流星街の解体屋ジョネス   作:流浪 猿人

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はいお待たせしました。
想定していた最終回です。かなり時系列飛んでます。

これから更新されなくても、ここでとりあえず一旦完結したと思って頂けたら幸いです。

活動報告も更新しました。
リクエストされても書くか分かんないですけど、よろしければ覗いてやって下さい。

今回は崩壊した原作開始です。



ハンター試験官の解体屋
69.ダイチ×ヲ×フミシメテ


 

 

 

 一部の飛行船には富裕層向けのサービスとして、地上を一望できるバーが設置されていることがある。

 

 上空500メートルを超える、大人の密会に最適なロケーションだ。眼下に広がる美しい夜景をさもつまらなさそうに眺めながら、薄汚い格好をした何ともこの場に似合わない男が口を開いた。

 

「4年前と2年前の事件はただの様子見だろう。"門番"は急激な人類の進化を見て、なりふり構わなくなって来てやがる」

 

 事態収束に大きな働きをした男はそう言ってため息を吐いた。どちらも「もう二度とやりたくない」と、この男にしては珍しく弱音を溢した程には、数多の犠牲者を出した大事件だった。

 

 隣に座る仕立てのいい明るい色のスーツを着た男が、夜景や酒になど何の価値も感じていない癖に、いつもの如くニコニコとして答える。

 

「ビヨンドさんの計画に成功の目があるという裏返しですね」

 

人間界(ここ)は避難所かと思ったら牢獄だったって訳だ。外に出て何かを持って帰れるレベルに達した瞬間に手の平返しとはな」

 

 神の如き存在かと思いきや、何とも人間臭いことだ。しかしこれは同時に、奴らにはいくらでも付け入る隙があることを意味している。

 

「……恐らく近い内にまたけしかけて来やがるぞ? 今までみたいにただの"猛獣"ならいいんだが……、五大厄災レベルだと社会に与えるダメージがでか過ぎる……」

 

「楽しみですねえ」

 

「楽しくねえよアホ」

 

 男はそう言って隣に座る友人の頭を小突いた。

 

 過去2回はただの"獣害"でしかなかったにも関わらず、あれだけ人が死んだのだ。

 

 ただの猛獣が放たれるだけなら、世界の崩壊にまでは至らないとは言え、その猛獣の凶暴性や繁殖力によっては、一国が消える程度の被害にまでは至る。

 

 "外側"の昆虫や植物などがそれに当たるだろうか。

 

「もし奴らが五大厄災やそれに伍するモノをけしかけて来るなら、国家どころか大陸規模で対処する覚悟が必要だろうな」

 

「こちら側が渡航計画をぶち上げるまでは様子見だと思いますよ? 実際に話してみてそう感じました」

 

「せいぜいが蟻かミジンコって訳だ。どっち道オレとネテロばっかが苦労することには変わりねえ……」

 

 男はそう言って不機嫌そうにグラスの中身を飲み干した。

 

 "獣害"ならまだ何とかなるのだ。しかし五大厄災クラスはどれも社会を崩壊させ得る代物である。それの対処など想像したくもない。

 

 

 

 

 

 戦争。麻薬。疫病。悪魔。反乱した自動兵器。

 

 

 

 

 

(もしも放たれたなら、準備はしているが収束までに何人死ぬか……)

 

 "その時"のことを考えて黙り込んでしまった男を、しばらくの間楽しそうに眺めていた友人が、ふとあることを思い付いておもむろに切り出した。

 

 

 

 

 

「突然なんですが今年のハンター試験を担当して頂けませんか? 試験官に空きができちゃったみたいで、今スポンサーからせっつかれてるんですよ」

 

「……もうそんな時期か、構わねえぜ。ビヨンドが馬鹿やり始めるタイムリミットが近いからな。これからの時代を担う人材をこの目で見て置くのも一興だ」

 

 

 

 

 

 ハンター協会の幹部でもあるとは言え、表社会と裏社会を股にかける大物が試験官の一角を担うという異常事態が、友人同士の鶴の一声で実現した。

 

 男としては今年受ける予定だと聞いた知り合いも多いので、安全対策も兼ねて、それなりに面倒を見てやる気である。

 

