流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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風邪ひいてました。
お待たせ。

今回は全編がゲーム編です。



62.ゲーム×ノ×アイテム

 

 

 

 "童貞懐胎のジン"が作ったクソゲー(グリードアイランド)のテストプレイは順調に進み、各々のチームで指定ポケットカードを手に入れたり、交換(トレード)が行われたり、呪文(スペル)カードの撃ち合いが頻繁に行われるようになって来た。

 

 そんな中、自力探索でのクリアを目標に掲げたフィンクスとフェイタンのコンビは、ヒソカに紹介された恋愛都市アイアイで手に入れた業の深いカードを見て、クリアを優先するか好奇心を優先するかを真剣に葛藤していた。

 

 イベントで30人の強力なオネエ達を打倒してやっと手に入れたカードだ。色んな意味で強敵だった。

 

「……エロ漫画じゃねえか……。オレは全然興味ねえけど?」

 

「……まあ、ワタシも興味ないけど、お前がどうしてもて言うなら……」

 

 フィンクスとフェイタンの二人は、そのカードの説明文を血走った目で凝視して、密かに興奮しながら呟いた。

 

 

 

 

 

[ホルモンクッキー]No.033。ランクS、カード化限度枚数13。

 このクッキーを食べると24時間の制限付きで性別が変わる。1箱20枚入り10箱セット。

 

 

 

 

 

「……TS(トランスセクシャル)……だと……!?」

 

「人類の夢ね」

 

 いつの間にかノリノリになってしまった二人は、気付いた時にはカード化を解除していた。魔が差したとも言える。

 

 ゲインしたフィンクスの手の内に大量の恐るべきクッキーが現れる。

 

「"いっせーのーで"でだからな? 出し抜きも抜け駆けもすんなよ」

 

「……分かてるよ」

 

 やる気満々で「抜け駆けすんな」とか言い出したフィンクスを見て、フェイタンはまずは目の前の男に毒見させることを決定した。出し抜きである。

 

 いっせーのーでで、フィンクスが勢い良くクッキーを口に入れた。フェイタンは口に入れたフリをして一旦待機する。

 

 それに気付いたフィンクスが叫んだ。

 

「あっ!? テメェふざけんなよ!! 騙しやがったな!!」

 

 哀れなモルモットと化したフィンクスが相棒の裏切りに激怒したかと思うと、怒ってフェイタンに掴みかかる間も無く、にわかに己の体を抱いて震えながら喘ぎ始めた。すげえキモい。

 

「な、何だ……!? うぅ……、あぁ……♡」

 

「……うわぁ……」

 

 みるみる内に体が変化して行くフィンクスを見て、フェイタンがドン引きして数歩分距離を離した。何の躊躇もなく相棒との約束を破った癖に本当にいい性格をしている。

 

 

 

 

 

 やがてフェイタンの目の前に現れたのは、まるでホーリーウッドスターのようなウェーブがかった長い金髪が特徴的なグラマラスな美女だった。射殺すような鋭い目付きで睨み付けられて、フェイタンは不覚にもドキドキして目を逸らしてしまった。正直、痛め付けて鳴かせてやりたかった。

 

 

 

 

 

「おい、フェイタン!! 裏切りはギルティだぞ!! テメェもさっさと食え!!」

 

「……ヤダアキコ、ヤダアキコ、ヤダアキコ……。こいつはフィンクス、こいつはフィンクス、こいつはフィンクス……」

 

「あぁん!? どうしたんだよ!! ほら食え!!」

 

 フェイタンが目を逸らして現実逃避していた隙に、背の高い美女が彼を取り押さえて無理矢理クッキーを食べさせる。

 

 フェイタンは正直、見た目どストライクな美女に力で勝てなくてドギマギしたが、それをできる限り表に出さないように大人しくクッキーを頬張った。女になれば取り敢えず、フィンクスでアソコが勃つとか最悪の事態は避けられるだろう。

 

「うあぁ……。アッ♡」

 

「……うわぁ……」

 

 クッキーの効果で悶え始めたフェイタンを見て、フィンクスはハスキーな声を漏らしながらドン引きした。

 

 

 

 

 

「結構関節が柔らかくて動き易いね」

 

「えっ、かわいい……」

 

 

 

 

 

