東方歌謡録   作:みかみりん

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魚食べたいです(そうですか)
・何気に作中初の人里
・ああ・・・平和やなぁ
・速報 チルノ、メデスンを卒業


信じてもいいかな

チルノに引っ張られながら走り、ついに目的地に到着した。

 

「ついたっ!ここが甘々堂ね!」

「ネーミング安直すぎない?」

「でもいいじゃん!すっごい分かりやすいし!」

「そうだけど。・・・というか、私甘い物食べるの初めてかも」

「えっ!?そ、そうなの!?妖生の9割ぐらい損してるよ!」

「何その人生の妖怪版・・・あと9割は言い過ぎでしょ」

 

なんやかんや言いつつも、店から香る甘い匂いがメディスンの食欲をくすぐっている。

 

「・・・まあ、食べたいんなら、食べても良いけど」

「こ、これがつんでれか!」

「ぶっ殺すよ?」

「甘ばあちゃーん!餡蜜一個と、かき氷一個くださーい!」

 

メディスンの殺意には目もくれず、注文するチルノ。

少しすると、店の奥からおばあさんが出てきた。

 

「おや、チルノじゃないか。隣の子は?」

「えっとね、あたいの新しい友達!メディスンって言うんだ!」

「そうかい、かわいい名前だねぇ」

「あ、ありがとう・・・」

 

メディスンは視線を下に向ける。

あまり目を合わせたくないのもあるが、単純に照れてるのだ。かわいいね。

 

「確か、餡蜜とかき氷だったね。少々待ってなさい」

 

おばあさんはまた奥に行き、調理を始めた。

 

「あの人はね、甘ばあっていうんだよ!あたいも認める天才和菓子職人!」

「甘々堂に甘ばあ・・・うん、とてもわかりやすいね」

「なんと!あのけーねも甘々堂の常連なのだー!」

「えっ!?あ、あの人、甘いの好きなの!?」

「そうなんだよ!・・・でも、テストの点は増やしてくれないけど」

「え?どういう意味?」

「この前、テストで9点でね、けーねから怒られたの。だから甘々堂の饅頭渡したの。これで100点にしてくださいって」

「完全に買収行為!」

「そしたらさらに怒られた」

「でしょうね!」

「ふふ、勉強も大事だよ。ほれ、餡蜜とかき氷じゃ」

 

いつの間にか出てきていた甘ばあから、餡蜜とかき氷を受け取る2人。

 

「わぁ~!!美味しそう!」

「・・・こ、これが餡蜜・・・」

 

色とりどりのフルーツ、綺麗なあんこ。

初めて見る甘いものに、メディスンは少し緊張した。

なおチルノは隣で美味しそうなかき氷をバクバク食べてる。

 

「い・・・いただきます!」

 

思い切って食べてみるメディスン。

 

「・・・どう?おいしいでしょ?」

「な・・・何これ、え、なんか、凄い・・・え、え?わ、わぁ・・・」

「メ、メディスン・・・?」

 

美味しすぎて語彙力が低下したメディスン。

 

「・・・凄い、おいしい。これが甘いってやつかぁ・・・」

「き、気に入ったんだよね・・・?うん、ならよし!」

 

メディスンは無言で食べ進める。よほど気に入ったのだろう。

 

「・・・ごちそうさま!でした!凄いおいしかったです!!」

「おやおや、そんなに気に入ってくれたのかい。嬉しいねぇ」

「メディスン、今までにないくらいテンション上がってる・・・」

「だ、だってめちゃくちゃおいしいんだもん!凄いな、これ最初に見つけた人天才じゃない・・・?大革命だよ、ここから幻想郷は始まったんだね・・・」

「そこまで!?」

「ありがとうねぇ。・・・そういえば、メディスン、ちょっと顔を見せてくれんか?」

「えっ?全然いいですけど・・・」

 

メディスンは甘ばあに顔を見せる。

 

「・・・ありがとう。なんだか、昔姉さんにあげた人形に似ていてねぇ」

「えっ?そ、それは・・・」

「・・・昔はな、ここいらもそんなに栄えてなかったんじゃ。食料も全然無いし、妖怪は襲ってくるし・・・そんな状況で、まともに子を育てられる訳がない。そんな子は、口減らしといって、無名の丘に捨てられたんじゃよ」

「・・・もしかして、お姉さんも」

「そうじゃ。顔を見たことも無いんじゃが、姉さんは体が弱かったらしい。・・・姉さんには、名前が無かった。もしあったなら、どんな名前かと考えてしまう。きっと、優しくて強い名前じゃろうな」

「そうなんですか・・・」

「そして、ここいらが今のようになったころ。わたしは、無名の丘に人形を置いた。ちょうどメディスンのような人形でね。黄色い髪に赤いリボン。かわいいお顔の人形じゃ。せめて、あっちで遊べるようにと思ってな。まあ、姉さんもそんな年齢ではないと思うが」

「・・・」

『「ゴミ」だとは思われてないと思うぞ』

「・・・きっと、届いてると思います。その願いも、人形も」

「そうかい、そうだといいねぇ。・・・辛気臭い話を聞かせちゃってすまんね」

「大丈夫です。寧ろ、聞かせてくれてありがとうございます」

「礼儀のいい子じゃな。・・・ああそうだ、まだ仕込みが終わっとらん。すまないね、少し引っ込むよ」

 

そう言うと、甘ばあは店の奥に入っていった。

 

「・・・チルノ、私は甘ばあさんの人形だったのかな」

「あたいには分かんないけど・・・そうだったとしても、そうじゃなかったとしても、メディスンはメディスンだよ」

「・・・そうだね」

(多分、私はこれからも人間に気を許すことはないと思う。甘ばあさんみたいな人はごく少数だとも思う。けど・・・人間全員が、悪い人ではないんだろうなとも思う)

「少しなら・・・信じても、いいかな。・・・そうだ、チルノ」

「どうしたの?」

「・・・友達になってくれて、ありがとう」

「・・・うん!」

 

もう辺りは暗い。だけど、星は輝いている。

空を見あげながら、2人は笑った。

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