・ミニ妖精が瀕死だとぉ!?
・魔理沙とメディスンの協力だ☆
・しれっと毒ぶん投げられる野良妖怪さん
窓から光が射す、昨日の大雨が嘘のように晴れている。
「・・・うーん、あ、朝・・・」
メディスンはゆっくりと起き上がる。風邪のけだるさはもう無くなっていた。
床にはぐちゃぐちゃな敷き布団と掛け布団が。恐らく魔理沙は昨日ここで寝たのだろう。
「・・・」
メディスンは静かにベッドから立ち上がる。
なるべく音を立てずに玄関に向かった。
(そろそろ帰ろう・・・迷惑はかけられないし・・・)
「あれ、どうしたんだ?」
「えっ!?」
咄嗟に後ろを振り向く。
そこには何ともまあ芸術的な寝癖の魔理沙がいた。
「・・・まずは頭をどうにかしなよ」
「いや、大丈夫だ。魔法は爆発って言うだろ?」
「言わないからね?・・・単純にめんどくさいだけでしょ」
「うぐっ・・・」
「・・・そうだ、昨日の妖精さんは?」
「確か、アリスの部屋にいるはず。もうすっかり元気だぞ!」
「・・・そう、よかった」
メディスンはそう言うとドアノブに手をかける。
「おいおい、どこに行く気だよ。散歩か?私もついてっていいか?」
「帰るの。あの人にはありがとうって伝えておいて」
「ちょ、ちょっと待てよ!」
魔理沙はメディスンの腕を掴む。
「・・・別に良いでしょ」
「いや、お前がよくても私が嫌なんだ!もっとお前のこと知りたいし!」
「えっ・・・頭大丈夫?」
「シンプル暴言!」
「いやだって・・・私は一回あなたを殺そうとしたんだよ?忘れた?」
「え、忘れてないぞ」
「じゃあ何でよ・・・」
「もしお前にその気があるんなら、私はとっくに死んでると思うから」
「ただ殺すタイミングが無かっただけかもよ?」
「そうかもだけど・・・ってか、こんな話をしてる時点で殺す気無いだろ」
「まあ、そうだけど・・・」
「・・・ま、それに。多分お前じゃ私を殺せないからな」
「・・・あのさ、数日前に私に殺されかけたよね?」
「確かにそうだな、だがしかし!今の私には魔法がある!それもな、最近えげつない速度で成長中だ!」
「・・・」
「おい、その顔なんだよ。信じてないのか?」
「当たり前でしょ・・・」
「まあ、だからつまりだな。私はどんなことをされたって大丈夫だ!何故なら、私が全て解決しちまうからな!この、最強の魔法使い様がな!・・・だから、提案があるんだけど」
「何?」
「・・・友達になろうぜ!」
(ほんとになんなのこの人間・・・)
「あ、自己紹介がまだだったな。私は霧雨魔理沙。最強な人間の魔法使いだ。お前は?」
「えっと・・・」
その時、扉が開く音がする。
「ふわぁ・・・おはよう魔理・・・って、あなたも起きてたのね」
寝間着姿のアリスが部屋から出てくる。
手にはあの妖精も一緒だ。
「あ、妖精さん!」
妖精もメディスンに気がついたようだ。
すぐにメディスンに近づいてくる。
「うわっ・・・ちょ、落ち着いて」
妖精はメディスンの周りをくるくるしたり、体にくっついたりする。
「あはは、もう・・・可愛いなぁ」
「・・・どうやら、私よりもあなたに懐いてるみたいね」
「いいなぁ、可愛い」
「・・・ねえ、この子って・・・私と一緒にいたいのかな」
「でしょうね。じゃなかったらあんなスピードで近づかないわ」
「そっかぁ・・・私も一緒にいたいけど・・・私って外に住んでるから。昨日みたいになっちゃうかも」
「・・・あ、いいこと思いついた。ここに住めばいいじゃん」
「「・・・え?」」
魔理沙の突拍子も無い提案にアリスとメディスンの声が被る。
「ま、魔理沙・・・頭打った?」
「打ってねえから。それに、普通にいい提案だろ?メディスンは安全な住居を手に入れられる。私はメディスンと友達になれる。アリスは・・・うん、まあそういうことだ」
「ちょっとなんで私のとこだけうやむやなのよ」
「そうだよ。迷惑がかかっちゃ・・・って、あなたも同意!?」
どうやら妖精が同意しているようだ。
「迷惑とかは気にしなくて良いぞ。確か空き部屋があったよな。それに、こう見えてアリスは世話焼きなんだ」
「え、ええ・・・?」
「・・・まあ、正直私はあなたが嫌じゃないならいいけど」
「いいの!?2人とも、なんであの事気にしてないの・・・?」
「うーん・・・そもそも、私はあなたについて全然知らない。だから、あなたが例え極悪人だとしても関係ないの」
「・・・もし私が極悪人で、夜中に暗殺しようとしてきたら?」
「そんなことできないわよ。私は強いんだから。しようとしてきたら逆に殺してやるわ」
(この2人似てるなぁ・・・)
「・・・ま、だから気にしないで。それで・・・あなたはどうしたい?」
メディスンは視線を横にそらす。
ちょうど期待している顔の妖精と目があった。
(・・・この2人は、間違いなくバカだ。アリスはともかく、魔理沙はそんなに強そうに見えないし。お人好しがすぎる。ほんとバカだ、けど・・・)
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて」
(それを承諾しちゃう私も・・・とんでもないバカなんだろうな)
「・・・!やったぁ!!よし、今日はパーティーだ!」
魔理沙はメディスンの手を握ってぴょんぴょんはねる。
妖精もくるくると回って嬉しそうだ。
「じゃあ、私たち友達ってことだよな!?そうだよな!!」
「ああ、うん・・・それでいいけど」
「やったぁぁぁぁぁ!」
「うるさい。ご近所迷惑でしょ、近くに家無いけど」
「だから思いっきり叫んでいいんだろ!?」
「この子の耳も考えてあげなさい。・・・そうだ、あなた名前は?」
「メディスン・メランコリー、メデスンじゃないよ」
「メディスンね。私はアリス・マーガトロイド。もう知ってると思うけど」
「うん・・・よろしくね」
「よっしゃ、人里で色々買ってこなくちゃ!パーティーだパーティーだ!」
「・・・テンション高いなぁ・・・」
「そうね。でも、妖精さんは嬉しそうよ?」
「ほんとだ・・・あ、じゃあこの子にも名前付けてあげよう」
それを聞いた妖精は、とても嬉しそうだ。
「うーん・・・そうだなぁ・・・スーさんとか?あんまりネーミングセンス無いかも・・・」
「いいんじゃない?ほら、この子も喜んでる」
「ほ、ほんと?・・・じゃあ、あなたもこれからよろしくね、スーさん」
スーさんはメディスンの手を小さな手で触り、にこっとする。
「2人とも!早く行こうぜ!買い出し買い出し~!」
「はいはい。とりあえず着替えさせて。あと静かにして」
「そうだよ。静かにしないと行けないよ?」
「そ、そうなのか!?うう、じゃあ静かにするぜ・・・」
(まさか、人間と友達になる日が来るなんて。・・・でも、悪くないかも)
「・・・アリス、魔理沙。本当に・・・ありがとう」
「・・・ああ、こっちこそ!」
「こちらこそ。今日からよろしくね」
「・・・うん」