 目の前に突然現れた、艶やかな黒髪に切れ長の吊り目が特徴的な小柄な美少女に対して、フィンクスが思わずそう溢した。

 

「どうかしたか?」

 

「いや、何でもない……」

 

 整った顔で品定めするようにこちらを鋭く睨み付けて来る、まるで黒猫のような印象の美少女の冷たい表情を見て、フィンクスはガラにも無くドキドキしてしまった。正直踏んで欲しかった。

 

 

 

 

 

 動揺してビクッと震えて顔を逸らしながらも、チラチラと横目でこちらを窺う美女の姿に、フェイタンは一瞬正気を失って舌舐めずりしたが、すぐに相手がフィンクスだと思い出して、気まずくなって顔を逸らした。

 

「……」

 

「……」

 

 二人は黙ったまま携帯を取り出して内カメラで己の姿を確認する。普通に目の保養になったのでしばらく黙って見つめていたが、すぐにこれは己自身だったと我に返って、そのまま何も言わずにホテルの自分の部屋に向かった。

 

 そして各々でしばらく楽しんだ後、質問を掲示板に書き込んだ。

 

 Q:悪くない。

 

 A:えっ、なに? 何があった。

 

 Q:ちょっと変化と新しい自分を楽しんだだけね。

 

 A:あ〜。お前らさてはホルモンクッキー使ったな?

 

 Q:何ですかそれ?

 

 A:食べると性転換できるクッキー。アイアイで手に入るぞ。

 

 Q:ジンさん……!! あなた……!!

 

 Q:やはりそういうことなんじゃな……。

 

 Q:……このことは墓場まで持って行ってやるよ……。

 

 Q:ああ、一生の秘密だ、大団長の名にかけて。まあ、ある意味良かったよ、タマゴでも尻でもないんだな。

 

 A:急にどうしたんだお前ら?

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 シソの木でゲームの外から戻って来たフランクリンと合流してから、マサドラで無事に呪文カードを手に入れることに成功したクロロは、そのまま同行(アカンパニー)でシャルナークの元へ飛んで、再び三人チームが感動の再会を果たした。

 

 しかし、感動も束の間、この3人は復讐に燃えていた。

 

 必ずやあの邪智暴虐の徒であるジョネスとかいう呪文ぶっぱ親父を誅してやらねばならない。マチとシズクはかわいいのでOKだ、責任は全てジョネおじにある。

 

「とりあえずゲームを進めよう。随分出遅れてしまった」

 

「必ずや復讐の機会は訪れるはずだ」

 

 今にも誰か殺しそうな雰囲気のクロロとフランクリンが、一周回って至極冷静に提案した。

 

 準備不足で立ち向かっても、また飛ばされるか返り討ちにされるだけだ。不用意に女子を巻き込むことも避けたい。

 

「掲示板に載ってるホルモンクッキーって奴を食べさせるのはどう?」

 

「……あのおっさん多分喜ぶぞ?」

 

「ああ、確かに」

 

 シャルナークが掲示板を見ながら提案した内容は、フランクリンににべもなく却下された。そういうギャグみたいな状況はあのおっさんを楽しませるだけだ。

 

 シャルナークはおぞましい光景を想像して、眉をひそめながら納得した。

 

 ジョネスが女になった瞬間、衣服を全部脱いで自分自身の撮影会を始める所が、ありありと想像できた。

 

 その時、顎に手を当てて何かを考えていたクロロが、二人の話を聞いておもむろに口を開く。

 

「シャル、ナイスだ」

 

「えっ?」

 

 シャルナークは突然かっこ付け始めた幼馴染に対して、キョトンとした表情で思わず疑問の声を上げた。

 

「というかオレはバカだな。くそ……どうかしてた……」

 

「……いつもの病か……」

 

 真剣な表情で何やらブツブツ呟くクロロを、フランクリンが生温かい目で優しく見守りながらそう言った。

 

 クロロがこうなった時は空気を読んでやるべきだ。実際に冴えた意見が出て来ることも多い。

 

「どうしたんだ、クロロ団長?」

 

「……オレは呪文や武力でジョネスさんに勝つことばかり考えていた。

 

 だがクリアを目指しておらず、ただゲームで遊んでいるだけのあの人のカードを奪ったり、どこかへ飛ばしたりしても、それは何の仕返しにもならず、ただあの人をより楽しませるだけだ。

