60話やで!! 凄くない?
明日から休みやしい、早めに書けちゃったしい、投稿しとくよお。
今回はゲームの外中心で、中ちょっと。
外も中も書くのが難し過ぎるが、全て自業自得である。
12月3日
クルタ族の隠れ里が近くにあると推測されるパスマティ市郊外の森にて、幻影旅団でありSCP財団でもあるシーラが、能力で虫を操り、その辺り一帯の大捜索を始めた。
センリツもボノレノフに護衛されながら、街中で超人的な聴覚を使って、人々の噂話などのやり取りを調査中だ。
シーラは飛ばした虫の目を通して、監視カメラのように視覚情報を切り替えながら呟いた。
「いくら隠れ里と言っても、5千匹以上のハエを飛ばして見つからないのは異常ね……。私と同じく放出系で空間を隔離しているのかも……」
クルタ族に念能力者が紛れている可能性は十分考えられる。そもそも彼らの目は、今まで乱獲されていないのが不思議なほどのお宝なのだ。
一族の者しか入れないか、条件を満たさないと入れないかの念空間に里を隠して、脈々と現代にまで血を繋いで来た訳だ。
シーラは民俗学者として非常に興味をそそられたが、そんなことを考えている余裕はないと、すぐに気を引き締め直した。
一族の者以外でも条件を満たしたら里に侵入できるというケースなら、買い出しや周囲の森での採集などの為に、里から出た者を捕えれば後はどうとでもやりようはあるのだ。
具体的には詐欺や拷問やパクノダのような能力者の力で……。
そうなるとセンリツ達の街中での捜査も重要になって来る。
まだ見ぬ敵はクルタ族が里から出て来たタイミングを狙っているのだから。
その時、シーラが操作する虫達の中の一匹が、森の中の何もない空間から突然現れた二人の少年の姿を捉えた。
青を基調としたローブに金色の紋様。恐らくクルタ族であろう。
シーラは虫達に尾行させて位置を感知しつつ、森の中を高速で駆けて二人の少年と接触を図った。
気のせいだろうか。リュックサックに入れた大事な本から、ぞわっと妙な感覚が放たれたような気がした。
余談だが、それは11月1日にビヨンド=ネテロという男が、とある少年と出会った時に感じた物と同質の感覚である。
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11月15日
くじら島の森の中で、切り株に座りながら地図に何かを書き込んでいたビヨンドが、あることに気付いて一旦作業の手を止めると、目を閉じて念の修行に集中していたゴンに呼び掛けた。
「ゴン!! ストップだ!! ちょっとこっちに来い!!」
ビヨンドはそう言って素早く切り株から立ち上がると、呼び声に反応して子犬のように駆け寄って来たゴンの肩に手を置いて、彼を守るように自らの背中に隠した。
ゴンがポカンと不思議そうな顔をしてビヨンドに尋ねる。
「何かあったの? ビヨンドさん」
ビヨンドは獰猛な笑みを浮かべて答えた。
「とびきり出来そうな奴がこちらに向かって来てる。親父かジョネスって男が遊びで放った、オレに対する刺客かも知れん」
「ビヨンドさんに刺客……?」
ゴンはその言葉を聞いてムッと厳しい表情を浮かべると、ビヨンドの背中に隠れながらヒョコっと顔だけ出して、ビヨンドが見ている方向を睨み付けた。
特に隠れる様子もなく現れたのは、長い刀を持った、股に届くほど伸ばした白い長髪が特徴的な、帽子を被った目付きの悪い青年だった。
青年は一目見て、相手が自分より遥か格上の念能力者だと悟ると、警戒しながらも、訝しげな表情で睨み返して言った。
「とんでもないレベルの念能力者だな……。こんな誰も寄り付かない田舎の島で何をしている?」
「ハッハッハ!! とぼけやがって!! あいつらから顔写真は渡されてねえか? 名乗って欲しかったら自分から名乗りやがれ!!」
