怨敵と巫女   作:大紫蝶

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 分かりますよ?アニメ2期放送前に発売する理由とか分かりますよ?
 でも公式ガイドブック出すなら、この小説書く前に出してくれよ!!


 赤坂アカ先生の同時連載していた『恋愛代行』が完結しましたね。また同時連載するのか、『推しの子』の方に集中するのか。『かぐや様は告らせたい』はアニメ3期、映画2本(実写一本)、スピンオフ1つ。推しの子もスピンオフとかで舞台裏を補完するようなるのでしょうか。


彼氏との挨拶

side:壱護

 

 俺の名前は斉藤(さいとう)壱護(いちご)、苺プロダクション社長だ。

 

 俺は先日とんでもない”原石”を発見した。

 

 見ただけで分かる程の存在感。街中にいるはずが、俺の目には彼女しか映らなかった。芸能界で生きてきて、所属タレントも決してレベルが低くない苺プロダクション社長の俺がである。まさに神に愛された存在だ。

 

「あながち間違いじゃなかったか。こいつは絶対に逃がせねえ」

 

 星野アイ。俺がスカウトした少女は業界で有名な存在だった。

 

 『寺系美少女巫女』とかいうふざけた活動をしていたが、その実力は本物。いわゆるローカルアイドルの立ち位置だがスポンサーは神社仏閣。つまりは宗教だ。それだけなら関わりたくないが、「失われた伝統芸能の復活」などと言う事で各地の神楽舞などを蘇らせている。これだけで一部の人間……地元の名士などの有力者から支持される。彼女が施設出身ということを知った人間の中には「彼女を引き取りたい」「彼女の助けになれば」と養子を打診したり、援助を行っている人間も多い。

 

 さらにファンも馬鹿にできない。ファンクラブは1万人、地元中心かつ神社仏閣の関係者が多いとはいえ素人の小学生が出せる数じゃない。その原因が彼女の神楽舞にある。神楽舞を見た人間から口コミで広がっていた。

 

『彼女の舞を見てから演技が上達したよ!おかげで主演の仕事も入ったし』

『離婚寸前の夫婦が彼女の舞を見てから夫婦円満になったんですよ!』

『片思いだった彼と付き合えたんです!』

 

 などの声はデカい。数人の声なら過激なファンの妄言、数十人ならプラシーボ効果で済むが、数百人以上が言えば信憑性が出て来る。『アイの水』などのグッズもご利益があると言えば信じる人間も多いだろう。何故なら彼女は”巫女”であり、神社仏閣がスポンサーなのだ。ご利益がないと考える方が難しい。

 

「そして、これらをプロデュースしているのが真田(さなだ)勝男(かつお)。元天才子役にして、業界の大物か」

 

 真田勝男、通称マダオ。かつて天才子役と呼ばれ15歳で引退。その後、数年の間を置き霊能力者として活躍している。今ではどんなに危険な収録でも金で動く拝金主義者として有名だ。ただし他の霊能力者が逃げる依頼でも受けている実績から、業界では最後の砦とも言われている。霊的な問題は彼に相談するのが業界の常識だ。なにせ「神クラスでも戦える」と評判なのだから。

 

 そんな男がプロデュースしているという事は『マダオプロダクション』所属と言ってもいい。そうなると事実上の引き抜きを掛けることになる。芸能界大御所から弱小プロダクションに、だ。ただ、既に引退しているなら問題ない。……それに、中学生に金借りて風俗巡りする奴ならマスコミに垂れ込めば勝てるはず。

 

「過去に出た番組で『美少女霊能力者見習い』として出演、視聴率は歴代5位。その番組で名を挙げたのが鏑木Pと姫川愛梨……この二人に貸しを作っていたのか」

 

 鏑木勝也。現在はドットTVというネットテレビ局のプロデューサーだが、キー局時代に歴代視聴率5位を達成した傑物。本来ならプロデューサーの実績になるのだが、当時はプロデューサーが失踪、他のディレクターも仕事を放棄していたため鏑木Dの実績となった。その後も活躍を続け、新設されたドットTVのプロデューサーとなる。現在もいくつかの企画を任されている最も勢いと実績のあるプロデューサー。

