この話を授けよう。
ここから始まるお仕事の話に苦戦しまくったのが、断筆した原因の一つじゃ。今思い出した。
ジョネスは久しぶりに、流星街の長老からの依頼を受けた。
というのも、この依頼が街の外への派遣依頼だったからだ。それなりの地位と生活基盤を得て、あの街での生活を謳歌していたジョネスだったが、いつまでも故郷に留まるつもりは無く、しばらくしたら外の世界での活動を開始するつもりだった。本で知識を得ているといっても、まだまだ世間知らずの趣が強い彼だが、この依頼を、外の世界を実際にこの目で見ることが出来る試金石として利用する気だ。
報酬に惹かれた部分もある。ジョネスが要求したのは先日、長老が手に入れた"念が込められた壺"。裏社会を流れに流れ、何の因果か流星街に辿り着いたその壺は、カキンのキョートクチン様式の丹念に作られたことが一目で分かる美しい染付け磁器で、見る者の目を奪う一品であった。良い仕事をしていた。
だが壺を手にした流星街の住人達が、次々と変死する事件が起こると、その危険性を認識した長老会に押収され、今は彼らの倉庫に眠り、再び誰かをその毒牙にかける日を今か今かと待っているらしい。
その壺が人を
クロロに発現した謎の能力の一件もあり、念能力に強い興味を抱くジョネスにとって、是非とも手に入れたいシロモノだった。
ジョネスは依頼主の元へ向かう前に、今回の依頼を共に受けた協力者達と合流した。依頼は流星街とも色々と融通し合う関係のとあるマフィアのボスで、使い捨ての人材ではない念能力者の戦力を求めていた。つまる所、その相方も念能力者でいつお互いが敵に回るかも分からない相手である。能力の情報を共有するなどもっての他、仲良しこよしな関係にはならないと思っていた。
しかし、その予想は早くも裏切られることになる。
「やあジョネス、久しぶり!! 荒事は頼んだよ!!」
「マルロー……。長老達はお前ほど貴重な能力者を、そうそう外に貸し出さないと思ったが……」
「何でもジョネスがこの間見つけて来たパクノダって子が、情報収集能力で言えばボクの完全上位互換らしいんだ。ボクはお役御免だよ」
「あいつはオレが念を教えた訳じゃねえよ、間接的にだ」
1人目はマルロー。ジョネスにとっての念の師匠であり、歳も近いので、基礎修行が終わってからも仕事を共にしたり、クロロとは違って工場に正式に招待して、一緒に酒を飲んだりと親しい間柄だ。お互いの能力も全てではないが知っている。
「そんで、何でお前がいるんだマチ?」
「……」
マルローの隣には動き易そうなジャポン風の装束に身を包み、ボリュームのある髪をポニーテールに結び上げた少女がいた。最初見間違いかと思って二度見したが、完全にジョネスの被保護者であるマチだった。
ジョネスは気まずそうな顔でそっぽを向くマチに話を振ると、咎めるような目で睨み付ける。
「……工場の留守番は、クロロ達に任せて来た……」
「それも大問題だが、今はそんな話をしてるんじゃない。分かってるよな?」
「……ジョネスはいつもあたしの面倒見てくれて、何不自由なく生活させてくれてる。それには感謝してるよ。でもあたしだって念を覚えた。少しは恩を返させて欲しいんだ」
「……恩を売ってるつもりなんざ無かったんだがな……。分かってんのかマチ、これから行く先でオレは人を殺すぞ」
そのドス黒いオーラで威圧しながら、暗に
「殺すよ。あたしはあんたの力になりたい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3人は飛行船やら鉄道やらを乗り継いで、ヨルビアン大陸西海岸に位置する大都市ヨークシンシティに辿り着いた。
道中見る物全てが目新しく、大騒ぎしていた3人だったが、ヨークシンシティに着いてソフトクリームを食べている途中で、ハッと正気に戻ったジョネスから、「今晩から仕事だな」と現実に引き戻す言葉が飛び出し、仕事が始まる前から既に目的を果たしたような気分になっていた3人のテンションは一気に急降下した。