豪快に笑いながら荒々しいオーラをぶつけて来るビヨンドに対して、青年は冷や汗を垂らしながら自己紹介を始めた。
一方でいざという時の為に既に刀に手を掛けている。
「……オレはプロハンターの"カイト"だ。あんたは?」
名を名乗った青年、カイトが正対する男に対して尋ねた瞬間、男の姿が一瞬にして掻き消えた。
男は気付いたらもう目の前にまで迫っている。
「クソ共からの刺客に名乗る名はねえな!!」
「何の話だ!?」
何かとんでもない誤解をされている気がする。
慌てたカイトが咄嗟に刀を抜き払うも、ビヨンドはお構いなしにカイトを刃物ごと殴りつけて来て、何か固い物にぶつかってしまった刀が真ん中から叩き折られた。
刀の破片が何故かビヨンドのオーラに取り込まれて消える。
カイトはそれに目を剥いて驚くと同時に、自分の身に危険が迫っていることを認めて、冷静に新たな武器を具現化した。
【
全くもって面倒臭い。こんな時でも状況に適した武器が出てくれるとは限らないとは。
『何か面白えことになってんな!! いい目が出ろよ!! ドュルルルル!!』
刹那の間に抽選が行われ、出たのは4番の銃だった。
カイトは銃床でビヨンドの連撃に対応した後、彼の手足に向かって瞬時に銃撃した。
放たれた念弾は不思議なことにビヨンドの体の表面でピタッと止まった。そのままビヨンドの纏うオーラに食べられるかのように念弾が消滅する。
カイトはそれを見て分析する。
(さっきの刀と同じだ!! こいつに直撃した物質や念は、いとも容易く無力化され、その上で"捕食"される!!)
カイトはその後も距離をとって銃撃を重ねるも、ビヨンドに念弾が効いた様子はなく、悠然と歩いて距離を詰めて来た。
「スロットで出る武器が決まんのか!? 面白え!! もっと色々試してみろよ!! どうせ"あそこ"に比べたら屁でもない"環境"だろうがな!!」
ビヨンドはそう言って笑うと、懐から取り出した"牌"から"分析"が完了した"抗体"を打ち出した。
威力は高いがシンプルな念弾だったが故に、分析は一瞬で事足りた。
【
ビヨンドが構えた牌から、先程のカイトの能力と全く同じ威力の念弾が放たれる。
カイトはそれに瞠目した。咄嗟に手に持った銃で念弾を受け止める。銃が容易く粉砕されて、カイトがその衝撃で後方に吹き飛んだ。
カイトは頭から血を流しながら真剣な表情を浮かべて、新たな武器を具現化して果敢に立ち向かった。
再び抽選が行われる。現れたのは最初にも携えていた7番の刀だった。
ビヨンドはそれを見て、酷くつまらなそうに言い放った。
「またそれかよ? もうとっくに抗体はできてるってのに……」
【
ビヨンドは呆れたような顔で、新たに取り出した牌からカイトが構えているものと瓜二つな長い刀を取り出した。
カイトは訝しげな表情を浮かべるも、迷っている暇はないと感じて、素早くビヨンドに斬り掛かった。
ビヨンドは耳くそをほじりながらあくびをして、カイトの斬撃を片手で持った刀で雑に切り払った。
刀がぶつかって、カイトの持つ刀だけが砕け散った。
ビヨンドはそれを見て、何ともつまらなさそうな顔をすると、新たな牌を生み出しながら言った。
「"抗体"なんだから絶対に勝てるんだよ。
あいつらの刺客だって言うから期待してたってのに、所詮はこの程度か……。
つまらねえな、もう終わりにすっか」
絶望するカイトを尻目に、ビヨンドが懐から手の中に新たな牌を掴み取った。
"終わりにする"と決めたのだから、出し惜しみは無しだ。
【
不死の病 ゾバエ病】
牌に記録されていた、ある抗体を利用したビヨンドの肉体が瞬時に黒く染まり、それと同時にオーラが爆発的に膨れ上がる。
余りにも絶望的な戦力差と圧倒的に不穏なオーラを感じ取って、抵抗は無意味だと察したカイトは、咄嗟にその場に膝をついて、大人しく
