東方歌謡録   作:みかみりん

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ぜっんっかっいっのっあっらっすっじ(なにこれ)
・いやどこか知らなかったんかい!
・みんな、生きのこは食べないでね(注意喚起)
・アッ...チルノチャン...


100人目にしてあげる

「到着!ここが無名の丘だよ!」

 

チルノはそう言いながら足を止める。

辺り一面にスズランの花が咲き乱れる、美しい光景が広がっていた。

 

「わっ・・・!この白いの、全部スズラン!?」

「そうだよ!綺麗だよね~」

「うん・・・!あ、でもスズランって確か毒持ってたような・・・」

「そうなの?だからメディスンはここが好きなのかなー」

「そうなのかもね。・・・そうだ、メディスンの見た目ってどういう感じ?探すときの参考にしたいからさ」

「うーんとね、メディスンは金髪のショートヘアで、頭の上に赤いひもリボンがあるの!あと、メディスンの周りにはちっちゃな妖精っぽいのが1人いるんだ!」

「小さな妖精?」

「うん!メディスンにそっくりな見た目で、「スーさん」って名前らしいよ!」

「なるほど。・・・にしても、ここって結構広そうだね・・・手分けして探そうか」

「よし!じゃああたいはあっちを探すね!カイトはそっち!」

「分かった!見つけたら呼んだ方がいい?」

「うん。あたいも見つけたら呼ぶからね!・・・あ、そうだ。ちょっといい?」

「・・・?どうしたの?」

「・・・ちょっとさ、顔見せてくれる?」

「顔?え、何かついてる・・・かな?」

 

カイトはチルノに目線をあわせる。

 

「・・・」

「・・・?」

「・・・うん、ありがと。もう大丈夫」

「え、うん・・・何かついてた?」

「目と鼻と口と眉毛」

「うんそりゃそうだね」

「じゃあ早速探そっか!どっちが早く見つけられるか、競争だ~!」

 

チルノは花畑に向かって走り出す。

 

(・・・きっと気のせいだ。あんなに優しい顔の奴が、あんな事をする訳ない。結局考えても答えは出ないんだ。そんなことでもやもやするより、目の前のことに取り組まなくちゃ!切り替えの早さも、さいきょーには必要なんだから!)

「・・・チルノ、やっぱり足早いなぁ・・・とりあえず、僕も探さなくちゃ」

 

カイトはチルノとは別の方向に歩き出す。

 

(金髪で、赤いリボンに小さい妖精が1人・・・スズランの中でその色は結構目立つな、案外早く終わるかも)

すぅ・・・メディスンー!いるなら返事してー!」

シーン

「・・・まあ、これで見つかったら苦労しないよね・・・。こっちに何かあるかな・・・」

 

目を向けた方向には、小さめの丘があった。

 

「・・・何か手がかりがあるかもしれない。とりあえず行ってみよう」

 

ものの数分で、小さな丘のふもとにたどり着く。

その丘を、カイトは上っていった。

 

「ふう・・・あんまり斜めってなくて良かった・・・」

 

すぐに頂上につく。

頂上には大きな石が置いてあった。

 

「何だこれ・・・?あれ、何か書いてある」

 

カイトはかがんで、その文字を見る。

そこには、誰のか分からない名前が大量に書かれてあった。

 

「これは・・・慰霊碑かな。ここで何か、あったのかな・・・」

「・・・昔ね、ここに一つの人形が捨てられたの」

「えっ?」

「何故捨てられたのか、その悲しみはいずれ憎しみへと変化したんだ」

「えっと・・・だ、誰ですか・・・?」

 

困惑するカイトに構わず、その声は話を続ける。

 

「そしてその人形は、ここに来た人間を次々と殺していった。スズランから分けてもらった毒でね」

「人形・・・毒・・・ってもしかして君は・・・!」

「そうだよ。私が今あなたが探してるメディスン・メランコリー。人殺しの毒人形のね」

「見つかって良かった、今チルノと一緒に探してたんだよ!アリスも待ってるよ、早く帰ろう」

「・・・何で?何で私が人間に従わないといけないの?」

「えっ・・・そう言われても・・・」

「話は変わるけど、そこに刻まれている名前、今99個なんだ」

「・・・もしかして、僕を殺して100人目にする的な?」

「当たりだよ」

「ええ・・・殺されるのはもちろん嫌だけど、せめてアリスのとこに行ってからで・・・」

「だから、何で人間に従わないといけないの?私は今ここで、あなたを100人目にしたい。だから・・・」

 

「私の毒で死んでね!スペルカード発動!毒符『神経の毒』!」

 

後ろから声が聞こえ、とっさに身をよじる。

腕に何か刺さったと同時に、バランスを崩し丘から転げ落ちた。

 

「あらら、避けられちゃったか。一発で心臓止めてあげようと思ったのに」

「怖ぁっ・・・ってうわ!?なんだこれ!?」

 

カイトは自分の右腕を見た。

そこには毒々しい色の木の枝のような物が袖を突き破り刺さっていた。

幸い貫通はしていないようだ。

 

「うわっ・・・こういうのって抜いた方がいいのかな・・・いや、絶対血がどばってでるよね・・・」

「そんなことを考えてる暇があるなら、逃げたりなんだりしたら?」

「・・・そうだ、まずはチルノの所に行かないと・・・!」

 

カイトは刺さってる方の腕を地面に押し当て、立ち上がろうとした。

しかし、うまく力が入らない。

 

「えっ・・・ど、どうしよう、動かないんだけど・・・!」

「そりゃそうでしょ、心臓が止まるくらいの毒だよ?片腕なんてすぐ駄目になるよ」

「うっそぉ・・・」

「逃げないならもっと行くよ!」

 

メディスンはカイトに次々と弾幕を放ってくる。

カイトはもう片方の腕で立ち上がり、引き返すように走った。

 

(確か、メディスンは人間嫌いって言ってたよね・・・もし、敵意を向けているのが僕だけだとしたら、チルノの所に連れて行けば落ち着くかもしれない。それなら、戦わなくてもいい。無駄な傷を付けさせたくないし、僕だって戦闘は慣れてないし!)

「・・・ついてきてる、これなら・・・!」

 

カイトはその場で止まり、息を大きく吸った。

 

「・・・チルノッ!メディスン、見つかったよぉ~っ!」

「うわっ!?」

 

後ろで驚く声が聞こえる。

見た目からは想像できないほどの大声に怯んだようだ。

 

「・・・これで、気づいてくれたかな。にしても、久しぶりに大声出したなぁ・・・」

「あ、あなたそんなに大きな声出せたんだ・・・」

「よく言われるよ、まあそんな頻繁には叫ばないけど。喉が枯れちゃうし」

「ふーん・・・まあ、私には関係ないか」

(とりあえず、チルノが来るまで持ちこたえないと。正直自信ないけど・・・そうも言ってられないし!)

 

カイトは覚悟を決め、メディスンに向き直る。

 

「覚悟はできた?・・・まあ、出来てなくても関係ないけどね」

 

メディスンが不敵に笑う。

その姿はまるで、スズラン畑の女王様のようだった。

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