便利屋68事務所
「あ、手榴弾切れてるじゃん」
弾薬箱の中を漁りつつそんな言葉を漏らすムツキ。
そんな彼女の言葉を聞き、他の箱を開くカヨコ。
「一応こっちにはM24型の柄付手榴弾ならあるけど」
フリフリと特徴的な形の棒形手榴弾見せる。
「うーん、それはいいかなぁ〜それは嵩張るし」
「そっか、パイナップルの方が好きなんだっけ。買ってこようか?」
「おっ!じゃあお願いしようかな〜。アルちゃーん、バッグのお金貰うね〜」
「ダメよっ!」
先程まで椅子の背もたれを倒し、死んだように寝ていたアルがムツキの言葉に反応しガバッと起きた。
「え〜?そんなの宝の持ち腐れじゃん?使った方がいいって〜」
「社長、何か理由があるの?」
「だってこれはあのコ達が置いていった物なのよ…!それを横から掠め取るなんて…そんなのアウトローじゃないわ!ただのコソ泥よ」
彼女が尊敬している強盗団、『覆面水着団』の忘れ物。
その正体が、ターゲットの『アビドス高校の連中』と知らされた時は白目をむきながら驚いた。
だが…そんな敵のお金でも、これは彼女達が得た物。それを横から使うなんて事はしたくない。
「なんというか、そこはハッキリしてるよね」
「くふふ。なんか疲れてたっぽいけどいつものアルちゃんで嬉しいね~」
アルがもつアウトローのイメージ的な物からくるの判断なのか、それとも彼女の根の性格の部分からきているのか。
とにかくこのお金には手をつけない、たとえターゲットの物でもだ。
「でも、弾薬の補給は必要よねぇ…まさか手榴弾すらまともに買えなくなるとは…とほほ」
「自販機のジュースが値上げしたかと思えば弾も上がったからね、前まで手榴弾一個で300円が500円に値上げしちゃったし」
「まぁスーパーで買った方が安いんだけどさぁ、ここら辺にデカいスーパーがないのがねぇ」
「まっ稼ぐためにも依頼をこなさないといけない訳だけど…次の目標は?」
「…アビドスよ」
苦い顔で聞き馴染みのある言葉を放つ。
「また同じクライアント?」
「えぇ…既に準備は始めているわ…」
「これ以上失敗を重ねたら流石にまずいんじゃないの?」
「あっち側が何してくるか分からないからね…大事になったら風紀委員会にも見つかるだろうし」
「今まで相手にしてきたやからとは違う感じがするからね~」
ムツキの言う通り、既にクライアントからはものすごい圧をかけられている…圧というかほぼ脅しだろう。
『いつでも消せる』と言われた時は流石に身の毛がよだつほどだったが、本当にこんな事言われるんだと興奮してしまった部分もあった…がとにかく成功させなければまずい。
「だから今回は慎重に行く計画よ、ハルカに爆弾のセッティングをしてもらってる所だし」
「どこに置くように言ったの?」
「アビドスにとって重要そうな場所よ!」
「えらいざっくりだね…絶対に爆薬量足りないって」
屈強なキヴォトスの民でも一度に持てる量は限度がある、果たしてどこに設置したのか…
「まぁそこはハルカちゃんのセンスに任せようよ〜」
「そうね!あのコを信じるとしましょう!」
「そうしよっか」
その時、『ギュルル』という音が事務所に響いた。
三人で顔を見合わせる。
「別に犯人探しをしたいわけじゃないけど~誰かな?」
「それを犯人探しって言うんだよ、ムツキ」
「しっ…仕方ないでしょ!朝ごはんをまともに食べてないんだもの!」
「あ、自首した」
あっさりと分かってしまった。
「なんかぐったりしてると思ったら朝食抜きが原因?」
「それに関しては普通に疲労ね…電話対応が長引いて…」
そこまで疲れが目に見える電話対応とは…と考えてしまう。
彼女の体の具合が心配だ。
「まっちょうどいい時間帯だし、何か食べに行こっか。何にする?」
「ガッツリ食べたい気分ね…ラーメンとか…」
「じゃあ柴関だね。ハルカに電話してくるまだ設置中だろうし、店に集合って事でいい?」
