お待たせしました。
季節の変わり目でモチベが上がらなかった。
あと内容が難しくて苦戦した。
今回はパリストンとクロロと、ブループラネットです。
城下町リーメイロの中心に建つグリードアイランド城の中にて、このゲームの開発者であるジンは、入手条件が分からず自分に泣きついて来た二人の切れ者を見て、ニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべながら説明を始めた。
「まずお前ら、
ジンの質問にパリストンが笑顔で答える。
「はい、場所はギャンブル都市ドリアスですよね?」
「ギャンブルは一通り試したんだろ? それでどれだけ勝ってもブループラネットは貰えなかったと」
「リスキーダイスが怖いので、降り掛かる不幸に耐えられるジョネスさんとウボォーさんに実験して貰いました」
当然のように自分はリスクを避けて他人にやらせたと宣うパリストンに続けて、クロロがメモしておいたブループラネットのテキストを読み上げる。
「"ブループラネット"。唯一無二の青で輝く宝石。成分構成上どの鉱物にも属さないので、宇宙からの贈り物という意味を込めてこの名がついた。ギャンブルの町の景品だとは思うんですが、これじゃノーヒントだね……」
クロロはそう言って眉をひそめた。このゲームは入手イベントとアイテムの内容が連動していないことが多過ぎる。
クロロだって一通りは試した。しかしポーカー大会で優勝しても、麻雀大会で優勝しても、謎オリジナルゲーム、ラビット・ナボコフで大勝ちしても、ブループラネットが入手できる気配は無いし、ヒントも貰えなかった。
時間を無駄にさせやがって。
クロロは笑いを堪えるジンをジト目で睨み付けた。
「くくくっ、ギャンブルは一通り試した? まだやってねえ奴があるだろ?」
ジンの問いにパリストンとクロロが同時に答える。
「「"アイランド・テンデンシー"ですね」」
「何だ、分かってるじゃねえか。あれの集会場で二人以上のプレイヤーがマスターランクになったら、ブループラネットのイベントが始まるぞ?」
「「ふざけてるんですか?」」
二人は同時に真顔になってジンを問い詰めた。
というのもグリードアイランド内でプレイできる架空のカードゲーム、"アイランド・テンデンシー"は、ゲームに使うカードとして指定された150枚の怪物カードと、40枚の全呪文カードからデッキを組んで戦うトレーディングカードゲームだ。
指定のカードそれぞれにゲーム用の効果が設定されており、デッキの枚数は45枚だと規定されている。
45枚である。
パリストンが苛立ちで内心をざわつかせながら確認を取った。
「あれって、
「そうだな」
クロロが苛立ちを隠さず詰め寄った。
「カード化を解除したら
「そうだな」
言うまでもないことだが、フリーポケットは45枠でいっぱいである。このカードゲームをプレイしようと思ったら、グリードアイランドという本筋のゲームの方は捨てたようなものだ。
故に仕様を聞いた時は、ジョーク要素か何かだと思っていた。
やる訳ねえだろ。
二人の内心が一致した。
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[ブループラネット]No.081。ランクSS、カード化限度枚数5。
唯一無二の青で輝く宝石。成分構成上どの鉱物にも属さないので、宇宙からの贈り物という意味を込めてこの名がついた。
仲間達の協力の下、無事に目的のカードを集めてフリーポケットいっぱいの1デッキを組んだパリストンとクロロは、目的地であるギャンブル都市ドリアスに辿り着いた。
もちろんデッキを崩さない為に、
「カードゲームとはまた良く分からんのう。密林の方に行きゃ良かったわい……」
一坪の密林はソロプレイが条件だ。ジョネスとのジャンケンに負けたせいで、先行を取られてしまったので、何とも手持ち無沙汰な状態だ。