そんな一幕もあったが、夕方ごろヨークシン西部に位置するウエストゲートビルにて、今回の仕事で集められた雇われの面々と無事合流することができた3人は、改めて仕事の概要を伝えられていた。
「ヴェンディッティ組の若頭張ってる"ゼンジ"だ。テメエらが流星街から来たゴミ共か」
「は〜い、ゴミその1のマルローで〜す」
「その2のジョネスだ、よろしく」
「……マチです」
流星街から遥々やって来たにも関わらず、ゼンジのあまりにもあんまりな扱いに、こんなことには慣れっこのマルローとジョネスは少しからかうような返し方をする余裕があったが、初対面でいきなりゴミ呼ばわりされたマチは不服そうな態度を見せた。しかし隣のジョネスが大人しくしているのを見ると、怒りと惨めさをぐっと堪えて簡単な自己紹介をした。
ゴミ山から来た3人にハナから礼儀なんて期待していなかったゼンジは、3人のふてぶてしい態度を気にする様子もなく話を続ける。
「もう聞いてると思うが、お前らが担当するのはウチの
それを聞いたジョネスは表情に出さずに内心鼻白んだ。
「テメエら素人は"護衛"役だ。配置や移動はオレから逐一指示を出す。"殺し"役はそっちにいるプロに一任する」
ゼンジはそう言うと、ジョネス達より先に来てソファに腰掛け茶を嗜んでいた2人の男に目を向けた。長い白髪を持ち肉食動物のような気配を漂わせる体格の良い青年の男と、こちらも逆立てた白髪が特徴的な口髭を生やした武道家風の中年の男だ。親子なのだろうか、2人はどこか似た雰囲気を感じさせる。
実の所、ジョネスはこの部屋に入ったときから、ゼンジや他の仕事仲間のことなど半ば意識の外で、この2人のことを凝視していた。本能的に肉体的な強さと念能力者としての強さを感じ取り、実際に何度か"凝"で様子を窺っている。
初めて見る完成された念能力者を前にして、飢えた爬虫類のような目で観察するジョネスの視線に、当然相手も気付いていたが、仕事中に面倒を起こす気もなく、しっしっと視線を振り払うような仕草をすると、ジョネスに対する警戒心だけ残してゼンジに意識を戻す。
「暗殺合戦とは、つまりコネと資金力のぶつかり合いだ。ということでこっちの切り札、大枚叩いて雇った伝説の殺し屋一族"ゾルディック家"の2人だ」
「ゼノ=ゾルディックじゃ」
「シルバ=ゾルディックだ」
ゾルディックの名を聞いてジョネスは納得する。オレ達以外の護衛役のレベルが低過ぎると思ったが、あの2人を雇うために当座の資金を使い果たし、半端者や本当なら極力頼りたくない流星街の協力を求めた訳だ。
そしてゼンジも護衛役の戦力不足を自覚しているのか、小声でゾルディック家の2人に問い掛ける。
「プロ中のプロであるあんた達を見込んで相談があるんだが、あんた達から見てこいつらは使えそうか? 戦力はなるだけ正確に把握しておきたい」
「人物鑑定は依頼外じゃが……、依頼人の無事は報酬に関わるしのう。
流星街から来たという3人は見込みがある。特に真ん中のジョネスとかいう男、正面からは絶対に殺り合いたくないタイプじゃ。頼りにすると良いぞ。マルローとやらも場慣れしておるし、落ち着きがあって悪くない。マチという少女は先の2人に比べて発展途上なのは間違いないが、"纏"や立ち振る舞いにセンスを感じる」
「流石キキョウと同郷なだけあるな」
ゾルディックに褒められたぞと地獄耳な3人が騒ぎ始め、シルバが隙あらば妻との惚気話を始めようとするカオスな空間に、ゼノは面倒臭そうにしながら、他6人くらいの護衛役にざっと目を通すと、ため息を吐いて話を切り上げる。
「……他はまあ、時間稼ぎになれば御の字じゃろう。あまり期待はするな」
ゼノはゼンジにだけ聞こえる声でそう呟いた。
「じっちゃんのドラゴンダイブ」って、結局真相は何だったんだよ。
「確かにある」って誰と話してんだよ。TV番組のドキュメンタリーか?
関係ないけど、キルアとミルキって普通に仲良いよね。普通の兄弟くらいの関係性だと思う。
あと感想を頂けるとやっぱり嬉しいですね。
ちょっとやる気になって来ました。時系列飛ばしまくって、書きたかった話だけ書いていくのじゃダメでしょうか……。