「えぇ頼んだわ」
ラーメン柴関の店内…お昼時だが客の姿が見えないが…一人、黙々とラーメンを啜る剣士の姿があった。
ズゾゾゾゾ
「いやぁ、いい食いっぷりだね先生!」
「…ゴクン…あぁ大将…美味しいものは不思議と箸が進む」
「嬉しい事言ってくれるじゃないか。それにしても器用に食べるんだな、その面は邪魔なんじゃないのかい?」
メタナイトは仮面のスリット部分を目元から口にずらし、その隙間からラーメンを啜るという一種の曲芸のような方法でラーメンを食べすすめていた。
その姿に大将が疑問を持つのも不思議ではないし、突っ込まれることも多少は予見していた。
「理由は簡単だ、素顔を晒したくない。それだけだ」
そう言い箸をすすめる。
「むぅ…怪我かい?」
「フフッ…生憎大将のようなカッコいい傷は無くてな」
メタナイトの言葉に柴大将が少し恥ずかしがりながら頭をかいた。
「いやいや…別に誇れる物じゃないさ、ちょっと昔ヤンチャした時にひっかいただけだぜ」
「大将がヤンチャ?意外だな」
「若い時はそんなもんよ。先生はどうなんだい」
「そうだな…」
若いころ…か正直忘れている部分が多いというか、思い出したくないというか。
「確かに、ヤンチャしたこともあったかもしれんな」
「ハハッ!だろ?」
「ふふふ…えと…いいかな?」
手振りで大将にある物を要求する…伝わってくれるといいがどうだろうか。
「おっ、デザートかい?ちょっと待っててくれ」
「あまり大きな声で言わないと嬉しいのだが…
「ほい、チョコアイス一丁!」
「…どうも」
数少ない柴関での甘いメニュー…それがチョコアイスだ。
私がいつも食べるような高めの一品とは違う…まぁ正直、the業務用アイス…のような味だがラーメンの後に食べるとまた違って美味しい。
ラーメンを食べた後に必ず注文する為、大将に覚えられてしまった。
「うむ…」
誰かにこの光景を見られないと良いが…そう思った瞬間に店の扉が開いた。
「おっいらっしゃい!あぁ、あの時の!」
「お…お邪魔します…」
入店してきた客…と目があってしまった。
「君は…便利屋の」
「あ、アビドスの先生…でしたっけ…」
「メタナイトだ」
「い、伊草ハルカです…」
ハルカの視線がカウンター上のアイスにいく。
「その…あ、甘いモノがお好きなんですね…」
「否定はしないが…できれば飲み込んでくれるとありがたい。そうだな…タダとは言わない、一杯奢ろう…大将、彼女に柴関ラーメン一丁を」
「い、いや!大丈夫です…!そんな私みたいなハウスダスト人間に貴重なお金を使うだなんて…そ、それにこれから来る先輩方と食事するので、さ、先に食べるのはどうしても…」
「…そこまで言う必要はないが…そうだな、ならジュースはどうだ?飲み物ならそこまで罪悪感もないだろう?」
「そ、それなら…だ、大丈夫だとお、思います…あ、ありがとうございます」
そう言って彼女は隣のカウンター席に座る。
落ち着かない様子だが…まぁそうか、一度敵対した相手に突然奢ると言われたらまぁ警戒してしまうだろうな…流石に馴れ馴れしすぎたか。
「…」
「…」
微妙な空気になってしまった。
横目で彼女を見るが…頼んだオレンジジュースをちびちび飲みながら、キョロキョロしている。
何か話題が欲しい。
「…その…仕事の方はどうなんだ?まぁ依頼を失敗させた張本人が言うのもあれだが」
「え、えと…また、新しい依頼がき、来ました…その詳しくは言えないですけど…」
「そうか、がんばりたまえ」
「が、頑張ります!」
「そうしたまえ、頑張る事は良い事だ」
そう言い、グラスに残っていたアイスをスプーンでかき集め口に入れた。
正直勢い良く食べすぎた…頭が痛い。
「ご馳走様…大将、また来る。これからが客の増える時間だろうな、私が言うのもアレだが応援しているぞ」
お金をカウンターに置き、席をたつ。
