メタナイトでGO! inキヴォトス   作:スラバヤサトゥ

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誤字報告感謝です…!(圧倒的感謝)


便利屋との邂逅

 

キ ヴ ォ ト ス 某 所

 

「えぇその案件ね、もちろんよ完璧にこなしてみせるわ」

 

「………………」

 

「その、ひとつ聞きたい事が…その、オススメされたサービスなのだけれど…本当に大丈夫なよね?相場よりかなり安いというか、名前も聞いた事ないしで」

 

「……………」

 

「新しくグループに加わった系列企業…なるほど分かったわ…その戦力、好きに使わせて貰うわよ。傷だらけで返しても文句は言わないで欲しいわね」

 

「……………」

 

「ふふふ…期待してください…この便利屋68に!」 

 

ガチャン

 

時代にそぐわない古めかしい固定電話を置き、前方にあるモニターを見る。画面に映っているのは、新たなビジネスパートナー。

 

「…正直便利屋のガキには期待してはいないが…御社の製品には大いに注目している…まずは力を見せて欲しい」

 

「ホホホホホ…データ収集の機会を用意してくださり感謝しますよ。しかしまぁ案件がうまくいくかは彼女達次第ですがね…我々が提供したのは道具に過ぎませんから」

 

 

 

 

 

 

ガラガラ

 

今日もアビドスに来ている。今回は会議をするようで同席して欲しいとの事。最近私用に低い位置に取っ手をつけて貰ったドアを開け部屋に入ると、すでに全員が定位置についていた、まずは朝の挨拶からとしよう。

 

「おはよう」

 

「あ!メタちゃん先生、おはよう御座います〜☆」

 

「おはよー先生ー」

 

「おはよう先生」

 

「ふわぁぁ…ぐっもーにんー先生〜」

 

「フフッ今にも寝そうじゃないかホシノ」

 

「逆にこのポカポカ気温で寝ないっておかしくなぁい?」

 

ふむ、まぁいつもの調子といったところだろうか…まぁ寝る子は育つと言うが、だがやはりもう少しリーダーとしての威厳を…いや野暮かもしれんな。

 

「おはよう御座います、先生。本日は…」

 

「確か会議と聞いているが」

 

「はい、対策委員会定例会議です。ぜひ先生は何かアドバイス等を述べていただければ…と」

 

「分かった。だがあまり期待はしないでくれ」

 

「ありがとう御座います!ではこれより定例会議を始めます!」

 

アヤネの一言にホシノ以外の全員がビシッと姿勢を正した。

いつになく真面目な雰囲気だ。

 

「で…なにから始めるの?」

 

「決まっていなかったのか…」

 

はぁ…なんだか力が抜けるな。

あぁそういえば私から一つ言いたい事があったな。

 

スッ

 

「私から一ついいかな?」

 

「はいどうぞ、メタナイト先生」

 

「この前に戦った、あの『ヘビーロブスター』を覚えているか?」

 

「いやぁ年で記憶力が乏しくなってきたおじさんでも流石におぼえてるよ~」

 

「忘れられる訳ないじゃない…いまだに夢に出てくるのよ…」

 

それはそうだ、何せインパクトがデかすぎるからな…まぁ覚えていたようで良かった。セリカに関しては…気の毒だとしか言えない…すまん。

 

「アイツの解析をミレニアムに依頼した…『シャーレ』としてな。まぁ結果はいずれ出るだろう」

 

「あのミレニアムにですか?!」

 

「あぁ知り合いにミレニアムの生徒会(セミナー)役員がいてな、彼女に頼み込んだらOKがでた」

 

「へぇ~先生、何を渡したのさ?」 ニヤニヤ

 

「イヤ、特には…」

 

『ふーんそっかぁ』と目を細めて見てくるホシノ。本当に賄賂だとかいかがわしい事はしてないのだがな…早瀬ユウカ…彼女にダメ元で頼み込んだらすんなりOKが出てしまっただけだ。

 

「まぁ…私からは以上だ、情報は後々アビドスに持ってくる」

 

「ありがとうございます先生。では私からも一つ」

 

アヤネのターンが始まった。

内容はカタカタヘルメット団が運用していた兵器群について…彼女の話を聞くにどれも入手困難なモノばかりだと言う。

金銭的な問題ももちろんだが、すでに生産が終了しており正規のルートで入手できない物…つまり裏ルートでの調達…もしかしたら違法な可能性もある…そんな代物をヘルメット団のようなチンピラ集団の力だけでは入手は不可能だと彼女は言う。

 

なにか強力な後ろ盾があるのかもしれん、今後とも動向をチェックするに他ならないだろう。

 

「私からは以上です…他にある方は…「はい!はい!」

 

「黒見セリカさん…『はい』は一回までですよ…」

 

「小学生か!っていいのよ!私から…否!対策委員会会計担当として言わせてもらうわ!」

 

(…セリカが会計担当なのか…?)

