ダミアン君は詰んでいる 作:ちゃっぱ
それは突然だった。
任務と家族団欒の板挟みで少し胃が荒れていた頃。そろそろオペレーション『梟』が本格的に始まる時だった。
ヨルが少し決心したような顔で伝えてきたのだ。
「そういえば最近アーニャさんにお友達が出来たんですよ! イーデン校に入学する子で、ダミー君という──」
「ダミー?」
そんな名前の子供が入学するとは情報にない。
ロイドは思考を回しながらもいくつかの疑念を口にする。
「娘に友達が出来たのはいいことです。……ですが、男の子ですか」
「はい! あっ……ですが、男の子といっても素敵そうな子で、紳士的でもあってロイドさんが心配するようなことは……ええと、おそらくですが、ないかと思われますぅ……」
「何かありそうな顔してますよヨルさん?」
「そ、そうでしょうか?」
娘に手を出す男の子……という意味で勘違いさせたようなものだが、ロイドの渋い顔にヨルが冷や汗をかく。
アーニャは部屋で寝ており、彼女から話を聞くなら明日にしようと考えていた。
「ハハハ……すみません。アーニャの友達と聞くと歓迎しなければならないのについ……」
「ふふっ、そういうの素敵だと思いますよ。アーニャさんを大事にしてるのがすごく伝わりますから!」
「そ、そうですか?」
「はい!」
ロイドはヨルの伝えてくる子に対して違和感を覚えた。
まだ入学前だというのに、そんなタイミングの良いことがあるだろうかと。
アーニャと同じく入学するのだというが、あのイーデン校だぞ。アーニャがなんとか奇跡的に入学できた名門校で、同じく入学する子と友達になったというのは流石に出来すぎている。偶然とは思えない。
(何かの罠か? いや、それにしてはヨルさんの様子がおかしい。あの変に決意したような顔はなんだったんだ。まさか本気でアーニャと好き合ってる子供がアプローチしてきたから父親に知らせるのもあれかといろいろ考えて? いや、ヨルさんに関してはいい……問題はダミーという子供だ)
────ダミー君とやらを、調べなければならない。
「名前はダミー君と……そう名乗っていたのでしょうか? ファミリーネームは言ってましたか?」
「いえ、ダミーと呼んでくれと言ってましたよ?」
(ダミーというと愛称だろうか。アーニャと同じく入学する子でいくつか思い当たるのはいる。だが……まさかな……)
プランBに対する最優先ターゲットたるダミアン・デズモンドも愛称ダミーにもなれる。
あり得ないことではないが……。
「ヨルさんの言うダミー君がどんな子なのか気になりますが……その、ダミー君はいつアーニャと遊んでいるのでしょうか?」
「ええと……週に一度でしょうか? 公園で待ち合わせして遊んで帰ってきますよ」
「そうなんですね。ちなみに今週は会えますか?」
「明日約束してるみたいです!」
なんともタイミングが良い。それならばとロイドは考える。
今日のうちにやれることは全て終わらせてから──。
明日、公園で遊ぶアーニャを尾行し、ダミーの正体を探ろうと。