 287期ハンター試験が始まった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 スワルダニシティに位置するハンター協会本部にて、今年のハンター試験の試験官を務めるプロハンター達が会議室に集結していた。

 

 例の如く、どのハンターもやりたがらないクソ面倒臭い仕事を当番故に渋々承諾した美食(グルメ)ハンターのメンチは、椅子に腰掛けて携帯をいじりながら不機嫌そうに言った。

 

「リッポーさん、急に忙しくなって今回は来れないらしいけど、3・4次試験は誰が代わりに担当するの?」

 

「オレら自分の試験以外、何もネタ考えて来てないよ?」

 

 メンチと組んで活動することが多い丸々と太った大男、ブハラがポテトチップスの大袋を貪りながら不安げに溢した。

 

 試験官は暗黙の了解として、一人は星持ちハンターを採用して全体の監督をさせることが慣例となっており、この場合だとシングルのメンチが当て嵌まるが、それにしては協会からそのようなことを頼まれている訳ではない。

 

 二人の会話を聞いていた遺跡ハンターのサトツは、普段は穏やかな声色に、僅かに不満を覗かせながら二人の疑問に答えた。

 

「リッポーさんが突然来れなくなったイレギュラーな状況なので、会長が謝罪も兼ねて直接この部屋に連れて来られると聞いています。……ただ一点、噂では()()副会長が推薦した人物だと……」

 

「「うわあ……」」

 

 サトツの話を聞いて、メンチとブハラが同時に嫌そうなリアクションをした。あいつの推薦とか嫌な予感しかしない。

 

 余談だがここにいる3人は完全に協専ハンターを舐めているタイプの一般ハンターである。

 

 あの優しいサトツさんですら……。この人の試験、受験者死にまくってるし今更だな。

 

 部屋にいる一同が先行きと人選に不安を感じていたその時、部屋の入り口が乱暴に2回ノックされる音がした。

 

 サトツがすぐに立ち上がって、恐らくネテロ会長と一緒に来たのであろう、副会長とズブズブな試験官を部屋に招き入れようとする。

 

「あっ、サトツさん。私が出るわよ。私のが近いし」

 

 一番年下でせっかちなメンチがそれを制して足早に入り口に向かった。ちなみにこの部屋は結構大事な会議とかもするので、壁や扉の防音性能が非常に高く作られている。返事をしても聞こえないだろう。

 

「お疲れ様でーす。もうみんな集まってま……す……よ……」

 

 代わりの試験官はともかくネテロが一緒なので、すっかり猫を被ったメンチは扉の外の光景を見て絶句した。

 

 

 

 

 

 ブウウゥゥン!!!!

 

 

 

 

 

 ニュートラルで吹かした激しいエンジン音が廊下に鳴り響いた。

 

 金縁のグラサンをかけたメンチにとって物凄く見覚えのある大男が、バイクに跨って無言でこちらを見つめている。

 

 その男にしがみついてニケツしているネテロも、グラサンをクイッと頭に上げて無言でこちらを見つめていた。

 

 ネテロは謎のライダーと仲良しなので、彼の悪ふざけを滅多に止めてくれない。むしろ加担する。

 

 

 

 

 

 メンチは一旦扉を閉めると、頭を抱えてその場にしゃがみ込んで俯いてしまった。

 

「メンチ、どうしたの? 今凄い音してたけど」

 

「もうヤダ……帰りたい……」

 

「誰だったんですか?」

 

「……凄く良く知ってるおっさんだった……。廊下でバイク乗ってた。廊下でバイク乗ってても不思議じゃないおっさんだった。……私、試験官来年にしていい? 絶対今年は滅茶苦茶になるよ?」

 

 

 

 

 

 次の瞬間、部屋にバイクが突っ込んで来てメンチが扉ごと轢かれた。傍若無人である。

 

 

 

 

 

 ブハラとサトツはその衝撃的な光景に瞠目した。突っ込んで来た男はそのまま高速で長机の周りを一周回ると、ぶっ倒れているメンチのそばに駐車して声を荒らげる。

 

「師匠と久しぶりに再会したってのに何だその態度は!! ドア閉めるんじゃねえよ!!」

 

「こんなに簡単に轢かれるとは油断し過ぎじゃな。全く最近の若いハンターは……」

 

