これからもよろしくお願いします!
side:颯真
「それで、遺言を聞こうか」
「待て!その刺股を置け!」
アイと付き合う事になった翌日、俺は社会のゴミを処分しに来た。アイに特殊な告白を教えながら、その返答までは教えなかったカスだ。俺特性の刺股で始末してやる。
「なんで刺股にトゲ付いてる!何で刺股にミキサーの刃が付いてる!なんで回転してる!」
「それは罪人をより痛めつけ、罪人で『人間ジュース』をつくる為だ。いつか学校や施設に導入することを考えて作成した防犯(のためには犯罪者を抹殺する方が良いよね)グッズだ!」
「どうでもいいからデートについて話し合おうよ」
俺の発明がどうでもいい宣言された。アイも少しは評価してくれても良いと思う。いつか刺股が人を救い、俺の刺股で罪人を処刑するのに役立つと思うのだが……もう少し殺傷力を上げるか?
「いいかアイ。この刺股の良い所は例えナイフを持った犯人でも遠距離から肉を削り、アイの様な非力を人間でも成人男性を一方的に行動不能にできる点だ。U字部分の内側のトゲが敵を刺し、それ以外のトゲで敵が手で振り払おうとしても躊躇させる。その隙に回転するミキサーの刃で肉を削る」
「ただの拷問道具だろ!そのまま処刑できるタイプの!」
「女子小学生が成人男性を撃退できる防犯グッズになんて言い草だ。アイ、そこのマダオで練習してみろ」
「いやだよ汚れるし。それよりデートだよ!」
アイのために作ったんだが、この処刑具『刺股』。いつか役に立つと思うんだが。
「それより初デート!なんでデートに行かないの!」
「それは仕事があるからだからだ。仕事終わらせてから行く方が楽だろ」
「そういう事じゃなくて!付き合ったらデートに行くでしょ!」
「夜見、お前の仕事はそろそろやめた方が良いぞ。絶対地獄に落ちる」
「安心しろ、俺がやっているのは外道掃除だ。きっと神様も喜んでいるだろう。天国に豪邸を用意しているはずだ」
「どうでもいいからデート行くの!」
アイがうるさい。こっちはアイの誕生日に告白計画していたから準備出来てないんだよ。なんなら今が一番忙しい。龍珠組から抗争で使うからと武器の仕入れに人材確保と忙しんだよ。
「マダオこそ忙しいだろ。テレビの心霊特番で引っ張りだこなんだろ?」
「あぁマダオって金さえ払えばどんな依頼でも受ける金の亡者だもんね」
「一応神クラスの悪霊とも戦える霊能力者が金で雇えるんだから、心霊番組やる時は大体呼ばれるよな」
こいつが霊能力者として活躍していることは知っているが、神クラスでも戦えるというのは嘘だろう。そもそも霊とか見たことないし。たまに現場で手伝うこともあるが、マダオはナンパか詐欺グッズ販売しかしていない。
「金になるが面倒ごと多いぞ?プロデューサーによってはわざと墓荒らしたり、禁忌をしでかすバカも多い。他局に負けないようにって、それで毎回悪霊付いてるし」
「そう言って金巻き上げるんだろ?金出さなかった奴は事故や病気に見せかけて……」
「してねぇよ!!勝手に死ぬだけ!」
「マダオは嘘言ってないと思うよ。やるならもっと上手くやるだろうし」
「アイが言うなら信じるか」
「理由はどうあれ信じてくれてありがとよ」
そうは言ってもマダオが夏に忙しいのはいつものことだ。俺も龍珠組の抗争が終わるまで忙しい。
「私だけ暇なんだけど!」
「仕方ないだろ。俺達も自分のシノギがあるんだし」
「シノギとか言うなよ。俺達はヤクザじゃないし、表向き関係ないって事にしてんだから」
「いいから!だったらこうそう?をさっさと終わらせてデートに行くの!」
難しいこと言うな、うちの姫は。それやると俺の儲けが減るから嫌なんだよ。やって良いなら5日で相手壊滅できるけどさ。警察と無敵の人コンボで敵組織の家族を狙えば終わると思うけど。
「アイみたいに親を失う子供を量産していいならやるが」
「颯真くん!そんな外道な事しちゃだめだよ!デートなんていつでも出来るからね」
「それはダメだろ。アイにとっての禁句を出しちゃダメだろ」
やらないけどな。流石に
「まぁ夏休みはまだあるしな。そもそも施設出るまで7~8年あるんだし、急がなくても良いだろ」
