ホワイトルーム生、沼津に引っ越す   作:マツタケ星人

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学校に通い始めてから数日が経ち、俺はそれなりに学校に染まり圭介とも連絡先を交換するほど仲が良くなっていた。

 

ちなみに球技大会はドッチボールに参加することに決めた。クラスでの参加者は12人と決められており、まず学年ごとにトーナメント戦を行い最後に学年優勝のクラス3チームで争い、学校優勝を決めるらしい。

 

理由は特にないが、サッカーやバスケよりも技術を必要としないと考えたからだ。別にそこまで勝ちにこだわっている訳では無いが、せっかくの機会だしな。活躍とまではいかなくとも並の戦力にはなっておきたい

 

さて、学校のことも順調に進む中俺の新しく住むことになった旅館十千万には最近千歌の友人がよく集まっていた。

 

「じゃあじゃあここをこうしたらより良くなるんじゃないかな!」

「いいわね!でもそしたらこことの繋がりが薄くなっちゃわない?」

「そっか…それなら…!」

 

そんなやり取りが隣の部屋から聞こえてくる。ちなみに俺がこの家の住人になったことは俺が居候し始めてから初めて彼女達が来た時に知られている。その時は誤解を解くのに苦労した。怪しみの目が絶えないので仕方なく俺は自分の人物像を外側から構築していった。具体的な方法は

・俺が生まれた時から両親に捨てられ施設で育ったこと

・そんな俺に居場所を与えてくれた高海家の住人に感謝していること

をさりげなく伝えていく。そうすることにより同情を得ることが出来、なおかつこの家に来た事情も説明することが出来る。そしてそう時間がかからないうちに自分たちから俺が思っている人間ではないと理解できるようにした。

 

無理に誤解を解こうとするより自分たちで理解させた方が真実味が増すからな。その後には軽い自己紹介もしてくれたし印象回復はできてるとみていいだろう。

 

ともかく俺は俺で平穏かつ楽しい生活の為に自衛していかないとな。

 

そう思いながらベッドで圭介に借りた漫画のページをめくる。今読んでいるのは進撃の巨人という漫画で今まで見てきた文学作品や著書などとはベクトルの違う娯楽物に深い興味を抱いていた。

 

「巨人…か」

 

そう呟きながら内容を見る。簡単に言うと人類vs巨人という構図なのだが、圭介曰く

「この作者を超える天才を俺は知らない」

との事だったので結末には結構期待している。

 

ちなみに今50メートル級の巨人が出てきたところだ。50mって…4mとか7mとかもそうだが、人間のような直立二足歩行の生き物の身長の限界はせいぜい280cmがいい所だ。理由は身長が伸びれば伸びるほど体重は3乗に比例するが、骨の強度は2乗に比例してしか大きくならないから。つまり骨が耐えられなくなるのだ。

 

ま、フィクションとして片付けろと言われたそれまでだし気にせず楽しむとしよう。

 

まぁ圭介の言ってた通りこの漫画はただの人類vs巨人で終わる話では無いのは確かだ

その理由にこの超大型巨人を事前に見つけられてないところや足跡が寸前から現れていることから考えるとその場で巨人が現れたことを示している。つまりそこで何かが行われたのが確実だ。例えば…

誰かが故意的に巨人になったとかな。

 

この漫画は日に日に少しずつ読んでくとしよう。そう思い本を閉じる。

 

それから俺は水を飲みに1階に降りようと廊下を歩いていると曜先輩にばったり遭遇する。

 

「あ、夏目くん」

「曜先輩、こんな遅くまでやってたんですか」

「まぁね。成功させたいから」

「確か浦の星体育館を満員にしなきゃならないんですよね」

「うん。…来てくれるかな。お客さん」

「…大丈夫ですよ。俺の学校でも行ってみようって声を聞きますし」

「ほんと!?」

「…近いです」

「あ、ごめん。でもこの辺人少ないからちょっと心配…かな」

「人が少ないってことはその分深い関係が築けてるってことです。それなら町内放送までしてた先輩達なら大丈夫ですよ」

「そっか。うん、ありがと!夏目くん。じゃわたし帰らないと!またね!」

「はい、また。ライブ見に行きます」

「うん!」

 

そういい階段を下りてく曜先輩。と、同時に今度は梨子先輩が千歌の部屋から出てくる。

 

