推しの子2期良いですね。特にOPが良かったです。そのせいか早めに書けたので、日曜とは別に投稿します。
※すみません!どうやら本文の最後に他作品のコピペが表示されていました。現在は修正済みですが、二度とない様にします。
side:奈央
私の名前は早坂奈央。四宮家に仕えるメイドです。
私の仕事は多岐に渡ります。その原因が
しかし! このバカには大きな欠点があります。一度神木家や四宮家に殺されかけた(社会的には殺された)人間の為、両家に対する恨みが大きい事。裏社会で『人間換金所』をしながら敵対する人間や組織を潰し回った――どの国でも死刑確定の重犯罪を犯している事。メサイアコンプレックスを発症し、悪人と認定した人物や組織を断罪している外道狩りである事。そして、恋人と共依存状態にあるヤンデレである事です。
四宮家に仕える早坂家も表立って言えない事の10や20はあります。しかし、個人でここまでやらかしている怪物はいませんよ。厄介なことに彼が潰していた人間や組織は過激なテロ組織や犯罪集団のため、社会貢献している事になります。彼が始末しなければ、四宮家が処理する連中なのでその事はどうでもいい。問題は本能の赴くままに暴れているので手が付けられない点です。
実の家族に戸籍も含めて存在ごと抹消され、国にすら見捨てられた経験からやりたい放題。今では「人に感謝され、人々の笑顔をみると興奮するッ!!」などという変態です。自身の快楽のために人を殺したり洗脳する危険人物ですよ……一般人に手を出していない事が救いですが。
「そんな怪物が、なんでこんなところに居るんですか?」
「いや、恋人の活躍を見に来ただけだが」
ここはとあるライブハウス。客入り数十人程度の小規模であり、私の人生で関わるはずのない場所です。
そんな場所に居るのは、本日デビューする『B小町』とかいうアイドルグループの応援の為です。ここに所属している星野アイがバカの恋人であり、B小町に四宮家が支援している事から視察に来ています。
「それにしても……意外と空いていますね。もっとギチギチした場所かと」
「弱小事務所所属のデビュー前のアイドルのなんてこんなもんだろ。
まぁ、四宮家が支援するアイドルグループのライブと言えば聞こえは良いですが、実際には無名のアイドルグループですからね。アイさんの知名度や魅力は認めますが、それ以外は特質すべき点の無いアイドルグループ。
「それで、B小町ってどうなんですか?」
「……はっきり言えば微妙だ。元モデルって言ってたが、歌やダンスの経験者が多いって訳じゃない。いや、趣味でやっている奴はいるだろうが――アイドルとして活躍できる訳じゃない」
「意外、ですね。てっきりアイさんに関係すれば全肯定すると思ってました」
このバカは能力や実績の高さだけで言えば四宮家次期当主に相応しい人物。ですが、それを上回る程恋人に夢中でしたし。
「アイドルってのは究極の肉体労働だ」
「究極の肉体労働? まぁ、性接待やら色々聞きますが」
「そうじゃない。単純に体力が必要なんだよ」
「そりゃ分かりますよ。あんな照明の中で踊っていればキツいでしょうね」
「それだけじゃない。そもそもアイドルの衣装はトレーニングウェアや肉体労働者の制服の様に運動に適した服じゃない。装飾にもよるが全身に重りを付けている様な物だしな。さらに、髪はヘアスプレーでパリパリに固めている。照明によって舞台は灼熱状態」
「それだけ聞くと拷問ですね」
「その状態でダンス・歌を行う。音程やリズム感、全身を使った表現をしないといけない訳だ。曲にもよるが基本的に笑顔だし」
要するに、他の肉体労働やスポーツと違い、”苦しい”という表情を出す事すら禁止と。
「それを小学生や中学生の女子にやらせる訳ですか」
