怨敵と巫女   作:大紫蝶

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 衝撃的すぎる知らせがあり投稿が遅れました。なんか……好きなvtuberが居なくなるペースが上がった気がする。後、好きなvtuberに問題が起きるペースも……。


 今回から予定を少し変更し、『四宮颯真の生態回』を行います。番外編でやろうと思っていましたが、「リアルでも、書いている小説でも暗い話は作者メンタルが持たないから」こちらから投稿です。


四宮颯真という男

side:正人

 

 私の名前は早坂正人。四宮家に仕える早坂家の人間……に、なるために修行中の男だ。

 

 私は学生時代から付き合っていた女性――早坂奈央さんとの結婚を認めて貰うために何やかんやあり、今は彼女の実家で結婚相手に相応しい男になれるように修行中です。

 

 今回はそんな私の日々について説明しようと思います。

 


 

 私の仕事は多岐に渡りますが、その中でも一番多い仕事は妻の会社のサポートです。妻は育児休暇中なので、彼女に変わって芸能事務所『四宮プロダクション』の業務を代行しています。

 

「お疲れ様です颯真さん。本日の予定は――」

 

 ここは四宮家の所有するマンション。その一室で目的の人物と会います。

 

 四宮プロ唯一のタレントであり、四宮家次期後継者候補筆頭の四宮颯真。彼のマネージャー業が基本的な仕事になります。もっとも、彼自身はマネージャーを必要としておらず、むしろ単独行動を好んでいるので仕事は少なめ。彼と離れている間に育児や勉学に勤しむ事も出来ます。週3で一日4時間勤務の完全週休2日にも拘らず、給料は1000万を超えるという待遇……これで”見習い”とか、正式採用されるといくら貰えるんだろう??

 

「了解した。ああそうだ、お茶でも飲んで行けよ。どうせ出かけるまで30分くらいあるからさ」

「それは有難いのですが……部屋にあがってもよろしいので?」

 

 この男はストーカーになる前に付き合えたというか、付き合ってからストーカー化した危険人物なので部屋に入りたくない。彼女の写真だらけの部屋とか、使用済み(自主規制)を飾ってある部屋で正気を保っていられる自信がない。

 

「って、何もない?」

 

 色々考えて入った部屋には作業机や本棚、他にはベッドくらいしかない殺風景な部屋。ヤンデレどころか変態ストーカーの域に達している男の部屋か?

 

「こうして知り合いや仕事相手を招く事もあるからな……彼女(グッズを飾ってある)部屋は別にあるに決まってんだろ?」

「でしょうね……」

「そんな事より座っていてくれ。茶でも淹れるよ」

「おかまいなく……」

 

 颯真さんの彼女LOVEは相変わらずだ。彼女と出会っていなかったIFがあればどうなっていたのか……なぜかドスと拳銃を持っているダークスーツ姿が目に浮かぶ。

 

「コーヒーで良かったか? どれが好きか分からないからモカにしたが」

「えぇ。まあ銘柄とかはもう些末な問題ですから」

 

 彼女部屋を用意して隠している男が出して来たカップが颯真さんとアイさんの顔写真付きなのは何故だろう。どうみても痛いカップルが結婚式の引き出物に入れているアレにしか見えないんだが。

 

 それに、こんなものを他人に出した時の言い訳なんてあるのだろうか? 私の脳みそでは「婚約中とバレる」「変態ストーカーとバレる」の二択しか思いつかない。

 

「今日からしばらく一緒だったな。大学を休む事になってしまうが大丈夫なのか? 奥さんと子供の世話もあるのに……」

「いえ、大丈夫ですよ。義両親や私の両親も手伝ってくれますから」

「それなら良い。『出産間もない頃から育児を手伝ってくれない最低な父親』のレッテルを張られるんじゃないかと思うだけで胃が痛いからな。作戦『家族大事に』で良いから。金に困ったら5000万までならすぐに用意するからな」

