流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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この辺の話を書いてるときに、突然、旅団過去編が来たのです。
サラサって誰だよ!! 結局クルタ族襲撃の真相は……!?

休載したので良くわかりません。


6.クロロ×ノ×セキニン

 

 

 ゴミ山には似つかわしくない、爽やかな好青年。ジョネス曰く、変人の名をクロロ=ルシルフルと言った。

 

 マチにとって、母親が生きていた頃からの知り合いらしい。かつて彼女が、この街ではそれなりに有名なジョネスの下に引き取られたと聞いて、とんだロリコン野郎だと思い、隙あらば殺してやろうとジョネスの工場に忍び込んだ。

 

 物陰に隠れながらジョネスとマチの様子を探っていると、ジョネスは自分が何をやっても殺せそうにない化け物であると判明し、幼馴染のマチの今後に絶望した。

 

 しかしジョネスは一向にマチに手を出す気配がなく、それどころか面倒臭そうな気配を見せながらも彼女の生活の面倒を見て、仕事や勉強を教えたり、ケンカの仕方や流星街の中だけに留まらない社会の情報について、彼女にレクチャーしたりしていた。

 

 どうやらマチのことは思ったより心配いらなそうだと胸を撫で下ろして、さっさと退散しようと思った矢先、彼は工場の一角に隠されたとんでもない宝の山と遭遇する。

 

 ジョネスの書斎には、彼が長年収集した古今東西の本や新聞が、うず高く積み上げられていたのだ。クロロにとって興味はあっても縁が無いと思っていたその夢の空間に、吸い寄せられるように入り込み、気付いたときには本の山に埋もれてその世界に没頭していた。

 

 しばらくしてジョネスに気付かれると、一発ゲンコツを落とされた後、工場の外に放り出されたが、それ以来、夢のようなひと時が忘れられずにジョネスの隙を突いて(マチは見て見ぬふりをしてくれる)、不法侵入を繰り返している。

 

 ジョネスは一旦クロロを書庫から連れ出して、生活スペースの居間に移動した。マチは料理ができたことを妙に鋭い勘で感じ取っていたようで、既に食事の準備をしていたが、ジョネスにネズミのようにつまみ上げられて一緒に入室して来たクロロを見て、驚きの表情を浮かべる。

 

「クロロ!! また来てたの!? これで週7だよ?」

 

「あはは、ジョネスさんと同じこと言ってる。マチ、保護者と似て来たんじゃないの?」

 

 マチはクロロの一言にガーンとショックを受けた表情を見せるも、ジョネスがギロリと睨むと慌てて顔を逸らして、何か考えるように黙り込んでしまった。

 

「今日はすぐに追い出さないんだね」

 

「最初は盗人だと思ったが、盗まれたことは一度も無いし、いい加減無駄なことに気付いたからな。殺さない限りお前は何度でも忍び込むだろう?」

 

「じゃあ殺さないの? ()()なんてとっくに卒業してるでしょ? アンタの裏の"仕事"、この辺の人はみんな知ってるよ」

 

「……依頼でもねえのに、ガキを殺すかよ」

 

「あはは!! ジョネスさんはやっぱり優しいね。そんなアンタを見込んで今日はちょっと相談があるんだけど……」

 

「用があるなら、読書よりもそっちを優先しろよ……」

 

 ジョネスはそう言うと、呆れて椅子に座り頬杖を突く。しばし疲れを癒すように目を閉じて、気を持ち直してクロロを見て先を促した。

 

 するとクロロは無言で真剣な表情になると、不意に空中に手を持ち上げて()()を掴むような動きをした。

 

 それを見て、ジョネスは目を見開いた。ぼんやりとではあるが黒い箱のようなものが、クロロの手の中に浮かび上がっていたのだ。ジョネスが即座に"凝"を行うと、箱のように見えたそれは"本"であることが分かる。

 

 クロロはその様子を見て破顔すると、ジョネスに対する"用件"を切り出す。

 

「その表情、やっぱり()()について何か知ってそうだね」

 

「お前……オーラが……、だが何故だ? "纏"もしていないのに本が具現化されている。……これは、天然の特質系?」

 

 顎に手を当てて考え込むジョネスから、聞き慣れない言葉が飛び出す。クロロとマチは不思議そうな顔をして、それを見つめていたが、しばらくしてジョネスが何か思い出したようにはっと顔を上げた。

 

 

 

「まずはメシにしよう、いい加減冷める」

 

 

 

 クロロとマチは盛大にずっこけた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 ことがことなのでクロロも誘って食事を終えると、ジョネスがクロロの身に起こる不可解な現象について切り出した。

 

「お前の持つ"本"、そいつは念能力ってもんだ。体に宿るオーラを自由自在に操って不思議な力を発揮する。まあ超能力って奴だな」

 

「本? 本だったのこれ? 昔から何か手持ち無沙汰な感じはしてて、何となく感じられるようになったのはジョネスさんのとこで読書を始めてからなんだけど……」

 

「きっかけはそれか……、お前は相当なレアケースだから、話がややこしくなるんだが……」

 

 ジョネスはハンターでは無いので、秘匿義務など知った事かと、この際なのでマチも部屋に残したまま、念についての一通りの説明を始める。

 

 話を進めるうちに、クロロとマチの顔が初めは驚愕、次第にキラキラと喜色満面にあふれたものに変化して行くのを面白げに観察しながら、説明を終えた。

 

