・うわー、嫌な予感しかしない来訪者
・その人「やっほ〜☆」鈴仙「帰れ」
・鈴仙vs黒幕(推定)、ファイトっ!
「・・・手加減はしない!」
鈴仙が弾丸型の弾幕を展開する。
まるで本物の弾丸のように、速い。
「銃・・・いや、弾幕か」
その人は弾丸を見極め、避けていく。
(恐らくあの人はナイフによる接近戦。近づけさせなければ、有利が取れる。・・・近づかれても、あれを使えば・・・)
鈴仙の弾幕は、かなり激しい。
その人も、思うように近づけない。
「っ・・・」
すると、その人は喉を押さえた。
(あれは・・・)
「はあっ!!」
その人が叫ぶ。瞬間、弾幕もろとも押し倒された。
「なっ・・・!」
反射で自分のうさ耳を塞ぐ。
その一瞬の隙を見逃さず、その人に距離を詰められ、首をつかまれてしまう。
「くそっ・・・!」
鈴仙はもがくが、その人は全く動じない。
「思ったよりも速かったな」
その人はナイフを鈴仙の首に当てた。
「・・・っ!くそっ・・・」
「・・・なんて、なんの対策もしてないと思った?」
「私の目を見ろ!!」
叫ばれたその人は少し困惑してしまう。
鈴仙のうさ耳がピンと立った。
そして、その人の視界に、鈴仙の瞳が映った。
赤い、赤い瞳。狂気的で、自分まで狂ってしまいそうだ。
「っ・・・!」
反射的に鈴仙の首を絞めていた手を離す。
頭がおかしくなりそうな感覚が、その人を襲う。
「な、何を・・・!」
「敵に教えるわけがないでしょ」
「っ・・・!」
また、弾幕を放つ鈴仙。
弾幕がぐにゃぐにゃ気持ち悪い感じで飛んでくる。
弾幕が、いや、その人の視界がおかしいのだ。
「くそっ・・・!」
避けたはずなのに、当たる。
近づいても遠ざかり、ナイフは虚空を切る。
しかし、だんだんと慣れてきた。視界自体も、徐々に回復してる。
「強いな・・・もっと調べておけばよかった。・・・ただ、少しは慣れてきた」
「へぇ・・・流石は黒幕、ってところかな。けれど、狂気はあなたの心を徐々に蝕んでいくよ。私が気絶しないか、解除しない限りね」
「・・・時間制限ってことか」
「そう。けど、それまで待つ気もないよ!スペルカード発動!狂符「幻視調律(ビジョナリチューニング)」!」
赤い弾幕がばらまかれるように放たれた。
しかし、すべての弾幕において、挙動がおかしい。急に止まったり、逆走したり。そのうえ、密度もかなりある。
「小賢しい・・・」
その人は弾幕を掻い潜りながら、鈴仙へ接近する。
いくつか弾幕が当たってしまうが、そもそもこの弾幕を避けるのは不可能に近い。
(嘘っ、なんでこんなに早く・・・!)
驚いた鈴仙は反応できず、頬にナイフがかすってしまった。
(いや、この距離なら・・・!)
鈴仙は自身の手を銃の形にする。
目標は・・・その人の胸部。
「させるか!!」
再び、その人が大声を出す。
「うっ・・・!そ、その大声をやめろ!!」
うさ耳を塞ぎながら、鈴仙は言う。
「・・・なるほどな」
(ペースを狂わされた、早く巻き返さないと・・・!)
うさ耳を塞いでいた手を離し、鈴仙は弾幕展開の準備をした。
しかし・・・
「〜、〜♪」
「・・・は?」
唐突に、その人は歌い始めた。
思いもよらないことに、鈴仙は思わず動きをとめる
(・・・ついに狂気に染まった?いや、それにしては・・・何かが・・・)
その時、鈴仙は気づいた。頭が痛い。引きずられる感覚。
まるで、自分が使う狂気と同じような感じがする。
(私を狂わせようとしてる・・・!けど、歌ならどうにかなる!!音波を操って、うまく耳に届かないようにすれば・・・!!)
鈴仙はうさ耳をピンとさせ、音波を操り始める。
その人は歌ってるまま、ナイフを振るってくる。
(歌ってる状態で振るうな!!けど、そろそろ音波を掌握でき・・・)
ザシュッ
その時、強烈な痛みが走る。
頭を切られた、いや、もっと上の方だ。
・・・うさ耳が切られていた。
幸い、切り離されてはいないが、激痛なことにかわりはない。
鈴仙のうさ耳は、波長を操る能力の根幹。アンテナのようなものだ。
なので、その分彼女のうさ耳は繊細なのだ。
「いだ・・・ぁ・・・」
それに伴い、先程まで操って侵食を止めていた音波も、全て鈴仙に届いてしまう。
痛いせいか、思考もままならない。それほど、うさ耳は弱点だったのだ。
『私の狂気を解除しろ』
頭に声が響く。
鈴仙はその言葉に促され、その人の狂気を止めた。
(従っちゃ・・・駄目なのに・・・)
思い虚しく、鈴仙の意識は消えていった。