言った。
「最後にゾルディック家のイルミとサクラの試合がある。サクラは多分ここで死ぬ覚悟だ」
「……おい、どういうことだよ」
親しい妹分の一人であるサクラが最悪の場合死ぬつもりだと聞いて、ウボォーギンは真剣な表情になってジョネスに問い掛けた。
ジョネスはワインを飲み干してから落ち着いた声で言った。
「人が死にに行くのは、死にたくなった時だ。だが死ぬ覚悟を決めるのは、死んでもいい理由がある時だろう」
ウボォーギンは文句一つ言わずに、腕を組んでモニターを凝視し始めた。最悪の場合、妹分の死に様を眉一つ動かさずに見届ける覚悟だった。
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ク「カサイさん、ナパーム貸して?」
カ「良いよー。はい、タッチ」
ク「ありがと」
マ「ボクのはいらないよね。はい分かってました」
ク「拗ねないでよ、マルローさん……」
ク「ゴブさん、魚貸して?」
ゴ「良いぞ。しっかり窓閉めて使えよ。はい、タッチ」
ク「ステージがビルだからね。これは強いよ」
ゴ「分かってるじゃねえか」
ク「シャル、携帯貸して?」
シ「良いよー。はい、タッチ」
フ「オレのマシンガンいらねえか?」
ク「もうカサイさんとゴブさんからナパームと魚もらったから」
フ「なるほど、なら十分だな」
ク「マチ、糸貸して?」
マ「良いよー。はい、タッチ」
パ「また何かコンボするつもりなの?」
ク「いや、今回は盛り上げる為にハメ技じゃなくて、遠近で隙を無くして行こうと思ってる」
シー「クロロの能力ほんとにずるいわね」
サ「ヒソカの能力はもう割れてるのに、クロロの手札は何も分からないんだからね」
シズ「ヒソカって誰?」
ク「ジョネス、鉤爪貸して?」
ジ「良いぞ。ほれ、タッチ」
フィン「クロロ、オレの能力にしとけよ」
フェイ「私のにするね。クソピエロもっかい燃やしてやれ」
ク「ごめんね。流星街のみんなに見せるショーだから、やっぱり人気者のジョネスの能力は必要でしょ? それに、これで5つ埋まっちゃった」
ウ「オレのはどうだ?」
ク「ウボォーさん能力ないじゃん」
ウ「今のはボケだ。冷静に返すな、ツッコめよ」
ク「ごめんなさい。ウボォーさんてたまにサクラみたいな事言うよね」
ウ「いや、あいつにお笑い布教したのオレだし」
ジ「や〜い、ウボォーの能無し。ってツッコんでやれよ」
フィン「ぎゃはははは!!」
フェイ「ウケるね」
ウ「ノブナガと一緒にシメる奴らが増えたな」
ジ「おっ、久しぶりに怪獣戦争するか?」
ウ「乗り気になるな。面倒臭え……」
ノッブは腕相撲が弱過ぎる。
ほんとに強化系か?
マチはお姉ちゃんぶりたい年頃。
フェイタンの能力強過ぎ。うまく書けねえぞこれ。
ヒソカの無意味な公開処刑で会場は大ウケ。
筋肉ギンギンウボォーギン。どこまでも真面目な男だ。故にモテる。
クロロ……不穏な能力ばかり集めるな……。