 

 姫川愛梨。劇団ララライ所属の女優。数年前まで名前すら聞かない女優だったが、現在はドラマや映画で引っ張りだこの若手女優。放送中の朝ドラヒロインも務め、去年の新人俳優賞を受賞している。所属している事務所も彼女には頭が上がらない程だ。

 

 この両者が活躍しているのは例の心霊番組という実績があるから。ごく普通の番組が話題に上がったのは業界で有名な霊能力者マダオ、その弟子の星野アイと夜見颯真、そして本物の呪物。一応本物らしい呪物や心霊写真を目の前で破壊し、サラダ油をかけて燃やすシーンは視聴者を唖然とさせた。今でもネットに動画が出回っている。

 

 この番組をきっかけに霊能力者マダオや星野アイの神楽舞が紹介された。その番組を作ったのが鏑木であり、リポーターが姫川だ。その企画も実績にして、二人は芸能界で成り上がった訳だ。正直、星野アイが言えばテレビの数本くらいは出演できる。大手なら十本、姫川の事務所なら更に無理を通せるかもしれない。

 

「うちのB小町はまだまだ伸びていない弱小グループ。そこにこの星野アイを入れれば爆発的にヒットする。本人の実力は本物。コネは十分、余計なヒモ*1がない事も良い。問題があるとすれば……彼氏持ちってことか」

 

 これだけの逸材ならすぐに売れる。スカウトした時は誤魔化したが、彼氏なんていない方が良い。ファンにとって男の手垢が付いた女性アイドルなんて推せない奴の方が多い。匂わせや週刊誌の記者にバラされるなんてよくある事。たしかに男付きのアイドルはかなりいるが、別れた後に写真や動画が流出した事例も多い。ハメ撮り流出なんてすれば一発アウト。最悪な事例だと、堕胎した記録まで流された奴もいた。

 

「彼氏は中学生らしいし、適当に金か女で別れさせないとな。だが星野アイ自体が金になるし、本人が女狂いに金を貸せるなら金に困っていないか?女を宛がうにしても彼女が星野アイならそうそう靡かない……風俗にでも連れて行くか? ホテルに嬢を呼んで楽しませ、その写真やら動画を見せれば別れるだろ」

 

 とりあえず200万下ろして、人気の風俗店を探すか。

 


 

 数日後、星野から「彼氏が契約について話があるって」と連絡がきた。本当なら彼氏とは二人で会って別れるように交渉したかったが……連絡先を手に入れてからでいいか。

 

「それで、彼氏はどこだ?」

「時間がないから直接家に来てだって」

 

 星野から指定された場所は寺だった。彼女の経歴から考えてマダオの居る寺だろう。しかし、彼氏が忙しい? 中学生ならそうでもないと思うが。

 

 そう思っていると一台の車が現れた。そこから出てきた女性に度肝を抜かれたよ。

 

「お待ち申し上げておりました。本日はご案内をさせていただきます、早坂(はやさか)奈央(なお)と申します」

 

 メイドさんだ!! メイド喫茶や風俗のコスプレメイドじゃない。どう見ても本物の金髪碧眼美少女メイドさんだ!

 

「誠に恐れ入りますが、奴は稽古から逃れようとされておりまして、簀巻きにさせていただいておりますので……申し訳ございませんが、こちらから送迎をさせていただきます」

 

 奴!? このメイドさんがご主人様を”奴”呼ばわり!?

 

「またですか?」

「またでございます。日々、奴の凶暴性が増しております」

 

 なんだ。星野の彼氏は猛獣なのか?

 

「まぁ、そのうち調教をさせていただきますので、どうぞお気になさらず。元気でいらっしゃるのは健康の証拠でございますので」

 

 ドSメイド!? この金髪碧眼美少女メイドがドS!? ま、マズい……星野を彼氏に持ち、こんなメイドさんまで従えている野郎を女で満足させられるのか?星野もメイドさんを信用しているみたいだし……。

 

 ま、まさかハーレムなのか!? 彼女公認ハーレムなのか!?