 続け様に放たれた言葉によって案の定メンチがキレた。勢い良く立ち上がって包丁で二人に斬りかかる。

 

「ふっざけんじゃないわよ!! クソ親父!! ボケ!! 死ね!! あんたは師匠じゃない!! あれは人生の汚点だったわ!!」

 

「冗談だって、どうどう。会えて嬉しいぜメンチ、既読無視されてたから心配してたんだぞ?」

 

「相変わらずええ乳しとるのう」

 

 シングルに違わぬ実力を持つメンチがまるで子供扱いで、軽く鎮圧された。包丁を素手で握っているが、逆に包丁が刃こぼれしている。

 

「フウゥゥ!! フウゥゥ!!」

 

「ごめんって。話が進まねえからもう暴れんなよ」

 

 男は鼻息荒く怒り続けるメンチを地面に縫い付けて制圧しながら、心が籠ってない謝罪の言葉を送った。

 

 そのまま顔を上げて、目の前の光景に唖然とするブハラに向かって明るく声を掛けた。

 

「久しぶりだな、ブハラ。このじゃじゃ馬の世話はどうだ。楽しんでやってるか?」

 

「あんたが試験官なの? マジ?」

 

 ブハラはそう言って一筋の汗を垂らした。相手はハンター協会というか人類きっての問題児、波乱の予感しかしない。

 

 あと取り押さえられてるメンチが、女の子がしちゃいけない顔をしている。付き合いは長いが、あんなにキレてるのはちょっと見たことなくて怖い。

 

「……私も彼のことは噂には聞いておりますが、その……色々と大丈夫なんですか?」

 

「やるときはやる男じゃ、たぶん大丈夫だって。ていうかワシが決めたから、試験官のメンツはもう変えられんぞ?」

 

「……なんてことだ……」

 

 いつもポーカーフェイスで冷静沈着なサトツが、ネテロから告げられた宣告に絶望した。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 その後始まった会議は終始男のペースで進んだ。実績的にも実力的にも性格的にもこいつは強過ぎるので当然だ。

 

「一次試験はマラソン? これだけじゃつまんねえよ!! 

 

 会場はヌメーレ湿原? ぬるいぬるい!! どうせ全員念能力者なんだ、A級危険地帯にしようぜ。ゼービア高地とかどうだ? 

 

 あとは受験者にスパイ紛れ込ませるとかさあ。制限時間と順位でシビアに足切りして行こうぜ。そんで落ちた奴が操作するGTロボで妨害するとかどうだ? 脱落させたら報酬出してよ」

 

「ゼービア高地!? そこだと私でも危ないんですが……」

 

「……頑張れ!! この程度の環境も踏破できない奴に、ジンが興味を示すと思うのか!!」

 

「予算のことも考えてくれんかのう?」

 

「オレがポケットマネーから出すよ。面白くする為なら身銭を切る、これがプロハンターだ!! お前らも見習えよ!!」

 

「金遣いが荒いだけでしょ? バーカ」

 

「はい17回目、この後パンパンだからな」

 

「はいセクハラ。パワハラ。責任問題」

 

「……頭が回るようになったな。

 

 そんでブハラとお前の試験だけど、やっぱりつまんねえし理不尽だろ? せっかくだし2週間くらいは時間取って大規模にしようぜ? 

 

 ブハラはいくつか食材指定して、受験者それぞれでフルコース作りな? 今決めた」

 

「ええ〜、てことは味の審査もするの? オレ本気になったら厳しいよ?」

 

「点数で合格ライン決めるんじゃなくて、順位で決めりゃあいいだろ。食わせたら合格とか手抜き過ぎ」

 

「私は?」

 

「論外、ヒント足りねえよボケ。後はやっぱり味の審査もしろよ。お前のアドバイスだけで、素人がどこまでブラッシュアップできるか楽しみだな」

 

「ワシは?」

 

「あんたはどうせ天空闘技場だろ? 毎年じゃん。

 

 オレはアルガトラズとメテオール使うわ」

 

「コネがあるお主にしか無理な場所じゃな」

 

「あんたがオレに期待してたのってこれだろ?」

 

「然り」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 メテオール首長国の国境検問所にて、荷物を纏めてこっそりと旅立とうとしていた二人の青年の背中に、突然聞き慣れた声が掛けられる。