私の食事分とハルカのジュース代だが…これでも安すぎるような気がするが、まぁ経営方針にとやかくいう事は必要ないだろう。
「おう、先生もな!」
「ハルカも…次の依頼だが、ささやかながら成功を祈ってる」
「はっ…はい。先生?もどうか…こ、幸運を…」
ハルカ、大将の両名に別れをつげ柴関を去る。
外に出て空を見上げる。アビドスは今日もいい天気だ。
この後の予定だが…対策委員会も今日は会議がないらしい…特に何もなく暇だ。
「さて、どうしたものか。シャーレに戻って書類と格闘するか…イヤでもなぁ」
仕事が嫌な訳ではないが…そう断じてない…リン殿のアノ顔を見るのも嫌だしな。それに今はそう言った気分ではないのがな…今からD.U方面に戻ったとしても、こっちで何かあった場合が問題だろう。
昼寝…は違うな、私はピンク色ではない…
「そうだ!たまにはのんびり散歩でもしようじゃないか」
そう言い、小さな歩幅で歩き出した。
「ただいま戻りました〜☆」
ノノミが大きめの袋を持って部屋に入ってきた。
その姿に湧き立つ対策委員会のメンバー達。
「ん、待ってた」
「おかえり先輩!」
「お帰りなさい!えーといくらでしたか?」
「大丈夫ですよアヤネちゃん。お財布はしまってください♪」
「お腹すいた、ノノミ。私の牛丼はどこ」
「はいはい待ってくださいね、先に手を拭いてください!」
そう言って小分けのおしぼりを渡す。
「ノノミ先輩がお母さん見たいな事言ってる…」
「ふふふ、セリカちゃんもほら拭いてくださいね」
「じ、自分でできるからぁ!」
先輩に手を拭かれるという事態を回避するため、急いで手を拭く。
この年になって人にやってもらうのは流石に恥ずかしい…
「そういえば先輩と先生は?」
「えーと、ホシノ先輩はお昼頃は用事があるとかで、先生はお昼を食べに行ったはずですね、その後は分かりませんが何かあったら呼んでくれとの事です」
「ホシノ先輩も自由人だけど、先生もかなり自由よね一体何してるんだか」
「いないと思ったら、後ろにいますからね~」
「お二人とも今頃何してるんでしょう」
「ホシノ先輩は昼寝…先生は…剣の手入れとか?」
「あの棒の先に玉がついたやつでポンポンしてるやつ?あれ楽しそうで気になるのよね」
そんな話は耳にもいれず、目の前のランチに夢中なシロコは牛丼をレンジに入れ、800ワットで1分20秒…カップ麺よりは短い時間だがどうしてもこういう食事を待つ時間は長く感じる。
そんな退屈な時間を鼻歌と揺れで誤魔化し待つ。
ビー!ビー!
30秒ほど経ったところで警報音が部屋に響き渡った。
「レンジってこんな音したっけ…」
シロコが困惑したように言うとアヤネが大きな声でつっこむ。
「いやいや違いますよ!これは自治区内で何かが起こった時になるアラートです!」
「このタイミングで…一体何が…」
「確認します…」
アヤネが急いでタブレットを確認する。
画面に映る情報を見た瞬間彼女の目が大きく見開いた。
「半径10キロ圏内前方…爆発を感知しました、場所は………っ?!」
「アヤネちゃん?」
言葉が詰まる彼女を見て唾を飲む…一体どこなのだと。
「柴関…ラーメンがある区域です」
「は、はぁ?!なんで…なんであそこを爆破する必要があるのよ!」
まさかの場所に声を荒げて立ち上がる。
「セリカの言う通り…訳がわからない」
「セリカちゃんを狙った犯行でしょうか…?」
「わ、私ぃ?」
「何処の誰だかは知りませんが…一人づつ戦力を削いでいく作戦とか…」
「わ、私今日はシフト入ってないのよ…!ってそんな事より大将よ!お昼時だから確実にお店にいるはず…っ!」
セリカの顔色がどんどん悪くなっていく…大将の安否が心配だ。
「とにかく現場に向かいましょう!」
「うん、ご飯は後…早く行かないと」
ラックに置いてあるライフルを持ち、マガジンを刺し、チャンバーへ弾をを送り込む…セーフティをかけたら出撃準備完了だ。
