というか情報量多すぎますよ…
キヴォトスのどこか…地下深くに,ある企業の研究センターがあった。
そこの第三区画…モニターに映された図面を見つめながら研究員がため息をついた。
「はぁ…」
そんな彼のため息に近くにいた同僚が疑問を抱く。
「どうした?プロジェクトも完遂だ、少しは嬉しく思わないのか」
「ん?あぁ嬉しいさ…初期段階より予算は増えたし、予定よりハイスペックに完成した…最強の陸戦兵器と言っても過言じゃない」
「なら良いじゃないか、言われた通りの新兵器『重力波干渉砲』も搭載した…見た目がちょいとマヌケなったけどな」
「いいぞ…いいさ!コイツには満足している!…けどヨォ…まさか兵器に勝てる生物がいるなんてってな…生物だぞ?!あの実験からすでにに何週間か経ってるがずっと俺の頭の中にはあの実験の様子がぐるぐるしてやがる」
「…あれか…確かにな。あれを見て腰抜かさなかったやつはいないだろうよ、あの理事でさえ声をあげてた」
ある実験…急に上から『実験機の戦闘力を見るのにちょうどいい相手を見つけた』と通達があった。
あの時はみんな盛り上がってたな…研究所の上じゃない…会社の上層部からの直々の話だ、認められたぞって歓喜だったんだ…自信もあった、『俺たちはこんな兵器つくっちまって大丈夫なのか?』なんて冗談まじりに笑う奴もいた…
けどそんな自信はすぐへし折られた。
ありゃ正真正銘のバケモンだ。火は吐くし、鋭い爪は熱したナイフでバターを切るみたいにヌルっと装甲板を引き裂く…あれが生物だなんて信じたくない。
「…噂じゃアレを何匹も買ったとかだぞ」
「イカれてる…」
「イかれてるのは元々だろ?」
「転職先を探しといた方がいいかもな…」
キヴォトスに新たな朝が来た。
もちろんアビドスもそのサイクルの中にある。
「おはようございます!…ってアレ?私が一番乗り…?」
いつもだったらホシノ先輩がいるのだがどこにもいない、隣の部屋で寝ているのだろうか?
荷物を机に置こうとすると、机の上に先客がいる事に気がついた。
「あれ?これは?」
淡いピンク色でしっかりと封がされたって手紙が2枚。
恐る恐るそれに手を伸ばす。
『アビドス対策委員会のみんなへ』
早朝から悲痛な叫びが校舎を揺らした。
『まずは、こんな形でのお別れになっちゃってごめね。許してほしい、古いやり方がおじさんの性に合っててさ。
本題に入るね。実はみんなに言ってなかった事があってね?おじさん昔っからスカウトを受けててさ、カイザーPMCで傭兵として働くって話なんだよね。こう見えて能力を買われててさ~その代わりアビドスの借金の半分を肩代わりしてくれる、ね破格でしょ?
これで皆んなが少しでも楽になったら私は嬉しい。
私は責任を取らないといけない、最後のアビドスの生徒会メンバーとして。
行き先はハッキリしてないけどアビドスに戻ってくる事は多分ないだろうから正真正銘のお別れ。
シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん。
お願い、私達の学校を守ってほしい。砂だらけで何にもない学校だけど、私に唯一残された意味のある場所だから。
もし、もしだよ。みんなの前に敵として私が現れた時は、私のヘイローを【壊して】』
アヤネが代読し終えると、部屋はシーンと静まり返る。
内容はホシノの告白…昨日の夜、確かに彼女は後輩達に話すと言っていたがこんな形とは聞いていない。
「…え?どういう事?」
セリカが豆鉄砲を食らったように呟いた。
「……は、はぁ…」
一気に情報の波を浴びたことで物事を整理できずにポカーン口を開けて固まっているノノミ。
あまりにも衝撃がデカすぎるためか、逆にリアクションができない。
「…嘘…ですよね…そうですね?!」
声を絞りだして問いただすがアヤネは俯いて首を横に振る。
それを聞いて椅子に力なく倒れてしまった。
「今読み上げたのは一枚目です…残りのもう一枚は先生宛てですが…」
「…かしてくれ」
メタナイトはマントにこれ以上ないほど深く包まり、目を瞑った。
体がいつも以上に寒い気がする。
『メタナイト先生へ。いきなりでごめんね、私は先生の事を警戒していた。うん、まぁ鋭い先生の事だし気づいてはいたかな?