「別にデートはする。ただ今はしないだけだ。準備もあるし、遠出できないだけだから」
「じゃあどこ行くの?」
「無難なところで映画か?」
「クルーズ船でプロポーズは!?」
「星野、それは飛びすぎ。そもそも付き合った翌日の発言じゃないから」
やってもいいけど、身長170cmの俺が身長140cmのアイと一緒にいるとロリコン扱いされんだよ。その状態で公開プロポーズは通報される可能性がある。……俺、アイの一個上なのに。
「じゃあ映画館、海水浴、キャンプ、水族館、動物園、遊園地、ショッピングに連れて行くなら我慢する」
「「全然我慢してねぇ!!」」
「星野アイは欲張りなんだよ?」
「「欲張りすぎだ!!」」
「だって二人とも『少しくらい欲張った方が良い』って言ってたよ?夢の中で」
「こいつ大丈夫か?夢と現実の区別がついてねぇぞ」
「マダオも愛人ハーレム作って、お気に入りの風俗ツアーしてるし」
「刃傷沙汰で愛人連合に病院送りにされた奴は黙ってろ。アイ、いくらなんでも時間が「じゃあ別れる」抗争は週末までに終わらせる。計画立てておいてくれ」
アイと別れるくらいなら10人までならヤれる。法?倫理?そんな言葉知らないな~。
奴隷共使えばあっちの組織は滅ぼせる。奴隷2号は警官だし『敵対事務所に突撃→暴行を加えられる→他の奴隷を使い警察組織が報復に出る』の流れで終わるだろう。なんなら敵の家族や友人を狙って攻撃すれば手打ちになるだろう。
「龍珠さん?これから相手潰すので協力を……えぇ、警察動かすので」
「マダオ、颯真くんがおかしくなった」
「星野止めるぞ。あのバカ、でっち上げで終身刑と死刑を量産する気だ」
あの後、アイ(ついでにマダオ)が必死に止めるので家族や友人を狙った攻撃は止めた。代わりに適当な罪(カッター持っていた。ポイントカード作ったなど)で相手の構成員は8割刑務所にぶち込んだ。おかげで抗争も終わり、ついでに敵組織もなくなった。
龍珠さんもシマが広がり、俺達もデートに行ける。実に素晴らしいことだ。
「それで、言い訳を聞こうか」
「いや、だっておかしいだろ……」
現在、俺はアイに正座させられている。
「なんで一緒にお風呂入るの断るの!?今まで一緒に入ってたじゃん!!」
なんか理不尽に怒られている気がする。普通、女子は男子を風呂に入ることを嫌がるのでは?
「だって、付き合って一日の小学生カップルが一緒の風呂に入るのは常識的に考えてマズいだろ?」
「嫌がる私にキスして裸にしてベッドに連れ込んだ男が常識を語るな!!!」
「あ、あれは医療行為みたいなもので」
「いいから脱げ!」
「イヤァアア!犯される!!」
アイに力負けした。裸にされて風呂にぶち込まれた。
「なんでそっちが被害者面してんの!?」
「だって付き合った翌日に風呂なんて……///」
「付き合ってすらない時にお風呂入ってたでしょ!」
「待て、どこに手をかけている」
「私の裸見てこーふんしてない事にもムカついてたし……」
「早く出よう!だから落ち着いてくれ!!」
や、ヤバイ。アイがぐいぐい来てドキドキする。こういうのは順序を守って、な?
「それで、何で変な事ばかりしてるの?一緒にお風呂入ろうとしないし、ご飯も作ってくれないし」
「風呂は良いだろ。飯だって……」
「お風呂も良くないし、ご飯も『アイに作りたくない』って言うし」
「もし」
「もし?」
「もし、アイに失敗作食べさせて『不味い』って言われたら立ち直れない!」
「言わないよ」
「もし、ご飯に異物が入っていたらと思うと。卵の殻が混入してアイの口を傷ついたらと思うと!」
「それは嫌だけど」
アイを傷つけると思ったら体が震えて料理なんて出来ない。ゲボ吐きそうで死にそうなんだよ。
「気にしないから何か作ってよ」
「む、無理だ」
「適当におかゆでいいから」
「火傷になったらどうする!?」
「めんどくさー。じゃあアイス食べるからいいよ」
「凍傷になったらどうする!?」
「いい加減にして!だったらなんか作ってよ」
アイが絶対に傷つかない料理。俺の頭脳が導き出した答えは……っ!