「……申し訳ありません……。何か勘違いをされていませんか? オレは刺客でもなんでも無く、師匠のジンというハンターを探しに来ただけで……」
「えっ、そうなの?」
「ジンの知り合い!?」
ビヨンドが間の抜けた声を漏らした。
本能で身の危険を感じ取り、戦場から逃げ出して木陰に隠れていた黒髪の少年が、カイトの言葉に驚いて、慌ててその場に駆け寄って来た。
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【
操作系、放出系、変化系の複合能力。
自らの周りにあらかじめ保存しておいた"安全な空間"を呼び出し、相手の攻撃や危険な環境を無効化する。
空間は受け止めた事象を"捕食"し、"分析"して、やがて"抗体"を生み出す。抗体が生まれるまでの時間は受け止めた事象がどれだけ複雑かに左右される。
出来上がった抗体を"東南西北白發中"の7種類の麻雀牌に保存して利用することで、受け止めた能力をそのまま行使できる。
受け止めた事象と使用した抗体がぶつかった場合、"抗体"であるが故に容易く対峙した相手の事象を打ち砕く。
ビヨンド=ネテロは全ての障害を踏破する。この力はあの蒼天の彼方まで、どこまでも己を導いてくれるだろう。
……親父の拳骨が怖くて仕方ない……。
親父が最強の攻撃をするなら、オレは最強の防御をしなきゃ(震え声)。
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12月17日
2週間ほど前にシーラから連絡を受けたセンリツとボノレノフは、建物の屋上から噂の人物だと思わしき二人のクルタ族の少年を監視していた。
二人にはシーラが操作するダニがくっ付いていて、常に居場所を把握している。
できるだけ里に引き篭もっていて欲しいのに、あんなに幼い少年二人だけで街に出て来るのは想定外だった。
「……おとり捜査か……。子供を巻き込みたくはないのだが……」
ボノレノフが住処を追われ、飢えて死んでいった幼い同胞達の姿を思い出して、包帯の中で苦言を呈した。
「……背に腹は代えられないわ。彼らを狙っている敵がどれ程のものなのか、まだ何も分かっていない……。ジョネスの情報だと10人組の念能力者集団ではないかと言うけれど……」
「……マズいな……。敵のレベルによってはオレ達では敵わないかも知れない……」
センリツが苦虫を噛み潰したような顔で悔しそうにそう溢すと、彼女に確認を取るようにボノレノフは懸念事項を述べた。
センリツが答える。
「……既にサラサが"荷物"を持ってこちらに向かっているわ。いざという時は救援を求めましょう。
そしてジョネスは改めて"協力者"に依頼をし直すと言ってくれた。これでターゲットは元々の1人に加えて、念能力者10人全員の歩合制に変更されたようね」
彼女達には知る由もないが、状況が変わりターゲットの数が突然増えた暗殺者達は、新たに実家から祖父を呼び寄せている。
何事も無ければ、敵の居場所を見つけてこちらから襲撃するか、隠れ里を見つけて防衛するかで片がつく。
その時、その何事かが起こってしまった。
街のチンピラ達に挑発された片方の少年が、即座に緋の目を発現させて暴れ出してしまう。またたく間に騒ぎになった。
センリツ達と同じく街を捜索していた"敵"が、騒ぎを聞き付けてやって来るのも時間の問題だろう。
現在この街にいる戦力だけで彼らを守る必要性が生じた。
センリツとボノレノフがゴクッと唾を呑み込んだ。ややあって二人がいたビルの屋上にシーラがやって来た。
「あれはクラピカとパイロ……!? 何があったの?」
「いや、正確にはこれから何か起こるかも知れない……」
「旅団には連絡を入れたけど援軍は間に合わないわ……。この場は私達だけであの子達を守らないと……」