「まあ、分かってくれば楽しいと思いますよ?」
「とりあえずオレ達がマスターランク到達するまで、ルールブックでも読んでて下さい」
パリストンとクロロは、ジンの奇行に対して少し苛立っているので、ネテロ相手にも心なしかぞんざいな扱いをして、そのまま足早にカードゲームが行われている集会場に向かった。
取り残されたネテロはしょんぼりとして肩を落とした。彼はパリストンのことを構ってちゃんだと言ってからかうが、自分も人のことを言えないほど構ってちゃんである。
ネテロはにわかに気分が沈んだので、
孫ではない。
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運要素も絡んで来るので、NPC相手にも勝ったり負けたりしたが、巧みなデッキ構築で高い勝率を叩き出したパリストンとクロロが、マスターランクに到達するのにそう時間は掛からなかった。
「これで二人のプレイヤーがマスターランクという条件は満たしていますね」
パリストンがカードをシャッフルしながら言った。
「ジンが言うにはイベントが始まるらしいが……、何か手間取ってるようだな……。まあこのゲームだと良くあることだが」
デッキの構成を見直していたクロロが、ブラックコーヒーを啜りながら諦めたように答えた。
イベントがゲームマスターの手動操作でグダグダになる状況は、既に何度も経験している。今更文句を言う気にもなれなかった。
ちなみにクロロはブラックコーヒーが苦手である。あとジンをいつの間にか呼び捨てにしている。
パリストンはイベントが始まるまで暇なので、目の前に座る全体的に黒い男をからかって遊んでみることにした。
まだ20代前半に見えるのに、パリストンにとっても色々と興味を引かれる幻影旅団の団長を務めているキレ者。自分より遥かに強いことは身のこなしから察せられる。
同時に不思議な男だと感じていた。
ジョネスや仲間達に見せる少年のように純粋な態度と、パリストンやネテロに向けて来る、露骨に警戒した態度はとても同一人物だとは思えない。
まるで多重人格だ。どちらが素の彼なのか。
「クロロくんはジョネスさんとは長いんですか? 随分親しいようですが」
「親しくなんてない。あの人はクソだ」
最近までとある事情で指定ポケットカードを使って大喧嘩していたクロロは、「フン」と鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
「そうですね〜。その気持ちボクも分かりますよ。あの人に何度仕事を邪魔されたことか。あの人はクソです」
パリストンとチードルの机をフラワーロックで埋め尽くすジョネスの楽しそうな姿を思い出して、パリストンは少し棘のある口調で言った。
クロロは瞬時に濃厚な殺気を漂わせて答える。
「おい、あんた今ジョネスさんのことを悪く言ったか?」
「えぇ……」
いきなり真剣な表情になってこちらを睨み付けて来るクロロに、パリストンでも流石に困惑した。
先に言ったのはそちらではないか。自分が言うのはいいのに他人に言われるのは嫌なようだ。どんだけあのおっさんのこと好きなんだよ。
「やだなあ、ボクのはただの軽口ですよ。それだけ気の置けない間柄ということで」
パリストンの言葉を遮るようにクロロがすかさず続けた。
「オレはあんたを微塵も信用していない。ジョネスさんは誰よりも信頼できる親友だと喧伝して回っているが、あんたは少し調べただけで暗い噂が絶えない男だ」
「……ジョネスさんは人を見る目がありますね」
「それはどちらのことを言っているんだ?」
「もちろん両方ですよ。ジョネスさんはボクを信頼する一方で、君のことも信頼している」
パリストンはジョネスの思惑を察して笑みを深めた。
自分とクロロはどこまで行ってもジョネスの遊びに付き合わされているのだ。パリストンが破壊役でクロロが監視役。