 

(先生…意外!…とか言っちゃダメですからね…)

 

(私はそこまでデリカシーのない奴ではないぞ…)

 

「現在!我々には莫大な借金があります…依頼やバイトで何とかやりくりしてはいますが!もう破産寸前なのです!」

 

「事実陳列罪で粛清」

 

「ここはレッドウィンターじゃないんですよ…」

 

「まぁこんな状況を打開する方法が…これよ!」

 

バーン!とチラシを取り出し、全員に見せるセリカ。

そのチラシにはデカデカと派手なフォントで…

 

「『ゲルマニウムブレスレット』?」

 

「うん!この前に街でチラシを貰ったの、説明もすっごく丁寧だったのよ!」

 

「はぁ…こりゃ駄目だな…」

 

「だねぇ…巷で噂の悪質商法だ」

 

「へ?あ、悪質商法?」

 

「うん。まぁゲルマニウムも色々効能があるらしいけど、流石に怪しすぎるしねぇ」

 

「多分って言うか確実に詐欺、相手はセリカをだましに来ているよそれ」

 

「優しく、丁寧に接する…マニュアルにそう書いてあるのかもしれませんね…」

 

恥ずかしながらゲルマニウムと言う物を知らなかったので端末で調べてみたら…まぁ同じような品々が高値で取引されているではないか。

どれが本当の情報かまったく分からんな…下手すりゃ闇市惑星よりもアングラなのではないか?ネットとは恐ろしいものだ…

 

「そのような商法って、末端の人が稼ぐには何億人と言う膨大な人数に売らないと稼げないって聞きますね」

 

「億?!えっ…うそでしょ?」

 

「まっとりあえず、それは無しって事で~」

 

「あっハイ…」

 

「セリカ…二階級特進」

 

意気消沈して座り込むセリカ…色が抜けて白黒に見えるのは私だけか?

 

「よしっじゃおじさんが可愛い後輩の仇を取ろう!」

 

「仇って…まぁいいです、はいどうぞ小鳥遊ホシノ委員長」

 

「確かに、借金も問題だね~だけどもっと根本的な事を忘れてはいないかな?」

 

「根本的な事…ですか?」

 

「そう、ずばり…生徒がこの部屋にいる数人しかいない事!生徒の数ってのはその学校がもっている力に直結するからね」

 

「なるほど、正しい指摘ですね」

 

ふむ、生徒一人一人を戦士だと見立てれば私にとっては分かりやすいかもしれない…確かに人数イコール力だ。

戦士が多ければ多いほど、その戦士団は強大となる。

アビドスにしたら借金を減らすために必要な人員が増えるので一人の負担が減るだろうな。

 

「ホシノ、確かに君のいう事は正しいが…その肝心な生徒をどこから引っ張ってくるんだ、クローンでも作る気か?」

 

「先生~そんな事はしないよ~クローンとか人道的にヤバそうだし、それに法律で禁止されてるしね。ここでおじさんが考えた案がぁ!」

 

「案が?」

 

「他校のスクールバスを拉致すれば解決だよ!早い、安い、簡単!」

 

一瞬ににて凍り付く部屋。

流石に聞き間違いだといいが…

 

「…そんな牛丼屋みたいな…安いに関してはもう意味が分かりませんし…!」

 

ガタッ

 

シロコが立ち上がった。

 

「いいねその案、どこを狙う?やっぱりトリニティやゲヘナみたいなマンモス校?それとも小さい学校を複数?」

 

彼女の目が輝いている、どうやら心に響いてしまったらしい。

まずいな、このままだと本格的に作戦を練り始めそうだ…そんな事したら行く先の未来は見えている。

なんとか私が止めなければ…

 

「待ちたまえ。その計画、実行したら最悪他校との全面戦争になりかねないぞ」

 

「そうですよ…今のアビドス高校にトリニティやゲヘナを相手する戦力はありせん、却下です!」

 

