・そんな効果あったんか、あの霧
・妖夢ちゃん、大ピンチ!
・白髪呼びは草(わろてる場合か)
(・・・今だ!)
妖夢は隙を見て後ろから黒い人に攻撃した。
(完全にあっちに気が向いてる・・・決まった!)
グサッ
「・・・え?」
妖夢の腹に激痛が走る。おそるおそる腹を見ると、そこにはつららが突き刺さっていた。
ドサッ
「・・・なん・・・で」
「・・・後ろに誰かいるのは薄々気づいていたが、まさかもう一人お前がいたとはな」
黒い人はいつの間にか妖夢の方を向いていた。
(あの霧の中で・・・気づかれていた・・・!?)
「・・・さっきこいつを切ったときに変な感触があった。それは、人間を切った感覚ではなかった。・・・さしづめ、こいつは偽物でお前が本物なんだろうな」
「・・・はは、ばれてたんだ。・・・でも、その子は偽物ではないよ。もう一人の、私・・・ってところかな」
半霊は白い状態に戻り、妖夢の周りをふよふよとしていた。
「・・・大丈夫だよ。心配ありがとうね」
「・・・ただの飾りだと思ってたが、案外実用的なんだな」
「さっきから・・・この子を物だと思ってるみたいだけど・・・違うよ。この子にだって、ちゃんと自我がある。・・・いろんな人を暴走させたあなたにはわからないだろうけど」
「負け惜しみか?」
「そうかもね・・・。でも、「負け」って部分は違うかも」
「・・・何を言ってる」
「さあね。・・・最後に一つ、言いたいことがある」
「なんだ。辞世の句ぐらいは聞いてやる」
「そっか・・・じゃあ、遠慮なく」
「・・・あなたの敵は、私だけじゃないでしょ。黒幕さん」
(こいつ何言って・・・まさか、あいつらが・・・!?)
「あとは・・・頼んだよ、みんな!」
黒い人が妖夢から距離をとる前に、後ろの霧の中からから3人が飛び出してきた。
「任せなさい妖夢!スペルカード発動!境界『二重弾幕結界』!」
突如黒い人の周りを結界が囲み、結界の内側から弾幕が出てきた。
「は・・・!?なんで、こんな霧の中でピンポイントに・・・!」
そうこうしている間にも、弾幕は増えていく。
弾幕は結界にぶつかって反射しているため、よけるのは困難になっていた。
ボンッ!
「っ・・・!」
(だが、少し慣れてきた・・・。この結界も有限だろう、時間切れまで待てば・・・)
周りを見る余裕も少しづつ出てきたようだ。
すると、外に黄色い矢が刺さっているのが見えた。
どうやら結界の周りを囲むように刺さっていた。
(矢・・・あの黄色い奴の・・・。そういえば、さっきの雷を打ってきたのもあいつだな。・・・まさか・・・!)
気づいた時にはもう遅く、大きな雷が結界を突き破って落ちてきた。
ドゴーンッ!
「はぁ、はぁ・・・っ・・・!」
(さっきよりも、威力が高い・・・!・・・そうか、さっきよりも矢で囲った範囲が広い分、威力が上がったってことか・・・!だが、これくらいならまだ・・・)
黒い人は刀を構えなおした。
すると、目の前からメイコが突っ込んできた。
ガンッ!
「お前、いつの間に・・・!」
「いや別に突っ込んだだけよ!いつの間にってなによ!?」
「そこかよ・・・」
(・・・力が強くなってる。・・・いや、俺が弱くなってるのか。さっきの突っ込みを視認できないほどには)
「はぁっ!」
(ただ、こいつの動きは大振りで読みやすい。食らったらやばいが、そうそう食らうことにはならないだろうな)
キンッ!
「ぜんっぜん当たらない・・・!」
「・・・ここまでか?」
「っ・・・!」
「スペルカード発動!剣伎『桜花閃々』!」
後ろから声が聞こえると同時に、誰かが切りかかってきた。
「お前・・・あの白髪・・・じゃないな。幽霊の方か・・・!」
「そうだよ、さっきはやしてもらったバラのお返しをしに来たんだ!スペルカード発動!彼岸剣 『地獄極楽滅多斬り』!」
半霊はものすごい速さで黒い人の周りを駆け巡り、切り付けていく。
シャッ!
