・そんな風習あったんね
・え、人里に行くんですか!?
・ドア破壊バレてて草ぁ!
「・・・ついたっ!ここが、人里だよ!」
人里全体が見える丘。チルノは手をブンブンさせていた。
一方、メディスンはへとへとだった。
「はぁ、はぁ・・・待って、限界、疲れた・・・」
「だいじょーぶ?まあでも、甘いもの食べればへーきだよ!かき氷って知ってる?削った氷に甘いシロップってやつをかけるんだ!あとね・・・」
「分かったからぁ・・・休憩させt」
「それなら甘々堂っていう良いお店があるよ!」
「違う!一回休憩させてぇ!」
メディスンはよろよろと座り込む。
「はぁ・・・疲れないの?」
「うん、だって楽しいでしょ」
「ええ・・・?」
少し落ち着き、改めて人里を見る。
人々の声が飛び交い、賑やかな所だった。
「・・・」
(人間が、いっぱいいる・・・)
「メデスン、大丈夫?」
「ああ、うん・・・大丈夫。あとメディスンね」
「・・・無理しないでいいからね。変なやつがいたらあたいが追い払ってあげるから!」
「うん・・・」
(もし本当に、慧音さんの言うことが正しいのなら・・・確かめないといけない、だから・・・)
「・・・行こう、チルノ」
メディスンは静かに立ち上がった。
■■■■
「安いよ安いよ!今なら2割り引きだ!」
「ママー、あのおもちゃ買ってー!」
「うーん・・・確かにいつもより安いわね・・・どうしようかしら」
メディスンとチルノは人が比較的少ない通りにいた。
それでも普通に人はいる。各々自分の日常を歩んでいるようだ。
「・・・」
「リラックスリラックス!みんな、メデスンを襲ったりしないよ!」
「それは分かってるけど・・・」
ふと、とある店が目に入る。
それは人形屋。可愛い人形がショーケースに入れられていた。
普通の人なら特別な感想は持たないだろう。しかし、メディスンはそれに憤りを感じていた。
「売り物・・・なんだね」
(・・・けど、埃は被ってない。多分手入れがしっかりされてる。みんなも嫌がってない。・・・いや、外を知らないだけだ。どうせ、雑に扱われて、私みたいに・・・)
「メデスン?」
「あっ・・・ご、ごめん」
「・・・あそこはね、人形が大好きなお姉さんがやってる店なんだよ。なんか、昔は病弱だったみたいで・・・ずっと自分といてくれた人形が大好きになったんだって」
「そう、なんだ」
すると、1人の女の子が店に向かって走ってくる。
「お姉さん!えっと・・・お人形買いたいです!」
「そんなにかしこまらなくて大丈夫だよ。でも・・・お金とか、大丈夫?」
「はい!えっと・・・うわっ!」
女の子は財布を取り出したが、慌てていたのか落としてしまう。
小銭が当たりに散らばってしまった。
「あっ・・・!す、すみません!」
「あたい手伝うよ!」
チルノは真っ先に女の子の元に駆け寄る。
そして、落ちたお金を拾い始めた。
「ありがとう、妖精さん!」
「へへっ、これくらいどーってことないよ!」
「こっちにも落ちてたよ。えっと、これで全部かな?」
「ちょっと待ってください・・・あれ、一個足りない!」
「えっ!?も、もしかしてカラスとかが盗ってったり・・・!?」
「・・・それなら、私が持ってる」
メディスンは足元に落ちてた小銭を手に持っていた。
メディスンは女の子に近づき、小銭を手渡した。
「ありがとう!あなたのおかげでお人形が買えそうだよ!」
「・・・買った後、どうするの?」
「えっとね・・・実は、私のお母さんって病気なんだ。だから、私の代わりにお母さんとずっといてくれるお人形が欲しかったの」
「・・・」
「そうなんだ。じゃあ、これから言う話をしっかり聞いてね。お人形さんには、お手入れも必要だから」
「はい!」
女の子はお姉さんの話を真剣に聞いているようだ。
「・・・メディスン、なんでお姉さんは高い値段で人形を売ってるか知ってる?」
「・・・なんで?」
「本当に人形を大切にしてくれる人に売りたいんだって。だから、お姉さんは絶対に値切りをしないの。・・・人形を大切にしてる人間も、いるんだよ」
メディスンは静かに女の子とお姉さんを見ていた。
「・・・そっか」
硬かった顔も、少し緩んだ気がした。
それを見たチルノは、何だか嬉しくなった。
「きっと、あの子なら大切にしてくれるはず」
「うん。・・・よし、お腹すいたし、早く甘いもの食べに行こ!」
「えっ、今から?」
「もちろん!だって美味しいんだもん!」
「微妙に理由になってなくない?」
「さ、早くいこ、メディスン!」
「ちょっと待ってってば・・・!あと、メディ・・・ってあってる!?」
腕を引っ張られながら、夕暮れの道を走るメディスン。
何となく、さっきよりも綺麗な夕焼けに見えた。