「大丈夫ですよ。これでもバイトの時の貯金と今の給料で十分ですから。それに、今回の特別手当で余裕もできますし」

「そうか。一連の仕事が終わる頃にはアイも出産しておかしくない時期になる……どうせなら記念にパーティーでも開くか! 愛ちゃんもそろそろ一歳だし、清水さんも出産予定日超えてるし」

「そうですか。愛の誕生日は身内だけでやるので遠慮します

 

 パーティーという建前でアイさんを呼びつけるか、アイさんの病室でパーティー開催の可能性しかない。最近も『神様がヤタガラスをボクに遣わせてくれた~』と3人程拉致してきたんだ。油断はできない。

 


 

~四宮家~

 

「ですから、その女の子供が雁庵様の子供と決まった訳ではないでしょう!?」

「俺が自分の子供と認めているんだ! それ以上の証拠がどこにある!!」

「雁庵様! どうかお考え直し下さい!!」

「私の一族は……! 雁庵様がいずれこの国を、世界を良くすると信じて支えてきました!」

「貴方に全てを懸けてきたのです!」

「貴方の御身は貴方だけの物ではありません……! 我々の期待と人生も背負っているのです……!」

 

 四宮家に起きた問題。「清水名夜竹の腹にいる子供の父親」は誰なのかという議題は大きな論争に発展しています。

 

 『国家の心臓』と言われる財閥の後継者候補――派閥が新たに生まれるかどうかという問題。私ですら緊張で汗が止まらない程の議論が交わされています。

 

 この問題は「子供のDNA鑑定」で終わる筈ですが……雁庵様が拒否しているせいで検査が出来ません。これでは雁庵様自体が疑惑を真実と語っている様なもの。このままでは今後、お腹の子供と名夜竹さんは地獄の様な日々を送ってしまう。

 

「雁庵さん、皆も落ち着いて俺の話を聞いてくれ」

 

 そんな議論の場を収めたのが颯真さんです。彼が懐から取り出した書類が、この場の流れ変えます。

 

「こちら、『()()()()()()()()()()()()()()()()()D()N()A()()()』の結果です。99.9%の確率で親子関係が認められています」

『『『なっ!』』』

 

 皆が驚くのも無理はない。いくらなんでも本人の意思を無視した遺伝子検査など、道理に反している。それも胎児のDNA検査をしたとなれば猶更だ。DNA鑑定の方法は体の一部を手に入れる事であり、その気になれば雁庵さんのDNAなど手に入れる事は容易だ。名夜竹さんも受け入れなければ「お腹の子は四宮雁庵との子供じゃない」と証明する事になる。

 

「これは俺が勝手に実施したDNA鑑定だ。嘘だと反論するならもう一度実施するしかないが……」

 

 颯真さんのやり方は実に悪質だ。法的には、雁庵さんが実子と認めているだけで雁庵の実子となる。そして、勝手とは言えDNA鑑定をした結果があるならその根拠としては十分過ぎる。これを覆すには雁庵さんとお腹の子供を遺伝子検査して、その結果を第三者の弁護士が開封するといった疑いの余地がない状況……を幹部全員の目の前でやらなくてはならない。

 文句のつけようがない状況で証拠を出されれば幹部は二度と難癖をつけられず、雁庵さんにこれまで以上に頭が上がらなくなる。いや、もう一度は難癖付けている事になるから”三度と難癖を~”か?

 

 そして、雁庵さんも部下から「もう一度検査してくれ」と頼まれれば断れない。”四宮颯真が独断でやった事”である検査なら客観的な証拠になる。何故なら客観的な証拠であるなら、”四宮颯真が意図的に改竄した検査結果”でない限りは同じ検査結果が出る筈。これを断れば、裏で検査結果を改竄し、それを颯真さんが独断でやったと言わせた事になる。

 当主としての威厳もそうだが、颯真さんの信用低下は避けたいだろう。下手をすれば長男・次男派閥の影響力が増す可能性すらある。

 