 

「それじゃあ行こう!」

 

 俺がハーレム野郎の事を考えていると車の中に案内され出発した。

 

「どうぞロマネ・コンティです。当たり年ではないので気にせずお飲みください」

 

 無理だよ! 当たり年じゃないのは気遣いですかありがとうございます。でも何百万もするワインを飲めませんよ。

 

「適当なおつまみもご用意しております。アイ様にはご希望のジュースとハーゲン〇ッツを、マダオ様には白湯をご用意いたしました」

「わーい! ありがとうございます!」

「何故俺には白湯なんだ……」

 

 すみません! 俺もジュースか白湯でお願いします!

 

「では、どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ」

 

 ごゆっくりできねぇよ!

 


 

 俺の名前は斉藤壱護。世界平和について考える男だ。毎日ニュースを見るたびに、どうしてこんなにも多くの争いが絶えないのか、それを解決する方法はないのかと考え続けている。俺はただのしょうもない人間だが、世界のどこかで起こっている戦争や紛争に心を痛めている。

 

 例えば、国と国との間に境界線があるだけで人々は互いに敵意を抱く。なぜ同じ地球に生まれ、同じ空の下で生きているのに、互いに理解し合うことがそんなに難しいのだろうか。もし俺に力があれば、この世界のすべての国境を消し去って、人々がただ人として互いに接することができるような世界を作りたい。

 

 でも現実はそう簡単ではない。政治が絡むと経済的利益や歴史的背景が影響して、簡単にはいかない。それでも俺は諦めない。小さなことから変えていくことが、やがて大きな波となって世界を変えていくと信じている。

 

 そう、たとえば地元のコミュニティーで異文化交流のイベントを開催することから始めたらどうだろうか。異なる文化や宗教を持つ人々が一緒に食事をしたり、音楽を楽しんだりすることでお互いの理解と尊重が生まれる。小さいことかもしれないが、それが全ての始まりだと思うんだ。

 

 世界平和は一朝一夕に達成できるものではない。だが一人一人が心を開いて、少しでも互いを理解しようと努力すれば、少しずつでも良い方向に進むはずだ。それには時間がかかるかもしれないし、俺が生きている間には見ることができないかもしれない。それでもいい。俺はこれからも、一歩一歩、世界平和への小さな足跡を残していくつもりだ。

 

「いい加減現実の戻ってこい。アイとの契約についてだろ」

 

 ……現実逃避は止めようか。じゃないと殺されそうだし。

 

「改めて、星野アイの彼氏で四宮颯真だ。芸能関係者なら詳しい自己紹介は不要だろ?」

 

 四宮颯真。その名前はよ~~~く知ってますよ。芸能界に彗星のごとく現れたスターであり、四宮プロダクション所属のマルチタレントだ。この間武道館ライブしてましたよね、活動から半年で!

 

 世間を多いに騒がせた四宮家から発表。それは現当主である四宮雁庵の妹、四宮神楽(かぐら)の誘拐された息子が見つかり特別養子縁組をしたというニュース。四宮神楽が亡くなり、妹の遺言で捜索していたとい言う。特別養子縁組をした以上、彼も四宮家後継者候補の一人となったことは今でも議論されている。

 

『次期当主として実の息子達以上に相応しいと、四宮家が判断したのかもしれません』

 

 そう分析した専門家が正しいのかは分からない。それでも政財界が大きく揺るいだのは事実だ。俺だけじゃなく、まともな社会人はしばらく放心状態だっただろう。

 

 巨大財閥四宮家の次期当主問題は絶対に無視にできない。政権交代や天皇の交代よりも国を揺るがしかねない話だ。今は当主が元気だから問題ないが、本気で後継者争いが加速すれば何百人が首をくくるか分からない。数年前の四条家独立の時でさえ酷かった。俺が知っているだけでも45人が亡くなり、80人以上が行方不明となっている。リストラされた人数は1000人を超えたはずだ。

 

 それから数年で後継者争いの火種になりそうな養子だ。当主の血の繋がった甥なら後継者になってもおかしくないだろう。

 