 

 更にどうやってあの人と戦うかを考えても、返り討ちにされる未来しか見えない。だからオレは実の所どうするか迷っていた」

 

「三人で一斉にかかったら流石に勝てると思うけど?」

 

「……あの人の怖い所は勝てないと思ったら逃げる所だ。そしてやられたことは絶対に忘れず、こちらが忘れた頃に必ず夜討ち朝駆けで報復に来る。そして逃げられないと悟ったなら、誰か一人を集中攻撃して道連れにしようとする」

 

「……だな。あの街の擬人化みたいな男だ」

 

 フランクリンは三人でかかって行った場合を想定してゾッとした。遠距離のフランクリン。万能型のクロロ。近接のシャルナーク。このメンバーではジョネスに集中攻撃される人間が決まってしまっている。

 

 まず間違いなくシャルナークだ。これでは信頼関係も協力関係もあったものではない。

 

 シャルナークも同じことを想像したのだろう。顔を青褪めさせてぶるっと震えていた。

 

「そこで最初の話題に戻る。破格の性能を持った指定ポケットカード群だ。このゲーム特有の機能を使えば一方的に勝利する道筋が見えて来る」

 

「……えっと、つまりアイテムでジョネスをボコろうってことか?」

 

「話長かったけど、そういうことだろうね」

 

「……いや、そうじゃない。

 

 三人で時に分進しつつ、高度の柔軟性を維持し、臨機応変に対応する。適切な呪いによってジョネスの動きを読み切り、並行して追撃し、孤立したタイミングで包囲して合撃する。

 

 これでジョネスに一泡吹かせてやるんだ」

 

「偶には三人が分かれて、効率良く呪文と情報と指定ポケットカードを集めるんだな」

 

「ジョネスの動きを呪文カードで読んで、あの人が一人になったタイミングで三人で集合して、ジョネスを囲んで指定ポケットカードでボコるんだね」

 

「……ウン……」

 

 天才的な作戦を見事に要約されてしまったクロロが素に戻ると、顔を赤くして消え入りそうな声と共に頷いた。

 

 ジョネス(♀)よりは、クロロの方が確実にかわいいことが判明した。

 

 

 

 

 

「クロロ、一つ気になることがある。ゲームの外に離脱した後、オレのフリーポケットの中身が全部消えてたんだ」

 

「……何だと?」

 

 フランクリンが発見した仕様を聞いて、クロロはすかさず一枚のカードを取り出してテキストを見た。

 

 

 

 

 

 [離脱(リーブ)]No.1014。ランクB、カード化限度枚数30。

 種類:近距離 ・ 通常呪文

 対象プレイヤー1名を島の外へ飛ばす。

 

 

 

 

 

 フランクリンは自分で使った訳ではない。シズクに使われたはずだ。

 

 最初の恐るべきバグが判明した。

 

 地獄が始まる。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 交易の街ムジャラットに滞在するノブナガは、手に入れた3枚のカードを見て葛藤していた。

 

「プライドを取るか、ロマンを取るか……か……」

 

 

 

 

[長老の背伸び薬]No.067。ランクB、カード化限度枚数20。

 1粒飲めば1cm背が伸びる薬。1ビン100粒入り。20才を過ぎてからの服用が望ましい。

 

[長老の毛生え薬]No.069。ランクB、カード化限度枚数30。

 塗ったところがフサフサになる薬。塗るときは手袋を着用しないと、手の平や指先にも毛が生えてしまう。1ビン200ml。頭に使用する場合約10人分。

 

[マッド博士の筋肉増強剤]No.070。ランクA、カード化限度枚数16。

 飲むとイメージ通りの筋肉を得ることができる。1日1ℓを1週間飲み続けなければならないが、おそろしくまずい。1ℓビン10本入りの箱が7箱セット。

 

 

 

 

 

 エキセントリックな長老とマッド博士と仲良くなって、完全に彼らに影響されてしまったノブナガは、これらのアイテムを使って、オレが考えた最強のモンスターを生み出すことを画策していた。

 

 自分の身長と筋肉を増強して、ウボォーギンと張り合うことも考えたが、やはり憧れだけはどうにも止められなかった。

 

 

 

 

 

