メタナイトでGO! inキヴォトス   作:スラバヤサトゥ

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うちのメタ様はギャラクシアとは別に普通の剣と木剣を持ってるご様子…あのマントなんでも入りますね。


威圧感

「まぁいい…対策委員会よ怪我はないか?」

 

「はっはい!被害は無いです」

 

「そうか」

 

いきなりの戦闘とはいかない…安否確認を素早く終わらせ、メタナイトが木剣の剣先を風紀委員の二人に向ける。

何の変哲もない稽古用の剣だがギャラクシアと変わらないほどのオーラが染み出ている。

 

「先生、いつものゴールデンソードは?」

 

「そんなノノミのカード見たいに言われてもな…生徒相手に真剣を振る気はないだけだ」

 

「今までバスバス切り落としてる人が良く言っちゃって…」

 

「ぜひ剣の錆になりたいと申し出てきたモノたちの願いに応えただけだ」

 

女性に剣を向けるのもアレだが…この世界だと女性の方が多いためこの事に関してはもう飲み込む事とした…キヴォトス人は手加減する必要がないほど猛者が多いからな。

もし全力をだしたとしても体を斬り落としてしまう事がない木剣がジャストな武器だろう。

 

「そんな木の棒で…!」

 

「侮ってはいけませんよイオリ…先生は巡行戦車を縦に真っ二つにしてしまうほどの技の持ち主です…!先生がここにいると知っていたら…わざわざ進軍する事はなかったでしょうに…」

 

「は…はぁ?なんだそれ委員長並みの逸話じゃんか!」

 

パカーンと割れた戦車の姿を想像し、顔が引きつるイオリ…にわかには信じられない光景だろう。

 

「正直先生とは戦いたくありません…」

 

「けど、独断で撤退したら絶対にアコちゃんから…」

 

『アコちゃんから…一体何でしょうか?』

 

「そりゃ…反省文に説教…って、どっひゃあ!!!ちょっいきなり!」

 

『人を幽霊みたいに扱わないでほしいのですが…こほん!』

 

突如と現る一人の生徒、青白く光っているためホログラムか何かだろう。

前線には出てこないお偉いさんか。

 

『どうも、私はゲヘナ学園風紀委員会の行政官…天雨アコと申します』

 

当然の登場に困惑しつつも、相手方の行動に対応する。

 

「行政官と言いますと組織のナンバー2の方ですね…私はアビドス高校対策委員会、奥空アヤネです…いきなりの砲撃…謝罪の一言ぐらいあっても良いと思うのですが」

 

『ナンバー2だなんて…私はしがないただの行政官ですよ』

 

「なら、そこの風紀委員が怯えることもない」

 

『ふーむ、私が怖いですかイオリさん?』

 

「別に怖がってるわけじゃ…いやまぁ…うーん」

 

『いやまぁってなんですか…はっきりしないですねぇ』

 

アコ本人を怖がっている訳ではなく説教と反省文を怖がっているのが事実。

 

『おっと…そう言えばそうでしたねでは謝罪を…大変お騒がせしまして申し訳ありませんでした』

 

ぺこりと簡単な謝罪。

だがそんな誠意のかけらもない謝罪を対策委員会は求めてなどいない…ましてや、後方に展開されている部隊の風紀委員たちはこちらに銃口を向けたままだ。

 

「謝罪するなら、銃口を下げてからするべきだと思うが…どうかな行政官」

 

『おっとこれは失礼…こちらも剣先を向けられたままでしたのでつい』

 

アコはニコっとメタナイトの事を見る。

 

「そうだな、こりゃ失礼」

 

剣先を下に向けた…と同時に風紀委員会もアコの命令と同時に武装解除。

 

「本当に構えるのをやめた…」

 

『先ほどまでの愚行はこちら側の責任です…申し訳ありません』

 

「ねぇアコちゃん?愚行は酷くないかなぁ…ただ作戦概要に従っただけなんだけど…」

 