「私はバンのエンジン掛けて来ます!皆さんは装備を整えてガレージに来てください!」
「ん、わかった」
そう言ってアヤネは部屋を飛び出して行った。
「私はホシノ先輩と先生に連絡をとります!先に行っててください…!」
急いでスマホを取り出すノノミだがその腕をセリカが掴んで引っ張り、廊下へと走る。
「先輩!それは車の中で出来るから!とにかく早く!」
「あっ…はい!」
対策委員会の面々はドタドタと駆けて行った。
「思ったよりもより遠くにきてしまったな…しかも特に収集は無しか…しくじったな」
アビドス中心地から離れたの砂に埋もれた廃ビル…その屋上にて佇む剣士が一人いた。
散歩…なんて言いつつもはや旅と言えるレベルほど、遠くにきてしまった。
そんな彼がもつタブレットから少女の声が響く。
『先生!メタナイト先生!』
失踪した連邦生徒会長が先生に残した『シッテムの箱』その中の存在であるアロナ。
彼女が突然呼んでくるの良くある事だが今回はいつもの雰囲気が異なる…逼迫した様子だ。
声色を聞くやいなやすぐさまのんびりした様子から切り替える。
「…何があったか説明を頼む…」
『はい!簡潔に言いますと十六夜ノノミさんからの救援要請です。なんとも、柴関ラーメンの建物が爆発したとか…!』
「っ…!アロナ、すぐ向かうとノノミに伝えてくれ」
『らじゃー!』
メタナイトは翼を広げ、地面を蹴った。
爆発現場のほぼど真ん中にいた便利屋だったが…咄嗟の事に爆発から逃れる事ができずに巻き込まれてしまった。
「あっ!いたいた、アルちゃん大丈夫~?」
「ぶ、無事よ」
「えーとハルカは…」
「こ、ここにいます…」
ひょこっと現れるハルカ。
ここに無事便利屋68が集合した…が柴関は木端微塵だ。
「ハルカちゃん、一体何を仕掛けたの?」
「え、えと…そのご、50番爆型弾を数発…ですが…」
「それ500キロ爆弾じゃん!」
爆発物のプロであるムツキが声を大きくしてしまうレベルである。
正直、過剰な火力だろう。
おかげで隅々まで消しとんだ。
「50番型爆弾って…確か航空爆弾でしょ…どこで手に入れたのさ」
「か、確実に破壊できるように強力な物にしたくって…ブラックマーケットでじゃ、ジャンク品を…改造して…その」
「器用だね…」
元々の計画として、アビドス自治区の様々なポイントに爆弾を仕掛ける手筈…ではあったが、柴関ラーメンにはそのような予定はなかった。
一応の保険として設置したところまでは良いが、まさか起爆までいくとはハルカ本人も考えてはいなかっただろう。
それはメタナイトと別れた後、便利屋と集合し食事をしたのだが…その時アルの言葉が大きいだろう。
『わ、私たちが今アウトローになれないのはこのすっごく美味しくて暖かくて、アットホームなこのお店が原因なのよ!』
『こんなにぽわぽわした光景はアウトローじゃないわ!』
『こんな店、爆発すればいいのよ!』
『それに私はあのバイトとは友達じゃないわよ…!!!』
こういった発言がトリガーとなったか。
ハルカ的には『アル様が言った事は絶対』のような公式があるのかそれに状況が当てはまってしまったようだった。
「社長、どうする?結構被害が大きいみたいだけど…」
辺りを見回してみると、慌てふためく住民やモクモクとあがる黒煙。
「まっ、良かったんじゃない?アルちゃんのお願い通りにお店は消えたよ?」
「いっ…言ったけど…ばっ爆破するまではその…」
そんなアルの反応を見て、慌てだすハルカ。
「あっ…アル様…もっもしかして、わわわ私やってしまいましたぁ?!」
「いっいやっそんな事」
どうにかハルカを落ち着かせるために彼女の行動を肯定したいが、なんと言えばいいのかわからず頭を抱える。
「えと…」
ハルカの叫びに、苦い顔で目を逸らすアル。
どうしても隠せなかった。
その反応を見た途端ハルカは絶望したような顔をし、自らに銃口を向ける。