「モデルの仕事はやり直しがきくし、見ている人数も多くない。小中学生モデルなら猶更だ。だがライブはやり直しなんてない。一発勝負、数十人数百人の観客の前という厳しい中でやるんだよ」
「……それは、厳しいですね」
知らなかったとは言え、今から舞台に立つ年下の少女達に同情する。
「それなら心配じゃないんですか? 大切な恋人でしょ?」
「なんで心配するんだよ。あいつはそんな奴じゃない。むしろ心配なのはあいつ以外だよ」
「それはおかしくありませんか? どう考えてもアイさんが不利だと思いますが」
「……そうだな。アイドルは笑顔のまま腕立て伏せしながら一曲歌いきる為のフィジカルとメンタルが必要な職業だ。その上で表現力やら嘘の愛情で客を騙す技術もいる」
そうだ。それが分かっているなら恋人を心配するはず。それが”普通”のはずだ。
「舐めるなよ。あいつは俺が惚れた女だ。そんな程度なら、40度の高熱出してても余裕で出来るわ」
side:アイ
私は星野アイ。今からアイドルデビューするB小町のアイドルだ。
「緊張する……」
「変じゃないよね!?」
「お客さん、沢山居たよね……」
そこで弱気になっているのが他のメンバーの3人。名前は……忘れたけど。
正直に言えば、今日のライブはお客さんもたった数十人程度の小さい規模。やることだって一曲歌って終わりっていう遊びみたいな気楽なもの。――これで緊張する意味が分からない。
「そうだ! 番号言わない?」
「「「番号?」」」
「そうだよ。番号言えば気楽になるでしょ?」
「まぁ、面白そうだけど」
「それじゃあ行くよ! 1!」
「2!」
「3!」
「4!」
「おい、出番だぞ」
「「「「……」」」」
せっかくメンバー間の一体感を高めていたのに、佐藤社長のせいで台無しだよ。
「や、止めろよ、その目。悪かったって…‥」
「「「「はぁ~」」」」
まぁ、共通の敵ができたからある意味一体感は生まれたかな?
「それじゃあ、B小町のファーストライブ。最高のライブにしようね!」
「うん!」
「もちろん!」
「OK!」
さぁ、幕が上がる。ここからが、B小町の歴史の始まりだ!
幕が上がり、客席を見れば色んなファンが見える。よく分からないTシャツを着ている人。坊主で袈裟を着ているお坊さん。どう見ても神主や巫女にしか見えない集団。
でも、それらが気にならない程の存在感を放つ二人組が居た。
そいつらは私の顔写真の入った法被を背負い、『I ♡ アイ』と書かれたハチマキを巻いている。
全身に
――メイド服とウサギの着ぐるみを着た二人組だ。
「「「ぐふっ!!!」」」
「……」ハイライトオフ
……あれって、颯真と奈央さんだよね? というか、メイドは奈央さんの顔見えてるし。ウサギも180cmはある。全身から滲み出ている覇気が堅気じゃないよ。
顔から火が出そうなくらい恥ずかしい!!! 他の3人も洗いを堪えきれずに悶えているし、観客の目線も生暖かい。授業参観とかより恥ずかしい。
「き、聞いてください! B小町で『サインはB』!」
そこからは自棄だった。最早
「アイちゃん! アイちゃん!」
『アイちゃん! アイちゃん!』
奈央さんは何を叫んでいるの!? それと颯真は何で看板を持ち歩いているの!?
私達はまだまだ駆け出しの新人。ぎこちない動きだけど、一生懸命に歌って踊った。その様子はステージの光よりも眩く輝いていたと誇れる。
――でも、客席でサイリウムを振っている異常な二人組の方が注目されているよね?
たった1曲歌うだけ。それ以上、私達に出来る事はなかった。最終的にメイドとウサギが神主や巫女さんと一緒にブレイクダンスし始めた時は腹筋が悲鳴を上げていた。あれに勝てるアイドルなんている訳ない。トップアイドルになっても不可能だと私の本能が叫んでいる!
