ブルアカ短編集あるいはssまとめ   作:どういうこったあ!

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続けたかったけど、続かなかったブルアカ二次創作の供養です。
誰か続き書いて。


妄想パヴァーヌ三章

 ……AH-10s ≪起動≫

今は廃墟と呼ばれるその場所で、機械仕掛けの少女は目を覚ました。背中からは数本のケーブルが伸びており、少女の生体反応を記録している。

≪動作正常≫ ≪これより神秘の投入を開始します≫

プログラムにより、少女の体へと神秘が流し込まれていく。

≪神秘が一定量に達しました≫ ≪ヘイローの顕現を試行します≫

アナウンスが響き、少女の頭上に歪な光輪が浮かび上がる。

 

「もう少しだ、もう少しで――」

無名の白装束たちに歓喜が広がるが、突如として少女の体にヒビが走り、頭上の光輪が掻き消える。ひび割れた少女の腕からは煙のようなのもが漏れ出ている。

≪異常発生 異常発生≫ ≪神秘投入の過負荷により、左腕負傷≫ ≪神秘が流出≫ ≪本機はまもなく崩壊――≫

少女が警告を発する間にもヒビはどんどんと広がっていき――やがて少女の体は崩壊した。

「器の強度が足りぬ――」

それを見た無名の白装束たちは歯噛みする。

「だがもう少しだ。神秘さえ得ることが出来れば『名もなき神々の王女』へと――!」

 

◇ ◇ ◇

 

 年の瀬も近づいてきたある日、D.U.外郊に建つビル――シャーレの一室で一人の青年がデスクに積み上がった大量の書類と格闘していた。あちこちに散らばっている栄養ドリンクと濃い隈から、もう何日も寝ていないことが伺える。

 その向かいのデスクでは、青髪をアップツインでまとめた少女がコーヒーを片手にテキパキと書類を片付けていく。

 

「仕事が……仕事が終わらない……」

 

あまりの書類の多さにボヤく青年に対し、少女は呆れ顔を浮かべる。

 

「なにをどうしたら、ここまで仕事が溜まるんですか……。でもまあ、ここにある全ての書類が明日までというわけでもないでしょうし……。先生? どうして目をそらすんですか? 先生?」

 

少女は嘘でしょう? という表情を浮かべながら、恐る恐る質問する。

 

「ごめんユウカ……! これ全部、明日までなんだ……!」

 

「ちょっっと待って下さい。今なんて言いました?」

 

「これ全部、明日までなんだ……!」

 

「今まで何やってたんですか!? どう考えても明日まで終わる量じゃないですよ!?」

 

久しぶりに先生と二人きりで会えるから、早めに仕事を終わらせて少しお出かけでもしようと思ったのに! とユウカと呼ばれた少女は心の内で叫ぶ。

 

「というか、なんで今日に限って当番が私だけなんですか!?」

 

「みんな復興作業とかで忙しくて……」

 

二週間ほど前にキヴォトスを襲った未曾有の事件。各学園が手を取って立ち向かい、なんとか事を収めたものの、キヴォトス全土に多くの被害が出た。

ユウカの通うミレニアムサイエンススクールは、学区内の被害のほとんどが廃墟周辺で校内の被害が軽微だったのと持ち前の技術力もあり、比較的早くに復興が完了したが、他の自治区はまだまだ復興作業に追われている。

それはシャーレの建つD.U.地区も例外ではない。なんならシャーレも若干吹き抜けになったままである。

それに先生もサボってたわけではない……はずだ。きっと。

シャーレの特殊な立ち位置上、今回の件での問題が次から次へと流れ込んできて処理が追いついていないだけなのだろう。

シャーレが活動を再開したのが一週間と6日前。それから今の今まで一人で頑張っていたのだと思えば多少の溜飲も下がるというものだ。

 

「復興作業が始まってから数日はリンちゃんが気を利かせて、仕事を減らしてくれてたんだけどね……」

 

それが今ではこの有り様ってワケ……と先生は遠い目を浮かべる。

 

「はあ……。取り敢えず、私に回せる仕事は全部こっちに回して下さい」

 

それを聞いた先生は、まるで救世主を見るかのように目を輝かせる。

 

「ユウカ様……! これが終わったら何でもさせていただきます……!」

 

「無駄口叩いてないで、早く仕事に取り掛かって下さい!」

 

あれ? 今なんでもって……。と、遅れて先生の言葉を理解したユウカは、しばらく仕事に集中できなかった。

 

―――

――

 

 時間は進み、翌朝7時。

 徹夜で書類を片付けないといけなくなったと、ユウカからのモモトークを受け取ったノアがシャーレに訪れていた。

シャーレの執務室に入ると、デスクに先生とユウカが突っ伏していた。どうやら、二人して寝落ちてしまったらしい。可愛い寝顔……と思い、それぞれの写真を一枚ずつ撮った後、二人を仮眠室の同じべットの上で寝かせ、再度写真を撮っておく。ユウカちゃん驚くかしらと、ノアはいたずらな笑みを浮かべながら執務室へと戻っていく。

デスクには少量の書類が残っていたものの、自分で片付けられそうなものばかりだったので、二人が起きてしまう前に片付けてしまいましょうと、ノアは気合を入れて書類へと取り掛かった。

 

 それから約1時間後。ノアがちょうど書類を片付け終わった頃、仮眠室に少女の絶叫が響いた。

 