私は大人って存在が嫌いで、微塵も信用できない。
先生がアビドスに来た時だって、思ったもん怪しいなぁって。まんまるだし顔は見えないし、キヴォトスじゃ全然見ないタイプで自分よりもちっちゃいのに大人、この球の事を信じろって言われてもできなかった。
でもどんどん皆と打ち解けてく姿をみたらさ…ごめん、こんな照れくさい事はいいよね…
よく言ってたよね、「小鳥遊ホシノは強い」って。全然そんな事ないから言いふらさないでよ?
先生の方が強いと思う、一緒に戦ったから分かるよ。だからそんな強さでアビドスを支えて欲しい、守ってほしい。
最後に出会えた大人が先生で良かったよ。
うーん、先生の素顔を見たかったなぁなんて』
「…ホシノ」
お別れの挨拶と決意表明…そして最後のお願いが書き連ねられいた。
彼女はいつからこの手紙を用意していたのだろうか、一晩で書いたものとは思えない…
あの夜、すでに彼女は決意を固めていた…迷いなんて最初から無かったのだろう。私はそれに気づけなかった訳だ。
ふと目を手紙からそらすと、封筒の中にまだ紙が一枚残ってる事に気が付き、獲物に食いつく野生動物のようにそれに手を伸ばした。
『退部・退学届 小鳥遊ホシノ』
「先生…それって…」
後ろから覗き込んできたセリカが口元を震わせながら聞いてくるが、彼女も気づいているのだろう。
メタナイトは顔もあわせずに小さく頷く。
「んな…ほんとにもうっ!」
あの時に破り捨てたのはダミーだった訳だ。
ははっ…騙して去っていくなんて悪いコだ…まったく……
「切羽詰まったらなんでもしてしまうなんて言っておいて自分でそれをやってるじゃない!」
大切なモノを守るならなんだってしてしまう…追い詰められたら人は自陣にだって爆弾を落とす。
「ダメ、先輩を引き留めにいく…!」
「待ってくださいシロコちゃん!先輩がどこにいるかも分からないのに…!」
「そうです、足並みを揃えないと!」
リーダーを失った対策委員会、そんな彼女達に一度落ち着き状況を整理する時間はなかった。
突然の轟音と共にアビドスの校舎は揺れ、天井からパラパラと埃が落ちてきた。
「きゃぁっ!」
「あぁ…もうっ次は何よ…!」
最初の揺れにより崩した体勢を戻すと、また次の揺れが起きる。
爆発の音…とは別の音が校庭の方から聞こえてくる…何か鋭い物が風を切るような音…どこかキカイ的だ。
「アレは…ハインドです!なぜ攻撃ヘリが…「危ない!」 きゃぁっ…!」
ノノミが窓の外を指さした瞬間、ハインドの機体下部に取り付けられた機関砲が火を噴いた。
咄嗟にメタナイトが彼女を押し倒す事で弾丸の直撃は避けられたが割られた窓ガラスの破片が降りかかってくる。
「ノノミ大丈夫か!」
「へっ?はっはい、無事です…」
「他の者は!」
「大丈夫よ…一応…」
「か、身体は無事ですが…部屋がぁ」
見渡すと壁は穴だらけになり棚の本はバラバラになり散乱、会議室に存在している物のほとんどが'ダメージを受けているという酷い有様だ。
「チッ…!ホシノになんて言えばいいか…!」
メタナイトはすぐさまギャラクシアを引き抜き力を籠め虚空を斬る。
剣の残像は形を持ち、エネルギー弾として飛び出しホバリングしているハインドのメインローターを切り裂いた。
飛ぶ力を失った機体は制御できずに回転しながら落ちていく…墜落するさなかも鳴り響く銃声は一種の断末魔のようにも聞こえた。
『スカイナイトソード』
ギャラクシアの持つ強大なエネルギーを半月状の弾として撃ち出すこの技は持ち主本人の力も必要とするソードビームよりかは安易な技であり有力な飛び道具だ。
「き、急にヘリが攻撃してくるなんて……えっ?!」
通知が着ていた端末を見て叫ぶ。
「どどどっどうしたのアヤネちゃん!」
「…攻撃されてるのは…私達だけじゃない…自治区が侵攻されている…!?」
「相手は…!どこのどいつだ…!」
「カイザーだね」
シロコが校庭にて燃える機体の残骸を指さして言った。
連れられて覗くと確かに、あのPMCのロゴが。
「…」
カイザーが攻撃してきた…ホシノと約束は?