これは必要な犠牲だったと、二人の少年を見捨てて逃げてもいいのだが、それができるような人間はこの場にいなかった。
街の様々な場所から、複数の強力なオーラがこちらに向かって来るのを感じた3人は、これは勝てないと瞬時に悟りながらも真剣な表情で戦場に向かった。
「あれっ、シーラ姉ちゃん!? まだこの街にいたの!?」
「……? お姉ちゃんがそこにいるの?」
「……クラピカ、パイロ、ごめんね。せめて私達が命懸けで逃がすから……」
「来るぞ……!!」
「……相手は6人か……。……強い……!! これは甘く見過ぎたわね……」
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依頼人との最後の大詰めとなる交渉を終えて、廃教会に戻って来た十人囃子の団長のドルチェは、部屋の中にあった奇妙な3つのオブジェについて団員に尋ねた。
「あら、クルタ族が3人も見つかったの?」
「いやー、クルタ族はこっちのガキ二人だけだー」
編笠を被った返り血塗れの男、スネオがこともなげにそう答えた。彼が指差した先にあった小さな体には首がなく、既に"収穫済み"だということを言外に示していた。
カチャカチャと音を立てながら金属製の器具を片付ける、少年にしか見えない小柄な男が、スネオに続けて言った。
「もう一人の女の子はこのクルタ族の子達と親しかったみたいでね。女の子の方をたっぷり痛め付けたら、そりゃあもうピーピー泣いちゃって、お目々を真っ赤っかにして隠れ里の場所と入り方まで簡単に吐いてくれたよ」
「女の方はどれだけ刻まれても、どれだけ抉られても、気丈な態度のまま、ずっとこっちを睨んでたけどなー。思わずゾクゾクしちゃったわー」
ショウが事情を説明すると、スネオが恍惚とした表情で体を震わせながら言った。
「そんな女が子供の方を傷つけようとしたら、泣いて懇願して来るんだもん。笑ったよねえ」
ドルチェが悪趣味な二人の言動に眉をしかめて、椅子に縛り付けられた原形を留めていない赤黒い物体を一瞥する。
しかしすぐに気を取り直して、厳しい表情で二人に確認を取った。
「それで緋の目は?」
「ちゃんと二つとも首ごとホルマリンに漬けてあるよ」
「……そう……。じゃあ12月24日に里を襲撃して、残りも収穫しちゃいましょうか」
ドルチェが血しぶきがこびり付いた凄惨な部屋の中を気にした様子もなく、落ち着いた声で指示を出した。
「あぁ、それなんだがなあ。団員が一人死んじまったー。死んだのはエコウだー」
「こいつらの前に立ち塞がった良く分からない奴らが、思ったより強くてねえ」
「全員殺したけどなー。ちなみに痛め付けたその女もその一人だー」
「……それを早く言いなさい……」
ドルチェは何でそいつらの正体を探って来なかったと内心で歯噛みした。
"能力"があると言っても、不確定要素はできるだけ潰しておくべきなのに。
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12月24日
7人の団員達をクルタ族の隠れ里への襲撃に向かわせつつ、廃教会の中でレンザーと協力して、収穫した緋の目を出荷する準備をしていたドルチェは、突然ピタッと作業の手を止めた。
"来る"気配がしたからだ。
唐突に固まってしまったドルチェを見たレンザーが、訝しげな顔をして問い掛ける。
「どうしたの、団長?」
「……いや、問題ないわ……」
実際には大問題だった。
自分の能力が発動したということは、失敗したということだからだ。
設定した任務が失敗するか、自分が死ぬことでこの感覚は"来る"。
「……残り3回か……」
やり直せるのは3回までだ。
限られた回数の中で原因を探らなければならない。