◇ ◇ ◇

 

 「ヒマリー? いるー?」

 

ユウカの絶叫目覚ましによって覚醒した先生は、ノアからの言伝でミレニアムの特異現象捜査部に訪れていた。

 

「ようこそお越し下さいました、先生」「こんにちは、先生」

 

「こんにちは、ヒマリ、エイミ」

 

部室に入ると、ヒマリとエイミが出迎えてくれた。……ヒマリは布団で簀巻きにされていたが。

 

「早速で申し訳ないのですが、先日、ミレニアムの敷地内で一体のDivi:Sionが発見されました」

 

そのまま話を進めるんだ……と思いながらも、Divi:Sionという単語が出てきたことで一気に気を引き締める。

Divi:Sion。「名もなき神々の王女」と色彩の嚮導者が率いる機械の軍隊。しかし、指揮権を持っていた二人はいなくなってしまっている。にも関わらずDivi:Sionが現れたということは……。

 

「Divi:Sionが?」

 

こっそりとプラナに確認を取ってみるが、心当たりがないらしい。Divi:Sionへの指示はプラナを通して行われていたはずだ。そのプラナに覚えないのがなら、今回のDivi:Sionはプレナパテスからの使者ではないと言い切れる。

 

「Divi:Sionの指揮官はケイと色彩の嚮導者以外に観測されていません。ですから恐らくは、新たなる敵かケイ、もしくは色彩の嚮導者の使者か。しかし新たなる敵ならば、Divi:Sionが一体だけというのは不自然です」

 

「話を遮っちゃってごめん。そのDivi:Sionは色彩の嚮導者からの使者じゃないよ。情報源は言えないけど、保証する」

 

ヒマリは少し考え込む素振りを見せた後、逡巡しながらも再び口を開いた。

 

「であれば、今回のDivi:Sionは十中八九ケイからの使者でしょう。

今の私たちの技術では、Divi:Sionについて分かることはそう多くありません。あの臆病者なら多少は読み解けるかもしれませんが……。しかし、今回のDivi:Sionには私たちの技術で読み取ることの出来るデータが含まれていました」

 

「つまりケイが意図的にこちらに伝わるようにしたってことだね」

 

最後の良いところを持っていったエイミに対し、ヒマリが目を見開いて信じられないという表情を向ける。しかも簀巻きにされている状態でそれをするのだから、締まらないことこの上ない。

 

「そのデータって見せてもらえるかな?」

 

先生は笑いをこらえ、外面だけは真面目に取り繕う。

 

「勿論です。そのために先生をお呼びしたのですから」

 

簀巻きにされているヒマリに代わって、エイミがデバイスに手をかざすと、ホログラムが映し出される。

ホログラム全体にノイズがかかっているが、かろうじてホログラムの主がケイだと分かった。

 

「箱の■有者――い■、先生。お願■があり■す。AH-10s■探し■■さい。彼■だけ■いな■ので■――」

 

ホログラムと同じく音声にもノイズがかかっており、断片的にしか聞き取ることが出来なかった。

 

「箱の保有者――いや、先生。お願いがあります。AH-10sを探して下さい。彼女(もしくは彼ら)だけがいないのです――といったところでしょうか」

 

「AH-10s?」

 

聞き慣れない単語が出てきたが、アリスの台座に記されていたのがAL-1sだったはずだ。無関係で片付けるのはあまりにも似通いすぎている。

 

「それが複数を指すのか単数を指すのかは定かではありませんが、恐らくはアリスの姉の一人を指しているのではないかと。ですがアリスの制作者たちにとってはアリスこそが完成形でしょうから、アリス以前に作られた彼らはきっと……」

 

「でも、AH-10sは生きているかもしれない……ってこと?」

 

「生きてるのか、連れ去られたのか。何があったのかは分からない。でも、いなくなったのは確か……みたい」

 

―――

――

 

 「ってことがあったんだけど……」

 

「つまりケイからのおつかいクエストですね! アリスはお姉ちゃんを探したいです! 先生、手伝ってくれますか?」

 

「もちろん」

 

◇ ◇ ◇

 

 

『時計じかけの花のパヴァーヌ』編 第3章 開幕!!

 




◇ ◇ ◇


 「ルミさん、ルミさん! これ凄く美味しいです!」

時を同じくして、山海経自治区の玄武商会では一人の少女が舌鼓を打っていた。

「あははっ、喜んでもらえたようで何よりだよ」

ルミの嬉しそうな声が厨房から聞こえてくる。
レイジョが厨房のルミに視線を移した瞬間、少女の目の色が水色から黒へと変化した……ように見えたが、改めて見ると少女の目は水色のままだった。

「今、目の色が……?」

「そりゃあ、こんな美味しい料理を食べたら目の色変えて食べたくなりますよ!」

少女は目を輝かせながら、ルミが次から次へと運んでくる料理にキラキラとした視線を送っている。

「いや、そうじゃ……ごめん。なんでもない」

レイジョは気の所為だったのだろうと特にそれ以上追求することはなかった。

「あ、それは熱いから気を――」

「あっつッ!?」

少女の目には涙が滲んだ。それは火傷からくるものなのか、はたまた――。


『時計じかけの花のパヴァーヌ』編 第3章 アナザーワールズ・ロマン 開幕!!

みたいな。
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