『作戦概要にまずは無差別に発砲だなんてありましたっけ?…ないですよね?なら愚行でしかないと思うのですが…ここは他校自治区の()()ですよ?』

 

「行政官…流石に言葉が強いです。イオリが泣きかけてます」

 

「泣かんわ!」

 

下手な舞台を見ているような気分だ…さっきまでの威圧感は何処へやら。

 

『まぁ…私達に便利屋を引き渡していただければ』

 

「…それはできませんね」

 

『あら、一体何故でしょうか?』

 

理解できない行動だ、ただ引き渡せばこのいざこざを終わらせられるというのに。

たった

数人のくせによく反発してくる。

 

「…便利屋は私達の自治区で問題を起こしました…よって私たちが処遇を決める権利があるはずです!例え便利屋がゲヘナの生徒だとしても風紀委員会がそこまで介入する事は出来ないはず…それに堂々と人の自治区で戦闘行為をしたのも明確なルール違反ですよ!」

 

『ふーむ…なるほど?…そちらのシャーレの先生の意見は?』

 

「この子達の意見を尊重しよう」

 

「さっすが先生!」

 

確かに戦火を交えず終わらせた方が良いのかもしれないが…ここは対策委員会に味方する事にしよう。

 

『…穏便に済ませたかったのですが…結局こうなってしまうのですね。ここまでの兵力差を目の前にしておきながらその自信とは…頭が足りないのかなんなのか…』

 

穏便にすませたいなら最初から砲撃なんてするなと思ってしまうが、まぁいい置いておこう。

 

『総員、戦闘配置!』

 

アコの掛け声により、風紀委員会全体が銃を構える…いきなり武装解除したかと思えばこれだ。

 

「はぁ…くるぞ対策委員会、準備はいいか」

 

「「「「はい!」」」」

 

双方勢力がぶつかろうとした瞬間…一発の手榴弾(パイナップル)が一人の風紀委員の足元に転がってきた。

 

「え?何処かr…  ドカァァァァァァン

 

「きゃぁ!」

 

言い切る前に爆発…飛んできた手榴弾をどこかに投げ返す暇もなく巻き込まれてしまった。

たった一発…といっても爆発範囲は大きい、突如の攻撃に混乱が起きる。

 

「えっ?なに?自爆?」

 

「戦闘のプロである風紀委員会がそんなミスしますかね…?」

 

驚いているのはアビドスの方も同じ。

自分たちは何もしていない…

 

「ちっ…伏兵か?落ち着け!周囲を警戒だ!くそっ…ただの手榴弾じゃないな…煙が多いぞ」

 

「イオリ先輩…どうしましょう…あだっ!」

 

横にいた後輩の頭に弾丸がクリーンヒット…一発で気絶してしまった。

 

「狙撃手!狙撃手だ!」

 

「遮蔽物に身を隠せ!」

 

「…どこだ…スコープの反射は…ってあぶない!」

 

相手が狙撃してきたという事で近場に警戒がおろそかに…そんな中にかなりの至近距離で射撃されたが横に飛び回転する事でなんとか回避できたが回避先には銃口が…

 

「さ、さっきはよくも…アル様を…許せない、許せない…」

 

「っ!この距離で散弾は分が悪いって…!」

 

射撃しながらじりじりと近づいてくる相手に回避に専念するしかできない。

激しくマズルフラッシュが起こると共に破裂音が響く。

 

「イオリ!」

 

ズガガガガガガ

 

「人の心配をしてる必要あるかな~」

 

軽機関銃(LMG)による容赦のない弾幕…被弾する者が後を絶たない。

 

「一度遮蔽物に身を隠して体制を整えるんだ…!」

 

「そうしよう…!」

 

弾幕から逃れた一部の部隊が車の影に隠れる。

 

「今のうちにリロードを…って」

 

チッチッチッ

 

「あーあ…嘘でしょ…」

 