ドルチェの体が強大なオーラに包まれる。
そして特質系ではあるのだがそれでは説明し切れない、特大のオカルトと言える"奇跡"が起こる。
10月25日
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マサドラに辿り着いた一行は、先に辿り着いていたフィンクスとフェイタンと、ノブナガとウボォーギンと合流して、
手に入れた呪文を自慢げに見せびらかして来る4人に、ジョネスは尋ねる。
「全裸のジンはなんて言ってた?」
「全裸のジンは呪文が買える場所は教えてくれたが、種類とかについてはさっぱりだ」
「全裸のジンはその後、服を買ってどこかへ逃げやがった」
フィンクスとノブナガがそう答えた。
ジョネスは顎に手を当てて考えながら言葉を続けた。
「……まずは呪文の種類を把握して共有しよう。オレらはアントキバで稼いで来たから、現時点でもかなりの数が買える」
「ジョネスさん、いいの? それだとあんたのチームが損すると思うけど」
クロロの質問にジョネスが笑って答えた。
「オレはそんなに必死にクリアを目指してねえんだって、楽しみたいだけだ。それにそうしねえと、どうもゲームにならねえみたいだからな。パリストンもオレからの情報を待ってるはずだ」
ジョネスはそう言うとそのままマチとシズクを引き連れて、呪文ショップに向かった。
寛大で器がデカいジョネスに、一同が尊敬の眼差しを向けた。
しばらくして、三人が店から出て来る。
「
「
「
その場から瞬時に三人が消えた。
ジョネスが感心したように溢した。
「おお……、ホントに使えた」
「えっ? 何してんだあんたら」
「えっ? 呪文カードのお試しだが?」
呆れたように呟いたウボォーギンに、ジョネスが「何を馬鹿なことを」といった風な様子で答えた。
防ぐ術を持っていない奴が悪いのだ。
店の外で待っていた全員がジト目でジョネスを睨み付けた。その視線を無視してジョネスは笑顔で続ける。
「ヨシ!! それじゃあ手に入れた呪文について情報を交換するか!!」
「ゲームが終わったらマジで3人に謝れよ?」
このゲームは嫌がらせの手段がやたら豊富だ。
色んな意味でリアルファイトが勃発するゲームである。
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恋愛都市アイアイで順調にイベントをこなして、2種類の指定ポケットカードを手に入れたヒソカとイルミは、昼食を食べながら今後のことについて話し合っていた。
「いやあ、楽しかったねえ♡ これくらいの恋愛ならいつでも大歓迎なんだけど、本物の恋愛はその後の人生が束縛されちゃうのがなあ♤ やっぱりボクはゲームで十分だよ♢」
「オレは全然楽しくなかった。何であんなクソみたいなイベントをやらなきゃカードが手に入らないの? サクラよりかわいい子なんていないし、サクラといるより楽しいことなんて無い。最低の町だ」
イルミはヒソカにそう答えて不機嫌そうに窓の外を眺める。
ヒソカは笑いながら指差す。
「連れないなあ♧ 同行者がそんな顔してるとボクまで気分が沈んじゃうよ♢ ほら、いつものお気に入りの写真でも見て機嫌を直しなよ♡」
「……」
イルミは首に下げていた旅行先で買った写真入りのロケットペンダントをおもむろに持ち上げると、中身を見て心ここにあらずと言った感じでボーッと黄昏れ始めた。
写真の中では、一人の女性が大きな時計台をバックに腕を開いて、満開の笑顔を浮かべている。
ヒソカはそれを見て「ブック♡」と唱えると、格納していた2枚の指定ポケットカードを取り出した。
片方をイルミに手渡してから言った。
「どうせ呪文で奪われちゃうなら、試しに使ってみようよ♡ ゲイン!!」