「夏目くん」

「梨子先輩も今帰りですか?」

「うん、家は隣だしもう少し居てもいいんだけど…ほら」

 

梨子先輩の上から千歌の部屋を覗く。そこには机で腕にうずくまりながら寝てる千歌の姿があった。

 

「寝ちゃったんですか」

「うん。だから今日は終わろうってことになったの」

「なるほど。今日もいつもと同じくらい張り切ってましたもんね」

「そうね。千歌ちゃんの輝きたいって思いが日に日に強くなってるみたい」

「輝きたい…ですか?」

「うん。千歌ちゃん私に言ってきたんだ。普通怪獣だぞーって。千歌ちゃんにとって普通な日常に突然現れた奇跡がきっとスクールアイドルだったんだと思う」

「そんなことを…」

「だから絶対成功させたいの。夏目くんもライブ来てね。あ、友達も連れてきてくれていいのよ?」

「生憎と連れて来れそうな友人はいませんね」

 

圭介は日曜日用事があるからいけないだろうし、他の知らない人を誘うのも気が引ける。

 

「あら友達いないの?」

「編入したばっかりなので」

「私もだけど…」

「それは梨子先輩に1年人生経験の違いがありますから」

「でも1年生の人たちはみんな一緒のスタートでしょ?」

「やめてください。それ以上は俺の心が傷つきます」

「ふふ、ごめんなさい。それじゃ私は帰るわね」

「はい。気をつけて」

 

とりあえず梨子先輩とはあまりこの話はしたくないなと思いつつ梨子先輩を見送る。

 

さてと、俺は机にうつ伏せで寝ている千歌の方を見る

 

2人も起こすのは悪いと思ったんだろうが、このままにしておくのも忍びない。起こすのも申し訳ないが、このまま寝たら腕が痺れたりなど厄介のこともあるだろう。そう思い俺は千歌をベッドまで移動させようとする。

 

「千歌、寝るなら着替えて布団で寝た方がいいぞ」

 

寝ている千歌の体を優しく揺さぶりながら聞こえる程度に話しかける。

 

「ん、んん…」

「2人はもう帰った」

「んん…おんぶしてぇ」

 

………仕方ない。俺は千歌の髪留めをとり髪を下ろした状態にする。

 

そして

 

おんぶ…は何かとバチが当たりそうなのでお姫様抱っこの要領で千歌を持ち上げる。その際に俺の目に先に千歌の寝顔が入り込む。

 

「…」

 

俺は世間をよく知らないためあまりこういうことを言うのはどうかと思うが…千歌は可愛い女子高生の部類に入るんじゃないだろうか?…いや、この考えはよそう。何かいけないことをしている気分になる。

 

さっさとベッドに…

 

「ん、うーん、…え?」

 

…最悪だ。なぜこのタイミングで起きるんだこの怪獣は。

 

「え…え!何して…!」

「…千歌が寝てたからベッドに移そうとしたんだ」

 

そう言いながらお姫様抱っこの状態から千歌をそのままベッドに移す

 

「ね、寝てた!?」

 

ビュンと飛び起きる千歌。眠気は完全に吹っ飛んでそうだ

 

「ああ、1回起こそうとしたんだが…起こそうとしたらおんぶとか言ってくるから」

「嘘…!私そんなこと…!」

 

言い終える前に俺はすかさずスマホを取りだし録音した音声を再生する。念の為録っておいて正解だった。

 

「ほ、ほんとだ…」

「とにかく、寝るなら着替えてからにしな。」

「うん…」

 

☆

 

「とにかく寝るなら着替えてからにしな」

 

そういい夏目くんは部屋を出る。1人部屋に取り残された私。

 

……………

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ。どうしようしどうしよう!寝顔見られた!?ていうかお姫様抱っこされてたよね!?すごい軽々しく持ってたけど重くなかったかな…?最近ちょっとふと…じゃなくて!

 

どうしよう顔が熱い…。絶対赤くなってるよぅ…。男の子にお姫様抱っこされるなんて初めてだし…

 

で、でも…なんとも思ってなさそうだったな…。もしかして…慣れてる?

 

…あ、有り得る!だって夏目くんってよく見たら顔整ってるし髪型とかもすごい似合ってるし…もしかしたら彼女さんもとかいるのかな…?

 

そういえば…私夏目くんのこと何も知らないかも…

 

 

 

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