“——学園調査?”
『はい、先生にはとある学園に行ってもらいます』
ホログラムとして先生の目の前にいる生徒『七神リン』から唐突に告げられた事。それはキボォトスに無数にある学校、その一つの学園を調査して欲しいというものだった。
『因みに、この依頼は連邦生徒会で会議に会議を重ねた結果、了承されたものです』
“そんなに重要な事なの?”
『はい、調査も確かに重要でありますが、それよりも、非常に危険な場所でもありますので…』
“いや、やるよ”
“それが生徒のためになるならね”
『…ありがとうございます、先生。では早速、依頼の概要を説明いたします』
連邦生徒会で了承された事、それは事実上先生に拒否権がないことを表している。そして更には危険な場所に行く、それは外の世界から来た先生にとって自ら猛獣の集団の中に入り餌になる様なものである。だがこの男は、それを分かった上でやると言ったのだ、例え自身が傷ついても、それが生徒のためならと言う男である。リンは察していたのか、続けて依頼の内容を言い始めた。
『先生には、【ルビコン技術研究学園】以下ルビコン学園を調査してもらいます。ルビコン学園は、ミレニアムサイエンスクールに劣らない技術力を持ち、ゲヘナ学園に相当またはそれ以上の治安の低さであり、部活が企業として成り立っているのが特徴です』
“部活が企業なんだ…”
『先生が想像している様な企業、カイザーコーポレーションのようではないのでご安心ください。企業は【Political Crime Administration】通称PCAと言われる治安維持委員会によって常に監視されていますので、安心できるかと』
“そうなんだ、良かった”
“でも治安以外問題ないように思えるけど”
『…ここからが問題です先生、実は3年前、ルビコン学園でキヴォトスでも過去最大記録の大災害が起きました』
『その名も【アイビスの火】、それはルビコン学園自治区内全域を覆いつくし、約86%の損壊を出し、学園は一時的に機能停止状態にまで追い込まれました』
『幸いなことに死傷者は出ませんでしたが、重傷者が多発。連邦生徒会の援助もありましたが、数か月は復興作業でまともに授業が受けれる環境ではありませんでした』
“そんなことが…”
『…先生、おかしいと思いませんか?』
“え?”
『これだけ大きな事件、しかもたった3年前、キヴォトスの歴史に刻まれてもおかしくない事ですが、先生はこうして私に言われるまで事件どころか、学園の存在自体気づいていなかったのです』
キヴォトスは数多くの学園で構成される学園都市。三大校は当然の事でも、百鬼夜行、山海峡やレッドウィンターなどの様々な学校を巡った先生ですら知らない、聞いたこともないルビコン技術研究学園。先生は、それだけ大きな事なのに、風の噂程度のことも聞いたことがない現状に違和感を覚えた。
“確かに、ここまで大きい事なら噂話程度なら聞いててもおかしくないね”
『はい。ですので最初は連邦生徒会で調査を試みました』
『ですが、それら全ては失敗に終わっています』
『こちらからコンタクトを取ろうとしても、通信障害が発生し。調査のために人員を派遣しても、記憶が無い状態で帰還してきています』
『他にもやりましたが全てが失敗。それらの原因はおそらく、ルビコン学園には、知られたくないこと知らせたくないために、情報統制をしている存在が居ると結論立てました』
『本来なら、ルビコン出身の連邦生徒会生徒に行かせるのですが、諸事情により遠出をしています』
“なるほど、そこで私の出番ってわけだね”
『はい。先生はルビコンで何が起きているか、その原因は何かを調査してもらいます』
『…先生にとってはいつも通りでしょうが、困ったら現地の生徒達を頼ってください』
“分かった”
“じゃあ早速行ってくるね!”
『えっちょっと待ってください先生、もう行かれるんですか?まだ本日の業務は終わってないはずですが』
“…未来の私がどうかするよ”
『先生…!』
“じゃあ行ってくるねリンちゃん!”
『だからリンちゃんはやめて下さい!』
「先生、ちょっとお時間頂きま…あっあれ?先生は何処?」