 

 全身真っ黒な服装に、逆十字のペンダントとか指輪とかをじゃらじゃら付けた、いつまで経っても14歳から成長しない男は、愛弟子達に向けて茶化すように言った。

 

「やっぱり行くんだね、クラピカ、パイロ」

 

「げっ、師匠……」

 

「今突然現れたね? 瞬間移動?」

 

 いつもは人見知り故か、「なのだよ」とか他者を突っぱねる尊大な口調で話すクラピカも、流石に色々な意味での恩人の前では形無しだった。束の間の出奔がバレて子供のように縮こまっている。

 

 複数種類の能力を掛け合わせて常に周囲を探知しているパイロは、絶対の自信があるレーダーとセンサーを潜り抜けられたことに驚いた。

 

 しかし彼はクラピカよりも遥かに素直なので、「流石師匠!!」と純粋に賞賛を送った。

 

「クルタ族系のコミュニティで、みんな噂してるんだからバレバレだよ。ハンターになりたいんだってね? 家族には言って出て行くのに、師匠には何も言わないんだ? 傷つくなあ……」

 

「あう……、ごめんなさい。あれだけお世話になったのに、旅団には入らないって……ちょっとアレかなって思って……」

 

 そう言ってバツが悪そうに口籠るクラピカの肩に、パイロがそっと手を置いて笑った。

 

「大丈夫みたいだよ、クラピカ」

 

「怒ってないの?」

 

 隣で話を聞いていたパイロは、目が見える人よりも遥かに様々な物が見えているので、師匠がちっとも怒っていないこともお見通しだった。

 

 怒っているというか拗ねている。

 

「別に止めやしないよ。オレはお前らを将来の部下にするつもりで教えてた訳じゃなくて、シンプルにかわいいから教えてたんだよ!! そんな風に思われてたとは心外だなあ……」

 

「……ごめんなさい……」

 

「あはは!! 師匠が言って欲しいのはその言葉じゃないよ?」

 

 二人の青年は顔を見合わせてから、大きく手を振って満開の笑顔で言った。

 

 

 

 

 

「「行ってきます!!」」

 

 

 

 

 

 小さく手を振り返して二人を見送った男は、再びその場から一瞬で消えて本部に戻ると、そのまま団長としての仕事に戻った。

 

 

 

 

 

「あ〜あ、寂しくなるなあ!! よくあの人はオレ達から離れられたよなあ!!」

 

 可愛がっていた少年達との一時の別れを前に、仕事が手に付かなくなった男は、執務室で仰向けに寝転がると、親のような師匠のようなとある人物の顔を思い浮かべて、駄々をこねるようにしばらく伸びをした。

 

 余談だが、その人物がこの場にいればこう言うだろう。

 

 

 

 

 

「いや、お前らは可愛くないから。いい加減ナイフ返せよクロロ」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 キルア=ゾルディックは、暇潰しのために訪れたとある街の大通りを不満げな表情で闊歩していた。

 

 暗殺の仕事と、妹(+姪)達に構い倒されることが嫌になって、一世一代の家出を敢行した訳だが、このことを予想していたかのように試しの門で待ち構えていたイルミとシルバは、家出を全く引き止めてくれなかった。

 

 イルミは「はい、忘れ物」と言ってスケートボードを渡すと、本邸で待っている妻子のもとに最速ですっ飛んで行った。

 

「いっつもいっつもデレデレしやがって……!! ……偶には兄貴と訓練したいのに、何でちっとも構ってくれないんだ……」

 

 シルバは「全部親父が悪い。オレのせいじゃないからな?」と言って、キルアを微笑ましげに見つめて頭を撫でると、お小遣いを渡されてそのまま送り出された。

 

「息子が家出するのに何で止めてくれなかったんだ? ……オレ、いらない子だったのかなあ……」

 

 ミルキはキルアの口座に大量の振り込みをして、お土産に買って来るようにと、長大なアニメグッズのリストを携帯にメッセージで送り込んできた。

 

「……これ未成年は買えねえだろ。でもミル兄はオレに帰って来て欲しいってことだよね?」

 

 キルアは一番好きな兄貴からは必要とされていると、一筋の希望が繋がって笑みを浮かべた。

 