「っ・・・!見えない・・・!」
「・・・これくらいでいいよね、スペルカード発動!私怨『亡き傷の恨み』!」
動きを止めた半霊の体から黒い幽霊のような物体が出てきて、一直線に黒い人のもとへ向かっていった。
黒い人はとっさに壁を作り出したが、黒い物体はそれをすり抜けて飛んできた。
スッ
「・・・?なんだ、これは・・・」
ズキッ!
「っ!?」
(なんだこの痛み・・・何かを植え付けられたような・・・)
痛みがする方を見ると、そこには黒いバラが生えていた。
しかも位置は半霊に生えたバラの位置と全く同じだった。
そして、半霊のバラはいつの間にかなくなっていた。
「なぜ、お前がこれを・・・!」
「さっきお返しをするって言ったよね?だからお返ししただけだよ、同じものをね」
「くっ・・・小賢しい真似を・・・!」
「・・・さっきお前が食らわせたつららよりもはるかにましな痛みだと思うよ」
「・・・それがなんだ」
「さーね。でも、少なくともあの子を・・・妖夢を痛めつけた分は返さないといけないよね?・・・あとは任せたよ、メイコ」
(メイコ・・・!完全に忘れてた・・・!)
刀を構えなおそうとするが、痛みのせいでうまく動けない。
「ありがとう妖夢!ってことで覚悟しなさい!」
メイコは飛び上がり、おおきく振りかぶった。
「はぁぁぁぁっ!」
「・・・はぁ、くそっ・・・!」
■■■■
「・・・結論から言うと、黒い奴が背を向けたすきに私が切りかかる。半霊には背をこちらに向けてもらう・・・って感じかな」
「つまり、表で戦ってるのは半霊。後ろから切りかかるのがあんたってわけね」
「そういうこと」
「・・・でも、それってあいつにばれてたらやばくない?後ろ向かれて反撃でもされちゃったらやばいじゃん」
「まあ、そうだね。そこで3人にはもしそうなった場合に黒い奴に突撃してほしいの」
「なるほどねー。気配は私の結界である程度消せるし、あんたの位置も妖力をたどればどうにかなる。攻撃が成功しても失敗してもダメージは入るでしょうね」
「・・・でも、それって妖夢だけがダメージを負うリスクがあるじゃない。私たちは不意打ちだから反撃も遅くなるだろうけど・・・」
「そんなこと知ってるよ。でもさ、結局戦場に怪我は付き物だし」
「でも、下手したら妖夢が・・・」
「大丈夫だよ。私は半人半霊だから。腹貫かれたぐらいで死んでたら、幽々子様の顔に泥を塗っちゃうしね」
「・・・でも」
「大丈夫だよ!妖夢がそう言ってるんだしさ!妖夢を信じよう、ねっ!」
「・・・そうね、わかったわ」
「ありがとう。・・・ごめんね、心配させちゃって」
「いいのよ。でも・・・無茶しないでね」
「わかってるよ」
「じゃ、一つ目は決まりね」
「あ、駄目だよ!だって、まだ名前決めてないじゃん!」
「・・・名前?そんなんプランAとかでいいじゃない」
「えー、なんかやだー!」
「はぁ・・・そんなに言うなら、いい名前思いついてるんでしょうね?」
「もちろん!・・・えっと、「キラキラしゅばばばシャキーンドドドン作戦」!・・・とかどう?」
ブフッ!