「し、死んでお詫びします!ら、来世はアブラムシです!!!」
「ストップストップ…ここで死なれても困るし、死ねないから…それにアブラムシって」
カヨコがさりげなく銃口を下に向ける、もう少してショットガンを恵方巻きのようにくわえるところだった。
「あわわわわ…どどどどどうしましょうか…!」
「社長だけだよ?この状態のハルカをどうにかできるの」
「そ、そうよね…部下のケアも上司の務めよね…」
「え、えと…ハルカ、あなたは私の期待に応えてくれたわ!よ、よく爆破したわね!」
「あ、アル様…!」
ポンとハルカの肩に手を置き、頷く。
(こ、これで大丈夫よね…ハルカの努力を無碍にするのもアレだし…た、大将には申し訳ないけれど…)
そんな事を考えている時、自分達の名を呼ぶ声が飛んできた。
聞き覚えのある声というか、一度自分が憧れた声だ…まさかそれが自分に襲いかかってくるとは思ってもいなかった。
「一体何してるの…便利屋68!」
「あっ…貴方は…」
声の正体、それは先ほど爆破してしまったお店のバイトちゃん…黒見セリカだった。
赤っぽい猫の瞳が目の前の敵を鋭く睨む。
そして彼女の後ろには見覚えのあるアビドスの狼とガトリング。
「おっバイトちゃん柴関のバイトちゃんじゃ〜ん」
「うるさいわね!大将の大事なお店が爆破されたわ…もしかしてあんた達のせい…?!」
若干の涙目で叫ぶセリカだが…その時、嬉しい報告が入った。
『こちらアヤネです!安心してください、大将は無事です!少し足を捻ったようですが、大きな怪我はありません…大将をシェルターに避難そちらに向かいます!』
その報告にその場の全員がほっと胸を撫で下ろした。
セリカも一瞬穏やかな顔を取り戻したかと思いきやすぐに険しい表情へと戻った。
「よ…良かったぁ…」
「で」
「?」
「あんた達がどうしてここにいるのかが不思議でならないんだけど」
「もしかして…貴方達が爆破したの?」
「返答しだいでこっちの対応も変わってきますよ…!」
詰めるアビドス…目の前にいるのは一度攻撃してきた相手だ、そんな奴らがたまたま近くにいたなんて怪しすぎる。
「こっこれは…違っ…くわないけど違うの!」
「ん、どっちかハッキリして」
「何が目的なんですか」
「えと、その…」
言葉に詰まり黙り込んでしまったアル…正直に謝ったほうがまだ平和的に解決できるかも知れない…しかしアウトローとしてはどうなのだろうか。
そんな事を考えていると相手方に聞こえない程度の声で呼ばれる。
「すごいねアルちゃん。本当の大悪党だ」
「えっ?どういう事?」
素っ頓狂な顔でムツキに向く。
「だって、温情に厚く…!すっごく良くしてくれたお店を消しちゃったんだよ?アウトローってやつの本懐じゃないの?私にはよくわからないけどさ〜くふふ」
幼馴染の言う通り、『セリカちゃんの友達』として
金さえもらえれば何でもやる…冷酷な無法者…これは仕事であって…
思考がぐるぐると回転する。
「…何コソコソ言ってるんですか…」
「何とか言いなさいよ…あんた達がやったの?」
「う、うるさいわね!…そうよ!私たちが爆破したのよ!」
ここでついに便利屋が爆破した本人である事を認めた。
もちろんアビドスとしてはそんな事言われ黙ってるなんて事はできない。
「最低ね!この恩知らず!」
「ごめんね〜こっちも依頼でさ」
「依頼…前と同じクライアントでしょうか」
「それは言えないね…守秘義務だからさ」
カヨコがポケットからハンドガンを取り出しコッキングする。
それに反応しライフルを構えるシロコ…このピリピリムード、いつ銃撃戦が始まるかわからない一触即発状態だ。
「…っ」
「………」
お互いにトリガーに指をかけ睨み合う中、突如聞こえる鉄が空気を切る音が頭上から迫ってきた。
「この音っ…伏せて!」
そうカヨコが叫んだ数秒後、爆発が起きる。
