・ルーミア強っ
・なんかすげー熱い説得
・少年漫画展開じゃー!たぶん(は?)
今からちょっと昔。大妖精は、一本の木から生まれた。
「・・・うーん・・・ここは、外?」
大妖精は辺りを見回す。そこは静かな森の奥だった。
「・・・ひとりぼっちかぁ、ちょっと心配だなぁ・・・」
「ねえ、もしかして生まれたばっかりなの?」
「えっ?」
突然声をかけられた。声の先には、人の形をした妖怪がいた。
「そ、そうですけど・・・」
「へー、じゃあ、ここのこと何にも知らないんだね?」
「はい・・・」
「・・・ついてきてよ。案内してあげる」
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
大妖精はそのまま、妖怪についていった。
■■■■
歩き始めて数十分。なにやら不気味な森の中のようだ。
「あ、あの・・・ここどこなんですか?暗くて怖い・・・」
「・・・本当に騙せちゃった」
「えっ?」
ヒュンッ
突然背中に衝撃が走った。そして思わず前に倒れてしまった。
「痛っ・・・!?な、なんで・・・」
「あははっ!馬鹿だなぁ、君!」
慌てて立ち上がるも、周りを妖怪たちに囲まれていた。
「ほんとに騙せるなんて思ってなかったよ!本当に妖精って馬鹿なんだね!」
「ば、馬鹿って・・・最初から、だましてたの!?」
「そうだよ!いやー、最近妖精を食べてないからさー、食べたくなったんだよね!」
「あの独特な風味の肉、おいしいよね~」
「うんうん!特に生まれたては柔らかくておいしいんだよ!」
「・・・ってことだからさ、いただきまーす!」
妖怪の一人が、大妖精に飛びつく。
しかし、食べられる直前に、鋭い氷が大妖精と妖怪の間をすり抜けた。
「痛っ!?」
「だ、大丈夫!?ちょっと、抵抗しないでよ!妖精のくせに・・・」
(・・・いや、今のは私じゃ・・・)
「ちょーっとちょっと!「妖精のくせに」とは何だ!」
「え、お、お前は・・・?」
「あたいはチルノ!幻想郷さいきょーの妖精!知ってるだろ!」
シーン・・・
「・・・え、誰?」
「あ、私聞いたことある。幻想郷で一番馬鹿な妖精だっけ」
「はぁ!?あたいは馬鹿じゃない!幻想郷で一番頭が良いの!」
「「「・・・?」」」
「とにかく!あたいが来たからにはあんたたちなんかぼっこぼこなんだからね!」
「・・・ま、まあ、妖精が一匹増えたところで変わらないんだから!」
「それはどうかな!スペルカード発動、凍符『パーフェクトフリーズ』!」
チルノの周りから、大量の冷気が放出された。
「・・・え、これだけ?やっぱり妖精は口だけ・・・」
ヒュンヒュンヒュンッ!
「ええっ!?」
突如冷気は吹雪となり、氷のつららとともに妖怪たちを襲った。
「うわっ!?さ、寒いし痛い・・・!」
「これ吸わないほうがいいよ、肺が痛い・・・!」
「と、とりあえず撤退だ!覚えてやがれー!」
捨て台詞を吐きながら、妖怪たちは飛び去って行った。
「もう二度とくんなー!」
「・・・え、えっと・・・助けてくれて、ありがとうございます!」
「・・・え?」
「え?」
「あれ・・・さっきまでお前いたっけ」
(え、気づいてなかったの!?)
「・・・まあいいや。怪我とかない?」
「あ、はい・・・よいしょっと」
「よかったー、あいつらに襲われてたんだね。ここら辺はああいうの多いしねー」
「そうなんですね・・・実は私、生まれたばかりで、ここのこと何も知らないんです」
「そうだったの!?じゃあさ、あたいたちのところに来ない?」
「えっ?」
「楽しいよ!あたい以外にも3人いるんだけど、みんな優しいし、もちろん食べたりなんかしないよ!」
(し、信用していいのかな・・・でも、さっき助けてくれたし・・・)
「・・・は、はい!」
「やったー!じゃあ今日から「さいきょーチルノ軍団」の仲間だね!」
「さい・・・え?」
「そうだ!名前さ、なんていうの?」
「・・・えっと、アス・・・」
名前を言いかけてハッとした。
さっきのことで体感したが、この世界は弱肉強食。
強いものが生き残り、弱いものは淘汰される。
その世界でも、チルノは強い方だ。いくら助けてくれた人でも、自分が弱いとわかればひどい仕打ちを受けるかもしれない。
・・・名前だけでも、強く見せたほうがいいのかもしれない。
「ん?どうしたの?」
「あっ!え、えっと・・・大妖精です!」
「だい・・・え、もう一回言って・・・?」
「だ、大妖精です!」
「だ・・・大ちゃん!大ちゃんでいいか!」
「あ・・・はい」
「あとさ、敬語いらないから!強者はみんなびょうどうに扱うってけーねが言ってたから!よくわかんないけど!」
「そ、そうなんだ・・・わかりまし・・・わかった」
「そうそう!じゃあ、みんなのもとに行こう!」
チルノに手を引っ張られ、大妖精は走り出した。
■■■■
・・・あの日以来、私は大妖精として過ごしてきた。
ルーミアちゃんも、リグルちゃんやみすちーちゃんも・・・そしてチルノちゃんも。
本当にいい人だった。でも・・・
・・・やっぱり名前のことは打ち明けられなかった。嘘ついてたし、すごい怖かった。
本当は「大妖精」じゃないのに。
ずっと守られてきた、弱妖精なのに。
・・・チルノちゃんは、本当に強かった。もし、私の方がああなっていたら、すぐに解決してくれただろうな。
でも、チルノちゃんが庇ってくれた。・・・庇ってしまった。
私は足を引っ張ることしかできなかった。本当に、どこまでも弱かった。
でも、メイコさんが言ってくれたおかげで、ようやくわかった。
弱くてもいいんだって。できることはあるんだって。
・・・本当に馬鹿だなぁ。言われるまで気づかなかったなんて。
やっぱり私は弱妖精だ。でも、それでいいんだ。
終わったら、すべて打ち明けよう。そのためにもー