隠れた車のドアにはタイマー付きの爆弾…もう2秒しかない。

ボカン…逃げる暇もなく吹き飛んでしまった。

 

「前衛第一中隊、消耗率が過半数を超えました…!」

 

「同、第二中隊もです…!」

 

『なっ…アビドスが動いていないの何故!…迫撃砲は…?』

 

「煙で着弾地点が不明な為下手したらフレンドリーファイアになりますよ!」

 

「それに弾薬を絞ってきてるんでそんなバカスカ撃てませんよ…」

 

入ってくる情報に困惑するアコ…奇襲により、戦力を一気に失ってしまった。

彼頭を抱えている中、そんな彼女を挑発するような声が聞こえてくる。

 

「案外やってみるとうまくいくもんだね~」

 

愛銃のマガジンを交換しながらそんな事を相手に聞こえる大きさでつぶやくムツキ。

 

「咄嗟に爆薬を買ってきて良かったよ、これで一文無しだけど」

 

そして拳銃をくるくる回す、ガンプレイをしながら陰から出てきたカヨコ。

もう片方の手には手榴弾のピンが。

 

「と、とりあえず敵討ちできたので…よ、良かったです…」

 

二ヘラと笑うハルカ…とメンバー集う。

憎き相手に一撃与える事ができたからか皆生き生きしている様子。

 

『…っ…あなた達は…』

 

「ふふふ、あなた達は…と言われたら応えるのがルールよね」

 

カツカツと靴音をならし歩いてくる。

…今までのらりくらりと自分たちの追跡をかわし続けてきた目障りな連中…校則違反者。

 

「私たちは【便利屋68】!無情なアウトローよ」

 

内心で『決まったぁ!』とガッツポーズをするアルだがすぐに雰囲気が崩壊する。

 

「お久しぶり~」

 

「ムツキ!久しぶりじゃなくて他になにかあったでしょ!」

 

「…え~?他に?何かあるかね?」

 

「…は、はぁ?便利屋?逃げたんじゃなかったの?あんた達ね、どの面下げて…」

 

突然の登場。

セリカが怒りを通り越して呆れたように言う。

 

「その、それについては申し訳ないわ…」

 

「ふぇ?」

 

アルの謝罪に気の抜けた声をだすセリカ。

さんざん荒らしていき消えたかと思えば戻ってきて謝罪だそりゃそんな反応にもなる。

 

『あらあら…自ら姿を現わすとは…』

 

「ふん!なんでも言いなさない!」

 

『…良く分かりませんが…良いでしょう!3から5までの部隊を前線へ』

 

ここにきて兵力が増強される。

何両かのハーフトラックが到着し、その後方扉からぞろぞろと風紀委員達が出てくる。

あっという間に先ほどの倍以上に兵力が膨れ上がった。

 

「いやぁ~手厚い歓迎だねぇ…ねぇカヨコちゃんの予想当たってるんじゃない?」

 

「かもね…」

 

『あら?カヨコさんの予想?』

 

「アコ、白々しい。分かってるでしょ」

 

『ふーむ、心当たりがありませんねぇ』

 

頬を指で触り、考えてるような仕草をしながらカヨコの話を聞く。

そんな相手に淡々と語る。

 

「わざわざゲヘナ自治区を出てまで追ってくる所、そしてオーバーな兵力…あの委員長なら絶対にしない部隊の編成のしかた…これってアコ、あんたの独断的な行動でしょ」

 

『はい?』

 

「それに迫撃砲なんて兵器を普通逃亡犯相手にもってくる?明らかに集団同士の戦いを想定してた」

 

『…』

 

「こっち方面に部隊を出し必然的にぶつかりそうな相手はアビドス。けどアビドスには5人しかいない…だけどアビドス相手にはその兵力が必要だった、何故なら…先生がいたから。この状況はあんたのシナリオ通りって事」

 