こうしてB小町のファーストライブは終わった。たった1曲、それも色んなアイドルとの合同ライブでの1曲。だけど、このライブは忘れないと思う。――最悪の黒歴史として。
side:奈央
「凄かったですね」
「そうだな。これがライブ特有の一体感というものなんだな」
「絶対違うと思います」
B小町のライブが終わり、辺りは静まり返っていた。全身イルミネーションでグルグル巻きになったメイドとウサギ男は警戒されているようです。
しかし、この格好は我々の素性がバレない様に考えた服装です。それに、周りには僧侶や神主、巫女が大量に居るんですから、我々に注目が集まる可能性は低いはず。
「次は物販でしたか。とりあえず買い占めますか?」
「それだと他の客の迷惑だろ。アイのグッズを1人10セット買って帰ろう」
「少なっ」
せっかくの恋人のグッズなんだから「誰にもアイは渡さない!」とか言えば良いのに。
「そういえば、このライブって何だったんですか?」
「……いや、普通にデビューライブだろ」
「そもそもやる必要ないですよね? 四宮家が支援しているならテレビでデビューすればいい。ファンがいなくても、四宮家がいれば活動は出来ますよね?」
「そんなアイドルが長続きする訳ないだろ。アイドルってのは”疑似的な恋人”だ。ライブくらいの距離感で会えるだけでもファンはのめり込む」
「それは分かりますが」
「昔のアイは”愛”が分からなかった。誰からも愛情を受けず、誰も愛せなかった。そんな奴が嘘の愛を振りまいてもファンは喜ばな……いや、アイ程の美少女からなら喜ぶか?」
「そこは自身を持ってください」
流石は恋愛脳。全肯定彼氏とかメンタル弱い娘にとって最高の依存先でしょうね。――ただ、今回だけはバカの言いたい事も分かる。
「アイドルはファンを愛するもの。普通のアイドルはあくまでお金や承認欲求のための演技って事ですか」
「そうそう。だけどアイは違う。俺からしか愛されていないと思っているし、俺しか愛せないから愛情の質の違いが分かってない」
「はぁ。厄介なアイドルですね」
この恋愛脳の全肯定ヤンデレ彼氏からの愛情しか知らず、その彼氏に影響されて愛が重いアイさん。そんな彼女がファンに本気の愛を振りまけば、ファン冥利に尽きるでしょうね。勘違いするファンが大量発生すれば、その先は簡単に予想がつく。
「なんというか、このままだと
「ファンが生まれるのは悪くないんだが……その先は分かるだろ?」
「……B小町ファンの殆んどがアイさん推しになるでしょうね~。そうなれば他メンバーは邪魔になるか引き立て役になるしかない。何故ならグループである以上、アイさんが稼いだ金もメンバーで折半される。それに不満を持ったアイさんがB小町を辞めればグループは崩壊」
「続けてもアイへの嫉妬から大抵のメンバーは嫌がらせをするだろうな。個人情報をバラまいたり、衣装を破壊したり」
そうなればそのメンバーは一発で解雇される。下手すれば慰謝料請求までされるかもしれない。苺プロへの援助は「星野アイがいるから」というバカの個人的理由から。苺プロやB小町自体に魅力を感じていない。むしろ、さっさと辞めてくれれば同棲に持ち込めると願っているかもしれない。
「まさか、それも織り込み済みだったと?」
「ないない」
なお、イルミネーショングルグル巻き不審者二人組は警察のお世話になりました。二人組は四宮雲鷹によって引き取られました。
・星野アイ:原作と違い本気の愛を振りまいていたアイドル様。応援に駆け付けた颯真や奈央によって恥をかいた。なお、二人の影響もありB小町のファーストライブは色んな意味で伝説となった。
・四宮颯真:恋人の活躍が見たい。でも、彼氏持ちだとバレると迷惑がかかる。という葛藤からウサギの着ぐるみにアイ応援グッズ(自作)を装備した。イメージは「アイドル」で星野アイが着ていたウサギの着ぐるみ。
・早坂奈央:颯真に迷惑を掛けられ続けているメイド。颯真の正体がバレない様にメイド服で参加。全身イルミネーショングルグル巻きの発案者。イメージはスミシー・A・ハーサカ。
・巫女達:奈央が自身や颯真の正体がバレない様に呼び寄せたサクラ。本人達は昔から知っているアイの応援のために仕事を抜け出して応援に来た。途中、奈央から渡されたグッズを身に着けてアイの応援をしていた。