「そんな物はないッ!!」
「ぶっころすよ?」
アイのキレイな声からは想像できないセリフが聞こえた気がする。
「言ったよね?『俺は身勝手だし、アイを幸せにするためにアイを傷つけるかもしれない。それでもいいなら付き合ってくれ』って!あの言葉は嘘だったの?」
「俺はアイと最高な記憶も最悪な思い出も共有したいと思う。だがそれは最悪な思い出を作りたい訳じゃないし、アイを傷つけたいなんて思ったことないんだよ!」
「ウザいからご飯は良いよ。早く寝よ」
「それじゃあアイの部屋まで送ってくよ」
「一緒に寝るから」
「ダメだ!いくらカップルでも年頃の少女が男と同じ部屋で寝るなんて危ないだろ!」
殴られた。そのままベッドまで引きずられた。
「よく分かった。颯真くんはこれからペットと思って躾けるから。バカ犬の相手してると思った方が楽だ」
「俺、これでもIQ200くらい出した天才なんだけど……」
「IQって低いほどいいんじゃない?考えすぎて暴走してるじゃん」
IQって高いほどいいんじゃないの?アイに良いとこ見せようと頑張ったんだけど。
「明日から颯真くんがすることは料理・お風呂・添い寝だから。出来るまでデート禁止」
「待て。そもそもデートはアイから言い出したことで」
「一週間で出来なかったら別れるからね、本気で」
「がんばります」
カップ麺も料理で良いよね?レトルトだって立派な料理だよね?
「あっ適当なレトルトとかで誤魔化したら即別れるから」
「命がけで作らせていただきます……」
翌日、震えながら朝食を作ったが「美味しい」と料理に関してはお許しが出た。人生で一番緊張した料理が目玉焼きとは情けない。
「それでさ。アイって暇なのが嫌なんだよな?」
「そうだけど」
「ならマダオの手伝いでもやったらどうだ?」
あいつの呼ばれる番組はインチキばかりで怖くもなんともない。精々古い建物だから老朽化が怖いくらい。アイでも問題なく手伝えるだろう。……どうせインチキ商品の運搬だけだし。
「どうせテレビに出ないし、やることと言えばインチキグッズの運搬だから」
「それなら楽でいいかな?」
「そうだろ。夏と言えば肝試しだし、日本各地の肝試しツアーと思って行ってくれば?」
「それならマダオに言ってみるよ。どうせマダオが金持っても酒・女・ギャンブルに消えるだけだし」
「そうそう。俺らが金貰った方が世のためだって」
これでアイを遠ざけることが出来る。俺も龍珠さんの所で本格的に抗争に参加できるな。
「今日の昼には恐怖体験の再現ドラマの収録があるはずだ。百物語と思えば楽しいぞ。心霊写真とか大抵爆笑する程レベルの低い奴多いし」
「爆笑する程って?」
「簡単に言えば雑な合成写真。真冬の外で撮った写真のはずなのに半袖短パンが何人もいるとかな」
「じゃあ怖い思いしないで済むんだ」
「いや、怖い写真はある」
アイと会う一年前か?本当にヤバい奴あったな。
「内容は某俳優の自宅で撮った写真。マネージャーや友人の男達10人でパーティした時の写真だ」
「なんか変なとかあったの?」
「ドアの隙間に包丁持った恨めしそうな顔の女が居ただけだ」
「怖っ!やっぱ幽霊いるじゃん!」
「いや幽霊じゃなかったぞ?悪質ファンが自宅に侵入してその俳優と心中しようとしただけだ。たまたま男10人いたから止めただけ。怖くなった俳優がマダオや警察と一緒に自宅を調べたら盗聴器や監視カメラが幾つも出てきただけ」
「怖いよ!幽霊なんかより怖いよ!」
「その女はベッドの中に隠れており、見つけた警官がそのまま捕まえたらしいがな」
アイが震えているが芸能人なんてそんなものだ。あんな業界に進む人間にまともな奴はいない。清楚系アイドルがおっさんのチ〇ポしゃぶるなんて話もよく聞く……ってか、証拠映像も持ってる。
「普通に自宅に帰ったらストーカーがいたとか聞くしな。メディアは報道しないけど」
「絶対入りたくない世界だよぉ」
「まぁマダオは業界でも有名らしいから変なことされないだろ。一応クマ撃退スプレー渡しておくから、変な事されたら吹きかけろ」
「これって安全?」
「(精々失明・後遺症位だから)安全だ」
「なら安心だね」
「来週からのデートの予定考えとけよ」
この後、マダオに相談すると「どうせ夜見を連れて行く予定だったし、星野でもいいか」と承諾された。アイも楽しめたらしいし、問題なく収録も終わって良い日々だった。
・夜見颯真:IQ200程の天才だが、恋愛が絡むとIQ3に低下する。アイの願いで初デート×7をすることになった。ヤクザからの信用が順調に上がっている。
・星野アイ:欲張りな小学生。付き合った途端ヘタレになった颯真をバカ犬扱いしている。マダオの付き添いで心霊番組に出たが何もなかった。業界で可愛すぎる霊能力者見習い(仮)として名が広がった。
・マダオ:颯真に落とし前で人間ジュースにされかけた。金を払えばどんな危険な仕事もするため業界内では有名。颯真がアイに防犯用として持たせていたクマ撃退スプレーを見て背筋が凍った。