「え!?な、なんで笑うの!?」
「だ・・・だって・・・いや、ネーミングセンス・・・w」
「・・・リンはこういう子だから、うん」
「ふふっ・・・w、キラキ・・・ふっ・・・w」
「笑わないでよー!」
「・・・えっと、妖夢に決めてもらったらいいんじゃないかしら?この作戦は妖夢の考えたものだし。・・・妖夢はどうおm」
「えっめちゃくちゃいい」
「「なんで!?」」
「ほら見たことかー!じゃ、決まりだね!」
「・・・妖夢、ちなみにどの辺がいいの?」
「うーん・・・作戦内容が簡潔にまとまってるし、なにより字面がおしゃれだよね」
「簡潔に・・・まとまってる?」
「少なくとも私たちにはそう思えないわね・・・」
「・・・メイコ、あんたがまともでよかったわ」
「・・・そうね。霊夢もまともでよかった」
「じゃあ、これからあたしが名づけ係だー!」
「うん、ネーミングセンスいいし、いいと思うよ!」
「あっ勝手に決めるんじゃないわよ!」
「あはは・・・と、とりあえず話進めましょ・・・」
■■■■
霧が晴れた。あたりが明るくなる。
「・・・成功、だね・・・」
「ええ・・・よく頑張ったわね、妖夢。あとは任せなさい」
「・・・うん」
妖夢は霊夢に補助されながら木の裏に行き、座り込んだ。
「それは抜かないほうがいいわ。抜いたら血が一気に出るし。冷たいおかげで、痛みとかも抑えられてるだろうしね」
「そうだね・・・」
「じゃ、行ってくるわ」
そういうと霊夢はリンたちのもとに行った。
「・・・よいしょっと。ここからなら・・・見える」
「・・・動いちゃっていいの?」
「うん。・・・あいつの動きを見て、少しでも上達したいから。あなたも休んだ方がいいよ」
「そうだね。・・・お疲れさま、妖夢」
「何言ってるの、あなたも妖夢でしょ?」
「あはは、確かに」
かさっ
「・・・?」
半霊は何かを感じた。
得体のしれぬ気配が、一瞬だけしたような気がした。
「・・・ねえ、なんか感じた?」
「いや、何も・・・」
「・・・そっか、ならいいや」
(くっ・・・力が、うまく入らない・・・)
「二人とも大丈夫?」
「うん!あたしもメイコもばっちりだよ!」
「そうね。・・・成功してよかったわ」
「ええ。なんかあっちもダウンしてるみたいだし、さてと、これから尋問タイムよー」
「尋問って・・・」
「何よ、間違ってないでしょ」
「それはそう・・・なの?」
(・・・それに、よかった。・・・当てが外れて)
「・・・霊夢?」
「・・・何?」
「いや、なんか微笑んでたし」
「ああ、顔に出てたのね」
「なにが?」
「・・・さあね」
霊夢たちが話していると、黒い人が弱弱しく立ち上がった。
「・・・何、まだやろうってんの?というか、その状況で勝てるとでも?」
「・・・」
(・・・何か、おかしい。まだ、力があるっていうの?)
ピシッ
「っ!?スペルカード発動!夢符『二重結界』!」
霊夢はとっさに結界を作り出した。
「えっ、霊夢どうし・・・」
パリンッ!
「「うわっ!?」」
「やっぱり来たか・・・!リン、メイコ!この中にいなさい!」
その音が鳴ると同時に、衝撃波が3人を襲った。
「うわっ・・・!な、なにこれ!?」
「結界である程度防いでるとはいえ、ここまで強力なんて・・・」
ふわっ「うわっ!?」
「危ない!」
「・・・ナイスキャッチだよ、メイコ!」
「ありがとね。・・・でも、衝撃波で人が飛ぶって・・・」
やがて衝撃波は止み、霊夢も結界を解除した。
「・・・何だったの今の・・・って・・・!あんた、やっぱり・・・!」
(まずい、リンとメイコに見られちゃ・・・!)
一方、木の裏で妖夢は衝撃波に耐えていた。
「・・・何だったんだろう、今の」
妖夢はうまい具合に向こうの様子を見る。
「・・・あれってバリアみたいな感じだったんだ。そりゃ、攻撃が通りにくいわけだ・・・」
(そういえば、あの見た目って・・・)
「あっ・・・!ねえ、あの見た目って・・・!」
「・・・うん、確かに霊夢が話していた通りだよ・・・!」
「・・・終わったと思わせておいて、こんな爆弾が用意されてるとはね・・・」
「そうでしょ・・・探していた最後の一人、カイト」