「クロロ、お前の特殊性にはオレも興味がある。マチにもその内教えるつもりだったし良い機会だ。その道のプロじゃないんで大きく期待はしないで欲しいが、お前らが希望するなら念の指導を引き受けよう」

 

 

 

 二人の答えは既に決まっていた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(クロロの野郎……!! 教えなきゃ良かったぜ)

 

 クロロとマチに念能力の基礎を教え終わり数ヶ月。ジョネスは即落ち2コマの勢いで自分の選択を後悔していた。

 

 念の指導に何か齟齬があった訳ではない。二人はジョネスに負けず劣らず筋が良く、あっという間に念の基礎となる部分を覚えてしまったし、クロロに至っては特質系ということもあって、既に例の本を本格的に"発"として目覚めさせたようだ。能力はジョネスも敢えて聞かなかった。彼は能力者にとって死活問題となる情報を師匠特権で聞くほど野暮な男じゃないのだ。

 

 問題は以前から遊び感覚でジョネスにケンカを売って来たクソガキ共が、気付いたら全員念の使い手になっていたことだ。こいつらはクロロととても仲が良いので犯人は確定している。

 

 

 

「今日こそオレが勝つぜ!! ジョネスのおっさん!!」

 

 クソガキナンバー1、ウボォーギンが突進して攻撃を仕掛けて来る。しかし単純な攻撃が流星街ケンカ最強のジョネスに通用するはずもなく、突き出されたパンチを躱すとその腕を掴んで、うっかり潰してしまわないように慎重に()()握った。

 

「誰がおっさんだ。あっ」

 

「ぐあああぁぁぁ!!」

 

 握撃。ジョネスの常軌を逸した力を持つ指がウボォーギンの腕に食い込むと、鈍い音を立てて彼の腕は真ん中から容易く骨折してしまった。だがこの戦闘狂(バトルジャンキー)は腕の骨が折れても戦いを継続しかねない、やむなく彼の後頭部に蹴りを食らわせて気絶させる。

 

「ちくしょう!! ウボォーを殺りやがったな!!」

 

「隙ありね」

 

 クソガキナンバー2、ノブナガがどこで拾ったのかボロボロの刀でジョネスを切り付けようとする。そして挟みうちの形でクソガキナンバー3ことフェイタンが、これまたどこで拾ったのか細身の刺剣をジョネスの背中に突き刺そうとする。

 

「殺してねえよ。あと隙もねえ」

 

 振るわれる刃物に対してまるで獣の鉤爪のようにオーラを纏った指を叩き付ける。衝突した指と剣は武器であるはずの剣の方がバラバラに砕かれるというあり得ない現象を起こし、襲い掛かった二人を驚愕させた。

 

 ジョネスは息もつかせず、こっそり握っていた砕けた刃物の破片を二人の目に向かってぶつける。予想外の目潰しに視界が遮られた二人は、脳天に向かって振るわれるジョネスのハンマーパンチに、なす術もなく意識を刈り取られた。

 

 クソガキナンバー4、フィンクスは正直出て行くタイミングを見失って1対1の状況になってしまった段階で超帰りたかったが、ゆっくりと歩いて近付いて来る目の前の怪人から逃げられる気がしなかったので、一か八か友人達の仇撃ちのため玉砕を試みる。

 

 まず、[解体屋ジョネス・ファクトリー]で先日購入した拳銃をジョネスに向けて発砲する。自分が売った銃で自分が撃たれるという自業自得な状況だったが、それに逆ギレしたジョネスは何発銃弾をくらっても平然として歩きで間合いを詰めて来る。

 

 接敵間近といった所で、フィンクスは懐からこれまた例の工場で購入した手榴弾を取り出してピンを抜いた。せめて一矢報いるためにジョネスもろとも自爆するつもりである。覚えたてだが練でガードすれば死にはしないだろう……多分……。

 

 ジョネスが爆発に対応している隙を突く!! つもりだったが、ジョネスは爆発間近の手榴弾を奪い取ると、みかんの皮を剥くように割り開いて炸薬に着火する前の導火線を雷管ごとちぎり取ってどこかに捨ててしまった。

 

 何が起こったか分からず動揺するフィンクスに向かって中身の炸薬をぶち撒けると、手榴弾の外装の金属片を指パッチンで擦り合わせて火花を起こし炸薬に着火する。爆発に巻き込まれて三半規管が揺さぶられたフィンクスにとどめを刺す、つもりだったが爆発した時点で気絶していたので遠巻きに見ていた三人に意識を移した。

 

 

 

「フランクリン、シャルナーク、パクノダ。こいつら手当てして、とっとと引きずって帰れ。それともお前らも戦るか?」

 

「念ありでも何も変わらなかったな……」

 

「だと思ったからオレは止めたよ?」

 

「いいから二人ともさっさとアホ共の治療して帰るよ。……って治療道具なんて工場にしか売ってないじゃないか。あのおっさん……分かって言ってるわね……」

 

 工場で薬やら包帯やらお買い上げ頂いた後、なんだかんだ言って優しいマチのレクチャーを受けながら怪我人の手当てを終えた三人は、すごすごとアホ共を担いで帰って行った。

 

 ふと一つ大事なことを思い出してその背中に呼びかける。

 

 

 

「あとクロロに一ヶ月ウチ出禁って言っとけ」

 

 

 

 




フランクリンって常識人側ですよね。
頭いい訳じゃ無いけど、いつでも本質を見抜いてる感じがかっこいい。

プロハンターが拳銃弾に耐えられないことが判明した。ダブルマシンガンがやばいことも判明した。
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