ダミアン君は詰んでいる 作:ちゃっぱ
(なんか……アーニャの様子がおかしいような……)
ダミアンの心の声にビクッとしたアーニャ。
彼女の仕草を見て何かを察したのか眉をひそめた。
「あー……外で遊んでてちょっと暑くなったな。なんか買うか。アイスとかどうだ、アーニャ?」
「あいす!」
「あーでも、アーニャがなんか話したくないことあるみたいだし、話したくなるまで買うの止めようかなー」
「はわっ……だ、ダミーにはなしたいことある!」
「ん、なんだ?」
ニッコリと笑ったダミーから「チョローニャめ」という声が聞こえてきた。
しかしその意味が分からずにいるアーニャは彼に近づき、耳元に手を当てて小さい声でコソコソ話す。
「じつは……ちちがそばで見てる」
「はっ?」
(つまりバレ……いや、これは想定の範囲内だ。オペレーション
「ダミー……」
「背中ポンポンするな」
「あいすは?」
「はいはい」
(アーニャは実年齢年下だしな。妹みたいなもんだし、無理させるつもりはない。優先順位は俺が生き残ること。自分の価値を上げて切り捨てられないようにすること。だから俺が頑張らないと……)
アーニャにチョコアイスを奢りつつ、彼自身もバニラアイスを食べながらたくさんのことを考える。
アイスを食べつつ、じっと見つめていたアーニャは彼とは違う方向を見た。
公園のベンチに座る見知らぬ黒髪の髭を雑に伸ばした中年の男。新聞を読んでるふりをしているが、こちらを観察しているとアーニャは知っていた。
というか、心の声を聞く限りロイド・フォージャーだと分かった。
(ダミー……いや、ダミアン・デズモンドと仲良くなっているのは偶然か? だがこれはチャンスだ。
ダミアンが仲良し作戦を否定し、ロイドは逆に仲良くさせようといくつかプランを立てようとしていた。
(今はまだ会うつもりはない。彼がアーニャと仲良くしているのなら……入学式にダミアン・デズモンドと話す機会はある)
変装しているロイドからダミアンの方へ視線を向けるアーニャ。
そこにはバニラを食べ終わったダミアンが、アーニャの顔を見て苦笑し、チョコで汚れた自身の顔をハンカチで拭いてくれた。
「美味しかったか?」
「うぃ」
「じゃあ勉強でもするか」
「やだ!」
「あのなぁ……」
(アーニャと仲良くするのはダミーとして。入学式では『次男』として演技する。何があろうともダミーとして交流するつもりはない)
どちらの声を聞いても真逆のことを言う2人にアーニャは少しだけ愉快な気持ちになった。