これはゲームのテストプレイだけに留まらず、ハンター協会と幻影旅団の関係をテストしているようだった。
パリストンを誘っておいて同時に邪魔もするというのは、ジンへの義理だろうか。最低限仕事をこなすつもりではあるようだ。
せっかく遊び相手を用意してくれたのだ。もう少しクロロを探って遊んでみることにした。
「クロロくんは人を見る目が無いですね」
「……あんたみたいな男を信頼してるジョネスさんよりはあるつもりだ」
「まさにそこですよ!! ボクのように清廉潔白で公明正大な人間を疑うなんて!! 見る目が無いと言わざるを得ません!!」
「口が減らないって良く言われるだろ。本当に清廉潔白で公明正大な人は、自分からはそう言わない。他人がそう評するものだ」
「ですねー。一本取られました」
「……」
何一つ悪びれることなく自分が"そう"ではないと認めたパリストンに対して、クロロは呆れたようにがっくりと肩を落とした。
何一つ本音を言わない人間と会話する価値はあるのか。まさに暖簾に腕押しである。
パリストンはナイスなリアクションを見せてくれたクロロに内心で拍手を送ると、少しの間遊んでくれたことに対するご褒美をあげることにした。
「人生の先達として少しアドバイスをあげましょうか。ボク達みたいに嘘が武器である人は、正直なのが武器である人と戦ってはいけません」
「……ジョネスさんやネテロさんか?」
「はい、ああいう人達と戦うと、悪い嘘吐き達は吊るし上げられて死にます。戦いじゃなく、遊ぶくらいに留めて置くのが吉ですね」
「……」
満面の笑みを浮かべて述べられたパリストンの言葉に、クロロは顎に手を当てて、深く考え込みながら黙って続きを促す。
何故だか、これだけはパリストンの本音だと感じたからだ。
「だから正直者を殺す時は遊びの中で殺しましょう。きっと笑顔のまま大人しく死んでくれますよ」
その言葉を聞いて、クロロが激しい殺気を飛ばしながら本気の怒りを見せた。
「
パリストンは涼しい顔のまま答える。
「やだなあ、冗談ですよ。ボクが大親友のジョネスさんを害する訳ないじゃないですか?
……今のメインの遊び相手はネテロ会長です。その次はビヨンドさん。その次はジンさん。残念ながらその内のどれかでボクは遊び疲れて死ぬでしょうから、ジョネスさんの番までは回って来ないかな。
あとクロロくん、それも君の素なんですね。ボクと同じくらい嘘吐きだけど、ジョネスさんのいい所も受け継いでる訳だ。
ジョネスさんと違うのは、君には遊びと戦いの境目なんて無く、いつでも必要に駆られれば初手で殺すということですね」
「……本当に口が減らない……。
ジョネスさんとネテロさんとジンの顔を立てて、この場では殺さないで置いてやる。
だがそれだけだ。今後、
「……本当にジョネスさんに似ていますね。……苦手だなあ……」
二人の間に沈黙が満ちる。
しばらくの間、飲み物を啜る音だけが聞こえた。
その時、ギャンブルの町ドリアスに、拡声器越しのアナウンスが響き渡った。
『全ての
最後のイベントが始まった。ゲームマスターとの直接対決(
余談だがとある宝石ハンターには難易度的にこのイベントは達成不可能である。
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NPC達によるカードバトルが行われている"集会場"と呼ばれる施設は、イベントの為か少し見ない内に大きく様変わりしていた。
豪華な装飾がなされた
待っていたゲームマスターの二人が、会場を訪れたパリストンとクロロの姿を捉えると、不適な笑みを浮かべて言った。
「最後の試練へようこそ。目的はブループラネットだな」
「何やってんですかイックションペさん。生身とは珍しいですね」
「うるせえ、本名呼ぶな。没入感が薄れるだろうが」
待っていた何かのマスコットキャラクターのような小柄な男。シングルハンターのイックションペがパリストンに苦言を呈した。
「知り合いですか?」