カヨコの言葉に驚愕する面々、呼ばれた本人も表情は分からないがどこか驚いた様子だった。

 

「え?先生が理由?」

 

「私がか…ふっ」

 

「嬉しそうにしないでください…」

 

『はぁ…』

 

アコは観念したように両手を挙げ話し出す。

 

『そうでした、そうでした…便利屋にはカヨコさんがいた事を…はぁ…まぁ構いません…その為の戦闘団(カンプグルッペ)*1です』

 

指をパチンと鳴らす。

 

「なっ!?」

 

またまた到着するトラック群…ぞくぞくと増えていく相手勢力にあっけを呆気を取られる。

 

「…識別コードはゲヘナ学園…まだ兵力が増えるんですか…?!」

 

「えぇぇぇ?風紀委員ってそんなにいるの…?さ、流石マンモス校…」

 

「くふふ、バイトちゃんには刺激が強かったか~」

 

「チっ…妙な部隊構成だと思ったらカンプグルッペか…抜けた包囲は二重だったて訳だ…」

 

『歩兵多め、迫撃砲ちょいに、装甲輸送車も少々…使いやすいですね戦闘団は』

 

「それだと…ゲヘナ本土の風紀委員が少なくなるんじゃないかしら…?」

 

『ふふふ、アルさんが心配される必要はありません…本作戦は今後の為。まぁ多少やり過ぎ感は否めませんが…噂のシャーレとやり合うにはこのぐらいがベストかと』

 

シャーレとやり合う…そんな事を聞き少しばかり身構えるメタナイト…血の気が多い子が多いなとちょっぴり頭を抱えてしまう。

まぁそこまでプププランドと変わらない…か?

 

「風紀委員会が物騒な事言うね…」

 

『先ほどのカヨコさんのお話ですが…ほぼ正解です、流石ですね』

 

「嬉しくないよ」

 

『ですが少し減点もあります。信じては頂けないでしょうが…完全にシナリオ通りではありません、確かにシャーレとの衝突を想定はしていましたがこの状況は奇跡的になったものであり意図的ではないのです』

 

ジトーっとアコの事を見つめる対策委員会に便利屋…

その場にいた全員が『絶対に意図的だろ』と思っている様子だ。

 

『おっほん!とにかく、我々の目的は先生!あなたの保護です』

 

「そうか、すまないが保護される気はない…それに私は保護されなければならないほど弱くはない…」

 

カミングアウトに対して声色変えずに淡々と返す。

 

「ん、それはそう」

 

「保護ってなんだか小動物みたいな扱いね」

 

「ぷっ!小動物って!」

 

散々な言われように歯をぎりぎり鳴らしつつも笑顔をできるだけ崩さないようにする。

 

「行政官…?大丈夫ですか?」

 

『…言葉を変えましょうか…では保護ではなく確保としましょうか』

 

「確保…私は物扱いされているのか?」

 

メタナイトの言葉を無視して続ける。

 

『きっかけはティーパーティでした…皆さんもご存じ、あのトリニティ総合学園の生徒会です…そんな彼女らが『シャーレ』についての情報を入手したと情報部から報告がありまして』

 

(情報の入手…あぁヒフミさんからのでしょうか…)

 

『我が校ゲヘナとトリニティは長年仮想敵校どうし…いや仮想ではなく敵同士ですね…そんな敵が入手した情報…詳細は分かりませんがこちら側も入手しておかなければ色々分が悪い…と言ったところでチナツさんの報告書を思い出し、確認する事にしました』

 

(いや…あれ書いたの相当前ですし、先生が来た日の当日に提出したやつですよ?確認するの遅すぎませんかね…)

 

呆れるチナツ。

期限を守れと口酸っぱく言ってくるのに確認はしないのかと。

こちとら大変なんだぞと…

 

『目を通してみるとあらまぁ…失踪した連邦生徒会長が指名した大人…それに不可思議な丸い姿に一般人を遥かに凌駕する力…おまけに超法規的な部活ときました…怪しすぎますよね?』