「う~んそっかぁ~やっぱだめだよね~」

 

「分かってたなら最初から言わなくていいですから…「じゃあ次は私」…はい、砂狼シロコさん…イヤな予感しかしないですけど…

 

アヤネの勘は当たった…と言うかここで外すなんてありえないレベルだろう。

シロコの案、それは…

 

「銀行強盗なんてダメに決まってます!」

 

「大丈夫アヤネ、現金輸送車のルートは頭に全て入ってる…それに…」

 

懐から紙袋を取り出し、机の上で逆さまにするシロコ。

もちろん重力によっての中身が落ちてくる訳だが、出てきたのは目出し帽だった。丁寧に全て色違い、番号の刺繍入りと素晴らしい出来だ、目出し帽と言う題材以外は…

 

「わぁ☆すごいですね!これシロコちゃんの手作りですか?」

 

「うへ~器用だねぇ」

 

「うん。あ、ごめん先生の分は無い」

 

「大丈夫だ…それにしてもまぁなんと典型的なアイテムだな」

 

「先生~それが良いんだよ様式美ってやつ」

 

「銀行強盗に様式美なんていらないです!というか普通に犯罪です!却下!」

 

机に置いてあった書類を飛ばす勢いで腕を振るアヤネ。

こんな事は言いたくないが、さっきからマトモな案が出てこないな…これが普段からの対策委員会定例会議なのだろうか、だとしたらアヤネの疲労は物凄いだろう。

この世界だと眼鏡をかけた者はみな苦労するという事になっているのだろうか?

 

「はい、次は私が☆」

 

「…十六夜ノノミさん…そろそろ犯罪意外の案をお願いします…」

 

「大丈夫ですよアヤネちゃん☆今から言う案は完全にクリーンですから。ほぼ透明です!」

 

「の、ノノミ先輩…!」

 

目を輝かせながらノノミの事を見つめるアヤネ…ようやくたどり着けた桃源郷に感動しているようだ。よかったな…まともな案をようやく拝めるぞ。

 

「私から提案するのは…そう!『アイドル』です!」

 

「…はい?」

 

先ほどのテンションはいずこへ…固まるアヤネ。

桃源郷と言ったな…あれは嘘だ。

すり寄ったら急に叩かれたぐらいの衝撃だろう…まずいな、アヤネが放心状態に入った。

 

「うーん却下かなぁ」

 

アヤネに変わって、ホシノがNOを示す。

 

「えーどうしてですか?せっかく、グループ名まで決めてるのにぃ」

 

「おじさん、歌って踊ってなんて器用な事できないもん~」

 

「ホシノ先輩、踊ってる最中に腰を痛めそう」

 

「シロコちゃん…流石にそれは…うへ、ありそうかも」

 

パフォーマンス中に腰を痛め、その場にうずくまるホシノの姿を想像する…なんともショッキングな絵面だ、嫌な方向で伝説を残す事になるだろうな。

 

「折角、細かいあれこれも考えたのに…うーん…じゃあメタちゃん先生がアイドルをなさったらどうですか?見た目結構可愛いですし☆」

 

「確かに、先生は結構キュート」

 

「それなら賛成〜おじさんがプロデューサーをやるよ~」

 

「おいまて、冗談がすぎるぞ」

 

まさかのこちらに矢が飛んでくるとは…アイドル?この私がか?ないない。

それにキュートだと?一番私から遠いワードではないか…解せぬ。

 

「何故私なんだ…大体、そんな事をして一体どこに需要があると言うんだ」

 

「…いや結構ありそうだけどね、まぁ先生のプライドが許さないか」

 

「おい、セリカ」

 

「うん、普通に需要あるよ。ぬいぐるみとか売れそう」

 

「名前は…『メタっち☆』なんてどうでしょうか?」

 

「安直すぎないかなぁ?もっと捻りを入れないと〜」

 

「じゃあ最近流行りの『わらびもん』にならって、『メタもん』でどう?」

 

何だろうな、全くもって初耳な名前なのに危なっかしい匂いがプンプンする。

 

「各方面に宣戦布告するのやめない?二正面作戦は勝ち目ないって」

 

「果たして二正面だけで済むのかねぇ」

 

「バカと書くだけでこの厚み?」

 

「先輩にトリニティジョークは似合わないって…」

 

「はぁ…もう先生が困ってるじゃないですか!それに議論が進みません!」

 

