ARMED CORE FINAL ANSWER01 作:ありすたちばな
ガシャン!と破砕音が響き、ガラス張りの天井に巨大な影が垣間見える。
ドシン
地面との衝突が空気を重く震わし、青い機影が脚部を曲げることで衝撃を逃がして着地姿勢を取った。
「内部侵入に成功。適当に落ちたから、どこに降りたかわからない。マップをくれ」
《ちょっと待ってて。情報と照合して現在地を割り出すわ》
「ああ」
周りを見回してみる。
ACが動くにはあまり広くない室内に、縦長の四角い構造物が並んでいる。
構造物はこの部屋の奥まで行き届いて、棚のように見える。
ガラス天井から差し込む光の筋のみがこの場所を暗く照らしている。
昔、傭兵になる前に行ったことがある図書館を想起させた。
その頃はまだルビコンの空気は暖かかった。
(……今は作戦中だ)
(今更過去を振り返って何になる)
「何をぼーっとしている?新兵」
《照合が終わったわ。データを送信するから、後ちょっとだけ待って頂戴》
「……?あ、ああ。頼む」
《今あなたが居るのは、セクター2。ミールワームを実際に育ててた施設ね》
《どうせなら一匹ぐらい捕まえて来て...って、もう製造停止してた》
「もしかしたら生きてる個体がいるかもな」
《まさか、そんなことあるわけないでしょ》
「冗談だよ」
ふと、がさりと小さな物音、それを機体が捉えた気がした。
キっと気を引き締める。
素早い動作で操縦桿を捻り、レーザーライフルを構えながら機体をターンさせる。
しかし、反転した機体の前には何もなく、カメラアイから送信される映像に不審な点は見受けられない。
旧型特有の円形コンソールにも、敵性または不明機を示す赤いポイントも見つからない。
(気のせい.....いや違う)
《どうしたの?いきなり振り向いて》
「なんかいたんだ。見つからないが、なんか。絶対隠れている奴がいる」
「音がしたんだ。小さくても、アリウスは」
《スキャンの反応はない?.....計器は何も示してないみたいよ》
「いた、絶対居た。取り敢えず計器とバックカメラをよく見といてくれ」
ほとんど直感的な物だが、警戒するに越したことはない。
そう判断したエレナは、『わかったわ』と軽く返事をした。
その後センターの端に到達するまでにそれらしき機影も気配も現れることはなく、警戒しながらもリフトを使ってセクター2の下に降りるのだった。
リフトが停止するとともに、軽い反動が機体に伝う。
ゲートが開き出た先はセクター1,ミールワームの保管及び廃棄物の管理を行っているエリアだ。
ここはその入口のようで、暗緑の光源が空間を照らしている。
《左が廃棄物管理、右が保管庫よ》
《どっちから行く?》
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保管庫と呼ばれた場所は、真っ暗なところだった。
柱状の構造物がいくつも並んでおり、ヘッドライトを点灯すると案外小さな部屋だということがわかった。
まあ、ACが入れる時点でかなり大きな場所だが。
《あの柱はミールワームの保管室かしら。珍しい形。旧型かしら?》
柱を拡大して移すと、その周りに階段が設置されていた。
成る程、あの柱の中にミールワームが貯蔵されていたということか。
彼女が言うには、今でこそ全自動化され機械に一任されたミールワームの養殖だが、技研都市が健在だったころは人の手で行われていたらしい。
ここの保管庫の形は、技研都市に関する資料に乗っていたものと同じだと言う。
柱の一つの傍らに、停止したMTが侍っていた。
データログ:独立傭兵の談話
「それにしても.....ここ少し寒いな。コクピットの空調は直してないのか?」
《まともな部品が確保できなかったのよ。かろうじてドーザーから融通されたベニヤ板で補強しただけだったから.....あまり長引かせないほうがいいかも》
ここに居すぎると凍死するらしい。今はまだ断熱材が仕事をしているが、彼女が言うなら作戦の長期化は命取りだ。
(ここにはもう何もなさそうだな)
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足が進む場所では無いが、調べないわけにはいかずもう一つのセクター、廃棄物管理場に向かった。
案の定、
赤い発行に目を向けると、地面の一部が鮮やかに赤く光っていた。
暗闇の中で朱く発行する絵面が、えもいわれずきれいだと思った。
《これ、糞よ。ミールワームの》
《多分体内にコーラルを取り込んだ個体のものね。排便と一緒に排出された不活性コーラルが集まっているのかしら?》
……
水を差された。
(待て)
(そもそもなんで、まだ糞の中にコーラルがある?)
