東方歌謡録   作:みかみりん

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前回のありさん 
・青緑のハーフテールは一体何なんだ・・・
・燐リンはきっと尊い(*´∀`)
・今明かされる衝撃の過去ぉ!


初めての友達

あの日の惨劇の後。

もう何日経っただろうか。いや、もしかしたら数分なのかもしれない。

しかし、彼女はそれを知る術はなかった。

彼女は、壊れた「無意識」を操れず、今もどこかをふらついてる。

 

「・・・」

 

妖怪が通り過ぎる、妖精が上を飛んでいく、人間が木の棒で遊んでる。

しかし、誰一人として彼女に気づかない。

彼女は、道の上のこいしのように、気づかれなくなってしまった。

自分の姉からも認識されなくなり、もう誰にも気づかれない。

・・・そう思っていた。

 

「・・・あれ、君どうしたの?」

「・・・えっ?」

 

棒読みに近い声が耳に届く。

目の前にいたのは、ピンク色のロングの少女。

感情が読めない瞳で、こいしを見つめている。

 

「見ない顔だなーって思って。ふらふらしてたし。もしかして迷子?」

「・・・分かんない」

「えっと、道がってこと?」

「・・・私が、見えるの?」

「え?もちろん見えるよ」

「・・・そっか」

 

久しぶりに誰かに見られて、存在を認めてもらえて。

こいしの目から、涙が流れ始めた。

 

「えっ、大丈夫?」

 

少女はこいしの背中をさする。

 

「・・・大丈夫。嬉しくて」

「・・・落ち着いたようでよかった。少し、“喜び”が戻ってきたみたいだね」

「感情が分かるの?」

「そうだね。そうだ、名前言ってなかったね。私は秦こころ。お面の付喪神だよー」

「・・・あなたも、感情がないの?」

「いや、そういうわけじゃないよ。ほら、笑ってるでしょ」

 

こころは自分の頭についてるお面を指刺した。

こころ本人は無表情だが、お面は優しく微笑むおかめの面だった。

 

「今、君の感情が少し戻ってきてにっこりだよー」

「・・・全然そうには見えないね」

「よく言われるよー。そうだ、君の名前は?」

「・・・古明地こいし」

「こいしね、分かった。よろしく。そうだ、これから友達と遊ぶんだけど、一緒に来る?」

「・・・多分、見えないよ」

「そしたら・・・まあ、どうにかするよ」

「・・・うん」

 

こころがこいしの手を握る。

久しぶりに触れた温かい手に、少しの懐かしさを感じた。

 

「・・・」

「どうしたの?」

「・・・懐かしいなって。お姉ちゃんと似てるから」

「そうなんだ。君のお姉さんも、私みたいに真顔?」

「そんな事はないよ。優しくて、ちょっとポンコツ」

「へぇ、なんか会ってみたいなー」

「・・・でも、見えないから」

「・・・え?」

 

こころのお面が、若干焦ってるようなお面になる。

多分、聞いちゃいけない事を聞いたと思ってるのだろう。

 

「えと、ごめん」

「・・・大丈夫。とりあえず、早く友達に会わないとなんじゃない?約束してるんでしょ」

「そうだった。じゃ、行こ」

 

こころはこいしの手を引っ張る。

・・・揺れるピンクの髪が、さとりと重なって見えた。

 

■■■■

 

森がだんだん赤く染まる。

少し不気味な中、こころはどんどん進んでいった。

 

「・・・いた。おーい、フランー」

「あっ!もう、こころ遅いよー!」

 

近寄ってくる金髪の少女。

フランはこころに近寄った。

 

「ごめん、新しい友達ができて。ほら」

 

こころはこいしを指差す。

しかし、フランはキョトンとしたあと、言った。

 

「・・・え?ほらって、どこ?」

「うーん、見えないかー。これは大変だー」

「えっと・・・ど、どういうこと?」

 

こいし表情一つ変えなかった。

見えないのは、もう彼女にとっては当たり前になっていたから。

 

「困ったなー・・・あ、そうだ。ちょっと待って」

 

こころはどこからとも無くお面を取り出す。

天狗のお面だ。

 

「これでいっか。こいし、動かないでね」

 

こころはこいしの頭にそのお面をつける。

 

その瞬間、フランが声を上げた。

 

「うわっ!?い、いつからいたの!?」

「・・・見えるの?」

「うん、見えるよ・・・え、どういうこと?この子が、こころが言ってた新しい友達?」

「うん。古明地こいし。少し感情が無い」

「いや少し感情が無いってどういうこと?」

「よく分からない。だから連れてきたの。・・・何か被せてみたら見えるようになるかなって思ったけど、マジで見えるんだー」

「そ、そっか・・・まあいいか、私はフランドール・スカーレット!フランって呼んでね!」

 

フランはこいしの手を握る。

 

「・・・フランちゃん」

「あははっ、なんか妹が出来たみたいだなぁ」

「・・・そういえば、フランにもお姉さんがいるんだよね」

「うん!いつもはカリスマ(笑)だけど、いざってときはかっこいいんだよ!まあ、私のほうがかっこいいんだけど!」

「・・・あなたにも、お姉ちゃんがいるんだ」

「そうだよ!もしかしてこいしにも・・・」

「ちょ、ちょっと待って、一応・・・」

 

声は無感情なものの、焦ってるお面をつけているこころ。

 

「・・・?」

 

沈黙が続く。沈黙を破ったのは、こいしだった。

 

「お姉ちゃんは、私が見えないの。お姉ちゃんのせいじゃない、私のせいで」

「・・・えっ?ど、どういうこと・・・?」

「さっきも、私が見えなかったでしょ。それと同じ。お姉ちゃんのところに帰りたいけど、家が分かんないの。それに、帰っても、もう見えないから・・・」

「・・・そっか。でも、そのお面があれば、見えるんじゃない?」

「・・・あ、そっか」

「じゃあ、私達でこいしの家を探そう!それで、こいしのお姉さんに会わせてあげよ!」

「賛成。でも、私達だけじゃ心もとないし、紅魔館で作戦を練ろう。そこなら、フランのお姉さんとか、あと魔女さんとかも手伝ってくれるかも」

「・・・2人とも、ありがとう。私のために・・・」

「いーよ、だって、私達友達でしょ!」

 

明るいフランの笑顔。

なんとなく、心が温かくなったこいしだった。

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