 

改めて考えてみると、まぁそりゃそうだ…アコの言う通り怪しい、怪しすぎる。

突如現れた謎の存在に警戒し情報を得たくなるのも納得だろう。

元々のパワーバランスが一気に崩壊しかねないとんでも事件だ。

 

『先生、貴方は不確定要素すぎます…今後にどのような影響を及ぼすか分かったものではありません。ですので事が済むその時まで風紀委員会の庇護下にいて欲しいのですが…どうでしょうか?』

 

「どうでしょうかって…さっきも言った通りお断りよ!ね、先生!」

 

「そうだな、すまないが断る」

 

『…では、武力行使も視野に…という事になりますが?』

 

「な、なかなか好戦的ですね…」

 

「風紀委員会が風紀を乱すって…こーゆー事?」

 

『……』

 

「アコちゃん…さっきから言われっぱなしじゃない?」

 

 

 

 

「先生…」

 

「む?」

 

つんつんとカヨコに呼ばれる…何かあったのだろうか?

 

「先生の指揮能力に戦闘能力はたしかにピカイチ…それでもこのの戦力差に対抗できるかは分からない…けど逆転できる可能性はある少し協力してくれる?」

 

「…ふむ」

 

「上手くいったら銃弾が飛び交う前に終わらせられるかもしれない…まぁほんと運だけど、こっちでもできだけ仕組むからさ」

 

「ふっ…なるほどな、たまには風に身をゆだねるのも悪くない…のった説明を頼む」

 

 

 

 

「とにかく、先生は渡さないんだから、便利屋…完全には許してないけどそっちは頼むわね」

 

「え、えぇ!アウトローは背中を向けて逃げるなんて事はしないわ!」

 

「ん…思ったけど…あの爆破ってただのミスでしょ?」

 

「へ?そ、そんな事ないわよ…!計画通りよ!」

 

「じゃあなんでさっき謝ってきたのよ、滅茶苦茶じゃない?」

 

「アルちゃん墓穴ほったねぇ~くふふ」

 

 

 

『あら?案外結託が早いものですね…ですが問題ありません、戦いは数です!』

 

意気揚々と話すアコだが、相手の耳には全くと言っていいほど入っていない。

 

「アコちゃん…」

 

 

 

「まぁ話は後で聞くとして…先生!指揮を…って…ひっ!」

 

いざ勝負といったところで振り向くとそこには目を赤く光らせた先生が翼を大きく広げながら謎の威圧感を出しているではないか。

怒っているのかな?と恐る恐る彼の名前を呼ぶ。

 

「メタナイト…先生…?」

 

「ん?なにかな」

 

すっといつもの黄色い目に戻る。

 

「あっ…話通じる」

 

「きゅ…急にどうしたんですか」

 

「あぁカヨコの作戦でな…うまくいけば弾薬費が浮く」

 

「その赤い目と翼が?てかその人が考えたの?」

 

「鬼方カヨコ…ちゃんとした自己紹介は後にするとして…まぁうまくいくかどうかは分からないけどね」

 

「あぁ…無理だった場合は右手を挙げる…その合図が出たら戦闘開始だ、頼んだぞ」

 

「よくわかんないけど…分かったわ!」

 

「先生!お気を付けください!」

 

「あぁ…」

 

ちらっと風紀委員会の方を見ると、アコの顔が引きつっているではないか。

そんな行政官の顔を見て、なんとも言えない表情になっている風紀委員の方々…

 

『…行きますよ!本当に行きますからね!そっちから来ないならコッチから行きますからね!』

 

「アコ行政官ってそう言いつつも行かないよね…」

 

「なんとなく分かるかも」

 

『聞こえてますよ!』

 