………なるほどな、虚言師はどの世界にもいるらしい…そりゃ当たり前か。
「アヤネ、攻撃が激しい場所はどこだ?」
「えっ?えっと…市内です!あそこには人口が集中してますから…」
「よし」
「ならここで足踏みしてる場合じゃないね、いこう」
「そうですね、市民の方々の非難も先導しないと…」
「こんな大規模な攻勢が何故このタイミングで…?訳がわかりませんよ…!」
詳しい事は分からないし、分かる時間もなくガタガタな状況。
チームの大黒柱が不在なまま行動を開始した。
先ほどまでいつもと変わらない日常を送っていた市街は一瞬にして臭い戦場にへと姿を変えていた。
「撃ちまくれ!今日は弾薬の使用量を抑える必要は無いぞ!」
「了解です、大尉!」
威勢よく叫ぶ指揮官に鼓舞されたオートマタの兵士立ちが横一列に並び腰だめで機関銃を連射しながら街を進む。
『マーチングファイア戦術』
今の時代にそぐわないかも戦法だろう…しかし反撃してくる敵がいないこの異例の戦場では効率よく銃弾をばらまく事ができる。
この戦術の神髄は『絶えない攻撃』と『止まる事を知らない進軍』だろう。いくら銃社会のキヴォトスでも飛んでくる弾丸におびえない者はいない。
相手はただの市民、鍛えられた兵士にとってはお祭りの屋台がデカくなった程度にしかおもえないだろう。
「第二目標まで攻略に完了した。本部に通達してくれ」
「再度攻撃許可が下りた!ロスロスロス!」
「はっ!今回の作戦、航空隊を拝む事は出来無さそうだな」
「なんなら、戦車もいらないだろ」
「私語は慎め!行くぞ!」
カイザー軍の進攻を拒むモノは存在せず流れていった。
『理事っ!目標アルファを確保しました』
「ハハッー先ほどから朗報が絶えないな」
前線部隊の少し後方…防弾リムジンのシートにふんぞり返りながら戦況を聞き、ほくそ笑んでいたカイザー理事。
「思ったよりも余裕でゲスね」
「当たり前だ、小鳥遊ホシノがいないアビドスなど!……うーむ、パっといい例えがでないな」
「まぁ…良い感じって事で」
「戦力的にもそして権利的にも我々は有利…あとは自らの庭に踏み入れるだけだ…邪魔だった庭の
『理事っ!』
「…なんだ…」
気持ちよくなっているところ、通信が邪魔をしたため、見えるレベルで不機嫌になる。
もう十分聞いたため一々報告をするな…そう言おうとするハズだった…が入ってきた報告は思っていたものと違った。
『目標ベータを喪失しました…!』
「なに?」
『それともう一つ…威力偵察に出ていた攻撃ヘリのうち一機との通信が途絶えました…』
「……なるほど、なるほど…まだ抗うか…愚かなガキ共だ…車を進めてくれ」
『やめて…!撃たないで…!!』
『痛いッ…痛いヨォ…』
『進め進め進め!!!』
『前方に攻撃目標だッ!火力を集中しろ!』
「嘘ッ…嘘嘘嘘!!!!!」
壁一面に設置されたモニター…そこに映し出される目をそむけたくなるほどの惨劇…
頭を抱えながら悲痛な叫びを少女は上げ、目の前にある手すりを強く握る。
「…ふむ…また古い戦術をお使いになりますね…まぁ戦列歩兵じゃないだけましでしょうか」
少女の隣にたっている全身を黒で固めた大人がまるで戦争映画を鑑賞するようなテンションでぼやく。
そんな小さな声に反応した彼女は、声を荒げ問いただす…
「約束が違う…!なぜ奴らはアビドスを攻撃しているんだ…!答えろ黒服!」
「何故と言われましても?」
「はぁ?」
「おかしい事は一つもありませんよホシノさん。約束はしっかりと果たしますとも、借金の半分は我々の負担です」
「…」
「それはそうと…あなたが退学してしまった事でアビドスには正式な生徒会メンバーがいなくなってしまいましたが…これだとキヴォトスのルールに従って学校は成り立たなくなるのでは?」
「なっ…!」
借金は負担する…それは絶対だ…なんせ契約書にも書かれていた。
熟読した。一晩中その紙と睨み合っていた時の事はいまでも鮮明に覚えている。あの紙に書かれていた文字を一文字も間違えずにここで言う事もできる。
だが落とし穴があった…そのありかは契約書の外だった。
「私達は元々あなたが目的でした。契約書にサインをしてもらい、あなたの全ての権利をいただく」
「な…」
「カイザーはアビドスが欲しい…そして私たちはあなたが欲しい…分かりますかね?」
