「私は独りだから。このままでいたい」
片方の手に血まみれのほうちょうを持って、もう片方の手に持ったカッターをオレの右手の平に刺した少女は無表情で言った。
オレは右手の痛みで何も言えないけど、少女はカッターを抜いて、長い黒髪を縛っていた黄色の布で止血をしてくれた。
これがオレ、時田真冬と少女、萩河千暁の初めての出会い······。
だと思う。
これはオレと少女の甘酸っぱくて時々切ないよくあるラブコメっぽいけどたまに違う物語である。
まあ何故こんなことになったか話そうと思う。意味わかんないし。
これはある冬の寒い日の話である。
「寒い」
誕生日なのに寒い。雪が降って友達とも遊べない。
かといって家帰るのもつまらない。
そう思ったオレは、近くの公園に立ち寄る事にした。
公園に入ったオレが真っ先に向かった場所。そこは大きな木の下で、段ボールが置いてあった。しかも子猫の鳴き声というおまけ付きの。
「寒くないか?」
段ボールをマフラーで包み、コンクリートで出来た山の遊具の穴に入れた。
「猫......?」
不意に、声が聞こえた。
少女の声。
振り向くと、そこには、ワイシャツに制服っぽいスカートを履いた一人の少女が立っていた。
右手を後ろに隠すようにして立っている少女は無表情だった。
「......寒くないの?」
オレがそう問うと
「別に」
と答えた。
よく見ると、少女の着ている、赤みがかかったワイシャツはオレが通う学校の制服だし、スカートも同じだった。
「同じ学校なんだ」
「そうだね」
少しだけ、表情を出した少女。の足元に、赤い、液体が滴った。
「怪我してるの?」
隠された右手を見ようと背後に顔を出すと、少女は「あっ.....」と声を漏らした。
その声を聞いたオレも、同じように声を漏らした。
少女の右手に握られていたのは、まだ新しい、真っ白な景色に映える、赤い、液体のつく、
ー【ほうちょう】。
そこからの事は一瞬だった。
オレが一回息を吸い、吐く間に、事は終わっていた。
真っ白な雪の上に押し倒され、どこからか出され、左手に握られたカッターで、右手を刺されていた。
「なっ.....!?」
余りの早業に唖然としてしまう。そしてすぐに痛みが襲って来た。
「.....わたしね、」
にっこり、不気味に笑って話出す少女。
「人を××××」
クスクス、と笑う少女。
「わたしは」
「わたしを」
「××××」
「そして」
「いつか」
「××××××」
初めての出会いにしては最悪の出会い方だけど。
オレは初めて。
人を綺麗だと思った。
何かよくあるラブコメっぽいけどたまに違う物語を読んでくださった方、ありがとうございます。
多分頑張って続かせます。