部下のボヤキを叱りつつ、一向に始まらない戦闘をどのタイミングで始めればいいのか分からずにいるアコ。

想定だと相手方からの攻撃が先だと思っていたがちょっとした挑発があるだけ…

時間がない、出来るだけ早く終わらせたい…だからこそのこれほどの戦力、自分の権限では扱いけれないほどの戦力を無理やり引っ張ってきた。

あの人にバレるのも時間の問題。

 

「…すまない待たせたな…」

 

ついに来た。

 

『あら?先生単独で?もしかして考えが変わったとか…へ?」

 

いきなりぶわっと冷や汗が垂れてくる…急に空気がピリついた。

 

「さぁ…やるとしようじゃないか」

 

カツカツと音を立てながら歩み寄ってくるボールみたいな生命体。

仮面の奥にて光る赤い目と大ひく広がった翼は自分を威嚇している…ちゃっちい剣は木で出来た練習用とは思えないほど鋭く輝いていた。

完全に相手に圧倒されている。

 

『……っ』

 

マズい…

 

「アコちゃん?どうする?一応相手は確保対象なんだよね?攻撃しちゃって大丈夫なの?あっちはなんか凄い殺気だってるけど…」

 

「行政官、判断を。…先生…やりすぎなのでは…

 

きっと演技なのだろうとチナツは分かってはいたがそれでも恐ろしい…絶対にこないとは思うが自分が真っ二つになる未来を想像をしてしまう。

 

「どうなのか、やるかやらないか…どっちなんだ」

 

呆れたように吐き捨てるが一応これも演技…何度か声優を無理やりやらされたので一応役を演じるのには慣れている。

誰かいわく『死んでも合わせるのが声優』らしい…良く分からん。

まぁアドリブの力は生きていくのに必要かもしれんがな。

 

『その…』

 

前線の兵が指揮官のお言葉を息をのんで待つ。

セーフティとっくの昔に外しており、引き金を引けばすぐに撃てる。

 

「…ゴクン」

 

『やりません…』

 

「えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「ぎ、行政官?!急に?急に?」

 

「アコちゃん?え?」

 

「嘘でしょ…」

 

 

驚愕する風紀委員会…そりゃそうだ、先ほどまで威勢の良い言葉を連発していた彼女の姿をずっと見ていたわけだ。

これほどの戦力差があれば勝ちは確実、楽な仕事だと思っていた委員達も大勢いただろう…が指揮官が戦わないと言えばそこで終わりだ。

チナツ一人だけはほっと安堵していた。

 

オロオロと瓦解していく風紀委員を見て、小さく拳をぐっと握るカヨコ…見られていないつもりだったがシロコにバッチリ見られていた。

 

「えっと、カヨコだっけ…一体何をしたの?」

 

「ちょっとした芝居をね」

 

「芝居?」

 

「コウモリみたいな翼を広げて威圧感を出せばアコ相手なら戦わずとも何とかなりそうってね」

 

皆よく分かっていない様子だったがその中でムツキがピンときた様子だった。

 

「あぁなるほどぉ擬似的に風紀委員長ちゃんを再現したわけだ」

 

「そ、飼い主の面影を感じたらうずくまるでしょってね。アレって犬みたいなもんだし」

 

アレ呼ばわり。

 

「それかなりの賭けじゃないですか…?」

 

「うん、相当な賭け…だけどその賭けに勝ったからOK」

 

正直、うまくいくとは思っていなかったためずっと残りの弾薬でどうやり合うかの事だけ考えてたけど…うまくいったし良いか。

後は連絡が入ってれば良いけど…この場をおさめられるのアイツだけだし。

 

「流石が便利屋68の参謀ね!」

 

嬉しそうにアルが腕を振る。

 

「参謀になったおぼえないんだけど…まぁいいか」

 

 

 

「行政官!その、撤退命令…という事でしょうか…」

 

「先生…ですっけ?ヤバイですよあれ、触れただけでこっちが消し飛びそうです…」

 

「その…アコちゃん?後ろ…後ろ」

 