(コーラルってそんな長時間燃え残るものだったか?)
疑問が解消することはなかった。
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《ここが最後ね。中枢のコンピューターにアクセスして。施設全体の監視カメラの記録を抜き出せるわ》
「いや、その前に野暮用を片付ける」
背後にリニアライフルを撃ち出す。
「聞こえてるか? さっきから付け回して何の用だ?出てこないなら敵と見なして撃破するぞ」
《どうしたの?後ろには何もいないわよ》
「……そうみたいだな」
(やっぱ気のせいか?まあ、居ないならそれに越したことはないか)
操縦席の中で頭を掻きながら制御盤に機体を近づけると、早速エレナがデータの回収を始めた。
(最初以外は楽な仕事だった........てわけにはいかないか)
静まりかえった施設に、甲高い駆動音が響く。
大型兵器特有の風切り音が段々と大きくなってきている。
《これは.......接近する機体反応》
《数が多いわ》
(来るか)
本能ヘッドライトの照らす先から、闇に紛れ現れたのはMT-12。
傭兵ならば誰でも見たことがあると言っていい程、広く普及されたMTだ。
だが、今目の前に居るのはただのMTでない。
特徴的な長方形の胴から、大きな長筒が露になっていた。
《MT-12の改造型……》
《データ回収は中止よ。全機撃破して》
外にいたガードメカとは別の防衛機構であろうMT。
その情報は年着物のCOMは勿論、エレナの頭にもない。
こういう未知の敵には様子見が一番だ。
バックブースターを噴かし距離を取り、遠距離からレーザーライフルをちまちまと撃つ。
相手が何しようが、行動される前に潰してしまえばいいという考えの下の行動だった。
しかし、MTは左腕を突き出すと、その先端から障壁を発生させた。
パルスシールドか。
レーザーの着弾に合わせて円形に広がり、エネルギーの膜が機体を葬らんとした光線を完全に防ぐ。
シールドの内側から、MTがその胴体から生えた砲身を突き出し、一斉に打ち出す。
それをクイックブーストで横に避けようとして、ハっと気づき止める。
結果、5,6本の杭が棒立ちのアリウスに突き刺さった。
《何をしてるの?!データ回収は中止よ!後ろのコンピューターはもういいわ、避けて!》
「ッ!」
仕方なく、その場から退いて敵方の猛攻から逃れるがそれと引き換えに背後でコンピューターが爆発してしまった。
この時点で報酬の減額が確定してしまったが仕方ないと切り替える。
ACの左腕を構え勿体ぶるように貯めた後、回転斬りを見舞う。
広範囲に展開された光の刃が、屋内の壁ごとシールドを展開していたMTを切り裂いた。
部屋の入口から入ってきたMT数機を巻き込むよう、空中でグレネードキャノンを砲射。
これで、室内のMTは全て排除したが……
《敵増援を確認。上から来るわ》
エレナの言葉につられ天井を見ると、天井の一部が割れ一機のACが落ちてきた。
あのフレームは…アーキバスのものだ。
『死ねえ!クソ傭兵!』
汚い罵声と此方に落下してくる乱入者が左手に持つはパイルバンカー。
ガレキに紛れて振り下ろされた鉄杭を後方にバックして躱し、奇襲に失敗したACにレーザーライフルを放つ。
しかし、相手は真横に跳ぶことで光線を避けた。
『けっ。何避けてんだよ』
『まあいいさ。てめえはここで終わりだ。ここに来たことを悔いな!』
左腕からパイルバンカーをパージし、背部に背負った長物のライフルを構える乱入者。
その灰色の機体からは、油断ならぬ強者の気配があった。
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突如乱入してきたアーキバスACとの、狭い管理室での戦いは拮抗していた。
中距離で互いの手に持つ長物も主軸に機動戦を呈していた。
乱入したACが持つはバーストライフル。
通常のアサルトライフルと異なり、フルオート連射ができない代わりに単発の威力を重視した武装だ。
チャージにより3発を連続して放つバースト射撃が可能でもあり、取り回しに優れる武装だ。