「ハッカーハンターでシングルのイックションペさんです。ジンさんの友達だとは伺っていましたが、ゲームマスターだったとは」
すっかり猫を被ったクロロの疑問にパリストンが答えた。ハンター協会の仕事にも協力してくれているゴリゴリの知り合いである。
「もう一人の方は?」
「オレ様は"ドゥンスト"。アイランド・テンデンシーの帝王だ」
紫色のアフロに星型のグラサンを掛けた不審者は、腕を組んだまま堂々と宣言した。彼の方はゲームの設定を忠実に守るつもりのようだ。
一人称がオレ様使いなのに利他的で真面目である。
「そうですか、お疲れ様です」
「これから何やるんですか?」
イベントをさっさと終わらせたい野暮な二人が口々に急かした。
あんまりやる気のないイックションペもすぐに答える。
「オレ達と
「いいんですか? 勝手なことして」
「オレも暇なんだよ」
イックションペが元も子もないことを言った。パリストンは深く納得して笑みを浮かべた。クロロはこれからバグの修正で忙しくなるだろうなと思って、内心でこっそりゲームマスター達に謝った。
ドゥンストがダンサーのような決めポーズを取りながら大きな声で言った。
「最強の
「本当はお前ら二人が戦って勝った方が挑戦権を得るんだが、今回は暇なんで二人ともオレらと戦ってくれ」
「……イックションペ、お前ふざけるなよ……」
「あん? やんのかコラ」
大真面目にイベントを演じようとするドゥンストと、それを冷め切った声色で解説するイックションペとの間で険悪なムードが流れ始めた。
それを仲裁するというかバッサリと切り捨てるように、クロロが口を開く。
「早くやろうよ。一坪の海岸線イベントがまだ終わってないんだ。みんな待ってる筈だ」
パリストンは携帯に入ったメッセージを見て同意した。
「ジョネスさん、"一坪の密林"ゲットですって。先を越されちゃいましたね」
写真には複製した3枚のカードを誇らしげに見せ付けてピースするジョネスの姿が写っていた。
独占してどうするんだ。ワクワクしながら待機してるネテロとの間に問題しか起こらないぞ。
パリストンは「ボク関係ねえや」と思い、携帯をそっ閉じした。
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ドゥンストはコストの低い怪物で序盤から果敢にパリストンを攻め立てて行った。
「"鎧狼"、"小鬼の尖兵"、"ドリルダック"!! 一斉攻撃だ!!」
「
「分かってんじゃねえか、副会長さんよぉ!!」
「
割り込みで迎撃しつつもパリストンにダメージが入ったが、彼はやはり笑顔のまま少しも動じていなかった。
「ライフを使うのはマズいですね。"走りマンドレイク"を生け贄にして手札を補充します」
「守りが薄くなるだけだぜ? そら!! さらに攻撃!!」
「
パリストンはダメージを受けつつも、呪文で致命的な攻撃を防ぎ続けた。怪物達は生け贄としてパリストンのリソースを満たして行く。
「噂通りだな!! 命すらもピンハネか!!」
「やだなあ。これはただのカードゲームでしょう? ボクはいつでも弱者の味方です。現実世界では"命大事に"ですよ」
「はっはっは!! 笑わせる!!」
軽口を叩き合いながら、しばらく同様の攻防が続いたところで、今度はパリストンから仕掛けた。
「
「ハンデスにランデス!? チィッ!! 性格悪い奴にやらせるとこれだから……!!」
ドゥンストが長考した。
ただでさえ手札の消費が激しい速攻で、相手にこれを重ねられたら、時間と共に選択肢が狭められて行くだけだ。
態勢を立て直すべきか?
山札にあるであろう攻撃で手札を補充するカードが頭に浮かんだ。サーチする為のカードは既に手札にある。
いや、パリストンにも確かにダメージは入っている。対してパリストンはのらりくらりとゲームを長引かせるようなプレイングで、こちらにはまともにダメージが入っていない。
ここは押し切るべきでは?