『後ろ?後退したいですよそりゃ!でもここで下がったら色々マズイですし…』

 

逆ギレ…

 

「色々って、どうまずいの?」

 

『それは…いきなり大部隊が帰還してきたら行動がバレますし…』

 

「誰にバレるのかしら」

 

『そりゃ委員長に…』

 

聞き覚えのある声に振り向くとそこには…

 

『い、委員長!?』

 

「アコ、うるさい」

 

行政官の言葉をうるさいと一蹴…まぁ実際うるさい。

ホログラムの後ろにちょこんと立っていたのは身長低め、毛量多めのもふもふ白髪の少女…手にはの銃とは思えないほどゴツゴツした機関銃の姿が。

ジトーっとアコの事を物静かに後ろから見つめていた。

そんな彼女がなにを隠そう、ゲヘナ…いやキヴォトス全土に名を轟かせるゲヘナ学園風紀委員会委員長…『空崎ヒナ』本人であった。

 

「…あれが風紀委員長…」

 

「ん…ちびっこいけど強者のオーラがある…ホシノ先輩と同じタイプかも」

 

「シロコちゃん!本人が聞いていたらまずいですよ!」

 

 

『ヒナ委員長…な、何故そこに?』

 

「何故って…数十分前ににこっちの方面でゲヘナの風紀委員が戦闘してるって匿名の通報があったのよ…誰かに事情を聞こうとしたら誰もいないし…アコ、ホログラムを使ってるみたいだけどそこどこ?」

 

通報……!ガヨゴさん゛!!!!!あなたですね!!!

 

正解である。

 

『じ、自室です…ってそ、そんな早く現着できます?』

 

「ヘリで来た」

 

真顔で即答…よかった自転車とか言われたら流石にヒナ委員長相手でも実感引いただろう。

 

はぁ…と大きめのため息をつき、話を切り替えるヒナ。

 

「で、説明が欲しいのだけど」

 

『そ、それは…便利屋68を追って…』

 

「便利屋?あぁ陸八魔の…いないけど?」

 

『そんなはずは…え?』

 

あたりを見回すが…便利屋の姿は見えない…先ほどまで、アビドスの連中といたのにいつの間にか消えてしまった。

ヒナの姿を確認次第、どこかへ入ってしまったのだろう。流石というか…逃げるのが上手い、今まで捕まらずに逃走できた理由が分かったような気がする。

 

去り際に便利屋は対策委員会に対し、

 

『ごめんなさい!今日以降公式に謝罪させて欲しいわ…とっ!とにかく捕まるわけにはいかないの!』

 

『自分で呼んでおいて逃げるのは滑稽だけどさらに捕まるのはただバカだからね…これ連絡先…じゃあまた今度』

 

『じゃーねーバイトちゃんにメガネちゃん!』

 

『ででで…ではまた!!!!』

 

とドタバタ去って行ってしまった…最初から最後まで騒がしい連中だなぁ…と思うアビドスの面々。

助かった所もあった半面、次あったときはしっかりと反省させる事に決めた。

 

 

「アコ。ちゃんとした説明が欲しい」

 

そう静かに聞く。

怒っている…訳ではない、ただ単に事情を把握しておきたいのだ。

 

『その…不安要素であるシャーレの先生を条約締結までどうにか庇護下に置こうと…多数戦力を運用しました…』

 

「先生…あぁ貴方が噂の」

 

彼女と目が合う。

 

「ゲヘナの風紀委員長…だったな?シャーレの先生として着任したメタナイトだよろしく頼む」

 

「えぇ空崎ヒナよ…えっと握手ね」

 

ヒナは屈んでメタナイトの手を握った。

自分より小さい相手は中々いないので見下ろす形は不思議な感覚だ。

柔らかい手袋だが…中身がないように思えたのは内緒。

 

「なるほどね、アコ…あまり勝手に動かないで…こう言う事はパンデモの政治屋に任せればいいの」

 

『…で、ですが』

 