「こいつを使えばウボォーは最強になる……!!」

 

 

 

 

 

 毛生え薬は関係ない気がするが、モジャモジャの方が強そうだと思ったらしい。バカである。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 数日後、とある研究室に4人の男が集結していた。

 

 全員が怪しげな緑色の手術着姿である。

 

「科学の発展に犠牲は付き物デース」

 

「流石だマッド先生……!! NPCとは思えないクレイジーっぷりだ……!!」

 

 数々のイベントに関わるグリードアイランドの影のボスの一人(という設定)、マッド博士が指先を天井に向けながら壊れたラジオのように、「科学の発展に犠牲は付き物デース」「オペを開始シマース」「マッドだから無敵デース」という3つのセリフを繰り返している。

 

 マッド博士を盲目的に尊敬するノブナガは、それをキラキラとした目で見つめていた。救いようが無いバカである。

 

「ノブナガも分かって来たじゃねえか。ゲームは遊ぶ為にある」

 

「素晴らしい素体だな」

 

 何故かいるジョネスとジンがマスクの下で笑いながら言った。

 

 彼らの任務は素体の捕獲である。

 

 やがて研究室の真ん中にある手術台で眠っていた男が目を覚ます。

 

 彼はノブナガの依頼を受けたジョネスに絞め落とされていた為、今の今まで深い眠りについていた。そしてその体はジンの能力によって厳重に拘束されている。

 

「……今何時だ?」

 

 目を覚ました男、ウボォーギンは自分を取り囲む怪しげな男達を一瞬だけ警戒したが、バカが3人いるだけだと気付いて、イラっとしながらも落ち着いて問い掛けた。

 

「何という精神力……!! 明らかにこれから実験されることが分かっていながら、体を纏うオーラにはわずかな動揺も見られない……!!」

 

「は? オイ!! 実験ってどういうことだよ!!」

 

「あっ、オーラ揺らいだな」

 

 ジョネスが芝居がかった口調で感嘆するも、ウボォーは突然聞こえて来た不穏な単語に流石に動揺して体を揺すった。

 

「ウボォー、お前とは長い付き合いだが憧れは止められねえんだ……!! だって、思い付いちゃったから……!!」

 

「マッドだから無敵デース」

 

 相棒を魔改造してしまうことに対して、心の底から後悔の念に苛まれながら、ノブナガは歯軋りをして苦しげにそう溢した。

 

 マッド博士は壊れたラジオである。

 

「ふざけんな!! ノブナガだろテメェ!! マスクしててもバレバレなんだよ!!」

 

「違う。オレはマッド先生の弟子のハザマ=ノブだ」

 

「逆にしただけじゃねえかボケ!!」

 

 バカ共のおもちゃにされることが確定して、力の限り抜け出そうとするウボォーギンに、ジンが3枚のカードを提示しながら言った。

 

「まあ3日くらいで元に戻るから大丈夫だって」

 

「3日間はどうなるんだよ!? えっ、マジで怖いんだが!?」

 

「大丈夫だ。身長3m58cmで今の倍の筋肉の体毛モサモサマンになって貰うだけだから」

 

「やめろ!! オレは今のままで満足してんだよ!!」

 

 そうは言いつつ、筋肉にはちょっと憧れてしまったウボォーギンに、バカ4人の魔の手が迫る。

 

「ウボォーさん、オレ達からあなたへの鎮魂歌(レクイエム)です」

 

「えっ!? オレ死ぬの!? ジョネス、このクソジジイ!! テメェふざけんな!!」

 

「頼んだぜ大団長」

 

「ノブナガ!! お前普段はオレのこと呼び捨てじゃねえか!! 後で殺すからな!!」

 

「大丈夫だって、オレ達は楽しいからな」

 

「オレは楽しくねえんだよ!! 死ね!! クソハンター!!」

 

「オペを開始シマース」

 

「そんで結局誰なんだよこのハゲ!?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 ノブナガからカードの交換(トレード)の為に荒野に呼び出されたヒソカとイルミは、遠くから飛んで来る光弾を察知して、素早く着地点に振り返った。

 

 既に何回か痛い目に遭っているからだ。このゲームは人の心を荒ませる。普段はいい人でもゲームシステムに頭を汚染されて騙し討ちする奴が後を絶たないのだ。

 

 降り立ったのは人外の怪物だった。

 

 えっ、何アレ? 身長3m超えてんだけど? 金属みてえな筋肉が二世帯住宅なんだけど? きったねえ縮れ毛でギリースーツ状態なんだけど?