山札にある自分の怪物に強力なバフをかけるカードが頭に浮かんだ。こっちをサーチすれば、次のターンでパリストンの体力を押し切れる可能性がある。
二択か……。
しかし長引かせた所で、パリストンのコントロールデッキが有利になって行くだけでは? デカい怪物か呪文か……そろそろ飛んで来る頃合いだ。
何より無性にイラつく。何だこの野郎、ニヤニヤしやがって。今すぐその鼻っ柱を殴り付けてやりたい。
ドゥンストの目が据わって行くのを見て、パリストンは心の底で恍惚とした表情を浮かべた。
ちょっとからかっただけで素晴らしい"信号"を出してくれる。人間の負の感情を浴びるのは何と楽しいことか。
【
(ボクの"能力"でちょっと手伝ってあげますから、もっといい怒りを浴びせて下さい)
何故か普段の冷静さを失って激しい怒りに駆られたドゥンストが、考えていた、否、
「
"応援山猫"の効果で、場に並んだドゥンストの怪物達が格段に強化された。一斉攻撃でパリストンに十分トドメを刺せる戦力である。
「はい、ありがとうございます。"嫉妬蜂"、割り込み召喚。敵味方問わずパワーが一定以上の怪物を破壊するカードです」
「な!?」
ドゥンストが場に出していた怪物達が全滅した。
パリストンは強力な能力を持つ"嫉妬蜂"を召喚する為に、手札から捨てた生け贄を媒介として、最後のカードを切った。
「"着信蟻"。生け贄の数だけ出せる低パワーの"猛毒"持ちトークンです」
「詰み……か……」
ドゥンストの体力にはまだ余裕がある。しかし"猛毒"は10カウント以上蓄積すると特殊勝利できるギミックだ。
「コントロールの醍醐味ですね。耐えて詰ませて大技で決める」
のらりくらりと躱され続けた猪突猛進のドゥンストに向けて、パリストンの蟻の大軍が襲い掛かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【
操作系、放出系、変化系の複合能力。
自身のオーラを"電波"に変え発信する。または自身のオーラを"受信機"に変え、相手の脳から発せられた電気信号を読み取って、大まかな感情を読み取る。
パリストンから発せられた"凝"や"円"でも気付けないほど極小なオーラは、相手の脳内物質の分泌、血液や髄液などの配分の制御などによって間接的に精神に干渉して、相手の感情にごく僅かな変化を与えることもできる。
相手の心が乱れる様を自分にしか分からない特等席で鑑賞できる、パリストンにとって世界一楽しい能力だ。
ただしパリストンは基本的に見て(浴びて)楽しむだけで、相手の感情を能力で操作することは滅多にしない。
別に制約でも何でも無いが、己の話術と頭脳への自信と、天然物の感情こそ面白いという拘りからだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
イックションペは焦点の合っていない目をぐるぐると動かしながら、序盤から強力な特殊能力を持った怪物を召喚した。
「"マッド博士の次世代猿"!! 山札の一番上を引いて呪文カードだったら進化成功!! 怪物カードなら進化失敗で死亡だ!!」
「……そういうデッキですか」
イックションペが召喚した猿が急激に姿を変える。イックションペが使うのは序盤から殴って行くコントロール、クロックパーミッションデッキだ。
痩せ細った猿からモグラのような鉤爪が生えて、にわかに地中に身を隠した。
「"次世代進化猿"は"地底人"に進化した。お前の怪物達の通常攻撃は通らないぜ?」
「
「
"地底人"を除去しようとクロロが呪文を放つが、イックションペの対抗呪文で敢えなく打ち消されてしまった。
イックションペは呪文でサポートしながら、クロロに激しい攻撃を加える。
「仕方ないな……。"筋肉ミミズ"、召喚!!