相手はそれを単発射撃でACS負荷の蓄積を狙う戦法のようで、時折中距離から距離を詰めて正確に弾丸を当ててくる。
一方、中距離の睨み合いでは、右手に持つハンドミサイルと背部の高誘導ミサイルで追い詰め、アリウスの動きを制限しつつバーストライフルの直撃を狙ってくる。
高誘導ミサイルとハンドミサイルは共に、特殊な軌道がなく閉所でも扱いやすい代物だ。
アリウスも右手のレーザーライフルを連射して弾幕を張るが、全てひょいひょいと避けられてしまう。
《敵ACの情報を取得したわ。機体名ライオンエイプ、搭乗者は独立傭兵モンキーゴードよ》
《機体構成が一致しない……彼、あなたを狙っていたみたいよ》
灰色のAC,ライオンエイプが急に足を止め、ライフルでバースト射撃を敢行。
相手の動きを先読みして放たれたアリウスのレーザーがライオンエイプを大きく逸れ、三発の弾丸がアリウスに直撃する。
衝撃とともに、COMから警告音が鳴り響く。
「無理だ!ここは逃げる!」
クイックブーストでライオンエイプの蹴りを避けると、そのまま背を向けアサルトブーストを起動。
管理室の入口から、広い空間に出る。
『逃がすか!全機起動しろ!』
奥の連絡通路から無数の改造MTがごった返し、此方に砲頭を向ける。
一斉に、ニードル弾が殺到するが怯まずMTの山にアリウスを突っ込ませる。
右に左にと忙しなく機体を動かし、被弾を減らしながらMTの包囲網を突き抜ける。
連絡通路の前に陣取っていたMTは、レーザーブレードを展開し両断。
ブレードを振る際に、機体をスリップさせることでブレード展開したまま機体を中心に一回転し、疑似的な回転斬りを行う。
MTの破壊を確認せず、すぐさまブレードを仕舞うと管理室の入り口からライオンエイプが姿を現した。
此方を甘く見ているのか、ブーストも起動せず脚部で歩いている。
『逃がさねえよ』
こちらの姿を確認したライオンエイプはアサルトブーストを起動。アリウス目掛け、猛然と迫る。
アリウスは、追ってくる機体に背を向け連絡通路に入り込み、管制塔から脱出を始めた。
遅れて連絡通路に入ったライオンエイプは、アリウスの一つ隣の通路に入り、長い通路を猛スピードで駆け抜ける。
(そうだ。壁を隔てた先に俺はいるぞ)
両機ともに、レーダーは薄壁の先に居る相手に目ををやりながら長い一本道を進む。
やがて、連絡通路の終点に着き、二機のACは同時に飛び出した。
その手に、ライフルを向け合いながら。
互いの頭部に向けられた銃口を見たとき、意識がクリアになった。
僅かな時間、相手ACの動きがスロー再生のように遅く感じられた。
時間が戻るとともに、銃口が青く煌めいた。
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RESEARCHERS REPORT
| REPORT | ||
|---|---|---|
| Client | 惑星封鎖機構 | べリウス南西のテネブリオンファームに侵入し内部の調査を行った。 ACの襲撃に遭い撤退を余儀なくされたが、調査の結果当該施設とブランチに繋がりがあることが判明した。 当ファームは23:00から、封鎖機構SGが強制監査の予定。
|
| Start time | 9:10現着 | |
| 収支 -22100(加算:なし 支出:27667) | ||
| 戦局報告;
ブランチは四人組からなる独立傭兵の集団だ。 人員を入れ替え続けることで匿名性を保っている。
星外企業のルビコン進駐の前後に、封鎖機構と敵対して深刻な打撃を与えたらしい。
奴らについてわかっているのはこれが全てだ。
今回の調査はルビコン全域のファームで同時展開されたものだ。
あの独立傭兵、モンキー・ゴードがブランチに組するものだとしたら……あのファームを探られることは連中にとっても無視できないことになる。
しかし、俺には封鎖機構が何をしたいのかわからん。 今回の依頼、ハッカー集団を追ううえで何の役にたつのか。
レオ・フォートナー | ||
今回、ものすごいスランプに陥りました。書きたいことはあるのに指が動かない。それでも無理やり書いたのがこれですクオリティーに問題があります。
これは書き直しかな。