ヒソカがカード化を解除すると、彼の手の中に独特な意匠のハサミが現れた。
イルミが訝しげに尋ねる。
「何それ?」
「さあ? 何でしょうか♡ ほら、イルミも使ってみなよ」
イルミは持っていても奪われるだけだし、特に深く考えずにヒソカに渡されたカードのカード化を解除した。
するとイルミの手の中に、先程まで見ていたロケットペンダントより一回り大きい、コンパスのような物体が現れた。
[心度計] No.020。ランクB、カード化限度枚数30。
使用者の今の精神状態を測ってくれる時計。12時に合わせると平常な精神状態に戻る。TPOに合わせて自身の心をコントロールできる。
イルミの手の中に現れた心度計の針は軽く傾いていた。
やらかしてしまった影響で、好きな人を一時的に旅団に連れ戻されて、寂しくて悲しくて不機嫌な彼の精神状態を表しているのだろう。
イルミは興味なさげにそれを机の上に置いた。
ヒソカはそれを見てニヤリと悪い笑みを浮かべると、おもむろにイルミの隣に座り直して、ちょきちょきとハサミの音を鳴らした。
素早くイルミがロケットペンダントを持っていない方の手を取ると、ガムをくっ付けてすぐには離れられないようにした。
「何の真似? キモいな、殺すよ?」
これがあの子の手だったらどれだけ良かったことか。
しかし現実は野郎で変態なピエロである。イルミは半目になってヒソカを咎めた。
「まあまあそう言わずに♡ このハサミねえ、"縁切り鋏"って言って、会いたくない人の写真を切ると、その人と二度と会わずにすむようになるらしいよ?」
ヒソカはそう言ってイルミの手にハサミを握らせた。すかさずガムでくっ付ける。
[縁切り鋏] No.014。ランクB、カード化限度枚数22。
このハサミで会いたくない人の写真を切ると、その人と二度と会わずにすむようになる。本人を除いたその写真に写っている人すべてに有効なので注意が必要。
ヒソカが満面の笑みを浮かべて続ける。
「この状態でそのサクラの写真を切っちゃったらどうなるのかなあ♡」
その瞬間、ドス黒い殺気が店内を覆い尽くした。
心度計の針が一瞬で振り切れて、そのまま爆発した。
「お前を殺すよ? ここで、今……」
ヒソカは想像以上の反応にそれを楽しむことすらできず、ビクッと顔を引き攣らせて、ダラダラと冷や汗を流しながら慌てて弁明した。
「冗談だよぉ……♧ マジでごめん……許して……♢」
「ごめんで済んだら暗殺者はいらないよ?」
「申し訳ありません。二度としません」
ヒソカは語尾に謎の記号がついていると錯覚するような、いつもの飄々とした話し方を引っ込めてガチ謝罪した。
ちょっとこのイルミには勝てないと思ったし、マジで怖かった。
故郷で療養している妊娠中のイルミの彼女が、ペンダントの中で相変わらず満開の笑顔を浮かべていた。
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10月25日
「……任務の失敗はクルタ族に返り討ちにされたってより、依頼主が殺された可能性の方が高いかしら……。
今度は私も含めてそちらの護衛に人員を回しましょう。
隠れ里への入り方はもう分かったから、今度は半端にクルタ族の子供を誘拐して警戒させなくてもいいわ。
里への襲撃のことも考えたら一石二鳥ね……」
ビヨンドの能力は……。
まあシンライフォジオで守った後、マコーラで適応すると考えてくれたらいいよ。そんで麻雀牌からドカンと飛ばす。
能力名は蒼天航路ですね。
バッドエンドその1。
私のやりたいことが伝わったか?
そう、タイムリープだ!!
明らかに無謀である。
ジョネスは寛大で器がデカい……。
このゲーム呪文カードのほとんどが嫌がらせ用じゃねえか!!
ピンク脳なイルミとヒソカ危機一髪。
このゲーム指定ポケットカードが怖過ぎだろ!!