拳を握り震えるアヤネ。

 

「そうだねぇ…じゃあ最終奥義のプランDにしよっか〜あぁついにこの計画を発動する日が来るとわねぇ」

 

ポンっと手を叩き『プランD』なる名を出す。最終奥義と言うほどだ大層な物なのだろう…と言うか、案があるなら最初から出してくれ…とは言えんな…

 

「いきなりD?!そんなパンター戦車の型式みたいな…そもそもプランAもBもCも聞いた事ないんですが…で、その内容は?」

 

「ふっふーん、プランDずばりそれは…『先生に判断任せちゃいます』だよ!」

 

ブチッ

 

自分の中で何かが切れた音がした。

こんな事で感情を露にするのはなんとも大人げないというか、愚かだが…今は言わせてくれ…

 

「…アヤネ…」

 

「なんでしょうか先生…」

 

「感情を露にしたい気分だ」

 

「…私もご一緒していいですかね?それ」

 

「あぁ…」

 

深呼吸をし、彼女とタイミングを合わせ、言い放つ。

 

「いい加減にしてくれ…」 

「いい加減にしてください!」

 

 

 

 

「ねぇ~そんなに怒らないでよぉアヤネちゃ~ん」

 

「私が怒ってるように見えます?」

 

「ごめんって~ポケットマネ~でラーメン奢るからさぁ」

 

「本当に怒ってませんから…少なくとも今は

 

「うへぇ」

 

そう言って、ラーメンを啜るアヤネ。

これ以上の行動は無駄と判断したのかホシノはこっちを向いてきた。

 

「そっかぁ…先生もゴメンね~」

 

「大丈夫だ、逆に些細な事で感情を出してしまった自分が悪い…修行が足りんな」

 

「うへぇ~ストイックだねぇ」

 

ズゾゾゾゾ

 

「いや、なんか平然とラーメン食べてるけどなんでココなのよ…」

 

「セリカ、逆に聞くけどココ以外にいい場所ある?」

 

「え゛?あーまぁここら辺ファミレスとかないし…って質問に質問で返すなぁ!」

 

「理由はもう一つある…それは…」

 

「それは?」

 

固唾を飲むセリカ…彼女は身構える…果たしてどんな爆弾発言が飛び出すのかと。

 

「先生がここのラーメンを物凄く気にってるみたいだったから、この前も一人でに柴関に入ってく先生を見た」

 

「う゛ぼっ」

 

「先生?!大丈夫ですか!」

 

「あ、あぁ少し気管の方に麺が入りかけただけさ」

 

 

急なシロコの暴露に咳き込むメタナイト。

プライベートがどんどん露わになっていく。

秘密主義の彼に対してはクリティカルヒットの大ダメージだ。

 

「あぁ確かに先生は最近たくさん来てくれているなぁ俺としちゃ嬉しいよ!」

 

「た、大将殿…」

 

厨房内の大将によるさらなる情報提供。

 

「えっ?先生ってそんなに来てたの?」

 

「あぁセリカちゃんのいない時間帯だな」

 

「ウ゛ボッ…」

 

追加攻撃にまたもや咳き込む。

 

「あらぁ、先生大丈夫?またはいった感じ?」

 

「水を…」

 

「はい、水です…」

 

ゴクゴクッ…はぁ…

 

ガラガラ

 

「おっと、お客さんだわ、いらっしゃいませー」

 

そう言って対応しに行くセリカ。

 

「柴関ラーメンへようこそ、何名様ですか?」

 

「えと…」

 

入ってきたのはおどおどしている、全体的に紫っぽい少女。

落ち着かない様子で店内をキョロキョロしている。

 

「その…こ、このお店で一番安いメニューってな、なんでしょうか…」

 

震えた声で質問をする少女。そんな彼女にセリカは笑顔で対応する。

 

「一番安いメニューなら、580円の『柴関ラーメン』となります!うちの看板メニューなんですよ!」

 

「あっ…ありがとうございます!」

 

そう言って、出て行ってしまった。

よく見ると扉の向こうにもう数人の影が見える。

斥候役…と言うのは少々お大袈裟な言葉すぎるか。

 

『見つけました!ラーメン一杯580円だそうです…!』

 

『や、やっと見つけたわね…一体どの位歩いたのやら…』

 

『アルちゃんの金遣いが荒いからでしょ?もっと余裕あったらハンバーガーでも買えたのにさ、も~さっきら腹の虫が騒いじゃってるよ~』

 