 

 

 

 

 

[天元突破 究極完全態 ウボォーさん]

 

 

 

 

 

「フシュー……!! 誰が生めと頼んだ!? 誰が作ってくれと願った!?」

 

 

 

 

 

 何だかんだでノリノリなウボォーギンに、一緒に飛んで来たジョネスとノブナガとジンは腹を抱えて爆笑していた。

 

 ちょっとお会いしたことがないタイプの人を見て、唖然とするヒソカとイルミを尻目に、天元突破究極生命体ウボォーさんは目の前の男達を指差して宣言した。

 

「ヒソカ!! オレと戦え!! ジョネスゲームはまだ終わってねえ!! オレが書類仕事だけで終われるか!!

 

 イルミ!! テメェはサクラを孕ませたケジメを付けろ!! オレに実力を見せて認めさせるか奪い取れ!!」

 

 その言葉を聞いたヒソカは辟易としつつ、心の奥底では暗い喜びに震えていた。

 

(ゴリラタイプの180点……♧ 正直戦いたくないな……♢ ……でもウボォー、今の状態が君のベストなんじゃない♡)

 

 ヒソカは極限の戦いを前にしてに既に絶頂寸前だった。

 

 イルミは無表情のまま歓喜した。

 

(戦ったら殺されちゃうなあ。でもその言葉を待ってたんだよね)

 

 好きな人の為に死にたくなかった。これは初めて感じる感情だった。

 

 好きな人の為なら死んでも良かった。矛盾していながら、これはここ一年、何度も感じた感情だった。

 

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 ヒソカは滅多に味わえないレベルの相手に狂喜しながら善戦したが、ちょっと攻防力移動をミスった瞬間に「あっ、一発で折れたッ♡」という遺言を残してぶっ飛んで行った。

 

 イルミも善戦したが、かち合う度に地力の差からボロボロになって、それでも諦めずに立ち向かったが、指定ポケットドーピングの差は覆らず、やがて気合いだけで立ったまま気絶した。

 

 そのまま感極まったウボォーギンに抱き締められて、「これじゃサクラの方がお前に相応しい女なのか疑問だ」と最大級の賛辞を送られた。

 

 あんな色気の欠けらもないクソガキにこんな素敵な人ができてもいいのでしょうか? なかなか酷いがウボォーギンの心中はおおよそそんな感じだった。

 

 ジョネスとノブナガとジンは、ウボォーギンと二人の戦いを肴に大いに親交を深めた。

 

 しかし、この後三人仲良くシメられた。

 

 流石にふざけ過ぎたと感じた時のジョネスとジンは大人しい。

 

 Q:いやあ笑った。完全(パーフェクト)ウボォーの写真貼っとくね。

 

 A:クリアなんて目指してる場合じゃねえぞお前ら。オレはこういうことやって欲しかったんだよ。

 

 Q:ジンさんって言われてる数倍破天荒ですよね?

 

 Q:チードルの真似!! 破天荒の使い方正しい→子

 

 A:草

 

 Q:流石に草生えます

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 一仕事(遊び)終えたジョネスが拠点にしている城下町リーメイロの仮宿に帰ると、田舎のヤンキーみてえなジャージ姿のマチが豪勢な料理を準備して待っていた。

 

 ちなみにシズクは息子がアレなせいで孫に飢えていたネテロに貸し出し中である。

 

 ジョネスに影響されたせいで親父が休日に作ってくれるような男飯だが、採算とか栄養バランスとか考えていないが故に味は絶品であった。

 

「美味い!! 流石だ!!」

 

「えへへ……ありがと」

 

 無防備に喜ぶジョネスの隣に座ってくっ付きながらマチは内心でほくそ笑んだ。

 

(計画通り)

 

 遂に獲物が罠にかかった。マチはこの時の為に複数の指定ポケットカードを集め入念な準備を重ねていたのだ。

 

 思えば長かった。娘として拾われた所から始まり、不器用だが優しくて、マチにだけは特別優しい、頼り甲斐のある彼に、親や兄のような存在として夢中になるまでそう時間は掛からなかった。