 ちなみに彼には知る由もないが、現在、妹達がキルアを追って家を飛び出しており、血眼になって世界中を大捜索している。母親は子供達の一斉の家出に発狂してゼノに泣きついているが、ゼノは「放っとけ!!」と言って自分の部屋で拗ねているばかりだ。

 

 キルアがこの街にいるのには理由がある。

 

 ミルキに頼んで調べて貰った情報と、幻影旅団とのコネを活かして手に入れた情報によると、今年のハンター試験がここで開催されるのだ。

 

「世界最難関? 面白そうじゃん。それに暗殺にも飽きて来たし、やりたいことを探して旅するなら、ライセンスあった方が便利だよなあ」

 

(……そしてあわよくば友達も……!!)

 

 知り合いがほぼ家族という、ぼっちちゃんなことを気にしているキルアは、内心でそう硬く決意して、前髪からバチッと紫電を迸らせた。

 

 

 

 

 

 その時、キルアの体が猫のように高く抱き抱えられる。

 

 

 

 

 

(……!? やべえ!! 全く気付けなかった!!)

 

 容易く背後を許してしまったことと、それを為せる襲撃者の実力にキルアは死を悟ったが、その後に掛けられた聞き覚えのある声を聞いて、安心したように力を抜いた。

 

「よう!! 家出中だってな? キキョウから捜索依頼が出てるぜ。面白えから、捕まえても引き渡すつもりねえけど」

 

「あんたかよ……。何でこの街にいるの?」

 

「それは秘密だ。それより随分不機嫌そうじゃねえか? どしたん話聞こか?」

 

「……何でもねえよ」

 

「大体分かるがな。構われ過ぎるのは嫌だし、構われないのもそれはまた嫌ってところか? 面倒臭い女かお前は」

 

「……」

 

 男は図星を突かれて黙り込んでしまったキルアを地面に降ろすと、近くにあった店をピッと親指で指して言った。

 

「パフェでも奢ってやるよ。あそこ評判いいんだ」

 

「ゴチになります!!」

 

「お前……、敬語使えたんだな」

 

 その後、キルアはスイーツをつつきながら他愛もない話をして、最後に妹達が必死で自分を探していると男から情報を貰った。

 

 それを聞いてキルアは何故か嬉しそうにしていた。

 

 非常に面倒臭いガキである。ある程度放っといて欲しいが、ある程度放っといて欲しくないようだ。どっちなんだよ。矛盾している。

 

「ハンター試験、頑張れよ。友達できるといいな」

 

 キルアにとって幼い頃から良く知っている大好きなおじさんは、そう言ってどこかへ去って行った。

 

 久しぶりに会えて嬉しかったキルアは、「相変わらず嵐みたいな人だな」と呟いて、ご機嫌な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「あれ? 何であの人、オレがハンター試験受けるって知ってるんだ?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 紆余曲折あって試験会場に辿り着いた選りすぐりの受験者達は、全員が念能力者であった。

 

 既に界隈で名が売れている者も多いが、それでも通る確率は数十万分の一だと噂されている。

 

 そんな中、無事会場に辿り着いたキルアは、一人の少年の姿を認めて咄嗟に声を掛けた。彼はぼっちなので声が震えないか心配だったが、何とか自然に話し掛けられたようだ。

 

「ねえ、君いくつ?」

 

「……? 12歳」

 

「同い年じゃん!! 髪型凄え!! メアド交換しよ!!」

 

「距離の詰め方エグいね……」

 

 少年は友達ゲットのチャンスに浮かれるキルアに微妙に引きながら、冷静に会話に応じた。

 

「オレはキルア!! 廃業中だけど殺し屋!!」

 

「オレ、ゴン。アマチュアハンターだよ。普段は外縁部の遺跡を調査してるんだ」

 

 キルアが自己紹介でいきなりやらかしたが、ゴンと名乗った少年はさほど気にしていないようだった。

 

()()()?」

 

「あっごめん、気にしないで。要するに海沿いのことだから」

 

「ゴン、お前相当できそうじゃん? 今までハンター試験受けなかったの?」

 

「えへへ、色々と楽し過ぎてすっかり忘れてたんだ」

 

「忘れてたって……お前なあ」

 