『う、うるさいわね!あれは必要経費よ!』

 

『はぁ…騒いでないで、早く入ろうよ…変に目立つ…』

 

ガラガラ

 

再入店…今度は人数が増え四名だ。

どうやら学生らしい。

 

「えーと四名様ですねーいま席にご案内します!」

 

「いやいや~どうせ一杯しか頼まないからさー、あれだよ…映画とかで中華料理が入ってる箱あるじゃん?あんな感じでテイクアウトできないかーって」

 

「えーと?一杯しか…ま、まぁごゆっくりしていってくださいな!今空いてますし座っちゃってください!」

 

「ほんと?じゃお言葉に甘えようかな~ありがとね親切な店員ちゃん♪あともう一つ注文、箸を四膳と小分けの器を四つくれるかな?」

 

一風変わった注文にセリカの脳がバグる。

 

「えと…箸を四膳って…まさか一杯を皆んなで分けるつもりですか…?そんなかけ蕎麦の話みたいな…」

 

「す、すみません…貧乏ですみません…本当にすみません…」

 

「い、いやそんな卑下しなくても…」

 

「お金が無い者はゴミなんです、ゴミですみません…三角コーナーの生ゴミ以下ですみません…燃えないゴミですみません、粗大なゴミですみません…」

 

「ハルカ…声でかいよ…」

 

ゴミと言うワードを羅列する『ハルカ』と呼ばれた少女。

ありゃ弩級がつくほどのネガティブだ。これは偏見だが…そう言った思考の者は声が小さいと思っていたが…どうやら彼女は違うらしい、入口から離れているこの席でも声が聞こえる。

90度でお辞儀をし、自分たちの懐の寒さを謝罪する…声が震えており、目も泳ぎまくっているな…

セリカはそんな彼女の手をとり激励の言葉をかけた。

 

「そんな事ないわ!お金が無い事は罪じゃない!もっと胸はって!さ、ほらほら」

 

「うぇ?あっはい…!」

 

 

貧乏…といった訳ではないがお金に苦労しているのは彼女もいっしょ、同じ物をめぐって問題を抱えている相手にシンパシーか何かを感じたのだろう。

 

「じゃあ座ってまっててくださいね、これお冷です。大将ーラーメン一丁!」

 

 

 

「…なんか勘違いされている気がするんだけど…」

 

そう言ってお冷に口を付けるパーカーの少女。

無意識にため息が出てしまっているようだ。

 

「普段は貧乏~って感じじゃないんだけどね~どっかのアルちゃんが変な使い方するからさ」

 

「完全に名指しじゃない!…と言うか社長って呼びなさい!」

 

「別にいいじゃん、いまオフだしさ。じゃあ社長さん聞くけど、どうして社長なのにラーメンの一杯、二杯を可愛い社員におごれない訳?」

 

「うっ…やっやっぱり社長って奢らないといけないのね…

 

「社長が傭兵…あれを傭兵って言っていいのか分からないけど、それにほとんどお金をつぎ込んじゃったからね…」

 

「でっでも、できるだけ安く済ませたのよ!」

 

「安くすませたのにお金ないんだ」

 

全体的に声がデカいな…まぁ聞こえてないふりを通すが…かなり大事そうな話が他に駄々洩れなのを本人達は気にはしないのだろうか?

お金と言うワードの登場頻度が多いためビジネス関係の話題なのだろう…流石キヴォトス、学生でもビジネスをするのか…悪徳な大人に騙されてないといいが…

 

「まぁ…『戦いは数だよ姉貴』なんて言葉もあるし、いいんじゃない?確か目標は少数だし、最悪使い物にならなくなったとしても私達4人と戦力は大差ないだろうしね。それにこの案件の報酬はけっこう美味しいんでしょ?」

 

「…そうね、そうよね!流石カヨコ課長分かってるじゃない!」

 

なんとなくだが、話に決着がついたと同時のタイミングで注文の品が運ばれてきた。

 

「はいっ柴関ラーメン一丁!おまち~」

 

ドンッ

 

ラーメン一杯にしては重々しい音がなった…そう、これは普通のラーメンではなかったのだ。

 

「えと…なんか多くない?」

 

「フードファイト用かなにかかな…」

 

「す、すみません…そのオーダーミスなのでは?こんな量の分の代金を払えません…」

 