異音にお互い気づいたこともあってか敵対していたアビドス側もその声で共に伏せたため被害はないが混乱が起こった。
便利屋と対策委員会が睨み合っていた地点から数百メートル後方…装備の整えられた部隊が展開されていた。
「…初弾命中!目標混乱中です!」
「よしっ。迫撃砲部隊を持ってきて正解だったな」
キビキビと動く兵士、そして日光に照らされ輝く砲身。
「次弾装填用意、撃つのはまだです」
「「「了解!」」」
「…ねぇチナツ。別に斉射で終わらせても良かったんじゃ?せっかくの迫撃砲部隊なんだしさ」
「ダメですよイオリ…しっかりと対話をしなければ…ただ撃ち合うのは…」
「分かってるって!えーと?便利屋はいいとして…確かアビドス?」
「はい、アビドス高等学校対策委員会ですね…予想外の相手が混ざってしまいましたが…」
「問題ない、公務を妨害する奴らはまとめてズドンだ」
「はぁ…一応、彼女達の自治区である事を忘れずに」
「はいはい」
ようやく煙が引いてきたところで立ち上がる…喉に粉塵が入り、喉が痛む。
「ゲホゲホ…おえっ…灰が…」
「便利屋!これもあんた達の仕業?!」
「違うわ…流石に私達でも自爆なんてしないわよ…!」
「アルちゃん…私達でもって…」
「爆発の範囲からして、50ミリクラスの榴弾…まさか…チッ、逃げないと」
「わーお…それってまずいねぇ」
そう言って姿勢を正し後方へと走り去っていく便利屋。
「ちょ!アンタたち!逃げるなんて!」
「ごめんね~…ちょっと今回はマジでヤバいからさ…」
ムツキが珍しくあせっている。
「な、なによ…」
「慌ただしい方々だとは思っていましたが…ここまで?」
「…ん、まって誰かくる」
「えっ?」
シロコが近づいてくる二つの影に気づいた。
「やぁどうも、アンタらがアビドスの人か?」
「そうですが…!その校章に腕章…ゲヘナの」
「あぁ良く分かったな」
「何よその態度!撃ってきたのはあんたらね!急に撃って来ておいてそれはないでしょ!」
「まぁ便利屋の近くにいたから巻き込んじゃったみたいだな、迫撃砲のコントロールは難しいし…」
相手の態度に青筋が浮き出そうになるがこっちが手を出したら負けだ。
顔を見合わせてるアビドスの面々…ホシノもまだ連絡がつかないためどうしたものか。
メタナイトからは『すぐ向かう』と返答されてからその後反応はない。
「…っ?!これは一体なんですか!」
振り返るとそこにはアビドスの校章がはいったバンから歩いてくるメガネちゃんの姿が。
法定速度ギリギリを飛ばしてきた為なんとか間に合った。
「アヤネ(ちゃん!)」
「まーたアビドスか…」
「大丈夫ですイオリ。えと…お名前は?」
「そちらから名乗るのが道義では?」
他校の上級生相手にもバシバシ行く…こうなった時のアヤネは強い。
「おっと、これは失礼しました…私はゲヘナ風紀委員会の火宮チナツと申します」
「…」
ツンツンと面倒臭そうにそっぽを向く同業者を指でつつく。
「えっ?あぁ〜同じく銀鏡イオリだ、今日はウチの学園の規則違反者に罰を与えるためにきたんだ。よってアンタらには用は無い…って事で見逃してやるよ。撤退しな」
「は、はぁ?」
完全に上から目線の発言に、怒りを通り越して困惑してしまう。
「意味が分かりませんね…」
「もし撤退しなかったらどうなるの?」
「愚問だな、それぐらいわかるだろ」
終始威圧的な言葉に唾をのむ。
相手は戦闘のプロである風紀委員会…しかもゲヘナのは特に強力であると言う話はキヴォトスでは割とメジャーだ。
戦った場合は大けがの可能性もあるし、政治的な問題へとつながってしまう恐れもある…現在のアビドスにとっては前者も後者も恐ろしい。
「…撤退しない」
「は?」
「聞こえなかった?私たちは撤退しない?」
ハッキリと言った。
そんな相手の返答にカチンとくるイオリ。
「はぁ…猶予をやったのに…たくっ…後悔するんじゃないぞ…!」
バシュン!