「利害が一致していただけ、ただそれだけです。私はこんなくだらない企業の人間ではありません。あなたのような『キヴォトス最高の神秘』を兵士として使うだなんて…」
「詳しいお話は後程…ついて来てください」
「待ちやがれクソ服」
「はい?」
急な後ろからの罵倒に驚き、振り向くとカイザーの兵士が大口径マグナムを向けてきているではないか。
確かにここはカイザーPMCの施設内であり兵士がいるのは何もおかしくはないが、彼がやっている事は平常とは言えない。
黒服は動揺せずに彼をなだめようとする…一種の錯乱だと思ったのだろう。
「…できれば銃口を下か上に向けて頂きたいですね」
「そうか、無理だな」
「あなたの為に言っているのですよ?社の方針に抗うのですか?」
これは警告だ、と伝える。
不気味な表情ともいえる顔のひび割れたような物は変わらないが、先ほどより声が強くなったのが分かる。
ホシノは急な仲間割れかと大人同士の対立に困惑していた。
「ふむ…これが社の方針だ」
カチッとリボルバーの撃鉄を起こす。
よく見ると相手の兵士の恰好はそこらの下っ端兵は着れそうにない綺麗なトレンチコート。
顔はガスマスクとシュタールヘルムで隠れており確認は困難だった。
将校クラスの人物だろうか。
「社の方針とは」
「アビドスも貰う、そしてそこの『ピンクの悪魔』も我々が確保する完全にだ」
元々小鳥遊ホシノの管理は黒服がする事になっていたがここでカイザーが彼女を欲しがるとは…戦力が足りない?
とは思えない、生徒を使うよりもオートマタの方が優秀だと彼らは言っていた…なら何故ここで欲しがる。
「契約と違いますよ…それに彼女の事を『悪魔』と?個人的に許せませんね」
「あぁ…だが状況が変わってな…お前は用済みになったんだ。お前の事だ、すでに気づいているかと思ったが…違ったようだな」
「私はあくまで協力者…言ってしまえば部外者ですからね、内部の詳しい話は知りません」
やろうと思えば、ある程度の情報は集められますが…動きは特に無かったはず。
「すまないな、まぁこういうもんなんだ大企業ってのはな…それにもう我々はお前たちに対して恐怖を抱いていない。新たな協力者のおかげでな」
新たな協力者…なるほどあの男かもしれません。
過去の記憶を辿る…そこでカイザー理事が画面越しで話している光景を思い出した。
新たな協力者、新たな取引先…これは本格的に調査した方がいいのかもしれません…『何か』が干渉し始めている。
「聖なる悪夢…」
「ははッ…どうだろうな、精々考えな」
挑発的に言いながら、左手を上げると部屋の前後両方の扉から歩兵が続々と入ってき銃口を黒服にへと向ける。
「…どうなっても知りませんよ」
「言っただろう?お前たちはもう怖くないって…やれ」
「ウ゛ッ!」
命令により歩兵が銃床を使い黒服の後頭部を殴ると、短く痛みを叫びその場に倒れこんでしまった。
そしてガスマスクの大人が倒れた黒服に一発、ズドンと発砲する。
「寝たな」
床に横たわる黒服の姿をみてホシノが震えながら聞く。
「お、お前たちは…仲間じゃなかったのか…!?」
「元はな…だがもっといい仲間が見つかった…それだけだ。別にコレは俺の考えじゃない」
「…」
「俺も正直怖いな。大人ってのは思っている以上の倍の倍はえげつない」
「捕食者を捕食する奴もいるって訳だ…おい、コイツはマーケットの適当なところに放り投げておけ」
「ハッ!」
「ついてこい、悪魔。お前には一度待機しててもらう…その時になれば、出てもらおう」
私はまた大人に騙された…その上大人の争いに巻き込まれた…これからどうなるのだろうか。
ゴメンね皆…シロコちゃん、ノノミちゃん、セリカちゃん、アヤネちゃん。
ごめん…先生。
ユメ先輩…ほんとうに…ごめんなさい…
プルルルルル
「理事…パーティの用意ができましたが…どうします?」
カイザーはパワーでなんでも解決します、何年も前からの協力者も余裕で切り捨てます、慈悲なんてないです、それが大企業なんです(白目)
黒服の扱いが酷いって?ダイジョウブです、これでくたばるような輩じゃないです。
カービィシリーズのプレイ経験は?
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ガチ勢なのサ