 

 大人になるに連れて、どこまで行ってもやはり血の繋がっていない彼のことを、遂には異性として意識するようになってしまう。

 

 そこからはとにかく早かった。強くて、優しくて、かっこ良くて、頭がいいけどユーモアがあって、マチにとってそんなものは無くてもいいのだが、お金や地位まである。

 

 もうマチは我慢できないくらいジョネスのことが大好きだった。

 

 でもどれだけアプローチしても、ジョネスからはずっと子供扱いなことに不満を覚えた彼女は、この日遂に最終計画を実行することを決意する。

 

 

 

 

 

 夕食を食べ終わってソファでくつろいでいたジョネスは、しばらくしてから妙な違和感を感じた。

 

(……なんだ? 妙にムラムラするな。発情期か?)

 

 故郷の男連中から、よくマチにあんなにベタベタくっ付かれて正気でいられるな。と尊敬半分、呆れ半分の評価を受けているジョネスもやはり男なので、定期的にそういう時期はやって来るのだが、流石に今回は異常だった。

 

 センシティブな話題なので隠語を使わせて頂くが、具体的には直接触ってもいないのに、ドラゴンランスがフル強化状態だった。

 

 これはマチに見られたり気付かれたりしたら気まずいと思い、そそくさと自分の個室に戻ろうとしたタイミングで、どこかに退室していたマチが部屋の中に戻って来た。

 

 ジョネスは慌ててズボンの上から膝掛けを羽織って下半身を隠そうとするが、次の瞬間、花のような何ともいい香りを漂わせるマチに目を奪われてしまった。

 

 マチはジョネスでも見たことがない美しい柄の着物姿で、軽く微笑んで彼を見下ろしていた。

 

 彼女の下ろした長い髪とよく似合っていてとても美しく、不意に彼女に惹かれてしまっている自分がいることに気付いて、ジョネスは太ももを思いっ切り摘みながら俯いた。

 

 既にジョネスは盛られている。

 

 

 

 

 

[長老の精力増強薬]No.068。ランクA、カード化限度枚数20。

 肉体の一部がものすごく元気になる薬。回数、持続力とも文句なし。1ビン500粒入り。

 

[魔女の媚薬] No.064。ランクB、カード化限度枚数30。

 この薬に口づけをして意中の相手に飲ませれば、その人は使用者の虜となる。1粒の効き目は1週間。ビン500粒入り。

 

[マッド博士のフェロモン剤]No.071。ランクA、カード化限度枚数20。

 体に吹きかけると異性にとてもモテるようになる。ただし効き目をセーブできないので、ストーカーの大量発生など問題も多いので注意が必要。

 

 

 

 

 

(……何かがおかしい……。だが落ち着けオレ、"それ"をやっちまったら人として終わりだぞ……)

 

 何故だかいつも一緒にいたはずのマチに、今日だけは特別に惹かれて、彼女から目が離せなくなってしまったジョネスは、気を紛らわせるように落ち着いた声で問い掛ける。

 

「マチ……どうしたんだその格好?」

 

「勝負服だよ」

 

「……勝負って何のだよ……これから寝るだけだろ?」

 

「うん、できればジョネスと寝るつもりだね」

 

 マチはそう言ってジョネスの隣に腰掛けると、そのまま体を密着させてしなだれ掛かって来た。

 

 マチの体からふわりといい匂いがして、ジョネスは一瞬正気を失いかけたが、両ももをつねって痛みで何とか気を逸らした。

 

「ジョネス、大好き。女としてね。本当は分かってるんでしょ? 駄目かな? あたしのことは嫌い?」

 

 マチは息がかかるくらいの距離でジョネスに囁く。

 

(うわあ、まつ毛長え。顔小っさ。柔らけえ。綺麗だなあ)

 

 ジョネスは興奮して頭の中でグルグルと煩悩を巡らせたが、鋼の精神力でその思考を叩き落としてポツポツと言葉を発した。

 

「……嫌いな訳ないだろ。お前はオレの大事な娘で……」

 

「分かってないみたいだね」

 

 マチはガッカリしたように呟くと、ジョネスの体とソファを糸で拘束して、素早くジョネスの上に馬乗りになって迫った。

 