「いやいや~これであってますってーねっ大将?」

 

「あぁ柴関ラーメン並み一丁だ」

 

セリカの言葉に厨房の大将が振り返り、ミスではない事を伝える。

彼いわく、すこし手元が狂ってしまったらしい…が彼の手腕でそんなミスはありえないだろう…まぁ意図的な増量だな…せっかく来てくれたんだから腹いっぱいになって欲しい…と言った所か。

 

「うひょー!いっただっきまーす♪」

 

「ちょっ抜け駆け禁止よムツキ室長!」

 

「ハルカ、私達も食べよう」

 

「はっはい…!いただきます」

 

ラーメンにありつく4人組、うまそうに食べるではないか…まずいな、さっき完食したばかりなのに腹が空いてきた。

くっ…私はあの桃玉やバカとは違う…

 

「セリカ…替え玉を頼む」

 

「はーい、どんぶり失礼しまーす」

 

「あらぁ先生、食べるね~」

 

なるほど、これが食欲に負けるという感覚か。

 

「美味しいです…!」

 

「ワシワシとした麺の…「はーいアルちゃんストップ~」なによ!最後まで言わせなさい!」

 

「社長…それ結構古いから…」

 

 

「ん…」

 

ワイワイと食べる一行を眺めるシロコ。

 

「シロコちゃんどうしました?」

 

「いや、良い食べっぷりだな…って…ちょっと挨拶に行ってくる」

 

「そうですねーここのラーメンは絶品ですから…ってシロコちゃん?!」

 

席を立ったシロコの後についてノノミも行ってしまった。

なんというか…物凄い行動力だと感心してしまう。

 

「おじさんもいってくるかなぁ~多分あの子ら遠いとこからきてるみたいだし」

 

ホシノも行ってしまった。

席に残ったのは私とアヤネだけ。

 

「アヤネ、君は行かないのか?」

 

「え?あぁ…その話す話題もありませんし…」

 

「そうか…彼女らはどこの生徒か分かるか?」

 

「えっと…あの制服に…特徴的な角や翼があるので、ゲヘナではないでしょうか?」

 

ゲヘナ…三大校の一つか、アビドスからはかなり遠いはずだが何故わざわざここに?

うーむ…変に考えすぎか、今は食事を楽しむとしよう。生徒を疑うのは教師として最低だ。

 

一方、席をたったシロコ達はというと。

 

「ここのラーメン美味しいでしょ」

 

「えぇ…いくつもの店でラーメンを食べてきたけど、ここの味はトップクラスね」

 

意気投合しラーメントークで盛り上がっていた。

 

アビドス組とアルが話している所、カヨコがある事に気が付き、ムツキの肩をポンポンと叩いた。

 

…カヨコちゃん…この子たちってもしかして…

 

うん…次の依頼のだね…どうする?社長には…

 

うーん、なんか面白くなりそうだしいいや」クスッ

 

 

「うちの先生も、ここのラーメンのヘビーユーザーなんだよ」

 

「先生?」

 

む?呼ばれた気がしたので、いったん麺を啜るのをやめ、視線を彼女たちの方向に向ける。

 

「あれが先生」

 

どうやら紹介されているらしい。

彼女達に対して手を振り会釈をする…これでいいのだろうか。

 

「丸っこい先生だね~」

 

「丸っこいけど、頼りになるし強い先生です☆それにキュートさも備えています!」

 

やめてくれノノミ恥ずかしい…頼りになるや、強いは素直にうれしいがキュートだけは本当にやめていただきたい所だ。

 

「まぁ確かに言われたらそうかも」

 

「ぬいぐるみにありそうだねー♪」

 

結論、メタナイトはキュート…という事になっていたが、一人だけは見る目が違った。

 

「(…すっ鋭い視線…それにあのミステリアスな雰囲気…私が目指すアウトローとは違うけど…カッコいいわね…)」

 

「アルちゃーん?どうしたのボーっとして、チャーシュー貰っちゃうよ」

 

「へっ?あぁ最後にって残してたのよ!」

 

視線を目の前の一杯に戻し、ため息をつくメタナイト。

そして、横に座っているアヤネに対して一言…

 

「アヤネ…私は、自身がキュートである事を認めた方が良いのか?」

 

「え?その、あはは…」

 

返答に言葉をつまらせるアヤネであった。




メタ様はフォークを使ってラーメンを食すと確信しています()

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