「そうだ。ここに来る途中で知り合った5人を紹介するね。おーい!! レオリオー!! クラピカー!! パイロー!! アルカー!! カルトー!!」

 

「へっ!?」

 

 後半の聞き覚えがあり過ぎる名前を聞いて、キルアが一瞬で顔面蒼白となり、ダラダラと冷や汗を流し始めた。

 

 キルアの家出が速攻で終わるかと思われた瞬間、最前列から轟音が響いた。会場にいた全員の注目が集まる。

 

「グラナード石材が粉々に……」

 

「えっ何それ?」

 

 遺跡の専門家としてのゴンの呟きに、キルアが「?」を浮かべた。

 

 あの石は本来ならあんな壊れ方をしない。ましてや()()()()なんて。数十億はする専用の実験機材でも無ければ、お目にかかれない光景だ。

 

 音の発生源には一人の男が立っていた。受験者達の間にざわめきが広がって行く。

 

 何人かはその男と知り合いだったので、いきなりの波乱の予感に冷や汗を流していた。

 

 

 

 

 

「トリプルの呪物(カース)ハンター、ジョネスだ。今回の試験の総監督を務めさせて貰う。せっかくの祭りだ、楽しんで行こうぜ?」

 

 

 

 

 

 ジョネスは受験者達を見渡して、一人の少年を見つけると満足げな笑みを浮かべた。

 

(な〜んか引っ掛かってたんだよな。あの表紙はビヨンドの弟子か。写真で見たのはガキの頃だったから気付かなかったぜ)

 

 もうすっかり忘れてしまっていた随分と昔の記憶をぼんやりと思い出したジョネスは、同時に一度目の死を思い出して渋面を作った。

 

 

 

 

 

 労災には気を付けよう。楽しみにしてた一巻とかが読めなくなるから。

 

 

 

 

 

「サトツ、じゃあ後はよろしく頼んだぜ。オレは最後尾で脱落者の世話するから」

 

 ジョネスは隣に歩いて来た男の背中を叩くと、横目で受験者達を一瞥しながらゆっくりと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 ()の少年が主人公だと言うのなら、きっとここからは彼の物語。

 

 

 

 

 

 恐らく自分はもともと登場人物の一人でしかなかったのだ。

 

 

 

 

 

 サトツは最後尾の暗がりの中に消えて行くジョネスの背中が、何故か酷く悲しげに見えて、いつまでも目が離せなかった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ジョネス、おかえり」

 

「パパー!! 抱っこしてー!!」

 

「まあ幸せだし、問題無いな」

 

 

 

 

 





エンドレス大地を踏みしめてop。
思い出すと草。

一応前後に話を追加できそうな、門番とジョネスが抗争中という設定を入れてみました。
猛獣……獣害……蟻……、うっ頭が。

戦争。疫病。麻薬。悪魔。AIの反乱。
それぞれどれか分かりましたか?
獣害(蟻)を上回る危険度だから、五代厄災はこういうのだと想像しています。

室内バイク親父再び。
ネテロ会長は早くこいつを止めて下さい!! もはや一緒になって楽しんでるぞこのジジイ、仲良しか。
メンチとジョネスは相変わらず楽しそうですね(白目)。

クラピカ良かったね(当初のプロットから目逸らし)。
師匠はジョネスに憧れて子供の世話をしていたようです。

キルアが面倒臭い子になってる……。
かわいいですね。

何故か頭脳派なゴン。天然ぼっちなキルア。
どうしてこうなった……。
そして妹達からは逃れられない。

レオリオごめん……。
君は原作で活躍してくれ。

ジョネス、あんたは確かに原作の登場人物だが……。
嫁は誰なんだろうなあ(すっとぼけ)。

この作品が伝えたかったこと。
労災には気をつけよう。
ハンターハンターを読まないで死んだ人も大勢いるので、できるだけ布教しよう。
原作を救済するには過去からスタートしなければならない。
原作を救済し過ぎると、原作年代を書けない。
だが幸せなら全てok。

ハンターハンターの二次創作はいくらあってもいい。
2024年上旬は繋いだぞ。次は君達の番だ。
二次でもいいからハンターハンターが読みたいよ。マジでお願いします。

じゃあ作者はこれからエルデンリングやるんで。
ありがとうございました。
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