「風紀委員会はいわば軍、政治屋じゃない。勝手に動いてシビリアンコントロールが無くなったらどうなるか…分かるわよね?分かったならそのまま自室で謹慎してなさい」

 

『は、はい…』

 

ナヨナヨな声で返事をし、ホログラムが消えた。

 

「…さて、貴女達がアビドス対策委員会ね」

 

「は、はい…空崎風紀委員長…」

 

空気に押される…圧倒的な強者のオーラ。

 

「確か五人よね?一人足りないと思うのだけれど」

 

「ホシノ先輩の事ですね…この場にはいないですが…」

 

「ホシノ…それって小鳥遊ホシノ?」

 

聞き覚えのある名前が登場し反応するヒナ…知り合いか何かか、接点があるのだろうか。

 

「うへぇ〜ナーンか荒れてるねぇ」

 

噂をすればなんとやら。

十字路の向こうからふわふわした声で街の荒れ具合を眺める少女が一人。

アビドス高校の長…小鳥遊ホシノ本人である。

その姿を確認すると、後輩達が走り寄る。

 

「ちょ、先輩!今までどこにいたの!?」

 

「んへ?あぁ、今日っていい天気じゃん?お昼寝にお熱になっちゃってさぁ」

 

「先輩、全然笑えないよ」

 

「…何度も連絡を送ったのに一向に既読がつかないから心配したんですよ…!」

 

「ごめんごめん…ありゃ?」

 

頭をかきながらいつもの『うへ』の鳴き声と共に後輩達に謝るホシノ…となんかいる…とヒナの方を見た。

 

「あらら、ゲヘナの風紀委員長ちゃんじゃない、どしたの?」

 

「…小鳥遊ホシノ…」

 

(何だか雰囲気が大幅に変わった?…昔の研ぎ澄まされたナイフのような彼女は何処へ…)

 

「なになに、そんな睨まないでよぉ〜おじさんもしかして何かしちゃった?」

 

「いえ…」

 

「というか会った事あるっけ?名前を教えた事なんてなかったような…」

 

「あなたの想像以上に『小鳥遊ホシノ』の名前は有名よ」

 

「ありゃ?おじさん有名人かぁ」

 

表面上は穏やかだが、三年生同士の腹の探り合い…下手に動けば一触即発ですぐに銃撃戦が始まるだろう。

 

「…撤収よ」

 

「委員長?」

 

「聞こえなかった?撤収と言ったの、早くトラックに兵を収容して…迫撃砲も回収…使用弾薬数は書類にまとめておいて」

 

「はっ!」

 

「撤収!撤収だ!エンジンかけろ!」

 

ヒナの命令により展開していた部隊がどんどんひいていく…流石トップ、彼女の判断で全てが動く。

 

「便利屋の処遇はアビドスに任せるわ…それと混乱を招いた事、私からも謝罪させて。アコも悪い子じゃないからどうにか許して欲しいわ」

 

深々とお辞儀をするヒナ相手にどう反応していいのか分からない対策委員会。

ゲヘナの風紀委員長に謝られたと言う者は相当少ないだろう。

 

「あぁ…お詫びの品と言ってはあれだけど…二つ情報を」

 

「情報?」

 

「一つ、カイザーの勢力が砂漠で何かを成そうとしている事」

 

「二つ、アビドス砂漠にて()()()()()()の姿を夜間に確認した事」

 

「以上よ…」

 

「ありがとね。アヤネちゃん今のテキトーにメモっておいて〜」

 

「わ、わかりました!」

 

そんな話を残し、ヒナ…およびゲヘナ風紀委員会は去っていき事件は閉幕した。

 

 

*1
特定の任務用に臨時編成された部隊




メタ様の翼はマント説と体から生えてる説ありますが…どちらでも好きですよ。

翼の大きさに関してはヒナの方が普通にでかいです、体格的にもね。

カービィシリーズのプレイ経験は?

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