 そんな奴が現れてすぐ『四宮プロダクション』を設立。翌週からレギュラー3本、ドラマ1本、CM10本という暴れっぷり。四宮グループの顔役となり、スポンサーの数は4000社、ファンクラブの会員数は50万人を超えている。……これが活動半年の成果だぜ?世の中バグってるだろ。

 

「俺がアイの彼氏だ。言いたいことは分かるな?」

 

 分かりますよ。あなた業界での通称『処刑人』ですよ。大御所だろうが、優秀な若手だろうが邪魔者は潰し、芸能界・日本・この世のどれかから消すという死神の化身じゃないですか。弱小事務所からすれば絶対に関わりたくない人物ですよ。

 

「俺はアイと別れる気はない。あんたがアイと別れさせるために下した200万、女で溺れさせようとリストアップしていた事は見逃す」

 

 止めて!星野からの目が痛いから!嘘つきっていう声が聞こえるから!ってか、なんで知ってんだよ!

 

「知っているのはあんたの使っている携帯やパソコンの情報を四宮がハッキングしたから。銀行も四宮グループの企業だから。そして心の読めるのはただのプロファイリングだ」

「すんませんでした! 俺の命はいいので、家族と従業員の命だけはッ!!!」

 

 母さん、父さん……親より先に死ぬ親不孝者ですまない……っ!

 

「気にするな。間違いは誰にでもある」

「まったく。私達は何人と付き合う様な節操なしじゃないよ。ちゃんと付き合った翌日に婚約したし!」

「婚約?」

「そうだよ。颯真が血判状を施設の人やマダオの前で書いて、ビデオにも証拠を残しているし」

 

 そう言って星野が差し出したのはマジで血で書かれた血判状だった。

 

『私、夜見颯真は星野アイと婚約し、生涯愛する事を誓います。裏切った場合は腹切って死にます』

 

 短いが覚悟が伝わってくる。何より今まで見たホラーや呪物より悍ましいナニカを感じる。こんな物書く奴と別れさせるんなんて不可能だと、俺の本能が叫んでいる。

 

「一応、俺が18歳になったら籍入れる事になっている。それ込みで良いなら問題ない」

「いや問題しかないですよ?それって星野が17で人妻になるってことですよね?」

「誕生日的には16歳だな」

「余計にヤバいですって」

「法律上問題ない。子供は24~25歳で作ると話し合っている。法律に引っ掛かるから性行為は、アイが13歳になるまでしていない*2。当然避妊はするし、本番以外は済ましてある」

「問題しかねぇよ!なんでそんな事すでに決めてんの!? あんたら小中学生だろ! 子作り年齢や性行為年齢決めて、本番以外ヤッたなら殆どアウトだよ!!」

「デキ婚じゃないぞ? 子供に俺らみたいな人生歩ませたくないし、子供には両親や周囲に望まれて生まれてきて欲しいからな」

「私達、親や周囲から『生まれてきて良かった』なんて言われたことないしね~」ハイライトオフ

 

 ヤバイ地雷だった。ってか、あんな乱暴な言葉遣いして、俺死ぬんじゃ……。

 

「別に気にするな。敬語もいらないし、あんたを消すほど暇じゃないから」

「そ、そうか。なら良いが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それより契約の話をしようか」

*1
金にがめつい家族や親戚

*2
不同意性交等罪制定前です




 「かぐや様は告らせたい」の世界って、割と物騒ですよね。四条家と四宮家の争いなんてヤクザの抗争より質悪いです。だって争いを止める警察や司法が財閥の犬になっている訳ですし。作中で描かれていないだけで、裏側だと街から数十人が消えても問題にならなそう……・

 そんな世界線と同じ「推しの子」なら少しくらい物騒でも良いですよね?なお、颯真の芸能界での戦いは別の話で書きます。……外道な手段なので軽く流すつもりですが。



・四宮颯真:旧姓・夜見颯真。四宮グループ継承順位4位。秀知院学園中等部1年。四宮プロダクション所属。デビューから一週間でレギュラー3本、ドラマ1本、CM10本。半年で単独武道館ライブ。ファンクラブ会員数50万人。
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