「危ない!」
アヤネの方へと飛ぶ凶弾を彼女を押し倒す事でなんとか避けさせる。
いきなりの射撃だったが何とか当たらずにすんだ。
「無防備なアヤネちゃんに…!」
「前線に立ってるんだ、撃たれる覚悟ぐらいしろ!」
「あぁ…もう!これでもくらいなさないな!」
青筋を立て、ライフルを連射するセリカ。
フルオートで発射された弾丸が報復としてイオリを襲う。
「チッ!」
しかし彼女も中々の猛者。
後方回転にれ回避、着地してすぐさまボルトを引き射撃。
バスッ!
「痛ッ!」
シロコに命中。
風紀委員会のスナイパーは伊達ではない、移動中の相手にも適格にヒットさせる。
連発ができる銃が世に普及する中、ボルトアクションライフルを使い続けるからにはやはり腕が必須だろう。
「シロコ先輩!」
「チィ…挟み撃ちか…」
「戦いにルールはなしよ!」
立て直してきたセリカが横から射撃したため、慌てて後方へと下がる。
いきなりの銃撃戦開始に驚き、前方へとチナツが走ってきた。
みんな血の気はおおすぎる。
「ちょっとイオリ!いきなり何を!」
「チナツも手伝って!」
「自分からはじめといてそれはないでしょ!」
一度バックに下がる。
またまた膠着状態に…そんな中、ノノミのスマホに着信が入る。
「こんなときに…っ!」
珍しく、携帯の着信音をウザったらしいと思ったノノミだが、かけてきた相手を確認したとたんパァっと彼女の表情が明るくなる。
「せ、先輩?」
「はぁ…戦闘中にスマホを見るとか…ボケっとしてるなぁ」
「ふふふ、あなたがそんな事を言ってられるのも今のうちです!」
「へぇ」
イオリが余裕な顔をして、新しいクリップを装填する。
「ノノミ、どうしたの」
「先生から連絡が来ましたよ!近くにいるそうです♪」
「「「!!!」」」
その場にいた全員は驚く…イオリを除いて。
「先生ねぇ。わからん…知ってる?チナツ…って…え?」
横の彼女を見てイオリが目を丸くする。
なんと、チナツが『先生』と言う単語を聞き驚愕しているではないか。
「先生…まさかじゃないですよね」
「そのまさかだ、久しぶりだなチナツ」
「!」
「ん、やっぱり高い位置」
ビルの上に一つの影…メタナイトがまたまた高い位置からの登場だ…やはり低所恐怖症疑惑は拭えない。
風にマントをなびかせ完全に気持ちよくなっている。
屋上から飛び降り、二陣営の間に割って入る。
「なんだ…?丸い…え?」
イオリはなんだかわかっていない様子。
「…こちらにいらっしゃると小耳には挟んでいましたが…本当だったとは…」
「あぁ今はアビドスでこの子達の手伝いをな」
「先生!おそい!なに、またかっこつけ?」
プンプンと怒るセリカ。
「今さっき到着したばかりだ…後カッコつけた気は全くない」
「どうなんだか」
「ノノミからの連絡を見て急いで来たが…ふむ、君はチナツと同じくゲヘナの生徒かな?」
「あ、あぁゲヘナ学園風紀委員会の所属だ」
「ふむふむ…いきなりですまないがお名前を伺ってもよいかなお嬢さん。私はシャーレで先生をしているメタナイトだ、よろしく頼む」
イオリに握手を求めると、困惑しつつも彼女は少しかがみ手を握ってくれた。
「お嬢さんって…えーと銀鏡イオリだ…あんたが噂の先生か…なるほど?なんか…不思議な見た目だな」
メタナイトの体を上から下までじっくりと見ておもった感想がそれだ。
「ふふ、良く言われるさ…さて、挨拶も済んだところだ」
「はぁ?…っ!」
メタナイトは急に切り替え、戦闘モードの目に。
「君も生徒だが…すまないが今はこの子達の先生でな…」
「ゲヘナ風紀委員会!攻撃してきた以上は覚悟アリと見た!お相手願おうか…!」
そう言い、ギャラクシア…ではなく木でできた稽古用の剣を右手に持ちもう片方にはシッテムの箱を構えた。
流石にメタ様が女性に変態的行動をするとは思えないなぁ(白目)
カービィシリーズのプレイ経験は?
-
あるポヨ
-
無いZOY
-
ガチ勢なのサ