「あっ♡」

 

「おいコラ。おいたが過ぎるぞ……」

 

 布越しに敏感な部分が擦れてしまい、甲高い声を上げたマチを見て、いよいよ本格的にマズいと感じたジョネスが厳しい表情でマチを咎めた。

 

 ジョネスはカードの効果で思考がうまく纏まらないが、あと一手くらいで一線を越えて暴走してしまうことが、ありありと自覚できてしまっていた。

 

 そんなジョネスの心配も意に介さず、マチは頬を赤くしながらジョネスに抱き付いた。

 

 漂った香りと押し付けられた胸の感触に一瞬正気を失いかけたジョネスは、爪を一枚剥がして痛みで無理矢理意識を保つと、落ち着いてマチを宥めるように背中を撫で始めた。

 

「マチ、離れろ。説教の時間だ」

 

「やだ。ジョネスと結婚するし、えっちする。あたしと赤ちゃんつくろ?」

 

 マチにそう言って上目遣いで見つめられたジョネスは、極限の興奮状態に陥り、これはいよいよマズいなと感じて、自らが獣になる前に最後の抵抗を行った。

 

 

 

 

 

 マチの背中に回した腕をもう片方の腕で掴んで、そのまま思いっ切り力を込める。

 

 引き千切られたジョネスの片腕が宙を舞い、抱き合う二人の上に鮮血の雨を降らせた。

 

 

 

 

 

 痛みで正気を取り戻したジョネスが、真剣な表情でマチを見下ろしている。目が合ったマチの目尻に涙が浮かんだ。

 

「……グスッ、……なんで……」

 

 カードまで使った一世一代の告白を敢えなく断られたショックで、マチはジョネスの胸元に顔を埋めたまま、しゃくり上げながら涙声でそう尋ねた。

 

「まずお前、なんか使っただろ。指定ポケットカードか?」

 

「……ごめんなさい」

 

「自分の体を大切にしろって何度も言ってるだろうが、ていうか普通にこの状況、女から男への強姦だし……」

 

「うぅ……」

 

 ジョネスの容赦ない指摘に、マチは恥ずかしそうにぐりぐりと顔をジョネスに押し付けて、絶対に表情をみせないように試みた。

 

 ジョネスは黙ったまま、マチが泣き止むまでたっぷりと時間をかけて落ち着かせると、体を引き剥がしてマチを隣に座らせた。

 

 そのまま真剣な表情でマチと見つめ合う。

 

「本気でオレのことが好きなのか? 一時の勘違いだろう?」

 

「そうじゃないよ。あたしはもう大人だもん」

 

「……そうか……」

 

 ジョネスは腕を強く縛って止血を終えると言った。正直、それでも勘弁して欲しいのだが、ここまで言われて放置するのはもはや無責任だろう。

 

 彼女の覚悟を汲み取って最低限の譲歩を行うことにした。

 

「お前との親子関係は解消だ」

 

「えっ? ……そんな……」

 

 マチが事実上の絶交ともとれる言葉を受けて、俯いて再び泣き出しそうになる。

 

 ジョネスは厳しい表情のまま続けた。

 

 

 

 

 

「これからは他人同士で男と女だな。カードなんてずるい手使わずに真っ向から来いよ。お前が安い女じゃないように、オレは安い男じゃないぜ?」

 

 

 

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、マチが勢い良くジョネスに抱き付いて、恋愛的な意味で落としにかかった。

 

 ジョネスは付き合ってもいないのにくっ付くなと、乱暴に振り払って豪快に笑った。

 

 ちなみにジョネスは気が強い女性がタイプである。マチがジョネス以外の人間に見せるような態度を取ったらこいつは秒で落ちる。

 

 

 

 

 





ホルモンクッキーは使わなきゃ嘘だろ。
新しい自分が気にならないのか。
ジンさん……。

クロロはやはりアレである。
親しい人には周知の事実。

好奇心の為に相棒を売ったノブナガ。ハンター向きの精神ですね。
あんなにおっきくてつよいウボォーさんが悪い。

ヒソカお疲れ様。
イルミおめでとう。

マチは惜しかったね。でもそれ強姦だから……。
マチがいつものクールな態度ならもっと早く終わってたんだよ。
娘として甘えるから進展しないのだ。
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