「それではこの場で再検査のための遺伝子情報でも提供して貰いましょうか……雁庵さん。ついでに雲鷹さんも」

 

 最早颯真さんの独壇場。後は検査結果を待つだけですね。

 

 この様に、彼は非常に優秀で頼りになる人物です。

 


 

「出張?」

「いやぁ、私にとっても急な話なのだが……」

 

 この日、私達は雁庵さんから呼び出しを受けていました。先日のDNA鑑定でも親子関係が認められ、雲鷹さんとの兄弟でもあると認定されたので1週間ほど宴会を開催され、四宮グループ社員全員に特別ボーナスを配る程嬉しかった様です。……ちなみに、私には約一年遅れの出産祝いと数ヶ月早い娘の誕生日プレゼント代込みで1000万でした。

 

 そんな翌日の呼び出しであり、雁庵さんも暗い顔をしているので不安ですね。

 

「実は海外で四宮グループと懇意にしている財閥のパーティーがあってな。本来なら私が顔を出したいのだが……次期後継者となる息子のお披露目を兼ねているらしい。しかも、颯真のファンらしくてな」

「それは断れないな。特に雁庵さんが出席すると主役が霞かねない」

 

 颯真さんはタレントとして活動や学生として顔以外にも様々な顔を持っています。彼のコンプラ何それ美味しいの? という体を張っている姿は世界中にファンが居ます。「あの人より人間としてマシだと思えました」「生きてるって素晴らしい」などのコメントが絶えませんね。

 

 これ以外にも何故かマフィアやカルテルなどともコネクションがあるらしく、よく分からない取引をしています。この間は「対立候補を消すために”ダイナマイトぐるぐる巻き奴隷”で対象を~」「百均の商品で作れた原価2円の洗脳薬販売が~」などと言っていました。詳しい事は聞く前に耳を塞いだので分かりません。よって共謀罪は適用されません。

 

「――承知しました。本日中に現地に向かいます」

「頼むぞ颯真!」

 

 かくして我々は日本を離れる事となりました。

 


 

~出張1日目~

 

「――仕事の調整と移動で夜になってしまったか」

 

 目的の某国に着いた我々ですが、やる事は多岐に渡ります。招かれている側ですが、相手の無茶ぶりに対応するのも仕事。適当なお土産100種類とターゲットの気に入りそうな物から違法な物まで用意してあります。当然、相手から妙なモノを渡された際の対処法も準備しています。

 

「本格的な接待は明日からだ」

「はい。アイさんと合法的に会うためのパーティーはお預けですね」

「何を言う! 仕事が優先! 家族を養うためにも当然の事だろうが!」

 

 そう言う彼の言葉には男としての信念を感じられた。

 

「今回は国をまたぐほどの大仕事……私情は捨てて臨むぞ!」

 

 

 スッ……(颯真が星野アイの”隠し撮りとしか思えない写真”を机に置く音)

 

 ポフ……(颯真が手作りの星野アイのぬいぐるみをベッドに置く音)

 

 ボン……(颯真が星野アイの等身大抱き枕をベッドの上に置く音)

 

 

 上司が私情の塊を持ち込んでいるが、触れたくないのでスルー。

 


 

~出張2日目~

 

 まずはパーティーの前に向こうの息子さん達と挨拶。

 

「よくお越しくださいました!」

「こちらこそ招待いただきありがとうございます!」

 

 こうした場合、招待というのは皮肉や義理事のケースが多い。だが、颯真さんには人の心を掴む資質がある様だ。龍珠組で義理事の大切さを教え込まれた結果だろう。彼は義理深い人なのだ。

 

 互いの交流が十分に終えればパーティー本番。ここでも四宮財閥代表として十二分な働きを見せていた。なんならグループ会社全体をパーティー中に買収するという離れ業まで見せてくれた。

 

 

 

 

 

 その夜、颯真さんが壁を一心不乱に見つめていた。時々微妙に角度を変えている彼が気になって調べてみたら、その直線状に宮崎総合病院があったが……気のせいだろう。

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