クロロは不利を悟ると、特性"地中"を持つ怪物カードを複製で展開して防御を固めた。パワーの差があるので時間稼ぎになれば御の字だが。
案の定、その後もイックションペが繰り出す呪文カードに邪魔されて、クロロは殴られ続けるだけだったが、何とか時間稼ぎには成功する。
マナが溜まったタイミングで大型の怪物を召喚した。
「"ボーダンの大狼"、召喚!!」
イックションペはそれを見てニヤリと笑うと、すかさず2枚のカードを発動した。
「"自爆トカゲ"、
クロロが召喚した大型怪物が自爆トカゲの爆発に巻き込まれて死亡した。イックションペの"地底人"だけは呪文の効果で手札に戻る。
イックションペが再び"地底人"を場に出してクロロを攻め立てる。
クロロは
「"ボーダンの大狼"が除去されることは予想していました。手を切らせることには成功した。大事なのはここからの二の矢です」
次のターンにクロロが新たなカードを召喚する。
高コストに加え、墓地と手札のパワーを合計して算出し、召喚する儀式モンスターだ。
"マサドラズ・ヤマト"。
降臨した規格外の怪物に対して、イックションペは笑みを浮かべて新たなカードを切った。
「
クロロは"決まる"嬉しさに興奮して一方的に殴られながら、静かに己のターンを待った。
「"マテリアルスライム"召喚。
マテリアルスライムよりランクが低いカードは数少ないので、大量の生け贄カードが生み出された。
(思ったより捨てられちゃったな。ライブラリアウトが怖くて、思わず手札と山札入れ替えちゃったよ)
【
念の為に栞を挟んでおいたのだ。
故郷の刑務所に入っているイカサマ師から押収した能力である。ある程度まで捨て札が溜まったところで、クロロは手札と山札の一番上を入れ替えて、意図的に低ランクカードを引き当てて山札の破棄をストップした。
「マテリアルスライムが場を離れる時、墓地にある呪文カードの数だけ
クロロの場に大量のザコスライムが並んだ。
「更に"ステロイトカゲ"召喚!! 本当にバウンスして欲しくなかったのはこっちだよ!!」
"ステロイトカゲ"の効果で、ザコスライム達に攻撃したら死ぬ、一回限りの攻撃力バフがかかった。
バフは手札と墓地にある怪物を一枚ずつ選び、そのパワーを参照して振り分ける。
「オレが選んで捧げるのは、当然"ボーダンの大狼"と"マサドラズ・ヤマト"。そしてここからはスライム達による一斉自爆特攻です」
これを止められますか? 言外に示すように悪い笑みを浮かべるクロロを見て、イックションペも結末を悟ったが、イベントに対する責任を取る為、一応最後まで粘って敵キャラムーブを頑張ることにした。
「
スライム達の命懸けの特攻により、イックションペのライフが全て吹き飛んだ。
こっそり盤外戦術である念能力でズルをしてしまったクロロは、内心でイックションペに謝罪した。
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「勝者にはグランドマスターの証として宇宙の秘宝が送られる。さあ、お前らのデッキを祭壇に置くんだ」
「この辺も製品版だとちゃんとしたイベントにする予定だがな」
ドゥンストとイックションペが、集会場の地下にある祭壇に勝者の二人を案内すると、最後の入手方法について説明した。
まずはパリストンが祭壇にデッキをはめ込むと、デッキが眩いほどの青い輝きを放って、やがて青色の宝石へと姿を変えた。
「ボフンッ!!」というお馴染みの音で宝石がカード化される。
「"ブループラネット"、ゲットですね」
パリストンが何の感慨も無いと言った風に、携帯で写真を撮って掲示板に送った。
それを見ていたクロロがあることに気付いて、冷や汗を垂らしながらゲームマスターの二人に確認を取った。
「……あの、これもしかしてブループラネットの代わりに、デッキ全ロストですか?」
「そうだよ?」
「当たり前じゃねえか」
「フリーポケットが空っぽなんですけど、どうやって守ったら……」
「……自分で考えろ!!」
えげつねえクソゲーである。
こんなのゲーム中にやる訳ねえだろ!!
やらせたかったらグウェントくらい敷居低くしとけ!!
クロロはちゃんと怖い所もあるよ。とりあえずパリストンには冷たい。
そして身内に舐めた真似したら初手で殺しに来る。
カードゲーム描写はノリで見て下さい。
MTG詳しくないし、作者も深く考えてないです。
ただパリストンは原作の協会に対する強制二択を、クロロは原作のヒソカ戦を何となくイメージして戦略を書きました。
パリストンの能力はめちゃ強ですが武闘派では無いですね。後から気付いたけどプフの上位互換では? 軽いメンタルアウトまでできる。
クロロ今ズルしたでしょ?
少し黙れ(逆ギレ)
防御がゼロの状態でSSランクカードを持ち歩かされる。
とんだクソゲーだな。